俺は何処にでもいる冒険者なのだが、転生者と名乗る馬鹿に遭遇した。俺は最強だ? その程度で最強は無いだろうよ などのファンタジー短編集

にがりの少なかった豆腐

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ハブられ勇者の付き人やってます 別の場所に旅立った屑王子の体が、いつの間にか魔王に乗っ取られているんだが、どう言うことなんだ?

てめぇら覚えていろよ?

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 拝啓
 
 私にこの役目を譲っていただいた皆様押し付けやがったクソ野郎ども。お元気でしょうか?
 私は、日々勇者様のお世話をさせて戴いて毎日勇者に振り回される上に事後処理大変充実した生活を送っておりますに追われて死にそうだよ。クソが!
 他の方に付いて行かれた方々からの私がとても苦労しているのだから報告はどのようになっていますでしょうか他の奴らも同じ様に苦労しているよな
 王都から出発してそろそろ3月ほど経ちますので前回の報告書にも書きました通り、近々他の方々と進捗状況などの報告会そろそろこの苦労の様なものを開きたいと考えていますを分かち合いたい
 とりあえず、出発する際に話して遅くとも出発してから4ヶ月以内いた件はどの様にに引き継ぎをしてやると言なっているでしょうかう話しはしっかり進んでいるんだろうな
 
 今回の報告苦情は以上になります。この報告者が届く頃にはベスタの街に滞在していると思いますので、なるべく早い返答見なかったをよろしくお願いしますフリはするなよ

 それではまた10日程経ちましそれまでにはたら報告書を送らせていただきます返答ぐらい寄越せるよな?

 赤髪の勇者の付き人より



 と言う報告書を送ってから既に1月近く経つが、未だに返答は送られてこない。
 ここから王都まで確かに距離間あるが伝達の魔法がある以上、伝達を受け取る場所が限られるとしても返答にかかる時間はそれほど掛からないはずだ。
 よって、あのクソどもは私の要望を聞く気はないと言うことなのだろう。

 この憤りは何処に向けたらいいのだろうか。



 ☆


 
「勇者様。この食事を終えた後の事なのですが」
「何だい? 私は行きたい場所があるのだがね」

 予定ガン無視かよ勇者。いや、さすがに予定が決まっている以上は、それに従ってほしいんだけど。

「まさか、もうここを出る何てことは無いですよね?」
「ははは」
「いえ、笑ってごまかさないでください」
「私はやりたいようにやる。それは最初に言ったことだろう?」
「そうですけど」

 俺が最初にこの勇者にあったのは半年前。魔王討伐隊を各地に派遣すると国王から通達があった後だ。元より勇者が現れたことは国でも話題になっていたし、別に驚くことではなかったのだが、何故か勇者の付き人に書記官を付けるなんてとち狂った指示が飛んできた。
 しかも、国で有数の魔法使いであるとされている王子と、魔王に対抗する力を持つ聖女とは別々に向かうと聞いた時は、国の判断を疑った。

 まあ、その後でよくよく話を聞いてみれば、何れ国を継ぐ王子の箔付のために勇者を切り捨てたと言うことだとわかったのだがな。いや、それでも馬鹿な判断だとは思うが。

 そもそも、明らかに足手まといになるような書記官を勇者に付けるなんて、誰が見ても王子を上げるためだと思う。
 そのくせ王子には魔術師団から30人連れていくとか、どれだけ贔屓にしたいんだ?

 それに聖女の方も同じだ。聖女とその付き人の他に精鋭の聖騎士を10人も連れていくとか、どれだけ戦力に差が出るんだよ。こちとら書記官(俺)1人だけなんだが?

 まあ、聖女に関してはそれくらい付けてくれた方が俺は安心できるんだけどな。一応、今の聖女をやっている奴は俺の妹だし。
 聖騎士は男ばかりだからその辺りは気掛かりだがな。

 この国の王政と協会は仲が悪い。正直水と油だ。
 協会の影響力を小さくしたいと考えている王政と、影響力を大きくして国を操りたい協会側。どう考えても手を取り合って魔王を討伐するような仲ではない。

 要するにこの魔王討伐は勇者をハブにして、国と協会が競争をしているのだ。魔王は世界を滅ぼすほどの力を持っていると言われているのに何をしているんだと思わずにはいられないが、そう簡単にはいかないのが人間という物だろう。

「さて、食事も終わったから行こうか」
「はい?」

 おい!? いつの間にか食べ終わっているじゃないか。俺はまだ半分しか食べていないのだが!?

「では行こう!」

 支払いは先に済んでいる。故にこのまま食べ残しても問題は無いのだが、さすがに半分では腹が持たない。俺は一気に残りを掻き込んだ。
 そして、直ぐに勇者を追う。食べて直ぐに動くのは良くないが、このままでは勇者を見失う。

 宿の食堂を飛び出す。そこには勇者の影は何処にもなかった。拙い。そう思いながら周囲を見渡すと、遥か向こうに勇者らしき影が見える。

 はえぇ。そう思うと同時に、ここ半年で身に着いてしまった動作で、考えるよりも早く体を動かし、勇者を追った。

 ああ!? この町のギルドによって定期報告をするつもりだったんだ! くそっ、これじゃあ報告どころじゃない。次にギルドがある町に着くのはいつだ!? 俺は早くこの役目を代わってくれる人を呼びたいんだけど!

 そう心の中で嘆きながらも勇者を見失わないように、俺は全力で駆け出した。


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