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18:川沿いを進む
しおりを挟むさらに森の中を進んで行く。
あれ、向こうに何か開けた場所がある? まさか森抜けた?
周囲を警戒しながら木々の間を進む。そしてさらに進むとその先には川があった。
そうかそう来るか。確かに森は抜けている。ただし、川の向こう側にはまた森が広がっていた。
うーんどうしたものか。このまま川に沿って行けばおそらく南側に行くことはできると思う。確か南にあるサウリスタが海に面していたはずだから、これが川である以上海に繋がっているはずだ。
しかし、川に沿って行くとなれば高確率で何かしらのモンスターに会うことになると思う。この川辺は森に住む生物の飲み水になっているはず。そしてゲームの中とは言えUWWOはよりリアルに近付けたと謳っている以上、それを設定していないとは思えない。要するにこの川を下っていけばあの犬に会うことになる、ということだ。
さてここでとれる選択肢は3つ。
1、 このまま川を下っていく。
2、向こう側まで川を泳いでいく。
3、戻ってネズミの王国でレベリングしてから、あの犬に復讐する。
こんな感じ。まあ、ぶっちゃけ2はない。まず流れのある川を泳いで渡ったことはないし、絶対モンスター居る。1と3は選択肢に出しておいてあれだけど、ほぼ同じと言っていい。1を選んだとしても死に戻りすれば、ネズミの王国に行くことになあるだろうから、結局は3になる。
死に戻り前提で川下ってみよう。時間的にもそろそろ日が昇ってきそうだから、どのみちあの建物に戻ることになりそうだしね。
川沿いに流れに沿って進んで行く。川の近くもあって小石なんかが転がっていてあまり足場は良くない。まあ、森の中を歩いて行っても足場は悪いところの方が多いから、歩くことに関してはあまり変わらないか。拾えるアイテムは森の中に比べて少ない。ほとんど木の枝や薬草類しかない。これなら少し森の中に入って歩いている方が実入りはいいかもしれない。
10分くらい川沿いを進んだ。特にモンスターらしき影は見えていないが、【感知】範囲の端にはたまに赤い点が現れている。犬なのかそれともまだ見たことがない何かなのか。
橋ととか架かってないかな。この川流れが速いわけじゃないみたいだけど、川幅10メートル近くあるからさすがに橋はあると思うんだよね。あの建物があるんだから行き来はしていただろうし、もしかしたら川上にあったのかもしれないけど。
この先の川は西に曲がって伸びているようだ。このままいくと前に行った範囲に近づいていくんだけど、あの犬が出ないか心配…。あ、えーまじか。犬じゃないけどさ、もっとやばいやつじゃん。さすがに熊はなぁ。あ、いや複数で来る犬より熊の方が対処は楽かも? どのみち格上だろうけど、1匹の方が戦う分にはいいか。できれば警戒してどこか行って欲しいけど。
あ、気付かれた。熊がこっち見てるよ。とりあえず【鑑定】。ちゃんと出たのはフォレストベアと言う名前だけか、HPはおそらく4桁。まあ、無理だな。HP4桁も削れるほど私に火力はないし、使える技も少ない。
「グォガアアアァア!!」
ああ、熊が戦闘態勢に入ってしまった。仕方ない、やれるだけやろう。どうせ死に戻りだしね。
こっちに走ってくる熊に対してポイズンミストを発生させ、微毒状態にする。ネズミと違って的が大きいから当てやすくていいな熊。その分攻撃範囲が広いから躱すのが難しくなるけど。
正面からの突進を躱すとすぐに熊が腕を振り下ろしてきた。寸でのところでそれを躱し、ナイフを熊の脇腹に刺す。
リアルでこんなことがあったら絶対身動きできず殺されている。リアルよりもステータスが高くて死んでも問題ないゲームだからこそ出来る動きだと強く実感する。まあ、そもそもリアルだったら熊が出るようなところには滅多に行かないけどね。
それよりも熊は脇腹をナイフで刺されたにも関わらず、痛がる様子を見せない。ほとんどダメージが入っていないと言うことなのだろう。熊の上にあるHPバーもほぼ満タンの状態だし。でも微毒のスタックが9と思いの外溜まっているようだ。熊は毒の耐性があまりないのだろうか。リアルだと毒ってあまり効かないイメージなんだけど。
やっぱり川辺は足場が悪いから動きにくい。それは熊も同じようで攻撃や移動のたびに滑っているのか硬直時間があるみたいに一瞬動きが止まる。これうまくいけば倒せるんじゃないかな。時間はすごく掛かるだろうけど。あ、いや日が出てきたら私が先に死ぬな。そもそもそれまで持つかどうかもわからないし、他のモンスターが出てこないとも言えない。
熊のHPバーがほんの少し減ってきた。今まで与えてきたダメージから見て総HPは、2000は超えてないな。低く見積もっても1500くらいかな。
私のHPは多少減っている。熊の攻撃自体には当たっていないけど、その弾みで飛んでき石が当たってダメージを受けたのだ。大したダメージじゃないけど、変に躱すと熊の次の攻撃が躱しにくくなる。どうしたものか魔造血液の在庫作ってなかったからブラッドで新しく出すにしてもあまりHP削りたくはないし、発生させている時って割と大きな隙になるからやりたくはない。
「ポイズンミスト」
少しでもいいのでダメージを稼ぐために微毒のスタックを貯める。これでスタック値は13になった。時間はかかるけどやはり【毒魔術】は便利だね。近づかなくていいし、MPは使うけど待っていればダメージを稼ぐことが出来る。今29%だしそろそろ熟練度が30%になると思うんだけど、その時何か覚えてくれたら嬉しいんだけどな。他の魔術系は30%じゃ何も覚えなかった…あ、【闇魔術】が35%になっているし、なんか覚えたっぽい。しばらく回避しながら確認しよう。
ダークショットか。連続系…いや、ガトリングかな。これ今使うには微妙な気がするけど、いっそ試しに使ってみるのもありかな? でも出す球体の数ってどうやって確認するんだろうか。とりあえず10発を意識してチャージしてみる。CTは4秒くらいだった。なるほど出す数を意識してチャージすると勝手にCTの時間が決まるのか。
「ダークショット」
そういうと同時に黒い霧状の球体が10個私の近くに浮かび上がり、一斉に熊に向かって発射された。どうやら弱い追尾機能が付いているようで発射された球体は緩いカーブの軌道を描き熊に衝突した。
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