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貴方の言う真実の愛のお相手は誰なのでしょうか。まさか私の妹ではありませんよね?
提案
フマ家や洗脳術、イゲリス家についての話は終わった。しかし、メシャル侯爵がレフリア家に来た理由は別にあるようでまだ話は続いています。
そもそもフマ家の調査結果を伝えるのはメシャル侯爵家の役目ではないのです。本来ならレフリア家にこのように情報を伝えに来るようなことはありえないこと。連絡があるとしても、すでのことが終わった後の完全に事態が終息してからになるのが普通です。まあ、それを待たずに調べるのが当たり前ですけれどね。
イゲリス家が関わっていたとはいえ、フマ家から直接の被害を受けていないレフリア家に事の顛末を直接伝える理由は無いのです。しかし、そのような状況でメシャル家がそれを伝えるために来たという事は、他に目的があることは明白でしょう。
「さて、エレーナ嬢が関わっていた部分の説明は終えたのでこちらの本題に入らせてもらう」
元よりそれがメシャル侯爵の目的であることに気付いていたレフリア家の面々はさらに気を引き締めます。
「と言っても、これから話す内容もエレーナ嬢が関わっているのだが……」
メシャル侯爵からの話は私に対しての婚約の打診でした。
どうして私が侯爵家次期当主の婚約者に選ばれたのかが理解出来ませんが、メシャル侯爵曰く、エレーナではメシャル家の嫁として来るには向いていないということのようです。
次期当主よりも能力が高い婚約者なぞ揉め事の種になりかねないし、エレーナがレフリア伯爵家の当主となった方がメシャル侯爵家にとって都合が良いと判断したようですね。
そのため、私がメシャル侯爵家に嫁ぎ、メシャル侯爵家の次男をレフリア伯爵家に婿入りさせる。これがメシャル家の提案でした。
反応を見る限り、エレーナもすでにこの事を受け入れている……と、いうよりも、事前にこのことを知っていた感じですねこれは。
理由はまあ、理解できましたけれど、どうして侯爵家の嫁に伯爵家の娘が選ばれたのか、それが知りたかったのですけれど。
「エレーナはその話を受け入れている、との事ですが本当ですか?」
地位が上のメシャル侯爵にそう言われてもエレーナ本人から直接聞いたわけでもないので、簡単に信じる訳にはいかないお父様がそう問い掛けまいした。
「そもそもこの話を出してきたのはエレーナ嬢だ。私としても特に問題はなかったうえ、今回の騒動で息子の婚約者も被害に遭っている。どうやらフマ家の最終的な目的は我がメシャル侯爵家だったらしい」
「それは本当か?」
父親であるレフリア伯爵がエレーナに問いかけます。
エレーナが頷いている点とメシャル侯爵が肯定しているのでそれが本当なのでしょうけれど、家を取り潰しにされたイゲリス伯爵家にとってはとばっちりもいいところですね。親戚筋もほとんどつぶされていますし。
「それにレイシャ嬢に関しては被害を受けていないとはいえ婚約者が薬物に依存した結果、婚約を破棄したとなれば次の婚約者を探すのは苦労するだろう。まあ、それは私の息子も同じなのだが」
侯爵家の跡取りともなれば私程苦労することはないでしょうけれど、それでも良縁を見つけるのは厳しいでしょうね。
それにこの提案は私と我が家にとってとても利が大きな者です。イゲリス家と婚約を結んでいたのはメシャル家に対抗するためのだったので、その家に私が嫁ぐことになれば対抗する必要は無いわけです。それにメシャル家に嫁ぐことになれば私の立場も上がります。
まあ、この提案自体、私も我が家も断るという選択は出来ないのですけれど。
この話を最初に出したのがエレーナだとすると、実質レフリア伯爵家側からこの提案として扱われます。そうなれば提案した側がその話を断るというのは問題にしかなりません。さらに言えば両家の立場から見ても同じです。
そうしてメシャル侯爵の提案でメシャル侯爵家令息とレイシャの婚約が決まり、それと同時にエレーナとメシャル家の次男との婚約も決まりました。
エレーナの婚約については元々年齢の関係で候補までは決まっていましたが、正式に決まっていなかったのです。
今回の婚約でレフリア伯爵家とメシャル侯爵家の繋がりは強くなりますが、本来であれば同格の家同士で婚約をするものです。しかし、この婚約は渦中の直後に結ばれたもののため、外部から疑惑の目を向けられる可能性は高いです。今後しばらくはレフリア家に対する他の貴族からの当りは多少なりとも強くなることは間違いないでしょう。
まあ、レフリア家の跡取りはほぼエレーナで決まっているので大丈夫だと思いますが、当分の間は周辺の領地からちょっかいをかけられるのは避けられないでしょう。
話しが終わり、婚約の纏めも済んだことでメシャル侯爵はレフリア伯爵家の屋敷を出て行かれました。
「アベル様は今回の話で問題は無いのでしょうか?」
未だレフリア伯爵家の屋敷に残っていたメシャル侯爵家の令息に声を掛けた。先ほどの会談で一言も発していなかったところから、何か不満があったのではないかと思ったのですが、どうなのでしょう。
アベル様は私より年が1つ上です。背が高く、しっかりとした体格の好青年といった人物でり、確実にシレスよりも見目は良いと言えるでしょう。
そんなアベル様は私の言葉に柔らかな笑みを浮べながら答えます。
「特別何か不満があることはないですね。ただ、最初は私の相手をエレーナにするべきではという話があったのですよ。さすがにそうであれば、私は不満を覚えたと思います」
「そ……そうなのですか」
自分でも問題はない、という発言よりも少し困ったような表情でエレーナに不満があると言われ、少々困惑します。
こう言ってはなんですが、エレーナは私よりも頭がいいですし見目もいいです。そうだというのにどうしてそう思ったのかが疑問です。
「ああ、エレーナの事が嫌いという訳ではないよ。父上も言っていたけど、私よりも優秀な子が嫁に来るというのは精神的に辛いからね。それにエレーナは当主夫人よりも、自ら当主になる方が向いている」
どうやら疑問に思っていることが表に出ていたのか私の表情を見て、アベル様はすぐに理由を話してくれました。
確かに男性側からすれば目立つエレーナが隣にいるのは居心地が悪いかもしれませんね。それに私よりもエレーナの方が跡取りに向いているのは間違いありませんし。
レフリア伯爵家の跡取りは私とエレーナしかいません。私が嫁に行くことが決まっていたことで、実質レフリア家を継ぐのはほぼエレーナに決定しています。元から私よりもエレーナが継いだ方がいいという思いもあったので、嫌もありませんし。
「あら、まだこちらにいらしたのですか」
屋敷の玄関ホールで私たちが話しているとそこへエレーナがやって来ました。
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