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1章〜世界を気ままに生きさせて貰います〜
10話 大爆発でストレスも大発散
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ーーチュンチュン
窓の外からは、朝を知らせる鳥の鳴き声が聞こえてくる。
まだ日は完全に顔を出していないようだ。空はうっすらと白くなっていて、もうすぐ朝が訪れることを知らせようとしている。
ーーガバッ
「あー、もうっ!寝れないっ!チクショーッ!」
結局、昨日から俺は一睡も出来てなかった。
目を閉じると、シズルさんのあの胸糞悪い、生々しい話が映像として脳裏に流れてくるのだ。
イノサイとの戦いで疲れていたはずなのに一睡も出来ない。
イライラするのも仕方ないよね?
泊めてもらった部屋は、シズルさんの大きな家の二階にある、広いわりにベットが二つしかない、簡素な部屋だった。
俺が一つのベットを使い、もう一つでロロ、ググ、豆シカが眠りについている。
三人(匹?)は、昨日よほど疲れていたのか、シズルさんの話が始まる前から一度も起きずに深い睡眠に落ちている。
薄暗い部屋の中でも夜目が効く俺には、三人(匹?)の可愛らしい寝顔が見え、少しホッとし笑みがこぼれる。
昨日の話を聞いてなくて本当に良かった。
そんなことをふと思ってしまう、自分自身に、いつから俺はお父さんみたいになったんだと、ツッコみ、苦笑した。
(ちょっと早いけど、もう起きるかぁ。寝れないし……イライラした時は思い切り魔法をぶっ放して、憂さ晴らししよう。うん、それがいい。)
俺は三人(匹?)を起こさないように隠密スキルを発動しながら静かにベットから這い出て、家を出た。
◆
まずは、場所の確保をする。
魔法の音でせっかく寝ているのに起こしてしまったらかわいそうだ。
そう思い、家の周りをウロウロしてみる。
シズルさん宅のちょうど裏手に伸びる獣道を歩いて行くと、茂みの奥に程よい空き地を見つけた。
森に囲まれ、静寂に包まれたここなら、多少の音の心配はしなくて良さそうだ。
そう思い、さっそく空き地の真ん中に『グローアップ』を唱えて目の前に巨木を成長させる。
今日はヒマワリは咲かなかった。順調だ。
そして俺は、残りの魔力を全て使い、今ある全魔力を掌に持ってきてみた。
身体中の魔力がごっそりと流れ、掌に集中してくる。
もはや身体の中の魔力はない。
だが、まだ発動はしない。
もっと、もっと、もっと溜めて最高威力の火力の魔法を出すために俺は出力を我慢する。
そのくらい今はイライラしている。やるなら一発集中だ。
それに、きっと溜めれば溜めるほど強い魔法が出るに違いない。
そんな謎の確信を持ちながら、俺は溜め続けた。
暫く溜めていると、身体中の魔力は無くなっているはずなのに、また魔力が集まり始めるのを感じた。
(あれ?どこから集まってる??)
俺は、魔力感知スキルを発動して魔力の流れを探してみることにする。
すると原因は、すぐに判明した。
俺は魔法というものは自分の中から体内を通して発動するものだと思っていたのだが……
空気中から俺という台風の目に集まるように渦を巻きながら集まっているではないか。
(え、こんなことって出来るのか?知らなかった……。ってかこれなら無限に集まるんじゃね?え、もっと集めてみてもいいかな??)
ちょっとした興味本位だった。
俺は全神経を掌に集めさらに魔力を集めるようにしてみる。
空気中から魔力はどんどんと集まり、遂に俺が制御できる限界点にまで達した。身体が震えて悲鳴を上げている気がする。
(くっ……限界か…?でもかなりの量の魔力が集まったぞ?まぁもう、やってみるかっ!)
「っしゃぁ……大きなキャンプファイアーになれっ!最高火力でぇぇぇえ『バーーーーン』ッ!!」
俺は先程作った巨木めがけて、『バーン』を発動する。
ーーッシュッッッッッッッドゴォォォッンッッ
発動した瞬間、一瞬朝日が上がったのかと思うほどの強烈な光が辺りを照らす。
そして遅れて、鼓膜が引き裂かれるかと思うほどの大きな音と共に、目の前の森の全てが包まれるような程の爆発と爆風が巻き起こった。
「……ファッ!?」
気づけば、身体中に肌が焼き爛れるような強烈な痛みを感じ、俺は意識を手放したのだった。
◆
その日、ミウリ村の上空には大きな火柱とともに巨大なキノコ雲が立ち登った。
周辺の木々は全て燃え、倒れ、人間以外の全ての生き物はこの世を去った。
そして。
空に舞い上がる巨大なキノコ雲を見た、周辺国のある国では、敵襲だという話と敵国はどこかという話で持ちきりになり、またある国では誰かが、神の怒りを買って、古龍が蘇ってしまったという噂が広まった。
そんな爆風の中心地には、全身が炭のように真っ黒になり小さく浅い息をしている死にかけの男が横たわっていた。
そしてそんな男に近づく、焼き爛れた大地に相応しくないほどの真っ白なローブに包まれた一人の白髪の老人がいた。
窓の外からは、朝を知らせる鳥の鳴き声が聞こえてくる。
まだ日は完全に顔を出していないようだ。空はうっすらと白くなっていて、もうすぐ朝が訪れることを知らせようとしている。
ーーガバッ
「あー、もうっ!寝れないっ!チクショーッ!」
結局、昨日から俺は一睡も出来てなかった。
目を閉じると、シズルさんのあの胸糞悪い、生々しい話が映像として脳裏に流れてくるのだ。
イノサイとの戦いで疲れていたはずなのに一睡も出来ない。
イライラするのも仕方ないよね?
泊めてもらった部屋は、シズルさんの大きな家の二階にある、広いわりにベットが二つしかない、簡素な部屋だった。
俺が一つのベットを使い、もう一つでロロ、ググ、豆シカが眠りについている。
三人(匹?)は、昨日よほど疲れていたのか、シズルさんの話が始まる前から一度も起きずに深い睡眠に落ちている。
薄暗い部屋の中でも夜目が効く俺には、三人(匹?)の可愛らしい寝顔が見え、少しホッとし笑みがこぼれる。
昨日の話を聞いてなくて本当に良かった。
そんなことをふと思ってしまう、自分自身に、いつから俺はお父さんみたいになったんだと、ツッコみ、苦笑した。
(ちょっと早いけど、もう起きるかぁ。寝れないし……イライラした時は思い切り魔法をぶっ放して、憂さ晴らししよう。うん、それがいい。)
俺は三人(匹?)を起こさないように隠密スキルを発動しながら静かにベットから這い出て、家を出た。
◆
まずは、場所の確保をする。
魔法の音でせっかく寝ているのに起こしてしまったらかわいそうだ。
そう思い、家の周りをウロウロしてみる。
シズルさん宅のちょうど裏手に伸びる獣道を歩いて行くと、茂みの奥に程よい空き地を見つけた。
森に囲まれ、静寂に包まれたここなら、多少の音の心配はしなくて良さそうだ。
そう思い、さっそく空き地の真ん中に『グローアップ』を唱えて目の前に巨木を成長させる。
今日はヒマワリは咲かなかった。順調だ。
そして俺は、残りの魔力を全て使い、今ある全魔力を掌に持ってきてみた。
身体中の魔力がごっそりと流れ、掌に集中してくる。
もはや身体の中の魔力はない。
だが、まだ発動はしない。
もっと、もっと、もっと溜めて最高威力の火力の魔法を出すために俺は出力を我慢する。
そのくらい今はイライラしている。やるなら一発集中だ。
それに、きっと溜めれば溜めるほど強い魔法が出るに違いない。
そんな謎の確信を持ちながら、俺は溜め続けた。
暫く溜めていると、身体中の魔力は無くなっているはずなのに、また魔力が集まり始めるのを感じた。
(あれ?どこから集まってる??)
俺は、魔力感知スキルを発動して魔力の流れを探してみることにする。
すると原因は、すぐに判明した。
俺は魔法というものは自分の中から体内を通して発動するものだと思っていたのだが……
空気中から俺という台風の目に集まるように渦を巻きながら集まっているではないか。
(え、こんなことって出来るのか?知らなかった……。ってかこれなら無限に集まるんじゃね?え、もっと集めてみてもいいかな??)
ちょっとした興味本位だった。
俺は全神経を掌に集めさらに魔力を集めるようにしてみる。
空気中から魔力はどんどんと集まり、遂に俺が制御できる限界点にまで達した。身体が震えて悲鳴を上げている気がする。
(くっ……限界か…?でもかなりの量の魔力が集まったぞ?まぁもう、やってみるかっ!)
「っしゃぁ……大きなキャンプファイアーになれっ!最高火力でぇぇぇえ『バーーーーン』ッ!!」
俺は先程作った巨木めがけて、『バーン』を発動する。
ーーッシュッッッッッッッドゴォォォッンッッ
発動した瞬間、一瞬朝日が上がったのかと思うほどの強烈な光が辺りを照らす。
そして遅れて、鼓膜が引き裂かれるかと思うほどの大きな音と共に、目の前の森の全てが包まれるような程の爆発と爆風が巻き起こった。
「……ファッ!?」
気づけば、身体中に肌が焼き爛れるような強烈な痛みを感じ、俺は意識を手放したのだった。
◆
その日、ミウリ村の上空には大きな火柱とともに巨大なキノコ雲が立ち登った。
周辺の木々は全て燃え、倒れ、人間以外の全ての生き物はこの世を去った。
そして。
空に舞い上がる巨大なキノコ雲を見た、周辺国のある国では、敵襲だという話と敵国はどこかという話で持ちきりになり、またある国では誰かが、神の怒りを買って、古龍が蘇ってしまったという噂が広まった。
そんな爆風の中心地には、全身が炭のように真っ黒になり小さく浅い息をしている死にかけの男が横たわっていた。
そしてそんな男に近づく、焼き爛れた大地に相応しくないほどの真っ白なローブに包まれた一人の白髪の老人がいた。
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