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2話 第二の人生のはじまりはじまり
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ーー分配の完了を確認。転移陣発動。新世界での生活をスタートします。
俺が終わってからどのくらい経ったのだろうか、みんなかなり長い時間"分配"作業を行なっていた。
そして、最後のサラリーマンの、よしっ、という声と共に、アナウンスが流れたのだった。
真っ暗闇の中、遠くの方に一筋の光が見えた。
そして、その光は、徐々に大きくなり最終的に俺らを包み込んだ。
先程まで暗闇にいたからなのか、眩しさで目が開けられない。
目を閉じ、手をかざす。
それから暫く経ったのち、急に背後から歓声が聞こえた。
「おぉぉぉ~、これはこれは、勇者様。この度は私共の召喚に答えてくださり、心より感謝申し上げます。」
まだ目は開けられないが、これはテンプレートというやつなのか。
多分、俺たちは、王宮かどこかに召喚されて、王様や貴族達に囲まれこれから魔王戦に向けて共に戦え等と、言われるのだろうか。
目をゆっくり開けて徐々に辺りを見渡す。
石造りの壁、壁掛け松明、簡易トイレ、壁に掛けられた手錠……ん??なんか、おかしい。
これは勇者ではなく……犯罪者……に近い様な……
俺は、おもむろに声がした背後に目をやった。
すると、目の前には大きな鉄格子。
そして、その奥でデブで頭に王冠を被った、如何にも王様ですといった様なおっさんが立っていた。
その背後には煌びやかに輝くマントに身を包んだ、これまたおっさん達が十数人、こちらを見ていた。
「これはこれは、勇者様。ご機嫌麗しゅう。この様な監獄に招いてしまい、大変申し訳ございません。実は……」
その後、王様の様なデブおっさんの話を聞いたのだが、長ったらしかったので、省略する。
まとめるとこんな話だった。
---------------
昔の昔、魔王が復活し、4人の勇者を召喚したらしい。
その時は、城の大広間で召喚したらしいが、勇者4人のうち、3人からどうしても元の世界に帰りたい、それに殺し合いもしたことないからという理由で、断りを受けた。
しかし、勇者召喚をした側からすれば、多くの対価を支払い、勇者召喚をしているため、魔王討伐までは城にいてくれとお願いをした。
口論の末、勇者側と、召喚した側で対立。力と数で押さえつけようとした召喚側に対し、心の優しい勇者達も渋々、剣を抜いたそうだ。
結局その争いは、城を壊し、街を破壊した。
勇者達は召喚されたばかりというのに、凄まじい強さで、この世界のそれなりの手練れ達では手に負えなかったとのこと。
その頃から、勇者達の目には光が消え、怯える街の人々をも殺し、蹂躙しつくしていった。その姿はまるで悪魔そのものだったという。
そこで、この世界の人々は、ハンターズギルドから世界最強のメンバーを集結させ、勇者討伐を掲げた。
争いは激化するかと思いきや、ハンター達の活躍により3年後に鎮火。
元勇者達は、急に正気に戻ったかと思えば、今までの愚行に泣き叫びながら、森へと消えていったという。
----------------
そして、王は更に続けた。
「急に知らない土地に勝手に呼び、そしてこちらに都合の良い事を勇者様達に伝え、且つ武力で制圧しよう等という事をやってしまったこちら側が非常に悪いと思っております。しかし、この世界は今滅亡の危機に迫られているのです。だからこそ再度勇者召喚を行わせて頂きました。皆様に元の世界での生活があった事は重々承知しております。ただ、我々の為に、今一度少しだけでもお力をお貸し下さらないでしょうか。」
「ラ、ラクト王っ。例え、相手が勇者様であっても頭を下げるのはやめて下され。王の威厳に関わります。」
「いや、威厳など、あっても無くても世界が無くなれば全て同じ。頭を下げずに世界が滅亡するのであれば、下げて世界が滅亡した方が、まだ心は救われる。儂は頭を下がるのはやめんぞ。」
「はっ……過ぎたお言葉でした。申し訳ございません。私に処罰を。」
「いや、いいんだ。マラトン公爵。儂の為を思ったその言葉、有難く思うぞ。」
「そんな……ラクト王……私には過ぎたお言葉。有難く存じます。」
そんなやりとりを目の前で見せられ、どこか、胡散臭いというか演技じみているやり取りに、俺たちは苦笑いしか出来なかった。
「それで?俺たちは、なんでこんな監獄に入れられてるんだ?別に暴れないから出してくれよ。」
暫くの沈黙の後、突然、隣にいた青毛の青年が喋りはじめた。
一瞬誰かと思ったけど、多分元サラリーマンだ。めちゃくちゃイケメンに生まれ変わってるじゃん。羨ましい。
ってかやっぱり年長者だ、頼りになる。
「それが……一晩、ここに居て下さらないでしょうか。過去の件もあり、召喚に反対派もまだまだたくさん居りまして、その説得が出来てから、出させて頂く事になります。狭苦しいとは思いますが、一晩で必ずカタをつけますので、何卒ご理解をお願い致します。」
と、今度は王様ではなくマラトン公爵と呼ばれていた人が答えた。
「だってよ。はぁ、、、会社に行ってやらなきゃいけない事も沢山あるのに……まぁ仕方ないか。」
「ご理解頂き、有難く存じます。必ず明日、出させて頂きますので。それでは。」
その一言だけを残すと、王様と、その背後にいた貴族風の人たちは、去っていった。
俺が終わってからどのくらい経ったのだろうか、みんなかなり長い時間"分配"作業を行なっていた。
そして、最後のサラリーマンの、よしっ、という声と共に、アナウンスが流れたのだった。
真っ暗闇の中、遠くの方に一筋の光が見えた。
そして、その光は、徐々に大きくなり最終的に俺らを包み込んだ。
先程まで暗闇にいたからなのか、眩しさで目が開けられない。
目を閉じ、手をかざす。
それから暫く経ったのち、急に背後から歓声が聞こえた。
「おぉぉぉ~、これはこれは、勇者様。この度は私共の召喚に答えてくださり、心より感謝申し上げます。」
まだ目は開けられないが、これはテンプレートというやつなのか。
多分、俺たちは、王宮かどこかに召喚されて、王様や貴族達に囲まれこれから魔王戦に向けて共に戦え等と、言われるのだろうか。
目をゆっくり開けて徐々に辺りを見渡す。
石造りの壁、壁掛け松明、簡易トイレ、壁に掛けられた手錠……ん??なんか、おかしい。
これは勇者ではなく……犯罪者……に近い様な……
俺は、おもむろに声がした背後に目をやった。
すると、目の前には大きな鉄格子。
そして、その奥でデブで頭に王冠を被った、如何にも王様ですといった様なおっさんが立っていた。
その背後には煌びやかに輝くマントに身を包んだ、これまたおっさん達が十数人、こちらを見ていた。
「これはこれは、勇者様。ご機嫌麗しゅう。この様な監獄に招いてしまい、大変申し訳ございません。実は……」
その後、王様の様なデブおっさんの話を聞いたのだが、長ったらしかったので、省略する。
まとめるとこんな話だった。
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昔の昔、魔王が復活し、4人の勇者を召喚したらしい。
その時は、城の大広間で召喚したらしいが、勇者4人のうち、3人からどうしても元の世界に帰りたい、それに殺し合いもしたことないからという理由で、断りを受けた。
しかし、勇者召喚をした側からすれば、多くの対価を支払い、勇者召喚をしているため、魔王討伐までは城にいてくれとお願いをした。
口論の末、勇者側と、召喚した側で対立。力と数で押さえつけようとした召喚側に対し、心の優しい勇者達も渋々、剣を抜いたそうだ。
結局その争いは、城を壊し、街を破壊した。
勇者達は召喚されたばかりというのに、凄まじい強さで、この世界のそれなりの手練れ達では手に負えなかったとのこと。
その頃から、勇者達の目には光が消え、怯える街の人々をも殺し、蹂躙しつくしていった。その姿はまるで悪魔そのものだったという。
そこで、この世界の人々は、ハンターズギルドから世界最強のメンバーを集結させ、勇者討伐を掲げた。
争いは激化するかと思いきや、ハンター達の活躍により3年後に鎮火。
元勇者達は、急に正気に戻ったかと思えば、今までの愚行に泣き叫びながら、森へと消えていったという。
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そして、王は更に続けた。
「急に知らない土地に勝手に呼び、そしてこちらに都合の良い事を勇者様達に伝え、且つ武力で制圧しよう等という事をやってしまったこちら側が非常に悪いと思っております。しかし、この世界は今滅亡の危機に迫られているのです。だからこそ再度勇者召喚を行わせて頂きました。皆様に元の世界での生活があった事は重々承知しております。ただ、我々の為に、今一度少しだけでもお力をお貸し下さらないでしょうか。」
「ラ、ラクト王っ。例え、相手が勇者様であっても頭を下げるのはやめて下され。王の威厳に関わります。」
「いや、威厳など、あっても無くても世界が無くなれば全て同じ。頭を下げずに世界が滅亡するのであれば、下げて世界が滅亡した方が、まだ心は救われる。儂は頭を下がるのはやめんぞ。」
「はっ……過ぎたお言葉でした。申し訳ございません。私に処罰を。」
「いや、いいんだ。マラトン公爵。儂の為を思ったその言葉、有難く思うぞ。」
「そんな……ラクト王……私には過ぎたお言葉。有難く存じます。」
そんなやりとりを目の前で見せられ、どこか、胡散臭いというか演技じみているやり取りに、俺たちは苦笑いしか出来なかった。
「それで?俺たちは、なんでこんな監獄に入れられてるんだ?別に暴れないから出してくれよ。」
暫くの沈黙の後、突然、隣にいた青毛の青年が喋りはじめた。
一瞬誰かと思ったけど、多分元サラリーマンだ。めちゃくちゃイケメンに生まれ変わってるじゃん。羨ましい。
ってかやっぱり年長者だ、頼りになる。
「それが……一晩、ここに居て下さらないでしょうか。過去の件もあり、召喚に反対派もまだまだたくさん居りまして、その説得が出来てから、出させて頂く事になります。狭苦しいとは思いますが、一晩で必ずカタをつけますので、何卒ご理解をお願い致します。」
と、今度は王様ではなくマラトン公爵と呼ばれていた人が答えた。
「だってよ。はぁ、、、会社に行ってやらなきゃいけない事も沢山あるのに……まぁ仕方ないか。」
「ご理解頂き、有難く存じます。必ず明日、出させて頂きますので。それでは。」
その一言だけを残すと、王様と、その背後にいた貴族風の人たちは、去っていった。
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