異世界来たんだから気ままに過ごしたっていいんじゃない?

華町はる

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4話 王の決定

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 「うぅぅーん……さぶっ。」

 監獄の上部にある鉄柵の窓から、日の光が入り始めた頃俺は目を覚ました。
 朝6:30に目が覚めるのは、いつもの日課だった為、多分6:30頃なのだろう。

 「あれ、ここは……?あ、そうか、異世界に転生したんだった。」

 虐められる恐怖はもうない。
 そう思うと、まだ眠っている3人の寝息が、どこか心地よいハーモニーを奏でているように聞こえる。

 「お、そういえば、トイレ、トイレっと。」

 監獄内には、洋式トイレがポツンと一つ置いてある。

 俺は洋式トイレの場合、座って尿をするタイプの人間だ。だからいつものごとく、ズボンを下ろして座ろうとするが、壁が無い事に気がついた。

 (ど、どうしよう。まぁでもまだ寝てるし、気付かないよな?ってか、この緊張感、なんか興奮するな。)

 童貞の俺には少し刺激が強かったようだ。俺の息子は、朝の影響もあり、直立不動の姿勢を保っている。

 そんな状態ではあったが、今しか出来ないと思い、ズボンを下ろし、トイレに座った。

 直立不動の姿勢を保ったままの息子をなんとか便器内に押し込み、尿を開始する。

 少し不安はあったが、皆が起きる前に尿を終える事が出来た。

 しばらく待っていると、ユーミさんが起床した。

 辺りを見回して現実を思い出したのか、ため息を吐いていた。
 そして、また同じ様にトイレに向かい、ハッとして俺の方を見た。

 俺も、気付かないままパンツを下ろすのでは無いかと少しの期待を抱いていた為、目が合ってしまった。

 「も~最悪ッ!なんなのここ。こんなところでトイレなんてしたくないっ!ってかケータ!あんたなんでこっち向いてるのよ!あっち向いてて!ほら!見たら絶対殺すからねっ!」

 俺は仕方なく壁側に目を向けた。でもこんなやり取りもなんだか今の俺にとっては嬉しい。

 「絶対見ないでよっ!本当にっ!」

ーージャァァァ

 音は聞こえてしまう。そんな音だけでも、童貞の俺には……まぁそんなことは、もういいか。

 しばらくして、アンリさん、そして最後にツヨシさんが起床し、同じ様な事を繰り返した。

 一つだけ言えるのは、俺はツヨシさんのツヨシさんを見てしまったのだが、ツヨシさんのツヨシさんは、とてもツヨシだった。

 ちなみに、ユーミさんの魔法で、"クリーン"って魔法があって、それで皆、綺麗にしてもらった。
 
 その後は、くだらない話をして過ごした。みんな、俺のステータスの事は特に気にもせず、普通に接してくれていた。今までの人生の中で一番楽しかったと思う。


◆◇王様side

 場所は変わり、城の大広間に、ラクト王とマラトン公爵を始めとする貴族達が集結していた。

 目の前には大きなモニターが設置されており、そのモニターには、ケータ達が談笑している姿が映し出されていた。

 そして、モニターの隅には、みんなのステータスが表示されていた。
 実は、監獄には仕掛けがしており、監獄内にいる者のステータスを把握出来るようにしているのだ。

 「して、マラトンよ。このツヨシという勇者と、ユーミという大神官はどれ程強いのだ?」

 「はっ。歴代最高の出来と言えるでしょう。そして、この環境順応能力。しっかりと取り込むことができれば、暴走の恐れは少ないかと。また、アンリという少女も、育て上げれば魔王軍幹部達と張り合える程には、なるかと。ただ、ケータという者は……」

 「失礼ですが、ラクト王。口を挟む事をお許し下さい。我々、反対派の中には、未だに勇者召喚そのものもを良しとしない者達もおります。なぜ、我々には、相談もなく、勇者召喚など……また、もし暴走の可能性が1%でもあるのであれば、我々は勇者達に協力を仰ぐなど、賛成致しません。一刻も早く、帰還の方法を調べ、勇者様方には元の世界に戻ってもらうべきでは……」

 「ならんっ!ならんぞ、アーサー公爵。それに、帰還の方法を調べるのは魔王討伐と同時進行でも問題ないだろう。国のためを思えば、今は勇者様のお力を借りるのが得策。いつからそんなに弱腰になったのだ。」

 「いえ、弱腰に等なっておりません。ただ、国の為を思うのであれば、この世界の人々で、協力して魔王討伐をした方が勇者様達が帰還された後もこの国が長く繁栄する為には、良いのではないかと。」

 「もう良い、アーサー。これは決定事項だ。誰が何と言おうとこの件は進めていく。マラトン、ケータというゴミクズ以外はしっかりと管理しておけ!ケータの対処はマラトンに一任する。以上だっ!」
 
 こうして、反対派率いるアーサー公爵と賛成派率いるマラトン公爵の戦いは、ラクト王を味方につけたマラトン公爵の方に軍パイが上がり、静かに終わったのだった。


 それを知らないケータ達は、未だに笑い合い談笑する姿がモニターに映し出され続けていた。

 そんな光景を見て、アーサーは、静かに俯くのであった。

◆◇

 さて、ケータ達はというと、談笑も落ち着いたころ、お腹が空いてグッタリとしていた。

 思えば、転生される前の朝ごはん以降何も食べていなかったのだ。

 「お腹すいたよぉ~。ママのご飯が食べたーいよぉ~。」

 泣いているのは、ヒステリック少女のユーミさんだ。相変わらずうるさい。

 「まぁ、もうちょっとで迎えが来るんじゃないか??もう少し我慢しようぜ。お、ほら丁度きたぜ。」

 ツヨシさんの言葉通り、通路を歩く音が近づいてくる。

 その足音は、俺たちの前まで来ると、立ち止まった。

 マラトン公爵と呼ばれていた人と、兵士2人だった。

 「皆様、大変長らくお待たせ致しました。この様な場所で待たせてしまい、大変申し訳ございませんでした。そろそろお腹も減った頃でしょう。最高級のお料理を作ってご用意しておりますので、どうぞご堪能下さいませ。」

 こうして俺ら4人は、監獄から無事連れ出され、赤い絨毯が敷かれ、天井には綺麗な絵の数々、均一に甲冑を着た兵士の置物があるような、長い廊下を歩き、何度も廊下を曲がり、歩き続けた。

 それは、まさに中世ヨーロッパの博物館に来た様な、素晴らしいお城だった。

 それから数分後、大きなテーブルに、見たこともないくらいの量の料理が並べられた部屋に到着し、席に座らされた。

 鮮やかに彩られた料理の数々は、それは見事なものだった。味も最高で、俺達はしばらく無言で食べ続け、あっという間にテーブル上にあった料理の数々は姿を消したのだった。

 「ご満足頂けましたでしょうか。」

 俺らが食べ終わったのと同時にマラトン公爵が姿を現し、笑顔で俺らに問いかけた。

 「はい、めちゃくちゃ美味かった。なぁ、ケータ。」

 「はい、今まで食べたことの無い程の料理で大満足でした!」

 「本当に美味しかったなぁ。体が若いって素敵ね。いくらでも食べれちゃう。」

 「本当に美味しかったです。私も食べ過ぎちゃいました!」

 「それは。それは。満足して頂けたようで、用意をした私どもとしても非常に嬉しいです。有難うございます。それでは、各個人でお部屋をご用意しておりますので、移動しましょうか。」

 俺達は、お腹を抑えながら、部屋に移動を開始し、すぐに部屋へと到着した。

 部屋も非常に豪華で、ワンルームであったが、見たこともないくらい大きな部屋だった。

 それが1人一部屋なんて、異世界に来てよかった。
 この時の俺はまだ、そんな呑気な事を考えていたのだった。

 「明日からは、早速1人ずつ違うカリキュラムをご用意しております。もちろん魔王討伐などは、各個人にお任せ致します。ただ、異世界の知識を学んで頂きたいだけなのでそんなに構えなくても大丈夫ですよ。部屋内に、明日からのカリキュラムが書いてある冊子がありますので、明日までに読んでおいてください。それでは、これで私は失礼いたします。本日は柔らかいベットでお休みください。」


 こうして俺らは、疲れと満腹感で眠気が最高潮に来てしまい、すぐに部屋へと入って行った。
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