嘘をついた平凡、片想いの幼馴染の恋愛相談に乗る

あと

文字の大きさ
3 / 7

3

しおりを挟む
「……色々ありがとう。じゃあ直、恋人の好きなところは?」

「え?」

「出会いは?今ハマってるものは?」

……なぜ俺に聞く?いや、こいつのことだ。恐らく練習だろう。いいぜ!乗ってやる。

「そうだなぁ、みんなに気配りできるところかな?本当に優しいんだぞ!出会いは…授業が被った!あとは今ハマってるもの?映画館の爆音で映画見ること!」

即答した。こいつは歴代彼女全員後腐れなく終わってるし、生徒会長押し付けられても嫌な顔ひとつしなかった。根本的には優しいんだと思う。出会いに関しては、テキトーだ。まあ幼稚園の組が同じなのも授業被ったのも同じようなもんだろ!今ハマってるものに関してはなぜ今聞く必要があるのか…。

「へぇ、そうなんだ?そういえば彼女さんはいいの?土曜の夜に男なんかと出かけて、怒ってない?」

「え、怒るわけないじゃん。執着しない人だし。」

……いや待てよ?昨日まで俺が持っていたセフレ大量保持蒼弥概念で話してしまったが、こいつ意外とそういう相手いないのかもしれない。ダメだ…蒼弥の女関係に関しては、胸が締め付けられるせいでノータッチだったから、詳しいことは何もわからない…!

「お前もそうだろ?」

俺は小首を傾げて聞く。

「……俺は、無理、かな。土日は遊びたいし、できる限り俺を優先して欲しい。毎日会いたいし、なんなら同棲して俺が養いたい。合コンとかノリで行ってたら、……外に出したくなくなるかも…」

蒼弥は下を向いて呟いた。

――お、おもっ。
こいつ、意外と本命には重いのか!?意外なギャップを感じた。やばい、俺の脳内彼氏と齟齬が発生してしまった…。だが、この設定で乗り切るしかない!

「へ、へぇ」

「直の恋人は、えらく余裕なんだな」

ぎこちなく返す俺に、蒼弥はちらりと俺を見てからビールをあおる。

「余裕というか、俺にそこまで興味ないというか…,」

ダメだ、これヤバい。めちゃくちゃダメ恋人像になってきた……。誰か助けてくれ。マニュアルくれマニュアル。

「へぇ。ラブラブじゃないのか?」

蒼弥が聞いてくる。

「いや、仲はいいし、ラブラブだけど、前より距離あるというか…」

やばい――完全に俺と蒼弥の関係じゃん。
どうしよう。バレてないよな…?恋人=蒼弥って。

「……ふぅん」

なんだ、そのちょっと嬉しそうな顔は!?人の不幸を喜ぶタイプじゃないから、気のせいか?

「そういえば、好きなタイプで昔、『経験豊富な人』って言ってたから、恋人は経験豊富な人なのか?」

蒼弥がふいと訊いてきた。

「…言ったっけ?」

覚えてない。まあ俺は経験ないから、豊富な人の方がいいかもって言っただけだよな。

ダン!

「はあ!?言っただろ!」

机をすごい勢いで叩く。そんなに怒らなくてもいいだろ。

「ごめん、覚えてないや。うーん、正直嫉妬しちゃうから、あんまし豊富すぎるのも嫌かも。まあでも本当に好きだから、あんまり気にしないよ」 

俺は正直にそう答えた。蒼弥に対する、率直な意見だった。

「……ふっざけんなよ…俺は今まで…」

拗ねた子どものような声が漏れる。どうしたものかと困っていると、酔いが回ったのか、俺の口が勝手に動き出した。

「とりあえず!今以上にグイグイいけ!!そして、家にレッツゴーして合意からの既成事実だ!お前の顔をフル活用しろ!!落とせない奴などいない!!」

酒が回ったせいで声がでかくなり、周りの客がちらちら見ている。
でももう止まらない。

蒼弥は一度肩をすくめた後、小さく息を吐いてから頷いた。

「……わかった、」

その声は、少しだけ震えていた。近くで見ると、瞳が真剣に光っている。

蒼弥は軽く顔を寄せて、俺を覗き込み——

「なあ直、」

顔を俺に近づけてきて

「来週の日曜、映画見に行こ」

――なぜ、俺に誘いが飛んでくるんだ
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

幼馴染がいじめるのは俺だ!

むすめっすめ
BL
幼馴染が俺の事いじめてたのは、好きな子いじめちゃうやつだと思ってたのに... 「好きな奴に言われたんだ...幼馴染いじめるのとかガキみてーだって...」 「はっ...ぁ??」 好きな奴って俺じゃないの___!? ただのいじめっ子×勘違いいじめられっ子 ーーーーーー 主人公 いじめられっ子 小鳥遊洸人 タカナシ ヒロト 小学生の頃から幼馴染の神宮寺 千透星にいじめられている。 姉の助言(?)から千透星が自分のこといじめるのは小学生特有の“好きな子いじめちゃうヤツ“だと思い込むようになり、そんな千透星を、可愛いじゃん...?と思っていた。 高校で初めて千透星に好きな人が出来たことを知ったことから、 脳破壊。 千透星への恋心を自覚する。 幼馴染 いじめっ子 神宮寺 千透星 ジングウジ チトセ 小学生の頃から幼馴染の小鳥遊 洸人をいじめている。 美形であり、陰キャの洸人とは違い周りに人が集まりやすい。(洸人は千透星がわざと自分の周りに集まらないように牽制していると勘違いしている) 転校生の須藤千尋が初恋である

消えることのない残像

万里
BL
最愛の兄・大貴の結婚式。高校生の志貴は、兄への想いが「家族愛」ではなく「恋」であったと、失恋と同時に自覚する。血の繋がりという境界線、そして「弟」という役割に縛られ、志貴は想いを封印して祝福の仮面を被る。 しかし数年後、大貴の息子が成長し、かつての兄と瓜二つの姿となったとき、止まっていた志貴の時間は歪な形で動き出す。 志貴(しき):兄・大貴に長年片思いしているが、告げることなく距離を置いていた。 大貴(だいき):志貴の兄。10歳年上。既婚者で律樹の父。無自覚に人を惹きつける性格。志貴の想いには気づいていない。 律樹(りつき):大貴の息子。明るく素直だが、志貴に対して複雑な感情を抱く。

バイト先に元カレがいるんだが、どうすりゃいい?

cheeery
BL
サークルに一人暮らしと、完璧なキャンパスライフが始まった俺……広瀬 陽(ひろせ あき) ひとつ問題があるとすれば金欠であるということだけ。 「そうだ、バイトをしよう!」 一人暮らしをしている近くのカフェでバイトをすることが決まり、初めてのバイトの日。 教育係として現れたのは……なんと高二の冬に俺を振った元カレ、三上 隼人(みかみ はやと)だった! なんで元カレがここにいるんだよ! 俺の気持ちを弄んでフッた最低な元カレだったのに……。 「あんまり隙見せない方がいいよ。遠慮なくつけこむから」 「ねぇ、今どっちにドキドキしてる?」 なんか、俺……ずっと心臓が落ち着かねぇ! もう一度期待したら、また傷つく? あの時、俺たちが別れた本当の理由は──? 「そろそろ我慢の限界かも」

楽な片恋

藍川 東
BL
 蓮見早良(はすみ さわら)は恋をしていた。  ひとつ下の幼馴染、片桐優一朗(かたぎり ゆういちろう)に。  それは一方的で、実ることを望んでいないがゆえに、『楽な片恋』のはずだった……  早良と優一朗は、母親同士が親友ということもあり、幼馴染として育った。  ひとつ年上ということは、高校生までならばアドバンテージになる。  平々凡々な自分でも、年上の幼馴染、ということですべてに優秀な優一朗に対して兄貴ぶった優しさで接することができる。  高校三年生になった早良は、今年が最後になる『年上の幼馴染』としての立ち位置をかみしめて、その後は手の届かない存在になるであろう優一朗を、遠くから片恋していくつもりだった。  優一朗のひとことさえなければ…………

人並みに嫉妬くらいします

米奏よぞら
BL
流されやすい攻め×激重受け 高校時代に学校一のモテ男から告白されて付き合ったはいいものの、交際四年目に彼の束縛の強さに我慢の限界がきてしまった主人公のお話です。

既読無視の年下幼馴染みの部屋に行ったら、アイドルグッズだらけだった。しかも推しは俺

スノウマン(ユッキー)
BL
国民的アイドルの朝比奈 春人(あさひな はると)はいつもラインを既読無視する年下の幼馴染、三上 直(みかみ なお)の部屋をとある理由で訪れる。すると部屋の中はアイドルのグッズだらけだった、しかも全部春人の。 『幼馴染の弟ポジジョン×国民的アイドルのお兄さん』になる前のドタバタコメディです。

嘘をついたのは……

hamapito
BL
――これから俺は、人生最大の嘘をつく。 幼馴染の浩輔に彼女ができたと知り、ショックを受ける悠太。 それでも想いを隠したまま、幼馴染として接する。 そんな悠太に浩輔はある「お願い」を言ってきて……。 誰がどんな嘘をついているのか。 嘘の先にあるものとはーー?

何でもできる幼馴染への告白を邪魔してみたら

たけむら
BL
何でもできる幼馴染への告白を邪魔してみたら 何でも出来る美形男子高校生(17)×ちょっと詰めが甘い平凡な男子高校生(17)が、とある生徒からの告白をきっかけに大きく関係が変わる話。 特に秀でたところがない花岡李久は、何でもできる幼馴染、月野秋斗に嫉妬して、日々何とか距離を取ろうと奮闘していた。それにも関わらず、その幼馴染に恋人はいるのか、と李久に聞いてくる人が後を絶たない。魔が差した李久は、ある日嘘をついてしまう。それがどんな結果になるのか、あまり考えもしないで… *別タイトルでpixivに掲載していた作品をこちらでも公開いたしました。

処理中です...