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閑話、狂気2(オブライド殿下視点)
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見つからない。
まさか自分を見るたびにビクビクしていたおもちゃが逃げ出すとは思わなかった。
折角、自分好みに調教して、檻から逃げ出さないようにしようと思ったのに、まさか王宮に来たその日にいなくなるとは思わなかった。
有無を言わさず王宮に連れてくれば、こわばった顔で自分を拒否した。急ぐこともないと思って、その日は大人しく引き下がった。
翌朝部屋へ行って見れば、返事も返ってこなかった。震えながら泣いて立てこもっているのかと思えば、興奮した。簡単に部屋に入れないようにわざわざご丁寧にバリケードまで作っていたのだから、もう楽しくて仕方なかった。
部屋に押し入って入ってみれば、ベッドの膨らみを発見し女性らしい微々たる抵抗を少し残念にも思いつつも、その中にある恐怖に染まった表情はどんなものかと想像すれば笑ってしまった。
ゾクゾクしながら布団をひっぱればそこにいたのはただのクッションの山。部屋に彼女の姿はどこにもなかった。
バルコニーにシーツを割いて作られたロープらしき紐が風に虚しく揺れているのを見つけた。
震えていた割には行動が素早く驚いてしまった。
悔しく思ったものの、僕の想像を上をいく彼女の行動に『あぁ、楽しい』と思ったのだ。
ふつふつと何が湧き起こる。
単調だった景色に彩りを添えてくれる。
鬼ごっこか。
逃げる彼女を捕まえよう。
捕まえて、次はあの細い足首に鎖をつけてみよう。
それでもまた逃げるだろうか?
そうなれば今度は手に鎖?いや、首輪をして、自分とつないでみよう。
どんな表情を、どんな行動を起こしてくれるだろうか。
楽しみだ。
楽しみでしかならない。
その時は彼女はすぐに見つかると思っていた。彼女が捕まった後のことを楽しみに考えていた。
女性の足ではそれほど遠くに行くわけはないと踏んでいたのに、彼女は一向に見つからなかった。
何故だ!!
誰かが匿っているのか?
いや、彼女を匿うものなど誰一人いない。
自分が、煩わしい者たちと切り離したのだから。イザベラも学園を休学したのだ。
どこへ?
あそこか?
彼女が唯一助けを求めるとすれば、あそこしかない。
彼女のいた孤児院へ急いでいった。
片田舎の古びた孤児院。
そこには誰もいなかった。
先ほどまでいただろう生活感を残したまま神隠しにでもあったかのような静けさだけがある。
兵に聞き込みをさせれば、数日前に突如誰もいなくなったというものだった。
誰も気づかなかったのだと。
全くわからない。
なにが起こった?
だから懸賞金をかけた。
金に物くらんだ者たちがすぐに見つけると・・・。
でも見つからなかった。
まともな情報は出て来なかった。
金欲しさにありもしない話ばからがやっくる。
そんな物は片っ端から牢に入れ、鬱憤の憂さ晴らしにしてやった。
あれは俺のおもちゃだ。
誰にも渡さない。
俺だけのものだ。
探せ。探し出せ。
なんとしてもいいから、あいつを探して連れてこい!
「殿下。大丈夫ですか?」
ラックとカインが心配そうにみてくる。
「大丈夫だ!!」
イライラしながら返事を返す。
うるさい。うるさい。黙れ。
心配するなら探してこいよ。
見つからない。
見つからない。
僕のおもちゃだ。
僕にあんな顔を見せてくれるのは彼女だけ。
僕を見てくれる、あいつがいで欲しいっ!
彼女に逢いたい・・・。
だから、連れてきて。
ねぇ、お願いだから僕を見て・・・。
まさか自分を見るたびにビクビクしていたおもちゃが逃げ出すとは思わなかった。
折角、自分好みに調教して、檻から逃げ出さないようにしようと思ったのに、まさか王宮に来たその日にいなくなるとは思わなかった。
有無を言わさず王宮に連れてくれば、こわばった顔で自分を拒否した。急ぐこともないと思って、その日は大人しく引き下がった。
翌朝部屋へ行って見れば、返事も返ってこなかった。震えながら泣いて立てこもっているのかと思えば、興奮した。簡単に部屋に入れないようにわざわざご丁寧にバリケードまで作っていたのだから、もう楽しくて仕方なかった。
部屋に押し入って入ってみれば、ベッドの膨らみを発見し女性らしい微々たる抵抗を少し残念にも思いつつも、その中にある恐怖に染まった表情はどんなものかと想像すれば笑ってしまった。
ゾクゾクしながら布団をひっぱればそこにいたのはただのクッションの山。部屋に彼女の姿はどこにもなかった。
バルコニーにシーツを割いて作られたロープらしき紐が風に虚しく揺れているのを見つけた。
震えていた割には行動が素早く驚いてしまった。
悔しく思ったものの、僕の想像を上をいく彼女の行動に『あぁ、楽しい』と思ったのだ。
ふつふつと何が湧き起こる。
単調だった景色に彩りを添えてくれる。
鬼ごっこか。
逃げる彼女を捕まえよう。
捕まえて、次はあの細い足首に鎖をつけてみよう。
それでもまた逃げるだろうか?
そうなれば今度は手に鎖?いや、首輪をして、自分とつないでみよう。
どんな表情を、どんな行動を起こしてくれるだろうか。
楽しみだ。
楽しみでしかならない。
その時は彼女はすぐに見つかると思っていた。彼女が捕まった後のことを楽しみに考えていた。
女性の足ではそれほど遠くに行くわけはないと踏んでいたのに、彼女は一向に見つからなかった。
何故だ!!
誰かが匿っているのか?
いや、彼女を匿うものなど誰一人いない。
自分が、煩わしい者たちと切り離したのだから。イザベラも学園を休学したのだ。
どこへ?
あそこか?
彼女が唯一助けを求めるとすれば、あそこしかない。
彼女のいた孤児院へ急いでいった。
片田舎の古びた孤児院。
そこには誰もいなかった。
先ほどまでいただろう生活感を残したまま神隠しにでもあったかのような静けさだけがある。
兵に聞き込みをさせれば、数日前に突如誰もいなくなったというものだった。
誰も気づかなかったのだと。
全くわからない。
なにが起こった?
だから懸賞金をかけた。
金に物くらんだ者たちがすぐに見つけると・・・。
でも見つからなかった。
まともな情報は出て来なかった。
金欲しさにありもしない話ばからがやっくる。
そんな物は片っ端から牢に入れ、鬱憤の憂さ晴らしにしてやった。
あれは俺のおもちゃだ。
誰にも渡さない。
俺だけのものだ。
探せ。探し出せ。
なんとしてもいいから、あいつを探して連れてこい!
「殿下。大丈夫ですか?」
ラックとカインが心配そうにみてくる。
「大丈夫だ!!」
イライラしながら返事を返す。
うるさい。うるさい。黙れ。
心配するなら探してこいよ。
見つからない。
見つからない。
僕のおもちゃだ。
僕にあんな顔を見せてくれるのは彼女だけ。
僕を見てくれる、あいつがいで欲しいっ!
彼女に逢いたい・・・。
だから、連れてきて。
ねぇ、お願いだから僕を見て・・・。
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