【完結】わたしの大事な従姉妹を泣かしたのですから、覚悟してくださいませ

彩華(あやはな)

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4.セイラ視点

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 あの後、カルロ様に会って確かめましたが、はぐらかされてしまいました。

 それどころか、なにかと忙しいと理由をつけて、会う時間が減りました。
 以前なら、時間がなくともなんとしてでも時間作ると豪語していましたのに・・・。

 ふと見ると、カルロ様は編入してきたプラチナブロンドの女生徒と一緒に歩いているのが目に入るのです。

 近すぎる距離。
 わたしに気を遣っていたあの頃とは大違いの行動。

 それに・・・。
 
 わたしの気持ちを理解してくれていたはずではなかったのでしょうか?
 どんな気持ちで見ているか気づいてもいません。

 そんなわたしをシュリナ様が慰めてくださいます。
 シュリナ様がアフタル殿下に文句を言って、カルロ様を諌めてくださいましたが、なにも変わりませんでした。

 
 逆に、昼休みの誰もいない木立の中で、カルロ様は、わたしを問い詰めたのです。

「セイラ。君はレイチェルを虐めてるの?」
「レイチェル様?」

 誰のことでしょう?

「知らないとは言わせないよ。君が彼女を虐めていると噂にまでなっている。見た人もいるんだ」

 あのプラチナブロンドさんは『レイチェル』様。

 わたしが、その方を虐めている?
 噂?
 見た人がいる?

 どう言うことでしょうか?
 思い当たりません。
 
「君がそんな子だとは思わなかったよ」 
「わたし、していません」
「でも、見た人はたくさんいるよ」

 首を振ります。
 でも、カルロ様は信じてくださいませんでした。

 悲しくて、泣きました。
 信じてくれないことが悔しくて、悲しくて。
 痛い。胸が痛いのです。

 去っていくカルロ様を見つめるだけ。
 たった一人残される、わたし。

 涙がとめどなく溢れ、服を濡らしてゆく。
 
 とん。。。

 また、何が落ちていく。



 やっと涙が落ち着いたので、中庭の噴水を眺めていました。今は授業中です。次の授業まで、しばらく時間があるのです。
 はじめて、授業をさぼってしまいました。でも授業など受ける気になりません。
 一人でいたい・・・。

 強い風が吹きます。
 噴水の水飛沫が風に舞って、顔を濡らしました。
 
 冷たい。

 涙のあとを洗い流してくれたならどんなにいいものか・・・。


 授業の終わりを告げる鐘が鳴り、立ち上がった時、懐かしい声が聞こえて来ました。


「セイラ?」

 振り向くと、そこに元婚約者・・・ファルス様がいたのです。
 最後にお会いしてから、三年たちます。
 幼かった顔立ちも、凛々しくなっています。
 もう、忘れた事とはいえ、胸がもやもやします。懐かしさより、戸惑いが大きいです。

「ファルス、様・・・」

 ファルス様は眉間に皺を寄せました。

「なんで君が?・・・僕に未練があって、追いかけてきたのか?」

 何をおっしゃっているのでしょう。
 わたしが貴方を追うわけなどないでしょうに。
 
「悪いな、わたしにはと言う婚約者がいるんだ。君より数倍可愛い子だよ。また、改めて紹介するよ。だから、わたしのことは諦めて、自分の幸せを掴んでくれ」

 わたしの心根も知らずにそんな事を一方的に言って去っていきました。



 レイチェル・・・。

 

 足の力が抜けて、座り込みました。
 


 わたしは、なぜここにいるのでしょう?


 考える、事が・・・でき、なく・・・て・・・・・・・・・。
 

 


 

 
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