27 / 42
27.レイチェル視点
しおりを挟む
おかしい。
何かがおかしい。
あたしを引き立てくれるはずだった女が突如としてあたしの前に現れた。ずっと無言を貫いていたはずなのに。
ファルス様やカイル様からはおとなしい女性だと聞いていた。
だが、女はあたしの元に来た。それも、皇女殿下たちを連れて。そして女はあたしを見て笑ってきた。
姉たちみたいな嘲笑いはない。だけど・・・、そう、凛とした優雅な笑みを浮かべながら見てきた。
みんなにありもしないペンを彼女に盗られたからと泣きついていた。同情して怒ってくれた。
なのに、あの女は5本もあたしの前に見せてきた。
壊れたペンに、ガラスペン、銅製、銀製、黄金のペン。
なんなのー?
どんな意図がわからなかった。
ただ、綺麗と思った。
羨ましい、欲しいーと思った。
「あなたのペンはありますか?」
女は聞いてきた。
あるわけない。
金?そんなペンがあるなんて知らなかった。
銀製も銅製も私には買えない品物。
もしそう言うと・・・疑われる?
ガラスペンも・・・あたしが言ったペンの種類に矛盾してしまう・・・。
それじゃぁ・・・。
あたしが口にする前に女の侍女が、それが自分のだと言い、しかも、自分のものである証明さえした。
なっ・・・。
あたしはその中には自分のペンがないと言うしかなかった。
なんなの、この女。
財力自慢しているの?
腹が立った。
なんでこんな性悪女が皇女殿下の友達でいるのよ!
悔しい。
あたしは素晴らしいのよ!
どうしても、あの女を貶めたくなった。
みんなに泣きついた。すると、みんなあたしを慰めてくれた。
なのに・・・、また・・・。
しかもカエル?
やだ!
変な色!
ぐにゃぐにゃの体。気持ち悪い!
そんな物を手掴みで触るなんて令嬢としてありえないでしょう。しかも可愛いと言わんばかりに頭を撫ぜるなんて信じられない。
この女やばいんじゃないの?
ファルス様もカルロ様も、みんな引いている。
なによ!
このままじゃいけないわ。
あたしをいじめているって周りにも知らしめてやらなきゃ・・・。
そうだ。公衆の面前でこけて、あの女に足を引っ掛けられたと騒いでやる。
そう思って、実行した。
でも・・・あの女、またしてもとんでもない物を見せてきた。
ヘビ・・・。
なんでよ!
なんで、ヘビなんか持ち歩いてるのよ!
おかしいでしょう!
普通でも持ってないわよ!
ヘビで冷やせって、頭がおかしいわよ!
あんなものが足に・・・ひっっ!
ないないないないない、ありえないから!
演技も忘れて逃げてしまった。
うまくいかない。
どうしてよ。
このままじゃ、あたしどうすればいいの?
あの女をどうにかしないと、不安だ。
どうにかしないと・・・。
あたしは・・・。
あの女が気になりすぎていた。だから、気づかなかった。
あたしの周りから取り巻きが少しずついなくなっていることに。
何かがおかしい。
あたしを引き立てくれるはずだった女が突如としてあたしの前に現れた。ずっと無言を貫いていたはずなのに。
ファルス様やカイル様からはおとなしい女性だと聞いていた。
だが、女はあたしの元に来た。それも、皇女殿下たちを連れて。そして女はあたしを見て笑ってきた。
姉たちみたいな嘲笑いはない。だけど・・・、そう、凛とした優雅な笑みを浮かべながら見てきた。
みんなにありもしないペンを彼女に盗られたからと泣きついていた。同情して怒ってくれた。
なのに、あの女は5本もあたしの前に見せてきた。
壊れたペンに、ガラスペン、銅製、銀製、黄金のペン。
なんなのー?
どんな意図がわからなかった。
ただ、綺麗と思った。
羨ましい、欲しいーと思った。
「あなたのペンはありますか?」
女は聞いてきた。
あるわけない。
金?そんなペンがあるなんて知らなかった。
銀製も銅製も私には買えない品物。
もしそう言うと・・・疑われる?
ガラスペンも・・・あたしが言ったペンの種類に矛盾してしまう・・・。
それじゃぁ・・・。
あたしが口にする前に女の侍女が、それが自分のだと言い、しかも、自分のものである証明さえした。
なっ・・・。
あたしはその中には自分のペンがないと言うしかなかった。
なんなの、この女。
財力自慢しているの?
腹が立った。
なんでこんな性悪女が皇女殿下の友達でいるのよ!
悔しい。
あたしは素晴らしいのよ!
どうしても、あの女を貶めたくなった。
みんなに泣きついた。すると、みんなあたしを慰めてくれた。
なのに・・・、また・・・。
しかもカエル?
やだ!
変な色!
ぐにゃぐにゃの体。気持ち悪い!
そんな物を手掴みで触るなんて令嬢としてありえないでしょう。しかも可愛いと言わんばかりに頭を撫ぜるなんて信じられない。
この女やばいんじゃないの?
ファルス様もカルロ様も、みんな引いている。
なによ!
このままじゃいけないわ。
あたしをいじめているって周りにも知らしめてやらなきゃ・・・。
そうだ。公衆の面前でこけて、あの女に足を引っ掛けられたと騒いでやる。
そう思って、実行した。
でも・・・あの女、またしてもとんでもない物を見せてきた。
ヘビ・・・。
なんでよ!
なんで、ヘビなんか持ち歩いてるのよ!
おかしいでしょう!
普通でも持ってないわよ!
ヘビで冷やせって、頭がおかしいわよ!
あんなものが足に・・・ひっっ!
ないないないないない、ありえないから!
演技も忘れて逃げてしまった。
うまくいかない。
どうしてよ。
このままじゃ、あたしどうすればいいの?
あの女をどうにかしないと、不安だ。
どうにかしないと・・・。
あたしは・・・。
あの女が気になりすぎていた。だから、気づかなかった。
あたしの周りから取り巻きが少しずついなくなっていることに。
170
あなたにおすすめの小説
【完結】要らないと言っていたのに今更好きだったなんて言うんですか?
星野真弓
恋愛
十五歳で第一王子のフロイデンと婚約した公爵令嬢のイルメラは、彼のためなら何でもするつもりで生活して来た。
だが三年が経った今では冷たい態度ばかり取るフロイデンに対する恋心はほとんど冷めてしまっていた。
そんなある日、フロイデンが「イルメラなんて要らない」と男友達と話しているところを目撃してしまい、彼女の中に残っていた恋心は消え失せ、とっとと別れることに決める。
しかし、どういうわけかフロイデンは慌てた様子で引き留め始めて――
婚約破棄されてイラッときたから、目についた男に婚約申し込んだら、幼馴染だった件
ユウキ
恋愛
苦節11年。王家から押し付けられた婚約。我慢に我慢を重ねてきた侯爵令嬢アデレイズは、王宮の人が行き交う大階段で婚約者である第三王子から、婚約破棄を告げられるのだが、いかんせんタイミングが悪すぎた。アデレイズのコンディションは最悪だったのだ。
(完結〉恐怖のギロチン回避! 皇太子との婚約は妹に譲ります〜 え? 私のことはお気になさらずに
にのまえ
恋愛
夏のおとずれ告げる王城主催の舞踏会。
この舞踏会に、婚約者のエスコートなく来ていた、公爵令嬢カサンドラ・マドレーヌ(18)は酔って庭園にでてきた。
酔いを冷ましながらバラ園の中を歩き、大昔国を護った、大聖女マリアンヌの銅像が立つ噴水の側で。
自分の婚約者の皇太子アサルトと、妹シャリィの逢瀬を見て、カサンドラはシャックを受ける。
それと同時にカサンドラの周りの景色が変わり、自分の悲惨な未来の姿を垣間見る。
私、一度死んで……時が舞い戻った?
カサンドラ、皇太子と婚約の破棄します。
嫉妬で、妹もいじめません。
なにより、死にたくないので逃げまぁ〜す。
エブリスタ様で『完結』しました話に
変えさせていただきました。
永遠の誓いをあなたに ~何でも欲しがる妹がすべてを失ってからわたしが溺愛されるまで~
畔本グラヤノン
恋愛
両親に愛される妹エイミィと愛されない姉ジェシカ。ジェシカはひょんなことで公爵令息のオーウェンと知り合い、周囲から婚約を噂されるようになる。ある日ジェシカはオーウェンに王族の出席する式典に招待されるが、ジェシカの代わりに式典に出ることを目論んだエイミィは邪魔なジェシカを消そうと考えるのだった。
【完結】私を捨てて駆け落ちしたあなたには、こちらからさようならを言いましょう。
やまぐちこはる
恋愛
パルティア・エンダライン侯爵令嬢はある日珍しく婿入り予定の婚約者から届いた手紙を読んで、彼が駆け落ちしたことを知った。相手は同じく侯爵令嬢で、そちらにも王家の血筋の婿入りする婚約者がいたが、貴族派閥を保つ政略結婚だったためにどうやっても婚約を解消できず、愛の逃避行と洒落こんだらしい。
落ち込むパルティアは、しばらく社交から離れたい療養地としても有名な別荘地へ避暑に向かう。静かな湖畔で傷を癒やしたいと、高級ホテルでひっそり寛いでいると同じ頃から同じように、人目を避けてぼんやり湖を眺める美しい青年に気がついた。
毎日涼しい湖畔で本を読みながら、チラリチラリと彼を盗み見ることが日課となったパルティアだが。
様子がおかしい青年に気づく。
ふらりと湖に近づくと、ポチャっと小さな水音を立てて入水し始めたのだ。
ドレスの裾をたくしあげ、パルティアも湖に駆け込んで彼を引き留めた。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
最終話まで予約投稿済です。
次はどんな話を書こうかなと思ったとき、駆け落ちした知人を思い出し、そんな話を書くことに致しました。
ある日突然、紙1枚で消えるのは本当にびっくりするのでやめてくださいという思いを込めて。
楽しんで頂けましたら、きっと彼らも喜ぶことと思います。
【完結】女王と婚約破棄して義妹を選んだ公爵には、痛い目を見てもらいます。女王の私は田舎でのんびりするので、よろしくお願いしますね。
五月ふう
恋愛
「シアラ。お前とは婚約破棄させてもらう。」
オークリィ公爵がシアラ女王に婚約破棄を要求したのは、結婚式の一週間前のことだった。
シアラからオークリィを奪ったのは、妹のボニー。彼女はシアラが苦しんでいる姿を見て、楽しそうに笑う。
ここは南の小国ルカドル国。シアラは御年25歳。
彼女には前世の記憶があった。
(どうなってるのよ?!)
ルカドル国は現在、崩壊の危機にある。女王にも関わらず、彼女に使える使用人は二人だけ。賃金が払えないからと、他のものは皆解雇されていた。
(貧乏女王に転生するなんて、、、。)
婚約破棄された女王シアラは、頭を抱えた。前世で散々な目にあった彼女は、今回こそは幸せになりたいと強く望んでいる。
(ひどすぎるよ、、、神様。金髪碧眼の、誰からも愛されるお姫様に転生させてって言ったじゃないですか、、、。)
幸せになれなかった前世の分を取り返すため、女王シアラは全力でのんびりしようと心に決めた。
最低な元婚約者も、継妹も知ったこっちゃない。
(もう婚約破棄なんてされずに、幸せに過ごすんだーー。)
【完結】何でも欲しがる義妹が『ずるい』とうるさいので魔法で言えないようにしてみた
堀 和三盆
恋愛
「ずるいですわ、ずるいですわ、お義姉様ばかり! 私も伯爵家の人間になったのだから、そんな素敵な髪留めが欲しいです!」
ドレス、靴、カバン等の値の張る物から、婚約者からの贈り物まで。義妹は気に入ったものがあれば、何でも『ずるい、ずるい』と言って私から奪っていく。
どうしてこうなったかと言えば……まあ、貴族の中では珍しくもない。後妻の連れ子とのアレコレだ。お父様に相談しても「いいから『ずるい』と言われたら義妹に譲ってあげなさい」と、話にならない。仕方なく義妹の欲しがるものは渡しているが、いい加減それも面倒になってきた。
――何でも欲しがる義妹が『ずるい』とうるさいので。
ここは手っ取り早く魔法使いに頼んで。
義妹が『ずるい』と言えないように魔法をかけてもらうことにした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる