【完結】わたしは大事な人の側に行きます〜この国が不幸になりますように〜

彩華(あやはな)

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「5年です」
「5年?」
「女神の申し子であるあの子が『聖女』であるのは5年だけの事をでした。この月の末には『聖女』の選定をし、『聖女』を降りることが決まっていた」

 知らない。
 そんな話は、知らない。

「何故待てなかったのです?何故陛下に話されなかったのです?」
「知らなかった・・・。知らなかったんだ!!」
「いいえ、我らはいいました。『仮』の婚約者だと」

 嘘だ!
 嘘だ!!

「聞いていない。大体『女神の申し子』など、聞かされていない」
「ええっ、言っていませんとも。これは、陛下とわたし、あの子の3人の契約なのですから。これは他人には見せてはならない大事なものですから」

 一枚の紙を見せられる。
 そこには父上と神官長、あの女のサインが入っていた。日付も5年前のものになっている。

「女神様は大層お怒りです。今起きていること全てが、女神様がこの国を見放されたからなのです」

 女神が見放した?
 どうなるのだ、この国は?
 の国は?!

 そ、そうだ、ならば・・・。

「あの女を解放したらいいんだ・・・」

 わたしの言葉に父上も神官長も絶望と言える表情を見せた。

「今更、何を・・・」

 父上?

「あの子は昨夜、死んだよ。牢で首を吊って・・・」
 
 はあ?
 首を吊った?
 こんな時に?
 こんな事を起こしておいて?


「既に契約が破棄されています。遅かれ早かれ起こったことです。貴方があの子の大事な者を死に追いやったのですから」

 それがどうしたと言うのだ。

「契約の内容を読んでくださいませ」

 未だに目の前にある契約書の内容を読む。

 なっ・・・。

 『5年間だけ聖女であること。
 次の聖女をまで聖女でいる事。
 次の聖女を5年後選定すること。
 その間、王太子殿下の婚約者であること。
 その5年間、わたしの大事な人たちを護ること』

『誰にも言ってはならないこと。
 言えば誰かが不幸になる。
 破れば誰かが不幸になる。
 破棄されれば誰もが不幸になる』

 なんだこの内容は!!

 こんな内容がまかり通るのか?

 馬鹿な!!

「女神様の名前をおいての契約です。『聖なる契約書』になるのです」

 『聖なる契約書』
 これは絵本で読んで聞いたことがある。
 女神様の前で行われる、聖なる力が宿るものだ。もし契約を違えると、死に値するとも言われているものだ。
 
 話の中のものでないのか?
 実在するのか?

「あの子は・・・、『聖女』を降りた後、幼馴染の男性と結婚する予定だったのです。
 何故、あの子の大事な者たちの警護を外したのですか?
 あの子の大事な家族、幼馴染を何故殺したのです」


 それは・・・。
 父上の名前を使った。
 使って強引に・・・。

「殿下が、彼らを殺した時点で契約は破棄されました。全て遅いのです」
 

 わたしが破棄した?
 約束を?

 遅い?
 もう、遅い?なにが?
 

「もう、終わりです。聞こえますね。国民の声が」

 声?
 
 わたしは急いで窓から外を見た。

 絶句する。

 外は・・・、魔物が彷徨っていた。

 馬鹿な。
 結界は?
 兵士たちは?
 騎士たちは、どうした?

 貴族は?国民は?
 アイビーは?

 見える光景は気持ち良くないもの。
 魔物に食べられて・・・・・・。

 死んだ?

 気持ち悪くなり口を抑えて、胃から込み上げてくるものを必死に飲み込んだ。

 わたしも死ぬのか?
 このわたしが?
 嫌だ、死にたくない。

「裁きの時間だ」

 父上?

 父上は腰に差していた剣を抜くと、わたしの胸を刺した。

 痛い。

「最後の情けだ。魔物に食われるより、わしの手で殺してやる」

 痛い。

「わしも後から行く」

 痛い。
 痛い。
 死にたくない。
 嫌だ!
 嫌だ!


 全てあの女のせいだ。
 あの女の・・・。

 わたしは、悪く、ない・・・。



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