【完結】わたしは大事な人の側に行きます〜この国が不幸になりますように〜

彩華(あやはな)

文字の大きさ
6 / 6

6.

しおりを挟む
 人とは愚かな生き物だ。

 少しばかりの私の加護を我がもののように扱う。
 苦労もしようとせずに当然のようにあやかろうとする。

 傲慢な生き物だ。

 同じものであろうに、身分だけで中身を見ずに判断する。
 私はそんなつもりで貴様らをのではない。

 私が創ったのは、人が人を思いやる世界だ。
 だから、私は貴様らを見てきたのだ。

 私を絶望させないでくれー。



 

 私がお前を選んだのは、清い心を持っていたからだ。
 正直いえば、誰でも同じだった。
 ただの気まぐれだ。

 あの時は、
 ほんの好奇心からだった。

 私を思うその気持ちが心地よくて、声をかけただけなのだ。
 それだけのこと。
 別にお前でなくてもよかったのだ。
 
 なのに、お前は私に縛られてしまった。
 大事なものと離れ離れになってしまった。
 ずっと、私を思い我慢をしてきた。
 時が過ぎるのをひたすら待っていた。




 そして、お前は死んだ。
 自分のせいだと言ってー。
 

 自ら命を絶てば、私のもとには来れないのを知っていながら、お前は迷うことなく行動を起こした。

 そして祈ってきた。

 『女神様、わたしは貴女を恨みます。
 それでいて、愚かなわたしは貴女に願うのです。
 どうか、どうか、この国が不幸でありますようにー。



 女神様、自ら命を絶つわたしは、あの人の元に行けますかー?』

 恨めば良い。
 罵れば良い。

 お前を選んだ私をー。

 願えば良い。

 国の不幸をー。

 お前は彼らとは、違うへ行く。
 険しい道だ。荊の道だ。
 後悔しても遅い、辛い道。

 お前の大事な、あの者の側にはいけない。

 自ら命を絶ったからには、相応の罰を与えねばならない。
 苦しまなければならない。


 その苦しみの分、あの国の者たちも苦しめよう。
 特にあの男を特別に苦しませてやろう。

 それで、許してくれ。

 本当は、お前には幸せになって欲しかったのだ。
 ずっと、笑っていて欲しかったのだ。
 私に祈りを捧げて欲しかったのだ。
 私の前で美しい姿を見せて欲しかった。
 どれもできなかった。

 私にできる事は一つだけ。


 来世はお前たち二人は再び私のもとには来るまで幸せになれるようにしよう。
 ずっと、ずっと、手を取り合って生きれる生涯を与えよう。

 お前の笑顔が見れるようにしよう。
 お前の大事な者たちが幸せであれるようにしよう。

 私にはその力がある。

 だから、それまで自分の罪を償ってきてくれ。

 もう二度と自ら命を絶とうと思わないようにー。

 

             ーおわりー



しおりを挟む
感想 15

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(15件)

ねこのたま
2025.09.28 ねこのたま

全て王様が悪いかな。自分の子供の教育ぐらいちゃんとしなさいよ。
女神様も望むだけでなく、ちゃんと加護ぐらい付けてあげなさいよ。

解除
votoms
2025.09.26 votoms

半端に善良ぶらず、冷たく堂々と「神の試練だ。今回は不合格」と言ってくれた方がまだ納得できる

解除
taka
2025.08.11 taka

来世で幸せにか?お前みたいなクソ女神にできるわけねぇーじゃん。何もわかってないクソ神のくせに。

解除

あなたにおすすめの小説

【完結】 ご存知なかったのですね。聖女は愛されて力を発揮するのです

すみ 小桜(sumitan)
恋愛
 本当の聖女だと知っているのにも関わらずリンリーとの婚約を破棄し、リンリーの妹のリンナールと婚約すると言い出した王太子のヘルーラド。陛下が承諾したのなら仕方がないと身を引いたリンリー。  リンナールとヘルーラドの婚約発表の時、リンリーにとって追放ととれる発表までされて……。

さよなら 大好きな人

小夏 礼
恋愛
女神の娘かもしれない紫の瞳を持つアーリアは、第2王子の婚約者だった。 政略結婚だが、それでもアーリアは第2王子のことが好きだった。 彼にふさわしい女性になるために努力するほど。 しかし、アーリアのそんな気持ちは、 ある日、第2王子によって踏み躙られることになる…… ※本編は悲恋です。 ※裏話や番外編を読むと本編のイメージが変わりますので、悲恋のままが良い方はご注意ください。 ※本編2(+0.5)、裏話1、番外編2の計5(+0.5)話です。

冷遇された聖女の結末

菜花
恋愛
異世界を救う聖女だと冷遇された毛利ラナ。けれど魔力慣らしの旅に出た途端に豹変する同行者達。彼らは同行者の一人のセレスティアを称えラナを貶める。知り合いもいない世界で心がすり減っていくラナ。彼女の迎える結末は――。 本編にプラスしていくつかのifルートがある長編。 カクヨムにも同じ作品を投稿しています。

氷の王弟殿下から婚約破棄を突き付けられました。理由は聖女と結婚するからだそうです。

吉川一巳
恋愛
ビビは婚約者である氷の王弟イライアスが大嫌いだった。なぜなら彼は会う度にビビの化粧や服装にケチをつけてくるからだ。しかし、こんな婚約耐えられないと思っていたところ、国を揺るがす大事件が起こり、イライアスから神の国から召喚される聖女と結婚しなくてはいけなくなったから破談にしたいという申し出を受ける。内心大喜びでその話を受け入れ、そのままの勢いでビビは神官となるのだが、招かれた聖女には問題があって……。小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。

婚約破棄された私は、処刑台へ送られるそうです

秋月乃衣
恋愛
ある日システィーナは婚約者であるイデオンの王子クロードから、王宮敷地内に存在する聖堂へと呼び出される。 そこで聖女への非道な行いを咎められ、婚約破棄を言い渡された挙句投獄されることとなる。 いわれの無い罪を否定する機会すら与えられず、寒く冷たい牢の中で断頭台に登るその時を待つシスティーナだったが── 他サイト様でも掲載しております。

石塔に幽閉って、私、石の聖女ですけど

ハツカ
恋愛
私はある日、王子から役立たずだからと、石塔に閉じ込められた。 でも私は石の聖女。 石でできた塔に閉じ込められても何も困らない。 幼馴染の従者も一緒だし。

乙女ゲームのヒロインが純潔を重んじる聖女とか終わってません?

ララ
恋愛
私は侯爵令嬢のフレイヤ。 前世の記憶を持っている。 その記憶によるとどうやら私の生きるこの世界は乙女ゲームの世界らしい。 乙女ゲームのヒロインは聖女でさまざまな困難を乗り越えながら攻略対象と絆を深め愛し合っていくらしい。 最後には大勢から祝福を受けて結婚するハッピーエンドが待っている。 子宝にも恵まれて平民出身のヒロインが王子と身分差の恋に落ち、その恋がみのるシンデレラストーリーだ。 そして私はそんな2人を邪魔する悪役令嬢。 途中でヒロインに嫉妬に狂い危害を加えようとした罪により断罪される。 今日は断罪の日。 けれど私はヒロインに危害を加えようとしたことなんてない。 それなのに断罪は始まった。 まあそれは別にいいとして‥‥。 現実を見ましょう? 聖女たる資格は純潔無垢。 つまり恋愛はもちろん結婚なんてできないのよ? むしろそんなことしたら資格は失われる。 ただの容姿のいい平民になるのよ? 誰も気づいていないみたいだけど‥‥。 うん、よく考えたらこの乙女ゲームの設定終わってません??

出来損ないの私がお姉様の婚約者だった王子の呪いを解いてみた結果→

AK
恋愛
「ねえミディア。王子様と結婚してみたくはないかしら?」 ある日、意地の悪い笑顔を浮かべながらお姉様は言った。 お姉様は地味な私と違って公爵家の優秀な長女として、次期国王の最有力候補であった第一王子様と婚約を結んでいた。 しかしその王子様はある日突然不治の病に倒れ、それ以降彼に触れた人は石化して死んでしまう呪いに身を侵されてしまう。 そんは王子様を押し付けるように婚約させられた私だけど、私は光の魔力を有して生まれた聖女だったので、彼のことを救うことができるかもしれないと思った。 お姉様は厄介者と化した王子を押し付けたいだけかもしれないけれど、残念ながらお姉様の思い通りの展開にはさせない。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。