【完結】人違いだと言っているのにわかってくれません

彩華(あやはな)

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6.

 昼、食堂に行きます。

 あの後、誰もわたしに近寄ろうともしなかった。
 
 食堂は混雑していた。
 だが、わたしが一歩踏み出すと、皆睨んできました。
 ここは、共同よね。
 わたしが来てもいいはず。

 定食を注文すると中のおばさんから、「あんたに出すもんはないよ!」と言われた。

 へぇ~、ないんだ。
 差別かしら?

「ここは人を選ぶのですか?」
「はあ?」
「人を選ぶのかと聞いています」
「あんたにはないんだよ」
「わかりました。あなたの名前は?」
「なんだ。なんで言わなくちゃならないんだよ」
 
 怒鳴るなんて衛生的に汚い。
 他の調理員をみても、目が笑ってる。

 仕方ない。注意が必要ね。

「わかりました。学園長に報告します」
「学園長?何様のつもりだい?」
「いち生徒です。わたしにも食堂の利用権利はあります」

 なぜ、わかんないのかな~?
 個人的理由の差別はよして欲しい・・・。
 その前にわたしが何をしたと言うの?
 わたしはあんたなんか知らないわよ。
 恨まれる覚えだってない。

「どうした?」

 男性の声。
 振り向くと銀の髪に紫の瞳のイケメンがたったいた。腕には鼻につく可愛らしい少女をぶら下げていた。

「エルキース殿下・・・」

 これがエルキース王太子か・・・。

「アンジェリーナ嬢が不満を言いまして」

 アンジェリーナ・・・また?
 不満・・・そりゃあ、言うでしょう。


 王太子殿下はため息をついた。

「また、君か?しばらく来ないから平和だったのに、来れば問題を起こすのか?」

 はあ?

「失礼ながら。人違いですわ。わたしはアンジュ・トレイニーと申します。そのアンジェリーナ様とは違います」
「はっ?名前までかえたのか?どれだけ図々しいのだ?変えるなら顔まで変えてこい。そんな不細工な顔見たくもないわ」

 不細工・・・。
 初めて言われた。
 あの方は美しいと褒めてくださってのに・・・。

「失礼ながら、わたしは不満は言っておりませんよ。提供していただけないので、なぜかと聞いたまで、ですが?」

 落ち着け・・・。
 
「誰がお前如きの話を聞くんだ!!」

 王太子は嘲り笑うと、ぶら下げた女と去っていった。その際、ぶら下がり女の口角がにっと上がるのを見逃さなかった。

 ふふっ、
 いいわ、今に見てなさい。
 わたしを怒らしたわね。

 どいつもこいつも、人の名前を間違いやがって。
 
 わたしは学園長室に乗り込み、あった事をすべて話した。
 学園長は平謝りしてきた。
 

 そうね、一度は許してあげる。
 でも、次はないわ。



 
 家に帰ると帝国に手紙を送る為机に向かった。

 あの方に報告をするために手紙を書く。


「お嬢様」

 エイテルが幾分くらい顔で部屋に入ってきた。手には数枚の紙を抱いていた。

「どうしたの?」
「報告書になります」
「なんの?昨日の?」

 仕事が早いので助かる。

 エイテルから、報告書を受け取り読んだ。


 ・・・。

 嘘?


 手から力が抜け、紙が床に散らばった。


 エイテルを見る。
 目を伏せ何かを耐えている。

 ・・・っ。

 床を見る・・・。


 わたしは、・・・遅かった・・・。


 
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