【完結】人違いだと言っているのにわかってくれません

彩華(あやはな)

文字の大きさ
6 / 14

6.

しおりを挟む
 昼、食堂に行きます。

 あの後、誰もわたしに近寄ろうともしなかった。
 
 食堂は混雑していた。
 だが、わたしが一歩踏み出すと、皆睨んできました。
 ここは、共同よね。
 わたしが来てもいいはず。

 定食を注文すると中のおばさんから、「あんたに出すもんはないよ!」と言われた。

 へぇ~、ないんだ。
 差別かしら?

「ここは人を選ぶのですか?」
「はあ?」
「人を選ぶのかと聞いています」
「あんたにはないんだよ」
「わかりました。あなたの名前は?」
「なんだ。なんで言わなくちゃならないんだよ」
 
 怒鳴るなんて衛生的に汚い。
 他の調理員をみても、目が笑ってる。

 仕方ない。注意が必要ね。

「わかりました。学園長に報告します」
「学園長?何様のつもりだい?」
「いち生徒です。わたしにも食堂の利用権利はあります」

 なぜ、わかんないのかな~?
 個人的理由の差別はよして欲しい・・・。
 その前にわたしが何をしたと言うの?
 わたしはあんたなんか知らないわよ。
 恨まれる覚えだってない。

「どうした?」

 男性の声。
 振り向くと銀の髪に紫の瞳のイケメンがたったいた。腕には鼻につく可愛らしい少女をぶら下げていた。

「エルキース殿下・・・」

 これがエルキース王太子か・・・。

「アンジェリーナ嬢が不満を言いまして」

 アンジェリーナ・・・また?
 不満・・・そりゃあ、言うでしょう。


 王太子殿下はため息をついた。

「また、君か?しばらく来ないから平和だったのに、来れば問題を起こすのか?」

 はあ?

「失礼ながら。人違いですわ。わたしはアンジュ・トレイニーと申します。そのアンジェリーナ様とは違います」
「はっ?名前までかえたのか?どれだけ図々しいのだ?変えるなら顔まで変えてこい。そんな不細工な顔見たくもないわ」

 不細工・・・。
 初めて言われた。
 あの方は美しいと褒めてくださってのに・・・。

「失礼ながら、わたしは不満は言っておりませんよ。提供していただけないので、なぜかと聞いたまで、ですが?」

 落ち着け・・・。
 
「誰がお前如きの話を聞くんだ!!」

 王太子は嘲り笑うと、ぶら下げた女と去っていった。その際、ぶら下がり女の口角がにっと上がるのを見逃さなかった。

 ふふっ、
 いいわ、今に見てなさい。
 わたしを怒らしたわね。

 どいつもこいつも、人の名前を間違いやがって。
 
 わたしは学園長室に乗り込み、あった事をすべて話した。
 学園長は平謝りしてきた。
 

 そうね、一度は許してあげる。
 でも、次はないわ。



 
 家に帰ると帝国に手紙を送る為机に向かった。

 あの方に報告をするために手紙を書く。


「お嬢様」

 エイテルが幾分くらい顔で部屋に入ってきた。手には数枚の紙を抱いていた。

「どうしたの?」
「報告書になります」
「なんの?昨日の?」

 仕事が早いので助かる。

 エイテルから、報告書を受け取り読んだ。


 ・・・。

 嘘?


 手から力が抜け、紙が床に散らばった。


 エイテルを見る。
 目を伏せ何かを耐えている。

 ・・・っ。

 床を見る・・・。


 わたしは、・・・遅かった・・・。


 
しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

夫と愛し合った翌朝、一方的に離縁されました【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
美しい公爵夫人マルグリートは、冷徹な夫ディートリヒと共に、王国の裏で密かに任務をこなす“悪女”。 だがある日、突然夫から離婚を言い渡される。しかもその裏には、平民の愛人の存在が──。 失意の中、王命で新たな婚約者・エルンストと結ばれることに。 どうやら今回の離婚再婚は、王家の陰謀があるよう。 「悪女に、遠慮はいらない」 そう決意した彼女は、華やかな舞踏会で王に真っ向から言い放つ。 「わたくし、人の家庭を壊しておきながら悪びれない方に、下げる頭は持っていませんの。  王族であられる前に、人におなりくださいませ。……失礼」 愛も、誇りも奪われたなら── 今度はこの手で、すべてを取り戻すだけ。 裏切りに燃える、痛快リベンジ・ロマンス! ⚠️本作は AI の生成した文章を一部に使っています。タイトル変えました。コメディーです。主人公は悪女です。

「妹の方が可愛い」と不倫夫に捨てられた私。どうぞ借金まみれの実家ごと引き取って。私が肩代わりしていた負債、すべてお二人に引き継いでおきました

唯崎りいち
恋愛
「お前より妹の方が可愛い」 不倫した夫は私を追い出し、略奪した妹と笑った。 どうぞ、その「可愛い妹」と地獄までお幸せに。 私が肩代わりしていた実家と店の多額の借金、すべてお二人に引き継いでおきましたから。 「財布」を失った元夫と、逃げ場を失った妹。 身の丈に合わない贅沢を望んだ寄生虫たちの、惨めな末路を特等席で眺めさせていただきます。

好きな人と結婚出来ない俺に、姉が言った

しがついつか
恋愛
グレイキャット伯爵家の嫡男ジョージには、平民の恋人がいた。 彼女を妻にしたいと訴えるも、身分の差を理由に両親から反対される。 両親は彼の婚約者を選定中であった。 伯爵家を継ぐのだ。 伴侶が貴族の作法を知らない者では話にならない。 平民は諦めろ。 貴族らしく政略結婚を受け入れろ。 好きな人と結ばれない現実に憤る彼に、姉は言った。 「――で、彼女と結婚するために貴方はこれから何をするつもりなの?」 待ってるだけでは何も手に入らないのだから。

真実の愛を見つけたとおっしゃるので

あんど もあ
ファンタジー
貴族学院のお昼休みに突然始まった婚約破棄劇。 「真実の愛を見つけた」と言う婚約者にレイチェルは反撃する。

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

鈍感令嬢は分からない

yukiya
恋愛
 彼が好きな人と結婚したいようだから、私から別れを切り出したのに…どうしてこうなったんだっけ?

奪われたものは、全て要らないものでした

編端みどり
恋愛
あげなさい、お姉様でしょ。その合言葉で、わたくしのものは妹に奪われます。ドレスやアクセサリーだけでなく、夫も妹に奪われました。 だけど、妹が奪ったものはわたくしにとっては全て要らないものなんです。 モラハラ夫と離婚して、行き倒れかけたフローライトは、遠くの国で幸せを掴みます。

病弱な愛人の世話をしろと夫が言ってきたので逃げます

音爽(ネソウ)
恋愛
子が成せないまま結婚して5年後が過ぎた。 二人だけの人生でも良いと思い始めていた頃、夫が愛人を連れて帰ってきた……

処理中です...