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予算会議
しおりを挟むそして迎えた予算会議当日。
目の前には生徒会役員、横には風紀委員の生徒達が座っていた。
鈴は真正面に置かれた椅子に着席する。
まるで尋問だ。
「それでは図書委員の予算について話をしていきます。まず、新規で購入したいという書籍ですが、これは本当に必要なのでしょうか。もし、この本を購入するとなると新たに本棚が必要ともありますが、そもそも本の購入自体必要ないのでは」
「はい。昨年度、図書室を利用した生徒にアンケートを取りました。その結果、多くの生徒が読みたいと希望した本がそちらの新規購入したいという本になっています」
「アンケート結果だけで書籍購入検討とは安易な考えではないでしょうか?かかる予算に対して図書室利用者の満足度が上がる、だけでは効果が薄い気がします」
反論意見にぐっと詰まってしまう。
その時だった。
「だが、新たに図書室利用者が増えるというのは学園としても良い事だと考えられるが」
「雁染委員長」
「この学園は酷く閉鎖的だ。知識を得ようにも外部との繋がりが絶たれてる以上、本から知見を得ることは重要だと考えられる。生徒の学力や知識向上も含め新たな書籍を取り入れることは必要だと考えられるが?」
雁染が意見してくれたことにより生徒会役員たちはしどろもどろになる。
「し、しかし昨年に比べ予算要求が上がりすぎています。流石にこの額は・・・」
「必要に応じて臨機応変に対応する必要があるだろう。それよりも、無駄な予算を割いている委員会は他にもあると思うが?」
「っ・・・分かりました。図書委員の予算要求を受け入れましょう」
「っ・・・!あっありがとうございます!」
こうして雁染の手助けもあり、無事予算会議は終了した。
会議後、廊下を歩く雁染に駆け寄る。
「雁染先輩っあの、ありがとうございました!雁染先輩のお陰です・・・!」
「伊野瀬の役に立てたのなら良かった。伊野瀬も、よく頑張ったな」
雁染は微笑みながら僕の頭を撫でる。
「そうだ。伊野瀬に頼みたいことがあったんだ」
「何でしょうか?」
「実は、風紀の会議で使用する本をいくつか見繕って欲しいんだ」
「本を・・・ですか?」
「ああ。図書委員の伊野瀬なら詳しいだろ?それに、接点があるから頼みやすいと思ってな」
正直、どうしようかと迷う。
匠には必要以上に雁染と会わないと話してしまっているのに。
だが、今回の会議は雁染のお陰で何とかなったと言っても過言では無い。世話になった手前、断りづらいし。おお礼として1度程度なら良いか。
「分かりました。僕でよければ」
「助かる」
雁染は笑顔を浮かべていた。
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