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再会

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無事【 越後屋 】へ辿り着いた私達。そこで待っていてくださったのは協力者様であるレオンのご両親はじめ、商会のスタッフの皆んなだった。 そこには私に関わったとしてシラキュース家を解雇になった者達もいた。

レオンに、これまでに解雇になった者達も無事で、商会で働いたり、本人の希望で他の勤め先を商会したりと元気にしていると聞いてはいたが実際に活きいきとした様子の彼らに再会出来た喜びはひとしおだ。



レオンのお母様に優しく抱きしめられて強張っていた力が抜け、知らず知らずのうちにずっと緊張し力が入っていたのだと感じた。 その柔らかな腕に抱き締められ、背を撫でられるのは無条件の安らぎを感じる。
どれくらいそうしていたのか、そっと離れる腕と身体に名残惜しさを感じながらも気持ちを切り替える。

今までのご尽力に深い感謝の気持ちを伝え、今までの経緯とこれからの事を話すべく商会の奥へと移動する。 馬車は商会の厩番にお願いし、一緒に来てくれた皆んなは一足先にお風呂に入り疲れと汗を流してもらう事になった。

奥の部屋、プライベートルームに移動しお茶を出してくれた。和と洋菓子は私が出したかったから、緑茶と一緒に準備した。 粒有り、無しの豆大福と、苺、マスカット、メロンの大福、マカロン、フィナンシェ、某有名所のクッキー、ふうわふわのシフォンケーキ、生クリーム・フルーツ添え・・・私の本日の欲望の詰まった偏りセット。

「まあ、なんて美味しそうなの!可愛くて綺麗で食べるのが勿体無いわね!」

「はい、こちらの世界には有りそうで無い物で食べて頂きたくてお出ししました。お口に合えば嬉しいです。」ドキドキしながらお勧めすると

「「んんーーーーっ!!」」 と目をウルウルキラキラさせながら喜びを伝えてくれる。

「これは、至福。このような果物が入ったもちもちした食べ物は初めてだ。サクラが話していた食べ物はこんな感じだったのだろうか・・・」 と苺大福と豆大福を食したレオンのお父様、ライアン様

「んー~ー!言葉にならないふわふわ感! そして、なんて美味しいクリームなの・・・そして、このサクッと中はしっとりな丸くて可愛い色とりどりのお菓子・・・まるで夢のようよ。」とうっとり顔のレオンのお母様であるシフォン様

「お口に合ったようで何よりです。ご満足頂けましたか?」

「勿論だ、この緑色のお茶もとても美味しい。ありがとう。」

「私も、とおっても美味しく頂いているわ! ありがとう。」

私も自分が好きな日本のスイーツを、和も洋もこちらの世界でも ‘’美味しい‘’ と感じて喜んで貰えてとても嬉しい。


「ところで、先ほど ‘’ サクラ ‘’ と仰っておられましたがその方はどちらの方ですか?」

「・・・・それは、君の母上の事だよ。君の母上の本当の名は ‘’ サラ‘’ ではなくて ‘’ サクラ ‘’ と言うんだ。遠い異世界から来られたんだ。・・・・」

と告げた後、ライアン様はシフォン様と見つめ合った後遠くを見るように話し出された



それはまだライアン様がこの国エーゲナー王国に婚約者のシフォン様と留学されておられた頃・・17歳の時だった。お母様がこの国の王城の謁見の間に突如として現れたのだそうだ。丁度神官が女神様からお告げがあったと報告しているその時に。 

大事な話があるからと、王族と主だった大臣や上流階級の者が揃っているその場所に神官の言葉を証明するかのように現れた少女は驚きと喜びと共に迎え入れられた。この世界には無い服装に、濃くても焦茶までの瞳が多い中ほぼ黒い黒曜石の煌めきを放つ瞳。まさしく、100年に一度くらいの割合でこの世界に女神から遣わされる ‘’ 繋がり人 ‘’ として伝わる容姿であった。 服装はその時々で違うものの、容姿は黒髪、黒目、小柄な者が多いそうだ。

繋がり人は、貴重なスキルを持つ者が多くその時々の時代で恩恵をもたらしてくれると記述に残っておりこの国に遣わされたのは500年ぶりとの事。ただこの世界で、大切にされなかった者は魂が早くに弱ってしまう為女神の御意志で早逝する場合があるそうだ。

記述に残る様な恩恵をもたらすであろう少女を、喪わずに末永くこの国に居て貰える様にと当初大変なもてなし様であったそうだ。しかし、その少女 ‘’ サクラ ‘’ は魔道具は造れたものの、戦争やモンスター討伐で活躍できる様な攻撃系の魔法も大聖女が行う様な大きな癒しや、大結界を張る事は出来なかった。

その内に開花するのでは・・・と最高学府の学園に通わせ学を修めさせたがやはり結界・癒しなどの光魔法はおろか攻撃系の魔法もこの世界で言う ‘’ 普通 ‘’ だったのだ。 期待に添えない少女に国の上層部は大きな失望を禁じ得なかった。
だからと言って国外に放逐した後に開花されても困る。王太子との婚約を整えていたが学園卒業後、婚約白紙とし王太子は元々の婚約者と再婚約したそうだ。

学園時代のサクラは愛し合う王太子と元婚約者の公爵令嬢との仲を引き裂いた無能として辛い学園生活を送っていた。そんな時この国に留学していたライアン様とシフォン様と知り合い深い友情を築いたのだそうだ。


とライアン様が話して下さった。またその当時を振り返り、シフォン様が涙ながらにエピソードを語り始めた・・・



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