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ラスティの春 2
しおりを挟む採集に夢中になってしまう私の事を皆が気を付けていてくれたのと何かの虫の知らせか近くに居てくれた皆んな。素晴らしい身体能力で瞬時に集まってくれた丁度その時だった、更に洞窟全体が大きく揺れルームに入る間も無く足元が抜けたのだ。
ゾワっと背中を這い上る恐怖感。1、2m落ちると言う感じでは無く浮遊感は続いた、アトラクションであったとしても声も出ない程怖かった記憶を思い出した。
前世、自分がそう言う乗り物と言うかマシーンと言うか苦手と気付きもせず乗ってしまったフリーホール・・・頂点に到達するまではそこまで怖いと感じていなかった。ドキドキと高揚感すら感じていた___それが、頂点で一旦停止した時に『これは、ヤバいのでは無いか・・・』と不安感が込み上げて来た。自分から血の気が引いていくのを感じた直後
『・・・・・っキャ・・!!!!!』一度声になったと思われた悲鳴とも言えないレベルのもの。その後は声にならない声をあげながら落ちて行く・・・意識を手放しそうになりながらGが無いことの恐怖を知った。
安全ベルトに守られてはいる。ベルトはちゃんと仕事をしてくれた。だが、身体は座席から浮き、たった10秒にも満たないその刻は永遠に感じた。何度も、もう終わりでしょ、と思っただがいつまでもその時は来ない、様に感じたのだ。
その感覚を今私達は安全ベルトも無く体験している
後で知ったが、私は高所もダメだった。山から見る景色は平気だった、美しい、とても。だが、上京し某テレビ局の長いエスカレーターでそこそこの高さになった時、一緒に居た妹を振り返った瞬間___私の笑顔は凍りついた。
『・・っひ!!!』ヤバい、身体から力が抜けていく。グリンっと音がしそうな勢いで前を向く。このままでは腰が抜けて、落ちる___私の下には妹はもちろん、大勢の人がいるのだ大惨事になる。必死に前を向きプリン、豆大福、苺のショートケーキ、肉、アイス、アイス、アイス、某チーズバーガー、牛乳寒天っ・・・手に汗を握り締めながら必死に耐えた。フリーホールではパニック過ぎて思い付きもしなかった気を逸らす方法。
食いしん坊に助けられやり過ごした。その後も長いエスカレーターは命懸けだった。都会には避けて通れないエスカレーターやガラス張りのエレベーターがあるのだ
前世の事を思い出しながらパニックにならない様必死に好きな食べ物を思い出す。でも、解決策を考えられる余裕は生まれなかった・・・頭の中は、食べ物は吹っ飛びレオンで一杯になりお母様、お父様、みんなーーーーーとグルグルと皆んなの顔で埋まっている。
なんでだか私の足元が1番最初に抜けた。驚き必死に手を伸ばすレオンお父様が黒狐になり飛び出す、皆んなも其々力を発揮し易い形態となり我が身を置いて私を助けようとしてくれているのが分かった・・・
損得抜きで私を助けようとしているのが解る。自分の身を1番に守って!!!言いたいのに言葉に出来ない、声が出ない。不甲斐ない私、なんの為にクリエイトがあるのよ!でも、思い付かない・・・
レオンが私の手を掴んだ。そして落ちながらもどうやったのか抱き寄せる。それを見たお父様は、多分皆んなを確認している。何となく地面?が近い事を感じる。
その時モモンガ女性のモリーが風を受ける皮膜を閉じ必死に私の元に追いつこうとしているのに気付いた・・・辞めて、そんな事したら貴女が、貴女の命が危ない!お願い辞めて!と思っているのにモリーは私達に追い付き抱きついたと思ったらその皮膜を拡げ守る様に包んだ。
レオンごと包んだ彼女の命は無いと分かっているのに、己だけだったらその身体的特徴から着地の衝撃は無いはずなのに。私達を包んだ彼女は女神の様に慈愛の笑みを浮かべた、そして嬉しそうに破顔した・・・
涙が後から後から流れる。そうしているうちにも皆んなが必死な形相で追いつこうとしているのが見えた涙に曇って見えないけれど分かる。雪豹のシャーリィ、黒豹のレン、アラン、ラスティ、皆が皆何としてでも追いつこうとしている。
レンとシャーリィが追い付いた2人も更に抱きしめてくるそして私達を守りつつ2人 “ 愛している “ と愛おしげにキュと目を閉じ頬を擦り寄せる雪豹と黒豹。
アランが、追い付いた。その唇が私を見ながら “ ありがとう “ と呟く。そして “ 愛してる、レイラ “ と
そこにラスティが追い付いた。ラスティの目は私を見つめ安堵したと思ったらモリーの事を愛おしげに見つめている・・・ああ、ラスティはモリーを愛しているんだ、そして、モリーも・・・そう気付いたのに何もお祝いしてあげられないまま終わってしまうの?
ぶつかる・・・
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