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第三章 それぞれの素性
第三十五話 凌辱の受諾
しおりを挟む「アヤ」
何度も名前を囁きながら頭を撫でて抱き締めてくれるランディの腕の中で、アヤはすがりついて震える。
その間にもスヲンは腰をそこに埋めて、息を吐き出すアヤの奮闘を嘲笑うように体重をのせた。
「~~~~~アッ!?」
逃げた身体は抱き締められているせいで上下左右どちらにも動かせない。
あまりの衝撃に大きな声がこぼれたが、器用にランディの手に塞がれて、アヤの声はくぐもる程度で済んだ。
「はぁ…っ…はぁ…ぁ、ぅ」
ふたつの穴が埋まると途端に息が苦しくなる。唇は自由に息を繰り返せるはずなのに、受け入れた瞬間から息の仕方がわからなくなる。
それでも徐々に違和感がなくなって、気持ちよさが勝ってくることを知っている。
動きを止めて抱き締めることに専念したランディの代わりに、スヲンが好きなように腰を打ち付け始めた要因も大きい。
「…っ…ひ…~っふ…ぁ」
音は静かに、それでも激しい律動に肉壁はめくれ、生理的にスヲンのものを吐き出そうと快楽を強める。
肛門は異物を排除するため苦しみを和らげ、また深く侵入してくるそれらに怪訝な顔をしながら気丈に戦っていく。
「に、ゃっ!?」
ごりっと変な音が体の中から聞こえてきた。
「アヤ、声は出さない」
「………っ、ぅ…イっ」
「うん、俺も気持ちいいよ」
スヲンしか動いていないのに、中で擦れ合う感覚におかしくなる。薄い壁一枚隔ててランディとスヲンを感じるポイントを突かれるごとに、変な扉を開けてしまいそうになる。
「ぁ……ぅ……ぁ」
気持ちいい。
お尻だけで果てそうなくらいに身体がそこの悦びを覚えていく。
「ぃ……ぅ、い……はぁ…っ」
イキそうだとランディの腕の中でもそもそと顔を動かして伝える。
スヲンが腰を掴む手に力を込めて打ち付けてきた。もう限界は近く、アヤは意識の全てを快楽の頂点に導いていた。
「あーあ、いけないんだ」
「ッ!?」
この状態で止められない。
「ヤッ、ロイっな…ァッ……待っ、スヲン…アッぁ…やだっ、ぁ…見ないで……ッダメぁ、ァッ…アアァ」
アイマスクを取り払われて最初に目にした顔に罪悪感が弾けた。
てっきり寝ていると思ったのに、満面の笑みで鑑賞を決め込んでいる声に犯されていく。
「イッいっ、ァッ……スヲン、やっ、もう……ぅ、アッ」
「なに、アヤってば。ボク抜きで可愛い声出しちゃって」
「ちがっ…違うの…ッ…これ、わ」
「へぇ、スヲンとランディが、なんて?」
「ひどいな、アヤは俺たちのせいにするのか」
「共犯だろ?」
「そ……なっ、アッぁ……あぁ」
「……くっ」
頭をふって否定を告げるアヤを押さえ付けて、スヲンはその精液を証拠に残す。引き抜かれたコンドームが糸を引いているのは、アヤが情事に欲情した印。
「言い訳なんかいらないよ」
「ぁ……ごめんな、さ…」
「ごめんなさいってなに、アヤは自分が悪いって認めるってこと?」
「……ッ、あっ。ロイ、待っ…ヤッ」
「ダメだよ。アヤ。ボクが見てないってわかってて、二人だけに身体を許すなんて、ぐちゃぐちゃにしても足りないんだから」
「アぁッ」
スヲンが抜けたばかりの穴にロイのものが問答無用で突き刺さる。
ランディは相変わらず動かない。スヲンは我かんせずと傍観を決め込んで、ロイが剥ぎ取って放り投げたアイマスクを拾っている。
「バカだな」
クスクスと上機嫌のスヲンが同じく上機嫌のロイを見ながら呟いた。
「本当に最初からロイが寝ていたと思うか?」
それに気付いたランディが「しー」っと指に手を当てて言葉を止めさせる。
スヲンは少しだけ驚いた顔をして、すぐに顔を歪めて楽しそうに笑った。
「や…ぁッ…ロイ、許し…ぁ…ランディ…放し…て」
涙を浮かべて振り乱れているのは他でもなく最愛の女性。助けを求め、許しを乞い、乙女の穴を封じられて苦悶に顔をしかめている。
小さな口を大きく広げ、似合わないサイズのシャツの下に甘い果肉を隠して、それを貪る男たちの毒牙に泣いている。
本来ならそこから救う騎士であるべきなのに、地の底へと誘う悪魔になれることを幸福だと思う罪をアヤだけが受け入れてくれる。
聖女だと盲信するつもりはない。
ただ、どこの誰にも渡すつもりはない。
それがたとえアヤ自身だとしても。
「イクぃッ…ゃッ……ぁ…それ、ごりって…ぁ…~~ぅ」
先ほどスヲンとランディがぶつかり合ったそこに、ロイとランディも集中することに決めたらしい。
遊べるならいくらでも遊びたいが、残念ながらアヤの声や仕草がそれを許してくれない。
「やだや…だぁ…ァッごめんな…さっ、イッぃぁ…いくッぃ…~~~~~」
大きく身体をくねらせるアヤの身体は、ロイとランディに腰を押さえ付けられて脈打つ。上半身をのけぞらせて絶頂に唇を噛みしめ、頬を伝う涙は、さながら絵画のように綺麗だった。
「アヤ」
スヲンは誘い込まれるまま、アヤの頬を指で撫でる。
「もう声は我慢しなくていい」
「……ッぁ…ァッ」
「誰も怒ってないから好きに感じていい」
「スヲン、抜け駆け禁止!!」
「ヒッ…ぅ…アァ、ぁっ」
「もう、アヤも。いちいち可愛く反応するのやめて、いま誰ので感じてるの。ほら、ここに入ってるの誰?」
「もちろん俺だよな?」
「~~っ、ランディ。こういうとき、そういうことしない」
大人しかったランディが、ここぞとばかりに下から突き上げてくる。
ポンっと簡単に浮遊するほど軽くないはずなのに、彼らの腕の中ではか弱い女でしかいられなくなる。
「…っ…あ…」
お尻の穴は覚えたての馬鹿みたいに快楽を得ることを楽しんでいる。ロイが挿入を激しくしても緩くしても、感じて、感じて、甘い声を吐き出していく。
対して、ランディを埋めたままでいた膣が鈍い感覚を取り戻そうと混乱している。
「~~っ、う……ぁ」
理性を放棄させるだけの律動にもまれて、アヤは人間であることを忘れそうな感覚に再び泣いた。
「ぁー…ぁっ、ぅー…やっ抜いて」
三人に見つめられながら快楽に埋もれる。
視界が揺れて、震える声が白く染まる世界に手を伸ばしている。
ランディに上半身を押し付けて羞恥に顔を擦り付ける。分厚い胸板はびくともしない代わりに、ランディはどこか嬉しそうな息をこぼしていた。
「ひゃっ!?」
パンッと小気味いい音がして、臀部がじんじんとした痛みを訴える。
「ふぅん」
楽しそうなロイの独り言を出来ることなら聞こえずにいたかった。
「もう少し強くてもいけそうな気がする」
「ムチでも買うか」
「スヲンってば、本性隠す気全然ないよね」
「アヤだからな」
「あーあ、アヤも災難だね。でも…まあ…ボクの手形を残されて、そんなに気持ちよさそうな声あげてたら仕方ないか」
恥ずかしさに消えてしまいたい。
ロイが叩くたびに痺れが快楽に直結しているみたいに内部がしまる。内部がしまればロイとランディが嬉しそうに跳ねて、擦れあう。
パンパンと軽快に響けば響くほど、ずんずんと腰は動いて蜜が卑猥な音をたてる。
「~~~っ、う……ぁっ」
自分で自分の身体がよくわからない。
二十七年も自分の身体と付き合ってきたのに、ここ数ヵ月で知らされる新しい一面の連続が突然怖くなる。
どこまで淫乱なのか。
これではきっと、ムチでも蝋燭でも何でも悦んでしまうのではないだろうか。
そう思うと、なぜだか不安と恐怖が胸をついて溢れてきた。
「ふぇ…ッ…ぅ」
しくしくと涙を流して嗚咽をこぼし始めたアヤの様子にランディが気付いて名前を呼ぶ。問いかけるような優しい響き。その声にまた身体が反応して、アヤの瞳から零れる涙の量が増えていった。
「ちょっといじめすぎた?」
ロイが心配そうにお尻を撫でてくれるが、その手のひらにすら反応してしまう身体が今はつらい。
感じているのに泣いている。
正反対の反応が不可解だと戸惑う雰囲気にアヤは違うと首を振って、涙をためた瞳で三人をじっと見つめた。
「~~~…ごめ、なさ」
ごめんなさいを口にすると涙が溢れる。
三人は何に謝っているのか顔を見合わせて、困ったような息を吐いた。
その顔にまた不安が募る。
自分で自分がおかしいのではないかという疑いが晴れない。
変態の自覚もなかった。
普通だと思っていたのに、真面目で平凡な自分を彼らは好きになってくれて、そういう自分だからこそ受け入れられたのだと思っていたのに、どうしよう。とてもじゃないけど、もう普通だとは思えない。
「ぁ…変なの…全部、気持ち…よくて…痛いのも、苦しいのも、イヤなはずなのに…っ…もと、もっと…って、こんなの知らない…ッ…気持ちよくて、おかしくなる…ぅ」
ここまで変態だとは思わなかった、と。
ここまで淫乱だとは知らなかった、と。
そう思われたら生きていける気がしない。
だけど、自覚してしまった自分の性癖があまりに異質すぎて困惑する。実際、この状況を身体以上に心が喜んで、彼らが言う得体の知れない「本性」が訪れることを望んでいる。
「えっ、待って……それって、アヤはボクたちにいじめられて、それが嬉しくて気持ちよくなって、もっとしてほしいって思ってるってこと?」
簡潔にまとめて聞き返さないでほしい。
「アヤ?」
改めて確認されると一気に恥ずかしさが募ってくる。
涙を止めた代わりに、第三者から見てもゆでだこかと思えるほど耳まで真っ赤に染めたアヤの顔がランディの胸板に埋もれようとする。
「ッ、や、あっ」
叩かれたお尻は、今度はちゃんとロイの手形がついた。同時にスヲンにアゴを持ち上げられて、その黒い瞳が命令を告げてくる。
「アヤ、ロイの質問にはイエスかノーで答えろ」
「…は、…ぃ」
「ねぇ、アヤ。ボクたちにいじめられるの好き?」
「……ぃえ…す」
「こんな風に、ぐちゃぐちゃにされて気持ちいいの?」
「…ッ…いぇす」
「もっとしてほしい?」
イエス、イエス、イエス。その言葉だけを紡ぐロボットにでもなったような気分だった。
涙ながらに足りないと訴える。
腰を打ち付けてくるロイの動きに「もっと」とねだる声が理性を忘れて、どん欲に雄を求めている。
「イクッ…ぃ…いっちゃ、ぅ…ぁ…アッ」
お尻だけを必要以上に凌辱されて泣きながらイク。
性感帯をいくつ増やせば自分の身体は気が済むのだろう。
熱く注ぎ込んだ後、抜けていくロイの竿を追いかけて、めくれた肛門の入口が名残を惜しむようにまた糸を引いていた。
「……うぅ」
このままでは、本当に呆れられて嫌われてしまうかもしれない。
そう思ったアヤの後頭部に、腰を引き抜いたばかりのロイがキスを落とした。
「感じすぎて怖くなっちゃったんだね。大丈夫だよ、アヤ。アヤがどれだけ淫乱な猫ちゃんになったって大好きだよ。第一、ボクたちがそれを望んで、そうなるように調教してるんだから」
「…っ…きらいに、ならない?」
鼻をすすった顔で見上げて、アヤは一番聞きたかった質問を口にする。
その顔をみて三人は「きらいになるわけがない」と笑みを浮かべた。
「きらいどころか、愛しすぎてこっちの気が狂いそう……ていうか、すでに狂ってるってわかんない?」
「アヤは自分をどう思ってるか知らないが、誰もがみんなこんな風に俺たちの愛を受け止めてくれるわけじゃない。アヤが感じるのは俺たちを信用して、信頼して、すべてをゆだねてもいいと思っていてくれている証拠だ。愛しくてたまらないよ」
「特別だっていってるだろ?」
「……本当?」
一度心配になると、なかなかその火種は消えてくれない。
じっと答えを待つアヤに、三人は顔を見合わせて今度こそ「変態な子が好きだし、アヤにはもっと変態になってもらわらないと困る」とストレートに告げてくる。
「…え…それは、ちょっと…」
そこまでは望んでいないと狼狽えたアヤに、本音をさらした男たちの激動は止まらない。
「ボクたち、これでも結構我慢してるほうなんだよ。アヤと一緒にいると、自分が持つドス黒い欲望をイヤっていうほど再認識させられるし、ね」
「遠慮も気遣いもいらないなら、早速首輪をつけてピアスを開けてやるが?」
「その前に……」
「ぅ、にゃっ」
重なるように体重を預けていたランディが体勢を整える。
この状況で萎えないのはさすがというべきか、埋まったまま傍観を決め込んでいたランディの上で座るようにうながされ、アヤは膝をたたせて大人しく従うことにした。
「…ぅ…わァッ」
仰向けで寝そべるランディの上で180度回転した身体にも驚いたが、ポンっと弾み始めた状況にも素直に驚く。
立てられたランディの膝に合わせて開脚したアヤの足は腰を浮かせる。
M字開脚で中腰状態のアヤには、真下からランディのモノが挿入されるのを無抵抗で受け入れるしかなかった。
「待っ…ぅ…アッぁ…アッ」
宙をさまよった腕が後ろ手にまとめられ、それをランディの手が掴む。
Tシャツはランディとの結合部をうまく隠し、連続して立てられる音だけが陰湿にベッドのうえで情事の激しさを伝えていた。
「見えないのも興奮するけど、ボクはちゃんと見たいなぁ」
「…ッ…ろぃ…何し、て…ぁッ」
「アヤ、望み通りにいじめてやろう」
「スヲ…何する…ヤッ、ぁ…」
シャツの裾をめくったロイがランディの雄が激しく出入りする箇所を覗き込む。それだけでも恥ずかしいのに、スヲンが布越しに浮き出た乳首をこれみよがしにクリップで挟む。
ちりん。と、可愛い鈴の音はご愛嬌。
「……ぁ…ャだ、とって…と、って」
ランディが真下から突き上げるたびに音が鳴る。
「ランディはちゃっかり自分の服をアヤに着せちゃうんだから、いいとこ押さえてるよね。アヤ、ボクはちゃんとアヤがどんな風にイクのか見たいから、はい。ここ自分の口で咥えてて」
「…ンッ…む…ぅ」
ロイがめくりあげたTシャツのすそを歯で噛んで放さないように命令してくる。アヤは口にねじ込まれたそれを反射的に噛み締めて、ランディに犯される個所をロイの眼前にさらけだした。
「ほんとすごいよね。こんな凶暴な物体が全部入っちゃうし、愛液が溢れて音もすごくエロい」
「ん…ッ……」
「アヤって言語化されるのに弱いのかな。それとも視姦されるのが好きなのかな。さっきよりも濡れてきたし、何よりクリトリスが大きくなった」
「…ぅ…ンンっ…ん」
「嘘じゃないって。ねえ、スヲンもそう思うでしょ?」
「ああ、ランディのをうまそうに咥えてる。妬けるほどにな」
「…~~ふっ、ぅ…ンッ」
全身が反応したのは、ロイとスヲンが同時に指を伸ばして主張する陰核を確認したせい。
ランディの律動の風と鈴の音。飛沫する愛蜜と消えた敏感な突起物が絶頂を呼応させる。
「アヤ…ッ…しめすぎ」
苦しそうなランディの声が背後から聞こえてくる。
腕を掴むその手に力がこもって、ラストスパートが訪れることを告げている。
「っ…いくぞ」
ランディの声に「うんうん」と震える鈴が返事をかえす。
弾き飛ばされないように腰を落として、アヤは噴水のように下から湧き上がるランディの熱をその内部で感じていた。
「…ぅ…ぁ…」
くわえていたシャツを吐き出して、前に倒れた身体はロイとスヲンに抱き留められる。スヲンが乳首についたクリップを回収して、脱力したアヤの髪をロイが束ねてる間に、ランディはゆっくりと自身の腰を引き抜いていった。
「ひッ…ぁ…ンッ」
最後、傘の部分が引っかかって快楽の栓が余韻をこぼす。
「すごいな」
ぽつりと呟いたランディの言葉を代弁するなら。ずっと内部でせき止められていた積年の蜜がトロトロと穴を伝ってシーツに垂れている。コンドーム内に放出した精子と違って、泡の混じった白い液体は女特有の匂いを放って、アヤの欲情を描いていた。
「ヤッ…ぁ…アアッ」
「そのままロイに掴まってろ」
「だめ、ランディ、いま…ぁ…アアッ」
ロイに突っ伏した状態でアヤは歓喜にあえぐ。
ランディがおもむろに指を数本突っ込んで内壁をえぐるようにかき混ぜてきたせいで、びしゃびしゃとおびただしい量の液体が飛沫していく。
「ぁアアァっぁ…アッ…ぅ…やぁッ」
はぁ、はぁと呼吸がうまく吐き出せない。
シーツに水たまりが出来て、アヤがロイの腕のなかで文字通りぐったりと力尽きるまでランディの指を濡らしていた。
「…ぅ…っ…も…無理…」
指先まで震えるくらい削られた体力は、寝返ることさえ放棄している。
満足したランディの顔が見られるなら何度でも付き合ってあげたいが、もうこれ以上は確実に死んでしまうと、脳が指令を出して気絶の境界線を越えようとしている。
「アヤ、見て。窓の外、すごくいい天気になってきたよ」
これほど場違いなロイの声があっただろうか。
「台風も通り過ぎたみたいだし、明日は久しぶりに日本支社に出勤だね」
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