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第38話「きみと選ぶ、未来の分岐点」
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日曜夜、テレビで放送された「R+T」特集は、
想像を遥かに超える反響を呼んだ。
放送中からSNSはトレンド入りし、
「#RプラスT」「#桐嶋凛音」「#白石天音」がランキングにずらりと並ぶ。
TikTokでは、天音のステージでの無言のパフォーマンスに、
「声なき感情が刺さる」と感涙の編集動画が急増。
YouTubeでも、ファンアートや考察動画が溢れ始め、
2人の非公式ファンサイトすら立ち上がっていた。
――翌朝、学校はまるで“ライブ会場の翌日”のような熱気だった。
「キャーーー! 天音ちゃんってば見たよー!!!」
「マジで鳥肌立った!マイクオフだったなんて信じられない!」
「凛音くん、ほんとに彼氏だったんだ……(震)」
どこを歩いても、声が飛ぶ。
廊下、階段、昇降口、トイレの中ですら。
天音は、もう顔から火が出そうだった。
(ど、どうしよう……普通に歩いてるだけなのに、みんなの目が痛い……)
(っていうか、なんで男子まであんなに……)
「白石さん、マジでファンになった。
サインって……お願いできる?」
「今日の体育、出るよね!? 一緒の班だといいな~!」
「彼氏、いるんですか?」
「い、いません! ……って、え!? 今のは違――っ!」
「え、凛音じゃないの?」
「公認でしょ?」
「もうプロポーズしてたし」
「え、してたの!? どこで!?」
(もうやめてーーーー!!!!!)
天音は悲鳴を飲み込んだまま、教室に逃げ込んだ。
机に突っ伏して深呼吸。
顔はまっかっか。
耳の先まで、熱い。
そこへ、後ろから静かに声が降ってくる。
「……“いない”はねぇだろ?」
「ひぃっ!? 凛音!? 聞いてたの!?」
「聞こえるに決まってんだろ。そんな大声で叫んでたらな」
凛音は、となりの席にドサッと座る。
そして無言で、天音の頭をぽんぽん。
「……何してんの?」
「熱、冷ましてんだよ。冷えピタ代わり」
「バカぁ……!」
恥ずかしさを誤魔化すように、天音は凛音の腕を軽く叩いた。
そのやりとりを、周囲のクラスメートたちはほっこり眺めていた。
(……ほんと、あの2人、どんどん絵になってくなぁ)
(まじ推せる……R+T尊い……)
(もうカップル認定しよう)
◆
しかし、放課後。
その空気は、少しだけ変わる。
職員室に呼ばれたのは、凛音と天音の2人だった。
対応したのは、教頭と進路指導の教師、そして教務主任。
「2人には、今後の活動方針について相談がある」
そこから始まったのは――まさに“未来”の話だった。
「R+Tの件、学校としても最大限応援したい。
ただし、芸能活動と学業のバランスが取れることが条件だ」
「週末だけの活動なら、出席日数に問題はない。
ただし……今後、テレビや舞台が増えるとなると、授業に支障が出る可能性がある」
「通信制への転籍、もしくは特別進級枠での個別カリキュラム。
選択肢は出せる。だが、2人自身がどうしたいか、それが一番大事だ」
話を聞いていた凛音は、黙ったままだった。
天音も、手をぎゅっと握って俯いていた。
「……夢が、現実になってきた。
でも、“高校生活”っていう、今を失うのも怖い」
そう言ったのは、天音だった。
「友達と話して、教室で笑って、
体育祭とか、文化祭とか……そんな普通のことが、私、大好きだったのに」
凛音は、ようやく口を開いた。
「……俺も。
お前と歩く廊下、昼休みのくだらねぇ会話、
この教室に、意味があると思ってる」
教頭が静かに頷いた。
「だからこそ、両立できる形を考えよう。
君たちは、すでに“ただの高校生”じゃない。
でも、“ただの高校生”でいられる時間も、大切にしていい」
話し合いは1時間に及び、
最終的に“学内サポート制度”の下で、引き続き通学を継続しながら芸能活動を行うことに決まった。
もちろん、姉たちの全面バックアップ付きで。
帰り道。
校門を出たところで、天音は凛音の腕にそっと手を絡めた。
「……ちょっと、ほっとした」
「そうだな。
これで、当分“俺のお姫様”が隣にいられる」
「誰が姫よっ! ……って、そうだね。
私は、凛音の隣にいたい。
“普通の私”のまま、“夢”を叶えたい」
その言葉に、凛音は横目でちらっと彼女を見る。
「……欲張りだな」
「だって、凛音も一緒でしょ?」
「……ああ。お前となら、欲張ってもいいと思ってる」
寄り添って歩く2人の背中に、夕暮れの陽が優しく差し込んでいた。
未来はまだ見えないけれど。
それでもきっと、2人でなら選べる――“正解じゃなくて、大切な道”を。
【つづく】
想像を遥かに超える反響を呼んだ。
放送中からSNSはトレンド入りし、
「#RプラスT」「#桐嶋凛音」「#白石天音」がランキングにずらりと並ぶ。
TikTokでは、天音のステージでの無言のパフォーマンスに、
「声なき感情が刺さる」と感涙の編集動画が急増。
YouTubeでも、ファンアートや考察動画が溢れ始め、
2人の非公式ファンサイトすら立ち上がっていた。
――翌朝、学校はまるで“ライブ会場の翌日”のような熱気だった。
「キャーーー! 天音ちゃんってば見たよー!!!」
「マジで鳥肌立った!マイクオフだったなんて信じられない!」
「凛音くん、ほんとに彼氏だったんだ……(震)」
どこを歩いても、声が飛ぶ。
廊下、階段、昇降口、トイレの中ですら。
天音は、もう顔から火が出そうだった。
(ど、どうしよう……普通に歩いてるだけなのに、みんなの目が痛い……)
(っていうか、なんで男子まであんなに……)
「白石さん、マジでファンになった。
サインって……お願いできる?」
「今日の体育、出るよね!? 一緒の班だといいな~!」
「彼氏、いるんですか?」
「い、いません! ……って、え!? 今のは違――っ!」
「え、凛音じゃないの?」
「公認でしょ?」
「もうプロポーズしてたし」
「え、してたの!? どこで!?」
(もうやめてーーーー!!!!!)
天音は悲鳴を飲み込んだまま、教室に逃げ込んだ。
机に突っ伏して深呼吸。
顔はまっかっか。
耳の先まで、熱い。
そこへ、後ろから静かに声が降ってくる。
「……“いない”はねぇだろ?」
「ひぃっ!? 凛音!? 聞いてたの!?」
「聞こえるに決まってんだろ。そんな大声で叫んでたらな」
凛音は、となりの席にドサッと座る。
そして無言で、天音の頭をぽんぽん。
「……何してんの?」
「熱、冷ましてんだよ。冷えピタ代わり」
「バカぁ……!」
恥ずかしさを誤魔化すように、天音は凛音の腕を軽く叩いた。
そのやりとりを、周囲のクラスメートたちはほっこり眺めていた。
(……ほんと、あの2人、どんどん絵になってくなぁ)
(まじ推せる……R+T尊い……)
(もうカップル認定しよう)
◆
しかし、放課後。
その空気は、少しだけ変わる。
職員室に呼ばれたのは、凛音と天音の2人だった。
対応したのは、教頭と進路指導の教師、そして教務主任。
「2人には、今後の活動方針について相談がある」
そこから始まったのは――まさに“未来”の話だった。
「R+Tの件、学校としても最大限応援したい。
ただし、芸能活動と学業のバランスが取れることが条件だ」
「週末だけの活動なら、出席日数に問題はない。
ただし……今後、テレビや舞台が増えるとなると、授業に支障が出る可能性がある」
「通信制への転籍、もしくは特別進級枠での個別カリキュラム。
選択肢は出せる。だが、2人自身がどうしたいか、それが一番大事だ」
話を聞いていた凛音は、黙ったままだった。
天音も、手をぎゅっと握って俯いていた。
「……夢が、現実になってきた。
でも、“高校生活”っていう、今を失うのも怖い」
そう言ったのは、天音だった。
「友達と話して、教室で笑って、
体育祭とか、文化祭とか……そんな普通のことが、私、大好きだったのに」
凛音は、ようやく口を開いた。
「……俺も。
お前と歩く廊下、昼休みのくだらねぇ会話、
この教室に、意味があると思ってる」
教頭が静かに頷いた。
「だからこそ、両立できる形を考えよう。
君たちは、すでに“ただの高校生”じゃない。
でも、“ただの高校生”でいられる時間も、大切にしていい」
話し合いは1時間に及び、
最終的に“学内サポート制度”の下で、引き続き通学を継続しながら芸能活動を行うことに決まった。
もちろん、姉たちの全面バックアップ付きで。
帰り道。
校門を出たところで、天音は凛音の腕にそっと手を絡めた。
「……ちょっと、ほっとした」
「そうだな。
これで、当分“俺のお姫様”が隣にいられる」
「誰が姫よっ! ……って、そうだね。
私は、凛音の隣にいたい。
“普通の私”のまま、“夢”を叶えたい」
その言葉に、凛音は横目でちらっと彼女を見る。
「……欲張りだな」
「だって、凛音も一緒でしょ?」
「……ああ。お前となら、欲張ってもいいと思ってる」
寄り添って歩く2人の背中に、夕暮れの陽が優しく差し込んでいた。
未来はまだ見えないけれど。
それでもきっと、2人でなら選べる――“正解じゃなくて、大切な道”を。
【つづく】
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