瑞樹と桜子2:新婚隣人の仕事対決

naomikoryo

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第5章:転職という選択!

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「さて、次のテーマは“転職”よ!」

 瑞希が腕を組みながら、ワクワクした様子で桜子を見つめた。

「私は転職しなかったけど、社内異動で環境がガラッと変わったのよね。でも、桜子は転職したんでしょ?」

「うん。ベンチャーで3年働いたあと、思い切って転職したの」

 桜子はゆっくりとコーヒーを飲みながら、少し遠い目をした。

「転職ってさ、けっこう勇気がいるじゃない? だから私も最初はすごく悩んだわ」

「おお、それは気になる! なんで転職しようと思ったの?」

「うーん……一言でいうなら、“もう限界”って思ったから」

「限界!?」

「そう。だって、私がいた会社——いろいろカオスだったから」

 私が働いていたベンチャーは、確かに成長中で面白い仕事もたくさんあった。 
 でも……その分、無茶振りの嵐だった。

 プロジェクトリーダーを新人でやらされるのは当たり前。

 「この案件、1週間で提案資料まとめといて!」
 「えっ、一週間!? 無理です!」
 「できるできる! てか、やるしかない!」

 無茶振りがモットーか、この会社は!?

 しかも、終電ギリギリまで働いても終わらない仕事量。
 家に帰る頃にはクタクタで、休日は泥のように眠る日々……。

 「このままじゃ、私の人生、この会社に吸い取られる!!」

 そう気づいたのが、転職を考えたきっかけだった。

 「……って感じで、めちゃくちゃな環境だったのよ」

 桜子が語り終えると、瑞希は思わず頭を抱えた。

「ちょっと待って、それ、普通にブラックじゃない!?」

「うん、今思えばそうだったかも」

「ていうか、3年もよく耐えたね……」

「まぁ、若かったしね。でも、やっぱり“このままじゃダメだ”って思って、転職を決意したのよ」

「なるほどね……でもさ、転職って簡単じゃないでしょ? どうやって次の会社を決めたの?」

「うん、それがね——」

 転職を決めたはいいものの、どこに行くべきかわからなかった。

 だって、私は社会人経験3年目。
 転職市場では“中途半端な経験者”扱いで、即戦力とも言えないし、未経験とも言えない……。

 「私、本当に次の会社、見つかるのかな……?」

 そう思いながら転職サイトを開いた日々。

 しかも、面接に行けば——

 面接官:「なぜ転職しようと思ったんですか?」
 私:「前の会社が激務で……」
 面接官:「うちもけっこう忙しいですよ?」
 私:「あ、はい……(終わった)」

 「転職活動、思ってたより難しい!!」

 そんな中、私はある会社と出会った。

 その会社はベンチャーほどカオスではないけど、大手ほどガチガチでもない、“ちょうどいい規模感”の企業だった。

 面接の最後、社長が私に言ったの。

 「君、うちに来たらもっと楽しく仕事できるよ」

 ——その言葉に、私は心を動かされた。

 こうして、私は転職を決めたのだった。

 「へぇぇ、なんかドラマみたい!」

 瑞希が感心したように頷く。

「でもさ、転職して正解だった?」

「うん、今の会社に来て、すごく働きやすくなったよ。
 残業はほどほどだし、ちゃんと仕事を教えてくれるし……」

「……それ、普通のことじゃない?」

「うん、でも、ベンチャー時代の私にとっては、それが“夢のような環境”だったのよ!」

「そっかぁ……でも、私の会社も大概だったわよ?」

 瑞希はニヤリと笑い、桜子に向き直った。

「私は転職しなかったけど、社内異動で部署が変わって、一気に環境が変わったの!」

「ほうほう?」

「元々いた部署はさっき話した通り、雑務ばっかりだったんだけど……
 ある日、上司に呼ばれてこう言われたのよ」

 「瑞希、君、次の異動先決まったから」

 「え、どこですか?」

 「営業部!」

 「……営業!? 私、そんなの希望してませんけど!?」

 「まぁまぁ、やればできるから!」

 ——いやいやいや、できるかどうかくらい聞いてくれよ!?

 こうして、私は突然の営業デビューを果たした。

 初日、先輩についていくと、いきなり取引先に連れていかれた。

 先輩:「じゃあ、自己紹介して」
 私:「えっ、えっ……!? あ、あの……初めまして……」
 取引先:「……」

 ——死ぬほど空気が重い!!!

 その後も、営業の仕事は「とにかく外に出ろ!」の精神で、毎日歩き回る日々。

 最初の3ヶ月は、

 ・訪問先を間違える
 ・取引先の担当者の名前をド忘れする
 ・パンプスのヒールが折れる

 などなど、トラブルのオンパレード!

 「……でもね、気づいたのよ」

 桜子が続きを促すと、瑞希はふっと微笑んだ。

 「営業って、ただ売るだけじゃなくて、“人と信頼を築く仕事”なんだって」

 「ほう」

 「最初はミスばっかりだったけど、徐々にお客さんと仲良くなって、ちゃんと契約を取れるようになったの!」

 「それはすごいじゃない」

 「そうなの! だから、異動は最初“嫌だな”って思ってたけど、結果的にはすごくいい経験になったわ!」

 「転職も異動も、それぞれの“正解”があるってことね」

 桜子がまとめるように言うと、瑞希は頷いた。

 「うん。でも、結局どっちも“環境を変える勇気”が大事ってことよね!」

 「そうね」

 二人はカップを掲げて、コツンとぶつけた。

 「さて、次は“仕事とプライベート、どっちを優先するか”って話でもしようか?」

 「おお、それは絶対盛り上がる!」

 こうして、新婚隣人の“仕事トークバトル”は、さらにヒートアップしていくのだった——。
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