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番外編⑳社会人編・第17話「夜泣き地獄!晴翔、寝ぼけながら“哺乳瓶を電子レンジに入れて洗う”事件」
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午前3時21分。
外は静まりかえった深夜の住宅街。
でも――我が家だけは違った。
「ふぇ……ふぎゃぁああああ!!!」
赤ちゃん・奏翔(かなと)、夜泣きフルスロットル中。
私(柚葉)は、もう右目だけ開いてるような意識の中で、
よろよろとベッドから起き上がった。
「……おなか空いたのかな……?さっきミルク2時間前……」
すると隣で盛大な寝返りを打つ音。
晴翔「うぅ……ごめん柚葉さん……!
今からPK蹴ってくるから……!」
(夢と現実がぐっちゃぐちゃや……)
晴翔はベッドの上で、寝ぼけながら両手を広げ、
何かを蹴る素振りをしていた。
(いや、今はミルク。蹴るんじゃなくて、作る。)
私は、寝ぼけ夫に向かって叫んだ。
「晴翔、ミルク!哺乳瓶洗ってきて!」
晴翔「うぃぃ……任されたぁ……主将、いきまーす……!」
そう言いながら、晴翔はフラフラと台所へ向かっていった。
後ろ姿からすでに**“魂半分置いてきた”**感がすごい。
私は奏翔を抱っこして、トントン。
「はいはい、今作ってるからね~」と声をかけるけれど、
その泣き声はなかなか止まらない。
そこへ、台所から妙な音が聞こえた。
「……ピッ、ピッ、ウィーン……」
(……あれ?電子レンジ?なんで今……)
不安になってのぞいてみると――
電子レンジの中に、哺乳瓶を突っ込んでいる晴翔の姿。
「ちょ、ちょっと!?なにしてるの!!」
「……え?今、洗ってる……」
「電子レンジで!?!?」
「……うん。回転してるし、熱も出てるし……洗える気がした……」
「洗えるかぁぁああああ!!!!」
私が叫んだ瞬間、
電子レンジの中でカタカタと回っていた哺乳瓶が、「ポン!」と何かを吹き飛ばした。
柚葉「ぎゃあああああああ!!!!キャップ飛んだ!!!」
晴翔「うわぁぁ!!やばい!敵襲!!敵襲だ!!!」
(敵じゃない!!哺乳瓶だよ!!)
奏翔「ふぎゃああああああ!!!(俺のミルクー!!)」
――夜中3時半の我が家。
もう誰も正気じゃなかった。
***
それでも、ミルクは無事作り直し。
奏翔くんに飲ませたあと、ようやく落ち着いた空気が戻る。
私はもう、脱力。
柚葉「……ねぇ、晴翔。お願いだから、電子レンジは料理だけに使って……」
晴翔「ごめん……
でも、“電子レンジ=回る=洗浄機”って思考が夢の中で合体しちゃって……」
柚葉「どんな発想してんの……」
晴翔「でも……俺なりに、がんばってるんだよ……?」
見ると、目の下にクマ。
髪は寝癖で完全に右サイドに曲がってる“翼ヘア”。
肩にはタオル、足元は左右違うスリッパ。
見た目は完全にボロボロだけど、
私はちょっと、笑ってしまった。
柚葉「……がんばってるの、わかってるよ。ありがとう」
晴翔「えっ、今ほめた!?
じゃあ次の夜泣きは、俺、抱っこで10kmウォーキングしてくる!!」
柚葉「お願いだから家から出ないで」
でも、こんな夜でも――
こんな騒がしい夜でも、
私たちはちゃんと、家族として生きてるんだなって思えた。
子どもは、すぐに大きくなる。
こうして一緒に右往左往するのも、あと何年かの間だけ。
だからせめて今だけは――
電子レンジと哺乳瓶を戦わせながらでも、笑って過ごしたい。
(次は食洗機に突っ込まれませんように……)
外は静まりかえった深夜の住宅街。
でも――我が家だけは違った。
「ふぇ……ふぎゃぁああああ!!!」
赤ちゃん・奏翔(かなと)、夜泣きフルスロットル中。
私(柚葉)は、もう右目だけ開いてるような意識の中で、
よろよろとベッドから起き上がった。
「……おなか空いたのかな……?さっきミルク2時間前……」
すると隣で盛大な寝返りを打つ音。
晴翔「うぅ……ごめん柚葉さん……!
今からPK蹴ってくるから……!」
(夢と現実がぐっちゃぐちゃや……)
晴翔はベッドの上で、寝ぼけながら両手を広げ、
何かを蹴る素振りをしていた。
(いや、今はミルク。蹴るんじゃなくて、作る。)
私は、寝ぼけ夫に向かって叫んだ。
「晴翔、ミルク!哺乳瓶洗ってきて!」
晴翔「うぃぃ……任されたぁ……主将、いきまーす……!」
そう言いながら、晴翔はフラフラと台所へ向かっていった。
後ろ姿からすでに**“魂半分置いてきた”**感がすごい。
私は奏翔を抱っこして、トントン。
「はいはい、今作ってるからね~」と声をかけるけれど、
その泣き声はなかなか止まらない。
そこへ、台所から妙な音が聞こえた。
「……ピッ、ピッ、ウィーン……」
(……あれ?電子レンジ?なんで今……)
不安になってのぞいてみると――
電子レンジの中に、哺乳瓶を突っ込んでいる晴翔の姿。
「ちょ、ちょっと!?なにしてるの!!」
「……え?今、洗ってる……」
「電子レンジで!?!?」
「……うん。回転してるし、熱も出てるし……洗える気がした……」
「洗えるかぁぁああああ!!!!」
私が叫んだ瞬間、
電子レンジの中でカタカタと回っていた哺乳瓶が、「ポン!」と何かを吹き飛ばした。
柚葉「ぎゃあああああああ!!!!キャップ飛んだ!!!」
晴翔「うわぁぁ!!やばい!敵襲!!敵襲だ!!!」
(敵じゃない!!哺乳瓶だよ!!)
奏翔「ふぎゃああああああ!!!(俺のミルクー!!)」
――夜中3時半の我が家。
もう誰も正気じゃなかった。
***
それでも、ミルクは無事作り直し。
奏翔くんに飲ませたあと、ようやく落ち着いた空気が戻る。
私はもう、脱力。
柚葉「……ねぇ、晴翔。お願いだから、電子レンジは料理だけに使って……」
晴翔「ごめん……
でも、“電子レンジ=回る=洗浄機”って思考が夢の中で合体しちゃって……」
柚葉「どんな発想してんの……」
晴翔「でも……俺なりに、がんばってるんだよ……?」
見ると、目の下にクマ。
髪は寝癖で完全に右サイドに曲がってる“翼ヘア”。
肩にはタオル、足元は左右違うスリッパ。
見た目は完全にボロボロだけど、
私はちょっと、笑ってしまった。
柚葉「……がんばってるの、わかってるよ。ありがとう」
晴翔「えっ、今ほめた!?
じゃあ次の夜泣きは、俺、抱っこで10kmウォーキングしてくる!!」
柚葉「お願いだから家から出ないで」
でも、こんな夜でも――
こんな騒がしい夜でも、
私たちはちゃんと、家族として生きてるんだなって思えた。
子どもは、すぐに大きくなる。
こうして一緒に右往左往するのも、あと何年かの間だけ。
だからせめて今だけは――
電子レンジと哺乳瓶を戦わせながらでも、笑って過ごしたい。
(次は食洗機に突っ込まれませんように……)
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