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4 空高く、雪を越えて
しおりを挟む慌てて外にレンが飛び出ると、そのまま空高く急上昇をして、一周大きく旋回してから、そのまま羽を畳んだり、伸ばしたりを繰り返してくるくる回り降下する。
「うん。飛行には特に問題なさそうだね。」
ディアルトが火薬玉の入った箱にひもを通して両肩で背負うと、軽く飛び跳ねて、ずれないように紐の長さを調整してぎゅっと強く絞る。
「こっちも準備できた。」
自分でも肩の紐をぐっと握り、その感触を調べた。
サンアルトが箱から火薬玉が落ちないように、箱を細い紐でグルグル巻きにする。
「ちょっと待って。一応これ持って行ってね」
ディアルトの母のニルムが飛び出すと、袋に詰めた食料と水をディアルトの腰にきつく結びつけた。
「アイスレリアの場所はわかるな?」
「うん。何度かお使いに行ったことがあるからね。」
サンアルトにレンがうなずく。
「でも、こんな雪の中は初めてだから、方向を見失うかも。その時はディアルトが方向を指示してくれ。」
「わかった。任せろ!」
レンにディアルトがうなずくと、ジジが持っていた地図を念のためじっと見つめて覚える。
「まあ、山を越えた先だし、大きな城だからね。もし吹雪いていたって、わかると思う。」
「頼むぞ。アイスレリアについたら、城門付近に案内をする兵士が立っているはずだ。その兵士が具体的にどこに届けたらいいかを教えてくれえる。それに従ってくれ。費用は別途支払いを受けるから、今回は渡すだけでいい。」
「わかった。城門付近だね。」
「イルエスタの侵攻を受けているらしいから、危なそうだったらすぐに戻るんだ。雪がひどかったり、迷子になったり、何かあっても迷うことなく戻るんだ。アイスレリア側の援助だからな。下手したらイルエスタの攻撃対象になる危険がある。」
「わかった。空飛べるから大丈夫だと思うけど、逃げるようにするよ。」
サンアルトがディアルトに近づくと、そのまま太い腕でぎゅっと抱きしめた。
ディアルトがそれをぎゅっと握る。
それから、レンにもぎゅっとサンアルトが抱き着く。
「ディアルトを頼むぞ。」
「任せて。」
そして、ディアルトとレンに対面するように、サンアルトとニルム、チャルとジジが姿勢を正して立つ。
「それでは、ディアルト=シン、行ってきます!」
「レンも行きます。」
一人と一匹が深く礼をした。
「アルト村の代表として、村長の息子として、役目を果たしてくれ。」
サンアルトが同じように礼をした。他の者も続いて礼をする。
「では、行ってきます。」
ディアルトが皮の手袋をしっかりと身に着けた両手を上げて手のひらを広げると、レンが地面を強く蹴って飛び上がり、一度上空まで急上昇して大きく旋回して少し距離を取り、そのまま振り子のように楕円の弧の一部のような角度で急降下する。
そのままディアルトの頭すれすれの位置を通過すると同時にディアルトがレンの足を掴んで上空へ舞い上がった。
重い荷物を背負っていたため、いつも以上に大きく揺れたが、上手にバランスを整えると、安定飛行の体勢を取った。
「危なくなったら逃げるのよ!」
ニルムが大声で叫んだ。
一度上空で円を描くように飛行すると、そのままの勢いで目的地へと向かった。
「まあ、方向的にイルエスタの侵攻と出会うことは無いだろうが。心配なのは雪か。」
「そうですね。」
「まあ、男はこんな感じで大きくなっていくもんだ。」
「そうですね。でも、まだ早くないですか?」
「レンと一緒だから大丈夫だろう。仲間ってそんなもんだ。」
「信じています。ディアルトもレンも。」
すっかり見えなくなった一人と一匹をしばらくニルムは見守っていた。
「あ、ゴーグル忘れた。」
焦るディアルト。
「どうする?取りに戻ろうか?」
レンがスピードを落とす。
「うーん、でも今戻ったら格好悪くない?」
「確かにね。」
「じゃあ、このまま頑張るよ。行こう、レン!」
「よし、飛ばすよ!!」
予想したよりも天気は悪くない。気温はかなり低いが、雪は降っていない。
それでも険しい山を少し余裕を持った上空を進むと、徐々に翼に氷の粒が付着していく。
一度大きくバタバタと羽ばたくと、その付着した氷を弾き飛ばす。
「大丈夫?」
ディアルトが心配そうにレンを見上げる。
「これくらいだったら、全然余裕。火の原石ってのも暖かくて、いい感じだよ。」
「そう?じゃあ、このまま進もう!」
それからしばらくすると、雪がパラパラと降り出すが、特に悪影響は無く、視界は良好。
それでも当初の予定通り、雪を避けるために山の中腹あたりを大きく迂回して飛行すると、何事も無く山を越えた。
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