炎光に誘われし少年と竜の蒼天の約束 ヴェアリアスストーリー番外編

きみゆぅ

文字の大きさ
13 / 62

12 炎と血のアルト村

しおりを挟む
 ディアルトは、二人の研究員が村を去ってからも毎日山麓を掘り続けた。

 何も見つからない日々が続いたが、あれ以降、山の麓が他の手に荒らされることは無くなっていた。

「あー今日も見つからないか。」

 ディアルトが肩を落とす。

「少し範囲を広げてもいいかもね。」

 レンが砂で汚れた羽をバサバサと羽ばたかせると、周囲にモワモワした砂煙が舞った。
 夕暮れ時の真っ赤な夕日がいつもより、やけに大きく感じた。

「よし、じゃあ今日は帰ろうか。」

「そうだね。」

 疲れた表情でディアルトが大きく息を吐くと、服や髪の毛に付着した砂埃を叩き落とした。

『バァァン!!』

 どこからか火薬が弾ける激しい音がすると、同時にディアルトの頬から血が飛び散った。

「大丈夫!?」

 瞬時にレンが羽ばたくと、その足にディアルトがつかまり、上空へ舞い上がる。

「大丈夫。ちょっと擦っただけだ。」

 そのわずかな差で足元に網におもりのついたワナのようなものが多数投げ入れらえる。

 間一髪それを避けると、下から、銃撃が続く。

 明からにレンとディアルトを対象とした武器と捕獲具だった。

 さらに上空へと上がると、村の方向から真っ黒い煙が複数昇っているのが視界に入りこんだ。

「村に戻ろう!大急ぎだ!」

「よし!しっかりと摑まってて!」

 頬から血を流しながら、振り飛ばされそうな速度で急ぐレンの足を力いっぱい握り村へと急いだ。

 頬がジンジンに痛いけど、そんなことを忘れてしまうぐらいの異様な状況が眼下に広がっていた。

 アルト村では多数の銃声が響き、悲鳴が聞こえる。

 何者に襲われていた。

 それも重厚な装備に身を固め、大きな銃を所かまわずに発砲している。剣を振り回し、弓を引く。

「あの鎧、アイスレリアで見たイルエスタって奴らだ!」

「村の中が襲われてる。どうしよう。」

「どこか、着地できるところを探そう。助けないと!」

「わかった。しっかり摑まってて!」

 レンが建物に隠れるようにアルト村の中にスーっと音を立てずに入りこむ。
 その状況は、想像以上に凄惨なものだった。

「源の開発者以外は皆殺しだ!研究資料はすべて手に入れろ!」

 誰かが叫ぶと、アルト村の地形を細かく把握している様子で一斉にアルト村に襲い掛かっていく。

 既に研究所は陥落しており、研究員たちが縛られている。

 銃声が響き、次々と人が倒れていく。

 だが、父親サンアルトと母親ニルムの姿はそこに無かった。妹のチャルも。

「ディアルト!危ない!」

 母の声が後方から聞こえたと同時に、ディアルトは死角となっていた後方より激しく銃撃を受けたが、レンがとっさに飛行して上空へ逃げ、避ける事が出来た。その声が無ければ、避けられなかった。

 しかし。

 その銃の標的は今度は母へ向けられた。そして・・・

 その場に倒れこむ母。兵士は動かなくなった母を銃で生死を確認すると、死んでいるという合図を出して笑った。

「人を殺したのにどうして笑えるんだ!!」

 ディアルトは逆上し、飛び降りようとしたが、レンが強い力でディアルトの肩を掴み、降ろさないようにする。

「レン!僕はあいつらを許さない!!」

 ものすごい力で、レンの足を掴むディアルト。それに耐えて強引に上空へ連れて行くレン。

「ここで戻っても何もできない!」

「そんなことわからないだろ!あいつらを殺してやる!」

 ディアルトの力がレンの、白竜の力を超えて空中で強引に離れると、大地に向かって飛び降り落下する。

 レンはディアルトが落下するよりも先に急降下して足を差し出すと、それをディアルトは掴み、今度は隠れずに地上へ向かう。

「あそこに火の原石が入った銃がある!」

 レンは木の枝に不自然にぶら下げられていた銃を確認すると、急に方向転換して近づき、体当たりして枝を揺らすと、ディアルトが両手を伸ばしてそれを受け取った。

 それを見つけた兵士達の銃が一斉にディアルトに向かって発射される。

 レンは、再びすばやく上空へ舞い上がるが、急にバランスを崩し、その場に墜落する。

 右の羽に二発、胸に一発の銃の跡があり、その場にうずくまる。

 もう飛ぶことは出来そうにない。

「レン!!」

 ディアルトがレンをかばう様に銃を構える。

「サンアルトは私たちをかばって、連れて行かれてしまった!!自分が捕まれば他のものには手を出さないという約束を信じて!!そしてこのイルエスタ兵を連れてきたのは裏切り者の研究員のカラスとチランだ!!!」

 縛られている研究員の一人が叫んだ。

 その近くにいた兵士が銃で頭を強く殴りおとなしくさせる。

「その子供と白いのも殺せ!」

 周囲を囲んだ兵士が一斉にディアルトに向け銃口を向けた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界だろうがソロキャンだろう!? one more camp!

ちゃりネコ
ファンタジー
ソロキャン命。そして異世界で手に入れた能力は…Awazonで買い物!? 夢の大学でキャンパスライフを送るはずだった主人公、四万十 葦拿。 しかし、運悪く世界的感染症によって殆ど大学に通えず、彼女にまでフラれて鬱屈とした日々を過ごす毎日。 うまくいかないプライベートによって押し潰されそうになっていた彼を救ったのはキャンプだった。 次第にキャンプ沼へのめり込んでいった彼は、全国のキャンプ場を制覇する程のヘビーユーザーとなり、着実に経験を積み重ねていく。 そして、知らん内に異世界にすっ飛ばされたが、どっぷりハマっていたアウトドア経験を駆使して、なんだかんだ未知のフィールドを楽しむようになっていく。 遭難をソロキャンと言い張る男、四万十 葦拿の異世界キャンプ物語。 別に要らんけど異世界なんでスマホからネットショッピングする能力をゲット。 Awazonの商品は3億5371万品目以上もあるんだって! すごいよね。 ――――――――― 以前公開していた小説のセルフリメイクです。 アルファポリス様で掲載していたのは同名のリメイク前の作品となります。 基本的には同じですが、リメイクするにあたって展開をかなり変えているので御注意を。 1話2000~3000文字で毎日更新してます。

娘を返せ〜誘拐された娘を取り返すため、父は異世界に渡る

ほりとくち
ファンタジー
突然現れた魔法陣が、あの日娘を連れ去った。 異世界に誘拐されてしまったらしい娘を取り戻すため、父は自ら異世界へ渡ることを決意する。 一体誰が、何の目的で娘を連れ去ったのか。 娘とともに再び日本へ戻ることはできるのか。 そもそも父は、異世界へ足を運ぶことができるのか。 異世界召喚の秘密を知る謎多き少年。 娘を失ったショックで、精神が幼児化してしまった妻。 そして父にまったく懐かず、娘と母にだけ甘えるペットの黒猫。 3人と1匹の冒険が、今始まる。 ※小説家になろうでも投稿しています ※フォロー・感想・いいね等頂けると歓喜します!  よろしくお願いします!

帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす

黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。 4年前に書いたものをリライトして載せてみます。

アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。  そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。  【魔物】を倒すと魔石を落とす。  魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。  世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活

シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!

異世界ランドへようこそ

来栖とむ
ファンタジー
都内から車で1時間半。奥多摩の山中に突如現れた、話題の新名所――「奥多摩異世界ランド」。 中世ヨーロッパ風の街並みと、ダンジョンや魔王城を完全再現した異世界体験型レジャーパークだ。 26歳・無職の佐伯雄一は、ここで“冒険者A”のバイトを始める。 勇者を導くNPC役として、剣を振るい、魔物に襲われ、時にはイベントを盛り上げる毎日。 同僚には、美人なギルド受付のサーミャ、エルフの弓使いフラーラ、ポンコツ騎士メリーナなど、魅力的な“登場人物”が勢ぞろい。 ――しかしある日、「魔王が逃げた」という衝撃の知らせが入る。 「体格が似てるから」という理由で、雄一は急遽、魔王役の代役を任されることに。 だが、演技を終えた後、案内された扉の先にあったのは……本物の異世界だった! 経営者は魔族、同僚はガチの魔物。 魔王城で始まる、まさかの「異世界勤務」生活! やがて魔王の後継問題に巻き込まれ、スタンピードも発生(?)の裏で、フラーラとの恋が動き出す――。 笑えて、トキメいて、ちょっと泣ける。 現代×異世界×職場コメディ、開園!

一般トレジャーハンターの俺が最強の魔王を仲間に入れたら世界が敵になったんだけど……どうしよ?

大好き丸
ファンタジー
天上魔界「イイルクオン」 世界は大きく分けて二つの勢力が存在する。 ”人類”と”魔族” 生存圏を争って日夜争いを続けている。 しかしそんな中、戦争に背を向け、ただひたすらに宝を追い求める男がいた。 トレジャーハンターその名はラルフ。 夢とロマンを求め、日夜、洞窟や遺跡に潜る。 そこで出会った未知との遭遇はラルフの人生の大きな転換期となり世界が動く 欺瞞、裏切り、秩序の崩壊、 世界の均衡が崩れた時、終焉を迎える。

処理中です...