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14 崖上の影
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低い崖から見下ろすように、高い位置から10人程度が細い脇道をトボトボと歩くのを見つける二人の女性。
「あれ?あれって二番目の部隊か。ボロボロだ。どこ行っても負けてるんだな。フムフム。爽快だ。」
隣の女性がジッと何かを見つめる。
「気になるか?」
「あなたは気にならないの?」
「別に。」
一度視線を外す。
「でも、二番目に取られるのも嫌だな。邪魔してこようかな。」
「私は無理よ。この高さを飛び降りたら死んじゃうもの。」
「私も死んじゃうかも。ね?一緒に跳ぼう。」
一人がもう片方の手を握る。
「早く行かないと見失うわよ。」
「はいはい、じゃあね。王女使いが荒いね。」
羽織っていた厚手のフードをもう片方の女性に渡して身軽になると、腰の小刀に軽く触れる。
高い位置から崖に触れないように遠い位置まで跳ぶと、そのまま自由落下していく。
着地の瞬間、胸にしまっていた赤い石を取り出して地面に強く打ち付けて割ると、そこから巻き起こった炎の上昇気流で自らの地面への衝撃を和らげる。
そして何事も無かったかのように、その場に両手を腰に当ててじっと立ち止まり直立する。
「なんだ!お前は?!」
急に周囲を覆う炎、空から現れた女性にその兵士達が驚くと、一斉に剣を握り襲い掛かってくる。
「はい、脇役が脇道でご苦労。」
素早い動きで持っていた小刀を振り回して二人を倒すと、他の兵士は慌てた身振りで逃げだす。
「いやー、背中を向けて一生懸命逃げる姿、いかにも二番目の兵士ですなぁー。」
その女性が大きく笑うと、置いて行かれた一人の少女に視線を移す。
「あの、ありがとうございます。」
「私ね、あの兵士たちの仲間なの。礼をされる筋合いもないのよ。」
驚く表情をする少女。
「この場でおまえを食べてしまおうか!!」
その女性が両手を広げて近づくと、怯える少女はペタリとしゃがみこんで、唇を噛み、目元に涙をためて、必死に泣くのを我慢する。
「まあ、今日のところは、これくらいにしといてあげるわ。立ち去りなさい。」
「帰り方がわからないの。」
そこに遠回りをして崖を降りてきた女性が合流する。
「どこから来たの?」
「アルト村。」
女性二人が目を見合わす。
「うん。困ったね。」
両手を広げておどけた表情をする女性。
「他に行くところないのかしら?」
「アルト村に帰りたい。」
「ちょっと、ここからは帰れないの。他のところだったら送っていくから。」
「アルト村に帰りたい。アルト村に帰りたい。」
ついに泣き出すその少女。
「そんなこと言ったって、もう無いところに帰れないぞ。」
慌ててもう片方の女性が口を塞ぐ。
「じゃあ、連れて帰るか。」
「・・・仕方ないわね。でも、誰かわからないし、見つかると厄介かもよ?」
「そうか、じゃあ、こうしよう。」
その少女の束ねた長い黒髪を左手で持つと、持っていた小刀で肩よりも高い位置でスパッと切り落とした。
「なにやってんの!?」
「変装。」
「あのね。」
「どうせ男たちなんて髪の色と長さでしか女を覚えてないんだ。これで十分な変装になる。このまま行くぞ。」
「偏見ね。」
握った髪をそのまま空に投げ捨てると、パラパラと遠くへ飛んでいった。
「あれ?あれって二番目の部隊か。ボロボロだ。どこ行っても負けてるんだな。フムフム。爽快だ。」
隣の女性がジッと何かを見つめる。
「気になるか?」
「あなたは気にならないの?」
「別に。」
一度視線を外す。
「でも、二番目に取られるのも嫌だな。邪魔してこようかな。」
「私は無理よ。この高さを飛び降りたら死んじゃうもの。」
「私も死んじゃうかも。ね?一緒に跳ぼう。」
一人がもう片方の手を握る。
「早く行かないと見失うわよ。」
「はいはい、じゃあね。王女使いが荒いね。」
羽織っていた厚手のフードをもう片方の女性に渡して身軽になると、腰の小刀に軽く触れる。
高い位置から崖に触れないように遠い位置まで跳ぶと、そのまま自由落下していく。
着地の瞬間、胸にしまっていた赤い石を取り出して地面に強く打ち付けて割ると、そこから巻き起こった炎の上昇気流で自らの地面への衝撃を和らげる。
そして何事も無かったかのように、その場に両手を腰に当ててじっと立ち止まり直立する。
「なんだ!お前は?!」
急に周囲を覆う炎、空から現れた女性にその兵士達が驚くと、一斉に剣を握り襲い掛かってくる。
「はい、脇役が脇道でご苦労。」
素早い動きで持っていた小刀を振り回して二人を倒すと、他の兵士は慌てた身振りで逃げだす。
「いやー、背中を向けて一生懸命逃げる姿、いかにも二番目の兵士ですなぁー。」
その女性が大きく笑うと、置いて行かれた一人の少女に視線を移す。
「あの、ありがとうございます。」
「私ね、あの兵士たちの仲間なの。礼をされる筋合いもないのよ。」
驚く表情をする少女。
「この場でおまえを食べてしまおうか!!」
その女性が両手を広げて近づくと、怯える少女はペタリとしゃがみこんで、唇を噛み、目元に涙をためて、必死に泣くのを我慢する。
「まあ、今日のところは、これくらいにしといてあげるわ。立ち去りなさい。」
「帰り方がわからないの。」
そこに遠回りをして崖を降りてきた女性が合流する。
「どこから来たの?」
「アルト村。」
女性二人が目を見合わす。
「うん。困ったね。」
両手を広げておどけた表情をする女性。
「他に行くところないのかしら?」
「アルト村に帰りたい。」
「ちょっと、ここからは帰れないの。他のところだったら送っていくから。」
「アルト村に帰りたい。アルト村に帰りたい。」
ついに泣き出すその少女。
「そんなこと言ったって、もう無いところに帰れないぞ。」
慌ててもう片方の女性が口を塞ぐ。
「じゃあ、連れて帰るか。」
「・・・仕方ないわね。でも、誰かわからないし、見つかると厄介かもよ?」
「そうか、じゃあ、こうしよう。」
その少女の束ねた長い黒髪を左手で持つと、持っていた小刀で肩よりも高い位置でスパッと切り落とした。
「なにやってんの!?」
「変装。」
「あのね。」
「どうせ男たちなんて髪の色と長さでしか女を覚えてないんだ。これで十分な変装になる。このまま行くぞ。」
「偏見ね。」
握った髪をそのまま空に投げ捨てると、パラパラと遠くへ飛んでいった。
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