21 / 62
20 侵入者の夜
しおりを挟む
狭い部屋に閉じこもって考え込むと、無駄にいろいろなことを考えてしまう。
「早くエクシア帰ってこないかな。」
ディアルトは、たまたま手に取ったセイシュ・イシュ歴史書の簡易説明付きの本を読みながらエクシアを待った。
そしてそのまま最後まで読み通した。初めて見る内容。ただし、子供向けの絵本であり、簡単に内容を理解でき
た。
エクシアが帰ってきたのは、暗くなってかなり遅い時間。
「エクシア!」
ディアルトが喜んで迎えると、エクシアは疲れた顔をして座り込んだ。
「退屈させてごめん。なかなか仕事が終わらなくて。」
難しい書類を取り出すと、それに目を通し始めた。
「何か、みんなを助ける、いい方法あるかな?」
ディアルトが少し遠慮をするように、小さな声でエクシアに問いかけた。
書類を机に置き、腕を組んだエクシアは首を振った。
「すまないが、思いつかない。」
短く、答えた。それを聞いたディアルトは大きくうなだれる。
『コンコン』
扉をノックする音が聞こえた。
エクシアもディアルトも共に動きが一瞬止まる。
ディアルトに隠れるように指で合図をすると、エクシアはゆっくりと扉に近づいて耳を当て、外の様子を探った。
複数の足音が聞こえる。
『コンコン』
再び扉をノックする音。
ディアルトが隠れたのを確認すると、エクシアはなにも無かったように扉をゆっくりと開いた。
真正面に一人の兵士が立っていた。右手に銃を持ち、左手に金属の網のようなものを持ち、ゆっくりと後ろに下がって身構える。
その衣服はイルエスタ王国の軍の制服。
そして暗闇でしっかりと確認できないがその背後に5人以上、さらに見えないところにも隠れているようである。
「イルエスタ本国からの命令である。かくまっている男を渡してもらいたい。もし隠すようであれば、貴君も同罪として本国へ連行する。」
立ち入ろうとする兵士を入り口で止め、エクシアが言った。
「なんのことでしょうか?」
エクシアが右手を前に出し、兵士を威嚇する。
「今は捕虜とはいえ、チャクミの第三王子として敬意を表してもらえると嬉しいのですが。」
勢い良くイルエスタからの命を伝えた兵士に、優しい言葉とは反対のエクシアの鋭い目つきが突き刺さる。
「あの、その男がアルト村の生き残りということで、その・・・」
「小さくともチャクミはイルエスタに従属する一国。君たちの出方次第では国と国の問題に発展することになることもあるかもしれませんが、大丈夫ですか?責任問題になりますよ?」
戸惑う兵士たち。
「この指示を出したのは誰でしょうか?」
「おとなしく従え。今更、隠す必要はない。この小屋の下に我々の手の者が絶えず張り込んでいたことは気付いていなかったようだな。」
その兵士の後方から聞きなれた声がした。
「私だよ、エクシア。」
そこには、このエクシアとは別のエクシア、シュラン知識部門長のエクシアが立っていた。
驚くエクシアと相対して活気づく兵士たち。
「どういうことですか?」
ゆっくりとシュラン知識部門長エクシアが前に歩き出した。
「どういうことだと?昨日の晩、言っていただろ、アルト村のことや火の原石のこと、それに我がイルエスタの地下道のことまで話していただろう。情報漏えい及び犯罪者幇助の罪でお前には死を、そのかくまっている男にはそのからだの中にあるという火の原石を取り出してもらう。解剖してな!」
シュラン知識部門長のエクシアが右手を上げ、勢いよく振り下ろした瞬間、待ち構えていた兵士が一斉にその部屋へ突入した。
それは、入り口だけでなく、窓からも、天井からも、一度に襲い掛かってきた。
「ディアルト!逃げろ!」
エクシアが叫んだと同時に、ディアルトは部屋にあった丸い容器に入った大量の粉薬を窓から突入してきた兵士に投げつけると、エクシアの手を引き、その窓から外に逃げ出した。
「レン!」
ディアルトは片手でエクシアの手を強く握り、もう片方で、風のように迫ってきた赤い竜の足をうまく掴み、上空へ舞い上がった。
「撃て!」
下から激しい銃撃音が聞こえるが、一瞬で高く舞い、すばやくシュランを抜け、近くの森林に入り込んで身を隠した。
一瞬の出来事であった。
「早くエクシア帰ってこないかな。」
ディアルトは、たまたま手に取ったセイシュ・イシュ歴史書の簡易説明付きの本を読みながらエクシアを待った。
そしてそのまま最後まで読み通した。初めて見る内容。ただし、子供向けの絵本であり、簡単に内容を理解でき
た。
エクシアが帰ってきたのは、暗くなってかなり遅い時間。
「エクシア!」
ディアルトが喜んで迎えると、エクシアは疲れた顔をして座り込んだ。
「退屈させてごめん。なかなか仕事が終わらなくて。」
難しい書類を取り出すと、それに目を通し始めた。
「何か、みんなを助ける、いい方法あるかな?」
ディアルトが少し遠慮をするように、小さな声でエクシアに問いかけた。
書類を机に置き、腕を組んだエクシアは首を振った。
「すまないが、思いつかない。」
短く、答えた。それを聞いたディアルトは大きくうなだれる。
『コンコン』
扉をノックする音が聞こえた。
エクシアもディアルトも共に動きが一瞬止まる。
ディアルトに隠れるように指で合図をすると、エクシアはゆっくりと扉に近づいて耳を当て、外の様子を探った。
複数の足音が聞こえる。
『コンコン』
再び扉をノックする音。
ディアルトが隠れたのを確認すると、エクシアはなにも無かったように扉をゆっくりと開いた。
真正面に一人の兵士が立っていた。右手に銃を持ち、左手に金属の網のようなものを持ち、ゆっくりと後ろに下がって身構える。
その衣服はイルエスタ王国の軍の制服。
そして暗闇でしっかりと確認できないがその背後に5人以上、さらに見えないところにも隠れているようである。
「イルエスタ本国からの命令である。かくまっている男を渡してもらいたい。もし隠すようであれば、貴君も同罪として本国へ連行する。」
立ち入ろうとする兵士を入り口で止め、エクシアが言った。
「なんのことでしょうか?」
エクシアが右手を前に出し、兵士を威嚇する。
「今は捕虜とはいえ、チャクミの第三王子として敬意を表してもらえると嬉しいのですが。」
勢い良くイルエスタからの命を伝えた兵士に、優しい言葉とは反対のエクシアの鋭い目つきが突き刺さる。
「あの、その男がアルト村の生き残りということで、その・・・」
「小さくともチャクミはイルエスタに従属する一国。君たちの出方次第では国と国の問題に発展することになることもあるかもしれませんが、大丈夫ですか?責任問題になりますよ?」
戸惑う兵士たち。
「この指示を出したのは誰でしょうか?」
「おとなしく従え。今更、隠す必要はない。この小屋の下に我々の手の者が絶えず張り込んでいたことは気付いていなかったようだな。」
その兵士の後方から聞きなれた声がした。
「私だよ、エクシア。」
そこには、このエクシアとは別のエクシア、シュラン知識部門長のエクシアが立っていた。
驚くエクシアと相対して活気づく兵士たち。
「どういうことですか?」
ゆっくりとシュラン知識部門長エクシアが前に歩き出した。
「どういうことだと?昨日の晩、言っていただろ、アルト村のことや火の原石のこと、それに我がイルエスタの地下道のことまで話していただろう。情報漏えい及び犯罪者幇助の罪でお前には死を、そのかくまっている男にはそのからだの中にあるという火の原石を取り出してもらう。解剖してな!」
シュラン知識部門長のエクシアが右手を上げ、勢いよく振り下ろした瞬間、待ち構えていた兵士が一斉にその部屋へ突入した。
それは、入り口だけでなく、窓からも、天井からも、一度に襲い掛かってきた。
「ディアルト!逃げろ!」
エクシアが叫んだと同時に、ディアルトは部屋にあった丸い容器に入った大量の粉薬を窓から突入してきた兵士に投げつけると、エクシアの手を引き、その窓から外に逃げ出した。
「レン!」
ディアルトは片手でエクシアの手を強く握り、もう片方で、風のように迫ってきた赤い竜の足をうまく掴み、上空へ舞い上がった。
「撃て!」
下から激しい銃撃音が聞こえるが、一瞬で高く舞い、すばやくシュランを抜け、近くの森林に入り込んで身を隠した。
一瞬の出来事であった。
21
あなたにおすすめの小説
ある日、俺の部屋にダンジョンの入り口が!? こうなったら配信者で天下を取ってやろう!
さかいおさむ
ファンタジー
ダンジョンが出現し【冒険者】という職業が出来た日本。
冒険者は探索だけではなく、【配信者】としてダンジョンでの冒険を配信するようになる。
底辺サラリーマンのアキラもダンジョン配信者の大ファンだ。
そんなある日、彼の部屋にダンジョンの入り口が現れた。
部屋にダンジョンの入り口が出来るという奇跡のおかげで、アキラも配信者になる。
ダンジョン配信オタクの美人がプロデューサーになり、アキラのダンジョン配信は人気が出てくる。
『アキラちゃんねる』は配信収益で一攫千金を狙う!
異世界だろうがソロキャンだろう!? one more camp!
ちゃりネコ
ファンタジー
ソロキャン命。そして異世界で手に入れた能力は…Awazonで買い物!?
夢の大学でキャンパスライフを送るはずだった主人公、四万十 葦拿。
しかし、運悪く世界的感染症によって殆ど大学に通えず、彼女にまでフラれて鬱屈とした日々を過ごす毎日。
うまくいかないプライベートによって押し潰されそうになっていた彼を救ったのはキャンプだった。
次第にキャンプ沼へのめり込んでいった彼は、全国のキャンプ場を制覇する程のヘビーユーザーとなり、着実に経験を積み重ねていく。
そして、知らん内に異世界にすっ飛ばされたが、どっぷりハマっていたアウトドア経験を駆使して、なんだかんだ未知のフィールドを楽しむようになっていく。
遭難をソロキャンと言い張る男、四万十 葦拿の異世界キャンプ物語。
別に要らんけど異世界なんでスマホからネットショッピングする能力をゲット。
Awazonの商品は3億5371万品目以上もあるんだって!
すごいよね。
―――――――――
以前公開していた小説のセルフリメイクです。
アルファポリス様で掲載していたのは同名のリメイク前の作品となります。
基本的には同じですが、リメイクするにあたって展開をかなり変えているので御注意を。
1話2000~3000文字で毎日更新してます。
娘を返せ〜誘拐された娘を取り返すため、父は異世界に渡る
ほりとくち
ファンタジー
突然現れた魔法陣が、あの日娘を連れ去った。
異世界に誘拐されてしまったらしい娘を取り戻すため、父は自ら異世界へ渡ることを決意する。
一体誰が、何の目的で娘を連れ去ったのか。
娘とともに再び日本へ戻ることはできるのか。
そもそも父は、異世界へ足を運ぶことができるのか。
異世界召喚の秘密を知る謎多き少年。
娘を失ったショックで、精神が幼児化してしまった妻。
そして父にまったく懐かず、娘と母にだけ甘えるペットの黒猫。
3人と1匹の冒険が、今始まる。
※小説家になろうでも投稿しています
※フォロー・感想・いいね等頂けると歓喜します!
よろしくお願いします!
帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす
黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。
4年前に書いたものをリライトして載せてみます。
アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記
ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。
そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。
【魔物】を倒すと魔石を落とす。
魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。
世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!
異世界ランドへようこそ
来栖とむ
ファンタジー
都内から車で1時間半。奥多摩の山中に突如現れた、話題の新名所――「奥多摩異世界ランド」。
中世ヨーロッパ風の街並みと、ダンジョンや魔王城を完全再現した異世界体験型レジャーパークだ。
26歳・無職の佐伯雄一は、ここで“冒険者A”のバイトを始める。
勇者を導くNPC役として、剣を振るい、魔物に襲われ、時にはイベントを盛り上げる毎日。
同僚には、美人なギルド受付のサーミャ、エルフの弓使いフラーラ、ポンコツ騎士メリーナなど、魅力的な“登場人物”が勢ぞろい。
――しかしある日、「魔王が逃げた」という衝撃の知らせが入る。
「体格が似てるから」という理由で、雄一は急遽、魔王役の代役を任されることに。
だが、演技を終えた後、案内された扉の先にあったのは……本物の異世界だった!
経営者は魔族、同僚はガチの魔物。
魔王城で始まる、まさかの「異世界勤務」生活!
やがて魔王の後継問題に巻き込まれ、スタンピードも発生(?)の裏で、フラーラとの恋が動き出す――。
笑えて、トキメいて、ちょっと泣ける。
現代×異世界×職場コメディ、開園!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる