炎光に誘われし少年と竜の蒼天の約束 ヴェアリアスストーリー番外編

きみゆぅ

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20 侵入者の夜

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 狭い部屋に閉じこもって考え込むと、無駄にいろいろなことを考えてしまう。
「早くエクシア帰ってこないかな。」
 ディアルトは、たまたま手に取ったセイシュ・イシュ歴史書の簡易説明付きの本を読みながらエクシアを待った。
 そしてそのまま最後まで読み通した。初めて見る内容。ただし、子供向けの絵本であり、簡単に内容を理解でき
た。
 
 エクシアが帰ってきたのは、暗くなってかなり遅い時間。

「エクシア!」
 
 ディアルトが喜んで迎えると、エクシアは疲れた顔をして座り込んだ。

「退屈させてごめん。なかなか仕事が終わらなくて。」

 難しい書類を取り出すと、それに目を通し始めた。

「何か、みんなを助ける、いい方法あるかな?」

 ディアルトが少し遠慮をするように、小さな声でエクシアに問いかけた。
 書類を机に置き、腕を組んだエクシアは首を振った。

「すまないが、思いつかない。」

 短く、答えた。それを聞いたディアルトは大きくうなだれる。


『コンコン』

 扉をノックする音が聞こえた。

 エクシアもディアルトも共に動きが一瞬止まる。
 ディアルトに隠れるように指で合図をすると、エクシアはゆっくりと扉に近づいて耳を当て、外の様子を探った。

 複数の足音が聞こえる。

『コンコン』

 再び扉をノックする音。
 ディアルトが隠れたのを確認すると、エクシアはなにも無かったように扉をゆっくりと開いた。

 真正面に一人の兵士が立っていた。右手に銃を持ち、左手に金属の網のようなものを持ち、ゆっくりと後ろに下がって身構える。

 その衣服はイルエスタ王国の軍の制服。

 そして暗闇でしっかりと確認できないがその背後に5人以上、さらに見えないところにも隠れているようである。

「イルエスタ本国からの命令である。かくまっている男を渡してもらいたい。もし隠すようであれば、貴君も同罪として本国へ連行する。」

 立ち入ろうとする兵士を入り口で止め、エクシアが言った。

「なんのことでしょうか?」

 エクシアが右手を前に出し、兵士を威嚇する。

「今は捕虜とはいえ、チャクミの第三王子として敬意を表してもらえると嬉しいのですが。」

 勢い良くイルエスタからの命を伝えた兵士に、優しい言葉とは反対のエクシアの鋭い目つきが突き刺さる。

「あの、その男がアルト村の生き残りということで、その・・・」

「小さくともチャクミはイルエスタに従属する一国。君たちの出方次第では国と国の問題に発展することになることもあるかもしれませんが、大丈夫ですか?責任問題になりますよ?」

 戸惑う兵士たち。

「この指示を出したのは誰でしょうか?」

「おとなしく従え。今更、隠す必要はない。この小屋の下に我々の手の者が絶えず張り込んでいたことは気付いていなかったようだな。」

 その兵士の後方から聞きなれた声がした。

「私だよ、エクシア。」

 そこには、このエクシアとは別のエクシア、シュラン知識部門長のエクシアが立っていた。

 驚くエクシアと相対して活気づく兵士たち。

「どういうことですか?」

 ゆっくりとシュラン知識部門長エクシアが前に歩き出した。

「どういうことだと?昨日の晩、言っていただろ、アルト村のことや火の原石のこと、それに我がイルエスタの地下道のことまで話していただろう。情報漏えい及び犯罪者幇助の罪でお前には死を、そのかくまっている男にはそのからだの中にあるという火の原石を取り出してもらう。解剖してな!」

 シュラン知識部門長のエクシアが右手を上げ、勢いよく振り下ろした瞬間、待ち構えていた兵士が一斉にその部屋へ突入した。

 それは、入り口だけでなく、窓からも、天井からも、一度に襲い掛かってきた。

「ディアルト!逃げろ!」

 エクシアが叫んだと同時に、ディアルトは部屋にあった丸い容器に入った大量の粉薬を窓から突入してきた兵士に投げつけると、エクシアの手を引き、その窓から外に逃げ出した。

「レン!」

 ディアルトは片手でエクシアの手を強く握り、もう片方で、風のように迫ってきた赤い竜の足をうまく掴み、上空へ舞い上がった。

「撃て!」

 下から激しい銃撃音が聞こえるが、一瞬で高く舞い、すばやくシュランを抜け、近くの森林に入り込んで身を隠した。

 一瞬の出来事であった。
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