炎光に誘われし少年と竜の蒼天の約束 ヴェアリアスストーリー番外編

きみゆぅ

文字の大きさ
23 / 62

22 僕のせいだ

しおりを挟む

「レン、僕どうしたらいいか、よくわからないよ。」

 それからしばらく、ディアルトはそこにうずくまっていた。
 魂が抜けたように、なにもせず、動かなかった。

 いつの間にか夜が明け、明るくなる。

 それでもそこから動かなかった。

「ディアルト、行かない?チャクミってとこに行こうよ。」

 レンがディアルトを爪でツンツンと突くが反応がない。
 ディアルトは魂が抜けたようにひざを抱え、うつむいていた。

「ここにいたってどうにもならないよ?」

 すると、急にディアルトが立ち上がった。

「レン、連れてってくれ!」

 待っていたとばかり、レンは大きな翼で羽ばたいた。
 浮き上がったレンの足をすばやく掴むと、ディアルトは浮かび上がった。

「シュランに向かってくれ、上空でいい!」

「えええっ チャクミじゃないの?もう明るいし、見つかっちゃうよ!」

「ちょっとだけ。」

「危険だよ。」

「どうしても行きたいんだ。ちょっとでいいから。」

「うん、わかったけど見つかったらすぐに逃げるよ。」

「うん。」


 上空で旋回すると、レンは最大限の警戒をしながらシュランの上空の高い位置で羽ばたいた。
 ちょうど、エクシアの住居の辺り、人だかりが見える。

「少し降下して」

 レンはディアルトに言われたとおり、少し降下した。そこには、兵士が複数確認できる。

「なんかやってる。よく見えないな。レン、もう少し降下して。」

「それは駄目だよ。これ以上だと絶対見つかる。」

「飛び降りるよ?」

「しょうがないな。少し離れたところに着陸しようか。そっちの方が見つかりにくいと思う。」

「よし、そうしよう。」

 レンは一度高く舞い上がると、少し離れた場所に素早く着陸する。

「じゃあ、行ってくるからレンはここで待ってて。」

「気を付けてよ。呼んだらすぐ行けるところに隠れてるから。」

「ありがとう。」

 ディアルトがうなずくと、素早く走り出して他の人に混ざりながら、身を潜めてその人だかりに向かった。

「!!」

 ディアルトの目の前には、両足から血を流し、上半身を抱えられたエクシアが見えた。

 足下には大量の血が流れ、意識を失っているようだ。

 そしてその横には大きな銃をもったシュラン知識部門長のエクシアが見えた。

「チャクミの第三王子エクシアはイルエスタに逆らった!それゆえ、罰した!」

 シュラン知識部門長の大きな声が響く。

「イルエスタに逆らう者はすべてこうなる!!」

 周囲から拍手が巻き起こる。それと同時に苦い顔をしてその場を足早に去っていく複数の人。

 ディアルトはそこに向かって駆け出しそうになったが、人だかりに押され、動けない。

 急に力が抜ける。動けなくなる。膝をついてその場に倒れそうになる。

「あいつは!!!」

 目の前の衝撃に呆けて動けないディアルトを見つけた兵士が取り押さえに向かった瞬間、その人だかりを縫うように、小さく折りたたんだ羽で素早くレンがディアルトをくちばしで救い上げ、上空へ飛び立った。

 レンはそのまま、くちばしでディアルトを掴んだまま、高度を高く飛び去った。

 そして、朝から夜、夜から朝と、かなりの時間、休むことなく飛び続けた。

 その間、ディアルトは全く動けなかった。

「僕のせいだ・・・」

 泣いていた。

「僕のせいだ・・・」

 エクシアからもらった地図の記憶を辿り、レンはチャクミへ向かい進んでいった。

「僕のせいだ・・・」

 意識を失った様にディアルトは動かずに、たまに震えて涙を流した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

商人でいこう!

八神
ファンタジー
「ようこそ。異世界『バルガルド』へ」

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。  そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。  【魔物】を倒すと魔石を落とす。  魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。  世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。

【完結】発明家アレンの異世界工房 ~元・商品開発部員の知識で村おこし始めました~

シマセイ
ファンタジー
過労死した元商品開発部員の田中浩介は、女神の計らいで異世界の少年アレンに転生。 前世の知識と物作りの才能を活かし、村の道具を次々と改良。 その発明は村の生活を豊かにし、アレンは周囲の信頼と期待を集め始める。

50代無職、エルフに転生で異世界ざわつく

かわさきはっく
ファンタジー
就職氷河期を生き抜き、数々の職を転々とした末に無職となった50代の俺。 ある日、病で倒れ、気づけば異世界のエルフの賢者に転生していた!? 俺が転生したのは、高位エルフの秘術の失敗によって魂が取り込まれた賢者の肉体。 第二の人生をやり直そうと思ったのも束の間、俺の周囲は大騒ぎだ。 「導き手の復活か!?」「賢者を語る偽物か!?」 信仰派と保守派が入り乱れ、エルフの社会はざわつき始める。 賢者の力を示すため、次々と課される困難な試練。 様々な事件に巻き込まれながらも、俺は異世界で無双する! 異世界ざわつき転生譚、ここに開幕! ※話数は多いですが、一話ごとのボリュームは少なめです。 ※「小説家になろう」「カクヨム」「Caita」にも掲載しています。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

処理中です...