炎光に誘われし少年と竜の蒼天の約束 ヴェアリアスストーリー番外編

きみゆぅ

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23 チャクミへの道

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 チャクミは、首都チャクミに300人程度、その周囲の集落をあわせて総人口で500人程度であり、総人口150,000を超え現在も人口を増やすイルエスタは気にも留めない小さな国である。

 村の中央を流れる川と数か所の湧水で農業を営み、その周辺で畜産業を営むという、珍しく自然に恵まれた土地であった。

 イルエスタと国境が隣接しており、食料収穫量の半分以上をイルエスタへ献上することにより従属を許され、一応独立国家として保っている。

 だが、独立国家ではあるが、軍隊を持つことはイルエスタから厳しく禁じられており、武器は所持しておらず、国境の警備すらできない。

 また、チャクミの王子をイルエスタに人質として預ける必要があった。これがエクシアである。


 レンと上空から眺める首都チャクミは、イルエスタやアルト村に比べて農地が多く、牛や羊が放牧され、のどかな感じがして、ディアルトは少し落ち着きを取り戻した。

 それでも少し警戒するように高い位置から周囲を見下ろし、軍隊や怪しい人物などがいないことを確認すると、少し遠回りして、ようやくチャクミの入り口に着地する。

 ディアルトはレンに近くで待機するように伝えると、エクシアから預かった手紙をミクシアへ渡すため、チャクミの入り口に立った。

 チャクミと大きく書かれた青い案内看板の下では、女性が2人、ペチャクチャおしゃべりを大声で楽しんでいる。

 その案内看板にはチャクミの大雑把な配置が記載されており、それを確認するためにディアルトが近づいていくと、そのおしゃべりをしていた女性二人がディアルトにペコリと頭を下げて、ニコっと笑って歓迎をした。

 色あせた青いローブを身に纏っており、みすぼらしい姿。

「ようこそチャクミへ。こちらへは一人で観光ですか?」

 女性は両方ともディアルトの母よりもさらに年上だろうか。

 子供一人がいきなり現れたので、向こうも警戒しているのが素直にわかる。

「ミクシアさんに会いにきたのですが。」

 ディアルトは深く頭を下げて一礼すると、緊張した表情で用件を告げた。

「はあ、ミクシアですか?めずらしい。」

 案内の女性は驚いた顔をして少し困った顔をした。

「お知り合いですか?どういう関係ですか?」

 ディアルトはエクシアからの手紙を見せ事情を話した。

「まあ!エクシア様から。ぜひエクシア様の状況をミクシア様にお伝えしてあげてください。いつも気にかけていますので、とても喜ばれると思いますよ。」

 すると、女性はチャクミの地図を出し、ある広場を指差した。

「ミクシア様はたぶん、ここにいると思います。」

 指差した先は工作所と書かれた場所だった。この入り口から遠くない場所である。

 ディアルトは礼を言うと、駆け足でその場所へ向かった。

 案内の女性は手を振って見送ると、またおしゃべりを始めた。


 工作所までの途中、道路に寝転がっている牛がいたり、鶏がバタバタと羽ばたいて近づいてきたり、本当にのどかな景色が広がっていた。

 建築物もほとんどが木造で、わらで編んだ家もあり、自然を感じさせる。

 チャクミの中央を流れる川から支流が至る所に網の目状に張り巡らされており、野菜の栽培も盛んである。

 工作所と記載された木製の大きな看板にたどり着くと、そこは金属や何かの電線、木材など色々な原材料が積み込まれた広場で、男数人が何かを作製していた。

 忙しくカンカンと金属が打ち込まれる音や、のこぎりで木を切る音、疲れを嘆く声がして、時々黒い煙が昇っている。どこか懐かしい。

 奥の方では小柄な女性が器用に配線をねじくりまわして力任せに何かのスイッチに突っ込んだりしている。

 この工作所の中はアルト村と同じような高度な技術を感じ、周囲ののどかな状態とは違和感が強い。

 ここだけしっかりとした石造りの建屋で、その中に金属製の機器が多く設置されていて、工場のような独特な油のにおいがすごい。

 恐る恐るディアルトが入っていくが、誰もが自分の作業に集中してこちらを気に留めない。

「ミクシアさんはいますか!!!」

 ディアルトは周囲の音に負けないように、大きな声を出した。

 すると手前の男性が作業を止め、ゆっくりと近づいてくる。
 エクシアよりも年上、無精ひげを生やした作業服姿だが、どこかエクシアの面影がある。

「俺がミクシアだ。どうした?誰だ、おまえ。」

 工作で汚れた青い衣服の埃を払いながら、ミクシアは分厚い手袋を口で外すと、ディアルトの持っている手紙を見た。

「おい、これはエクシアに持たせた地図だ。どうしておまえが持っている?」

 ディアルトは、今の言葉で確かにミクシア本人であると確信すると、その手紙を渡した。

 手袋を一度地面に置き、汚れていた手をズボンで拭くとミクシアは手紙を拾い読み始めた。表情が微妙に硬くなる。

「・・・ちょっと、一緒に来てくれ。状況を教えてくれ。」

「あ、はい。」

 ミクシアは手紙に目を通しながら、早足に無言のまま歩き始めた。
 それを追いかけるようにディアルトも早足で歩く。
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