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24 小国チャクミの円卓
しおりを挟む何も無い田舎道をしばらく歩くと、古い木造ではあるが、手の込んだ立派な造りの三階建ての建屋についた。
入り口には『チャクミ』と、黒く古い木に書かれた看板が飾られていた。ディアルトの身長よりも大きく、とても厚い。
「その看板はこのチャクミの創国当初、今からずっと昔に書かれたものなんだ。」
ディアルトが不思議そうにその看板を眺めていると、ミクシアがその看板を大切そうにトントンと撫でた。
そして中に入るように促す。それに素直に従うディアルト。
内部もすべて古い木で出来ており、所々に修繕した跡があるが、かなり昔に建築された物だというのは容易に想像できた。歩くとギシギシ音が鳴る。
中には円卓があり、その他いろいろ飾られているが、すべて古く地味な物である。
所々に珍しい手の込んだ彫刻が飾られており、よくわからない手紙も多く保管されている。
また、日の光が入りにくい設計になっているためか、薄暗く、中身をしっかりと確認することが出来ない。
そして独特な木の古い埃のにおいが立ち込めていた。
「その子は?」
部屋の奥から、かすれた声が聞こえた。ディアルトが暗い奥の部屋を覗き込んで目を凝らすと、ロウソクの小さな明かりで本を読む老女がいる。
「バブ様、この少年がエクシアの手紙を届けてくれました。」
ミクシアはバブという老女にその手紙を手渡した。小さな体に黒いローブを纏っている。
バブはその手紙を読む。
「この方はチャクミの長、バブ様。まあ、チャクミで一番偉い方だ。」
「え?あ、こんにちは。」
慌ててディアルトが頭を下げる。
「シュランでのことを細かく教えてくれないか?」
ミクシアが言うと手紙を読み終えたバブもディアルトの方を向いた。
ディアルトはうなずくとシュランでの出来事を話した。
知識部門長エクシアに襲われたこと、エクシアが撃たれたこと、チャクミのミクシアを頼れと言われた事。ただし火の原石の話は隠した。
「エクシアが両足を撃たれた・・・ 人質だから殺されはしないとは思うが・・」
ミクシアの震える声から動揺が痛いほど感じることができた。
「重要な話になる。ルビトとスパルも呼んできてくれ。」
「わかりました。」
ミクシアは頭を軽く下げると、急ぎでこの建家を出ていった。
「ディアルト殿、少し待たれよ。この菓子をあげよう。」
差し出された丸い白い菓子を受け取るとディアルトは口に運んだ。
味はないが面白い歯ごたえの菓子である。口の中でグニグニとかみ切れず、飲み込めない。
その困った表情のディアルトを見て、バブは少し笑った。
「エクシアはミクシアの弟だ。ミクシアの10歳年下で、7歳でイルエスタの人質になり、それから5年、ずっとイルエスタ領で暮らしている。」
ディアルトは、あのエクシアが12歳で自分と同じ年であると初めて知り、大きなショックを受けた。それに比べれば自分はなんて子供なんだろう。恥ずかしくなった。
「エクシアは僕をかばって・・・助けたい・・・」
バブは目を閉じた。そして首を振った。
「エクシアにはチャクミをイルエスタの脅威から守るという立派な覚悟がある。助けるというのはエクシア自身が望んではいないだろう。」
ディアルトはそれ以上、言葉がなかった。確かにエクシアの意志はその通りだった。
沈黙の気まずい時が流れ、ようやくミクシアが戻ってきた。
「連れてきました。」
「ルビト着きました。バブ様、お呼びでしょうか。」
ミクシアと同じぐらいの年齢の女性ルビトが部屋に入ると丁寧に頭を下げた。
「スパル入ります。」
中年の白髪交じりの男性が、綺麗に整え伸びた髪をかき上げて入ってきた。
円卓でバブの真正面にミクシアが座り、バブの右隣ルビト、左隣にスパルが座った。
「ここに来る途中にミクシアから話は聞きました。」
スパルが言うとバブはうなずいた。
「早速だが、チャクミの3代表が揃ったところで、決議して欲しいことがある。」
急に全員が姿勢を正して真剣な顔になると、決められたようにミクシア、ルビト、スパルが一斉にバブに向かい頭を下げた。
ディアルトも、バブの横で、つられて頭を下げる。
「今後のイルエスタとチャクミの関係について決定せよ。」
「はっ!」
バブの言葉を聞いて、3人が一斉に声をそろえて立ち上がった。
「討議は明日正午からとする。ミクシアはディアルトを連れ、面倒をみてやれ。」
「はっ!」
ミクシアが頭を下げた。
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