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27 代わりのない想い
しおりを挟む「3人が揃ったところで、早速討議を始める。議題は今後のイルエスタとチャクミの関係についてだ。」
バブは姿を隠すように円卓から少し離れた椅子に座った。
それを合図に、白髪交じりの髪をかき上げてスパルが口火を切る。
「今、イルエスタの機嫌を損ねるわけにはいきません。そのためには、今回のことを深く詫び、今以上に貢ぎ物を送るしかないと思います。」
続いて、女性ルビトが言った。
「私も、イルエスタとの関係を重視するべきだと思います。エクシア様のことを国として正式に謝り、貢ぎ物を増やすべきです。」
皆がミクシアの発言を待ったが、ミクシアは黙ったままだった。
再びスパルが続けた。
「我々が平和に暮らすためにはイルエスタに刃向かうわけにはいきません。皆さん、貢ぎ物を増やすため、苦労を掛けてしまいますが、どうかご容赦を!皆さんが平和に暮らすためです!」
周囲からは妥協の拍手がパラパラと起こった。
「また、正式にエクシアの件を謝罪し、イルエスタとの関係も強化しましょう。」
ルビトの言葉に、わずかな拍手がまた起こる。
そのとき、ミクシアが口を開いた。
「俺はエクシアをチャクミに戻し、イルエスタとの関係を終わりにし、真の独立国として進めるべきだと思う。」
周囲が一瞬静まり返った。ディアルトさえ、凍りついたように動けなかった。
「そんなことをしたらチャクミなんて一瞬で滅ぼされるのがわかるだろうが、馬鹿か!」
スパルが持っていた資料をミクシアに投げつけた。
「そうよ!今まで何のために我慢してきたの?こんなに平和な時間が流れているのに!」
ルビトも周囲を指差して言った。
「この平和を維持することこそ、われら3代表の使命でしょう。過去からずっとチャクミはそうやって暮らしてきたの!知ってるでしょ!!」
再び、パラパラと軽い拍手が巻き起こる。
「これが平和か!」
ミクシアの怒鳴った声に周囲が静まる。
「よく考えてくれ!エクシアがあんなことされて、何でチャクミが謝らなければならないんだ!独立国なのに貢ぎ物の量はイルエスタ国内の税金よりも多い!これ以上どうやってイルエスタとの関係を強化するんだ!イルエスタは俺たちとの関係なんて全く考えていない!」
「だからどうした!そんな矛盾、皆がわかっている!だが、生きるためには正しいことを捨てることも必要なんだ!!」
間髪入れず、スパルが叫んだ。
「そうよ!大人になりなさい!力のない国の平和なんて、大国の機嫌次第で簡単に吹き飛んでしまうの。わかるでしょ!?」
ルビトも続けた。
周囲は静まり、状況を見守る。
目を閉じ、ミクシアは静かに息を吐く。
「イルエスタの使者がもうすぐこのチャクミへ着く。次の人質を迎えに。」
周囲は一層静まり返る。そしてミクシアが続けた。
「エクシアが死んだそうだ。エクシアを戻すというのは亡骸をチャクミに戻すという意味だ。現時点では返還する気がないらしい。」
ミクシアの涙が頬を伝わり、円卓へと落ちた。
「代わりの人質をすぐに決めないと!」
ルビトの言葉に、思わずミクシアの拳がルビトの顔を目掛けて飛びそうになったが、それをディアルトが咄嗟に制した。
「俺の弟が死んだんだ!代わりなんかいるか!」
周囲が止めに入る。しかしミクシアは暴れるのをやめなかった。
スパルが落ち着いて諭すようにゆっくりとミクシアに近づく。
「ミクシアは実の弟が死んで悲しいだろうが、俺たちは現実を見なくてはいけない。このチャクミの民を守るためだ。早急に次の人質を決めないとイルエスタが機嫌を悪くする。」
ルビトも続けた。
「チャクミの民を守ろうとしてエクシアは犠牲になったのでしょう。だから彼の意思を継いでイルエスタと良い関係を作りましょう。これは、エクシアの望みだと思います。」
ミクシアは拳を握り締め、静かに下ろした。
スパルとルビトは、チャクミの民を守ること、エクシアの意思を継ぐことからすれば正しいと思った。
しかし、心はまだ理性を保てなかった。
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