炎光に誘われし少年と竜の蒼天の約束 ヴェアリアスストーリー番外編

きみゆぅ

文字の大きさ
35 / 62

34 パパ、おかえりなさい

しおりを挟む

 北西にカラン、北東にコラン、南西にキラン、南東にケラン。

「ここから先がコランです。」

 港が唯一あるカランから東のコランの方向へ馬を走らせる。

 途中キーンの紹介で立派な宿泊所に格安で泊まり、食事でも満足して、楽しい旅路だった。

 ララがレンの足を両手で掴んで空を飛ぶと、ブラブラとからだを動かして重心変動によるレンのからだの筋肉の動きを観察する。

 何度も同じことを繰り返されると、もうレンは諦めてされるがままにからだを自然に動かした。

 その空中のレンたちを追いかけるように馬を高速で進めていくと、やがてコランの国境を越え、さらにしばらく進む。

 国境といっても特に線も国境を監視する兵士も無く、ただの平地が広がるだけである。

 キーンが言うには、点々設置される拠点に国境を警備する兵士がいるらしいが、逃げた犯罪者を追うなど特別な対応が主らしい。

 何も会話無く、そのまま半日走り続け進むと、家がちらほら見え始め、人がようやく確認できた。

 さらに半日進むと、ようやくコラン国の首都コランについた。


 首都コランは、コラン城と城下町で成り立っており、コランの人口のほとんどはここに集まっている。

 城壁や城門は無く、外層から中心にあるコラン城に進むに従い立派な建物が建設されている。

 これは、コラン城付近に住むほど地位が高い証であり、高級な建物を建設して自らの財力や権力を示すためである。

 コラン城から離れている位置には屋根の無い道端の店が乱雑に連なっており、中心のコラン城に向かって藁の家、木の家、石の家、二階建て、三階建てと立派になっていく。

 その中でコラン城だけは真っ白の石を切り出した他とは比較にならないほど綿密で高貴で芸術的な設計で、頑丈で高層の背の高い造りになっており、隣の三階建ての建物よりも4~5倍の高さがある。

 コラン城下町からであれば、どこからでもコラン城が視認できる。

 コラン城のちょうど中段あたりから屋外へ出てぐるりと一周できる箇所があり、首都コラン全体を見回せるようになっている。

 コランにもすでにイルエスタの兵士と思われる者がちらほらと確認でき、その影響か、人通りもまばらで、外に出ている人も少ない。

 夜になるまで少し離れた場所で身を隠し、完全に暗くなってから裏道を通り抜け、コラン城付近の二階建てのキーンの家に素早く入り込む。

 キーンの妻が事情を察して地下室へと案内すると、そこには飲み物や食べ物が準備されていた。

 薄暗く、嫌な臭いがするが、ようやく一息つけると、皆がからだを休ませた。

 20人以上が入っても十分の広さのある立派な地下室である。

「へぇ、金持ちだぁ。」

 誰かが、ぽつりとつぶやいた。



「パパ、おかえりなさい。」

 キーンの息子であるコーンが駆け寄ると抱きついた。

 ミクシアたちと同じ年齢ぐらいの青年、コーンの兄クーンが、その様子を見て笑う。

 キーンが息子二人と対面して座ると、用意されたアルコールをぐぅっと飲み干した。

「この前、チャクミに遊びに行ったばかりだけどね。」

 コーンがキーンにくっついて座ると、どこからか持ってきたジュースをキーンのように飲み干した。

「でも、無事でよかった。今、イルエスタの兵士が増えていて、険悪な雰囲気なんだ。この前もイルエスタの兵士がコランの城下町付近で何か調査をしていたし。」

 兄のクーンが心配した表情で横に座る。

「そうか。そうか。なかなか大変な状況なんだな。お久しぶり。」

 ミクシアがその二人の息子に手を挙げて挨拶をすると、コーンとクーンが頭をコクリと下げて礼をした。

「よく迎えに来てくれた。大変だっただろう。」

 ミクシアが笑うと、コーンが同じように笑って返す。

 それからまた、キーンに寄りかかって甘える。

 緊張がほぐれて、ゆったりと食事をしたり、チャクミからコランまでの旅路を思い出したり、その場で休んだりと、まったりとした空気が流れ、その流れで、その場で眠りについていった。

「でも、本当に爆発されちゃうのかな・・・?」

 ディアルトが不安そうにミクシアに問いかける。

「わからん。そんなの。今日は寝るぞ。明日考える。寝ない子は育たないから早く寝ろよ。」

「明日、そうだね、今日は眠い。」

「ちょっと今から、レンを借りるぞ。」

「え?あ、わかった。無理はさせないでね。」

「おう。」

 ミクシアが大きく伸びをして、首を左右にコキコキと鳴らして歩くと、キーンに何かを告げて、地下から外へと出て行く。

「レン!いるのか?」

「うん?」

 ミクシアがレンを探して呼び寄せると、少し会話をしてからレンが高速で飛び去って行った。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

娘を返せ〜誘拐された娘を取り返すため、父は異世界に渡る

ほりとくち
ファンタジー
突然現れた魔法陣が、あの日娘を連れ去った。 異世界に誘拐されてしまったらしい娘を取り戻すため、父は自ら異世界へ渡ることを決意する。 一体誰が、何の目的で娘を連れ去ったのか。 娘とともに再び日本へ戻ることはできるのか。 そもそも父は、異世界へ足を運ぶことができるのか。 異世界召喚の秘密を知る謎多き少年。 娘を失ったショックで、精神が幼児化してしまった妻。 そして父にまったく懐かず、娘と母にだけ甘えるペットの黒猫。 3人と1匹の冒険が、今始まる。 ※小説家になろうでも投稿しています ※フォロー・感想・いいね等頂けると歓喜します!  よろしくお願いします!

帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす

黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。 4年前に書いたものをリライトして載せてみます。

アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。  そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。  【魔物】を倒すと魔石を落とす。  魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。  世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。

残念ながら主人公はゲスでした。~異世界転移したら空気を操る魔法を得て世界最強に。好き放題に無双する俺を誰も止められない!~

日和崎よしな
ファンタジー
―あらすじ― 異世界に転移したゲス・エストは精霊と契約して空気操作の魔法を獲得する。 強力な魔法を得たが、彼の真の強さは的確な洞察力や魔法の応用力といった優れた頭脳にあった。 ゲス・エストは最強の存在を目指し、しがらみのない異世界で容赦なく暴れまくる! ―作品について― 完結しました。 全302話(プロローグ、エピローグ含む),約100万字。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活

シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!

異世界ランドへようこそ

来栖とむ
ファンタジー
都内から車で1時間半。奥多摩の山中に突如現れた、話題の新名所――「奥多摩異世界ランド」。 中世ヨーロッパ風の街並みと、ダンジョンや魔王城を完全再現した異世界体験型レジャーパークだ。 26歳・無職の佐伯雄一は、ここで“冒険者A”のバイトを始める。 勇者を導くNPC役として、剣を振るい、魔物に襲われ、時にはイベントを盛り上げる毎日。 同僚には、美人なギルド受付のサーミャ、エルフの弓使いフラーラ、ポンコツ騎士メリーナなど、魅力的な“登場人物”が勢ぞろい。 ――しかしある日、「魔王が逃げた」という衝撃の知らせが入る。 「体格が似てるから」という理由で、雄一は急遽、魔王役の代役を任されることに。 だが、演技を終えた後、案内された扉の先にあったのは……本物の異世界だった! 経営者は魔族、同僚はガチの魔物。 魔王城で始まる、まさかの「異世界勤務」生活! やがて魔王の後継問題に巻き込まれ、スタンピードも発生(?)の裏で、フラーラとの恋が動き出す――。 笑えて、トキメいて、ちょっと泣ける。 現代×異世界×職場コメディ、開園!

一般トレジャーハンターの俺が最強の魔王を仲間に入れたら世界が敵になったんだけど……どうしよ?

大好き丸
ファンタジー
天上魔界「イイルクオン」 世界は大きく分けて二つの勢力が存在する。 ”人類”と”魔族” 生存圏を争って日夜争いを続けている。 しかしそんな中、戦争に背を向け、ただひたすらに宝を追い求める男がいた。 トレジャーハンターその名はラルフ。 夢とロマンを求め、日夜、洞窟や遺跡に潜る。 そこで出会った未知との遭遇はラルフの人生の大きな転換期となり世界が動く 欺瞞、裏切り、秩序の崩壊、 世界の均衡が崩れた時、終焉を迎える。

処理中です...