炎光に誘われし少年と竜の蒼天の約束 ヴェアリアスストーリー番外編

きみゆぅ

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34 パパ、おかえりなさい

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 北西にカラン、北東にコラン、南西にキラン、南東にケラン。

「ここから先がコランです。」

 港が唯一あるカランから東のコランの方向へ馬を走らせる。

 途中キーンの紹介で立派な宿泊所に格安で泊まり、食事でも満足して、楽しい旅路だった。

 ララがレンの足を両手で掴んで空を飛ぶと、ブラブラとからだを動かして重心変動によるレンのからだの筋肉の動きを観察する。

 何度も同じことを繰り返されると、もうレンは諦めてされるがままにからだを自然に動かした。

 その空中のレンたちを追いかけるように馬を高速で進めていくと、やがてコランの国境を越え、さらにしばらく進む。

 国境といっても特に線も国境を監視する兵士も無く、ただの平地が広がるだけである。

 キーンが言うには、点々設置される拠点に国境を警備する兵士がいるらしいが、逃げた犯罪者を追うなど特別な対応が主らしい。

 何も会話無く、そのまま半日走り続け進むと、家がちらほら見え始め、人がようやく確認できた。

 さらに半日進むと、ようやくコラン国の首都コランについた。


 首都コランは、コラン城と城下町で成り立っており、コランの人口のほとんどはここに集まっている。

 城壁や城門は無く、外層から中心にあるコラン城に進むに従い立派な建物が建設されている。

 これは、コラン城付近に住むほど地位が高い証であり、高級な建物を建設して自らの財力や権力を示すためである。

 コラン城から離れている位置には屋根の無い道端の店が乱雑に連なっており、中心のコラン城に向かって藁の家、木の家、石の家、二階建て、三階建てと立派になっていく。

 その中でコラン城だけは真っ白の石を切り出した他とは比較にならないほど綿密で高貴で芸術的な設計で、頑丈で高層の背の高い造りになっており、隣の三階建ての建物よりも4~5倍の高さがある。

 コラン城下町からであれば、どこからでもコラン城が視認できる。

 コラン城のちょうど中段あたりから屋外へ出てぐるりと一周できる箇所があり、首都コラン全体を見回せるようになっている。

 コランにもすでにイルエスタの兵士と思われる者がちらほらと確認でき、その影響か、人通りもまばらで、外に出ている人も少ない。

 夜になるまで少し離れた場所で身を隠し、完全に暗くなってから裏道を通り抜け、コラン城付近の二階建てのキーンの家に素早く入り込む。

 キーンの妻が事情を察して地下室へと案内すると、そこには飲み物や食べ物が準備されていた。

 薄暗く、嫌な臭いがするが、ようやく一息つけると、皆がからだを休ませた。

 20人以上が入っても十分の広さのある立派な地下室である。

「へぇ、金持ちだぁ。」

 誰かが、ぽつりとつぶやいた。



「パパ、おかえりなさい。」

 キーンの息子であるコーンが駆け寄ると抱きついた。

 ミクシアたちと同じ年齢ぐらいの青年、コーンの兄クーンが、その様子を見て笑う。

 キーンが息子二人と対面して座ると、用意されたアルコールをぐぅっと飲み干した。

「この前、チャクミに遊びに行ったばかりだけどね。」

 コーンがキーンにくっついて座ると、どこからか持ってきたジュースをキーンのように飲み干した。

「でも、無事でよかった。今、イルエスタの兵士が増えていて、険悪な雰囲気なんだ。この前もイルエスタの兵士がコランの城下町付近で何か調査をしていたし。」

 兄のクーンが心配した表情で横に座る。

「そうか。そうか。なかなか大変な状況なんだな。お久しぶり。」

 ミクシアがその二人の息子に手を挙げて挨拶をすると、コーンとクーンが頭をコクリと下げて礼をした。

「よく迎えに来てくれた。大変だっただろう。」

 ミクシアが笑うと、コーンが同じように笑って返す。

 それからまた、キーンに寄りかかって甘える。

 緊張がほぐれて、ゆったりと食事をしたり、チャクミからコランまでの旅路を思い出したり、その場で休んだりと、まったりとした空気が流れ、その流れで、その場で眠りについていった。

「でも、本当に爆発されちゃうのかな・・・?」

 ディアルトが不安そうにミクシアに問いかける。

「わからん。そんなの。今日は寝るぞ。明日考える。寝ない子は育たないから早く寝ろよ。」

「明日、そうだね、今日は眠い。」

「ちょっと今から、レンを借りるぞ。」

「え?あ、わかった。無理はさせないでね。」

「おう。」

 ミクシアが大きく伸びをして、首を左右にコキコキと鳴らして歩くと、キーンに何かを告げて、地下から外へと出て行く。

「レン!いるのか?」

「うん?」

 ミクシアがレンを探して呼び寄せると、少し会話をしてからレンが高速で飛び去って行った。

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