36 / 62
35 ラン大陸の危機
しおりを挟む次の日の朝。
「ぎゃああああああぁ!!!」
外からキーンの嫁の大きな叫び声が響くと、眠気を纏ったまま一斉に地下室からその声の方向へ飛び出していく。
良く晴れた空の下、庭で震えながら、キーンの嫁がフライパンを構える。
その前に困った表情の一匹の深紅の大きな竜。ぜいぜいと息を切らせて、少し前倒しの態勢でからだを休めている。
「それは仲間だ。」
キーンが嫁に近づくと、ポンと肩に手をかける。
「はぁ。ひどいよーそんなにびっくりするなんて。」
レンがしゃべると、さらに驚いた表情で急いでキーンの後ろに隠れる嫁。
ミクシアが笑った。
「そんなことよりも、手紙預かってきたよ。」
「おう、悪いな。思ったより早かった。」
「風が追い風だったからね。あと、ミクシアのお父さんが急いでって言ったから、本気で頑張ったよ。」
「ありがとう。大役だ。」
レンの首に強く巻かれたツルツルの布から手紙を取り出すと、丁寧にそれを広げていく。
その顔は険しく、目をつぶった。
ミクシアが考え込む様にうなずくと、キーンがとりあえず家に入るように促した。
キーンの家の地下に戻ると、ミクシアはキーンとディアルトに声をかけて、3人で地下室から、キーンの自室へと移動した。
「まあ、悪い予感はよく当たるってやつだ。」
イルエスタにいるミクシアの兄、アクシアからの手紙だった。
「兄のアクシアはイルエスタの情報機関で活動をしている。」
手紙をキーンに渡すとキーンも顔を曇らせた。
「なんて書いてあるの?」
ディアルトが聞くと、ミクシアが真剣な顔をして、うなずいた。
「簡単に言うと、原石同士の接触による破壊をこのラン大陸の中央のどこかで計画している。爆破用の原石はイルエスタ国から現在移動中。4日後にこの大陸に運び込み、爆破を実行。巻き込まれないように早急に退避せよ、だそうだ。」
「4日後って、避難させないと!」
慌てるディアルトにミクシアは首を振った。
「ラン大陸とイルエスタを結ぶ船はすでに運航を中止、この大陸にいるイルエスタ国の兵士も巻き添えにして爆破を行う気だろう。」
「まさか、四国を破壊して、自分たちの仲間まで犠牲にして原石を入手するつもりか!?」
キーンが声を荒げる。
「イルエスタにとっては、俺らなんてその程度の存在なんだろうな。」
手紙を握りつぶすと、ミクシアがこぶしに力を込めた。
そして、もう一通、手紙を取り出す。
「これは、ディアルトにだ。」
受け取ったディアルトは、それをじっと見つめると首を傾げた。
「難しい字は読めない。読んでよ。」
ミクシアに手紙を返す。
「アイスレリア付近でイルエスタへ連行された者の情報はないそうだ。」
「え?どういうこと?父さんとかは?」
「うん、全く情報がないみたいだな。少なくともイルエスタの情報機関には。」
「よくわかんないけど、どういうこと?」
「俺もわからん。まあ、イルエスタまで、まだ到着していないのか、他のところに連れていかれたのか、道中何かあったのか。まあ、逃げたっていう可能性もある。うん。わからん。」
不安な顔のディアルトにミクシアが首を傾げると、手紙をディアルトに渡した。
「文字の勉強をして、自分で読めるようになれ。」
「そんなぁ。わかった。」
手紙を大切に片付けた。
18
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記
ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。
そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。
【魔物】を倒すと魔石を落とす。
魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。
世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。
【完結】発明家アレンの異世界工房 ~元・商品開発部員の知識で村おこし始めました~
シマセイ
ファンタジー
過労死した元商品開発部員の田中浩介は、女神の計らいで異世界の少年アレンに転生。
前世の知識と物作りの才能を活かし、村の道具を次々と改良。
その発明は村の生活を豊かにし、アレンは周囲の信頼と期待を集め始める。
50代無職、エルフに転生で異世界ざわつく
かわさきはっく
ファンタジー
就職氷河期を生き抜き、数々の職を転々とした末に無職となった50代の俺。
ある日、病で倒れ、気づけば異世界のエルフの賢者に転生していた!?
俺が転生したのは、高位エルフの秘術の失敗によって魂が取り込まれた賢者の肉体。
第二の人生をやり直そうと思ったのも束の間、俺の周囲は大騒ぎだ。
「導き手の復活か!?」「賢者を語る偽物か!?」
信仰派と保守派が入り乱れ、エルフの社会はざわつき始める。
賢者の力を示すため、次々と課される困難な試練。
様々な事件に巻き込まれながらも、俺は異世界で無双する!
異世界ざわつき転生譚、ここに開幕!
※話数は多いですが、一話ごとのボリュームは少なめです。
※「小説家になろう」「カクヨム」「Caita」にも掲載しています。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる