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37 私の設計は完璧
しおりを挟む「よし、じゃあ場所を移動しようか。地下で組み立てるわけにもいかないからな。部品をカランの港まで移動させて、そこで組み立てる。」
一旦離れていたミクシアが戻ると、地下室から仮組した部品を運ぶように指示を出す。
表には立派な騎馬が複数準備されており、大急ぎで部品を運搬する手はずを整えていた。
運搬の効率化のために途中交換させる馬も準備して、一気にカランの港まで運ぶらしい。
既に作業を始めてから、一日が経過しようとしていた。
全員本当の不眠不休。
さすがに言葉少なく、イライラする様子も見受けられる。
このタイミングで少し手を休められるのは、誰もが心の底からの解放感を感じることができた。
「あーーー明るい。やっぱ昼か。」
工作所の誰かが叫んだ。地下室から地上に上がると、大きく伸びをして太陽の方向にからだを向けてその熱と光をいっぱい受ける。
自然の風と新鮮な空気に、大いに満足する。
「ちょっと休憩してくれ。コランの特産物を使った料理を準備させた。装置の移動はこっちで責任をもって進めるから、運搬指示だけはくれ。」
ジーンが料理を運び込むと、ミクシアが地下に戻り、コランの運搬役に丁寧に運ぶ方法や注意点を伝える。
他の者はキーンの家の庭に準備された料理をパクパクモグモグバクバクと食べ、その太陽の日の下で仮眠をとった。
工作所の者達は、コランが準備した馬車での移動となり、その移動中はドタドタと振動で揺れはしても、そんなことは気にせずに、眠れることに喜びを感じながら、からだを休めた。
「はい、ここが角度的にも、距離的にも、視覚的にもベストだと思います。ちょっと風の影響を受けますが。」
カランの港を眼下に見下ろす山の中腹で、チャクミ工作場の数学が得意なマスモが、周囲を細かく調査した結果から導き出された設置位置の計算を終了させた。
そこからは、海が遠くまで見通せる。風がビュービューと音を立てて強く吹いていた。
「予想していたより風が強いな。」
ミクシアが空を見上げると、この山の中腹よりも高い位置の木々が強く揺れている。
それに小さく首を傾げて少し考え込むと、一度うなずいた。
「まあ、ここにしよう。」
ミクシアの指示で外から見えないように白い布で四方を目隠しした空間が準備され、その周りを護衛の兵士が囲った。
それと同時に、金属製の重厚な筒や、土台となる部位を大人数で運び込み、さらにそれらの組み立てを補助するコランの技師も10数人手伝いに加わった。
「ふぇ・・・こんな短時間で設計して組み立てまでできるのかね?すごい技術だ。」
組み立て補助の一人が、まだバラバラな部品の羅列ではあるが、その完成形が予測できる状況に大いに感心した。
それはロケット型の爆撃砲。固定砲台で航海中の原石を積んだ船を精度よく狙い撃つには最適の性能を有しているものだった。
ただ発射して飛行させるだけだったら簡単な造りで問題ないが、今回は動く船をピンポイントで、高精度で撃ち抜く必要がある。
しかも、試射はできない。警戒されたら、イルエスタ船の回避を予想した複雑な戦略が必要になる。
逃げられて原石の存在場所がわからないと、もう、どうにもならなくなってしまう。原石を積んだ船の航路と時間がある程度予想できているこの機会を逃すわけにはいかなかった。
もう、コランの都合の良い条件が重なることを祈るしかなかった。
「私の設計は完璧。」
ララの寝言。どんなに起こしても、起きない。
「もう設計の仕事は終わりだろう。そのまま寝かしておけ。」
ミクシアがよだれを垂らして大股開いて寝るララに、持っていた白い布を放り投げて姿を隠した。
結局それを3台組み立てるのにさらに1日を費やした。
指定した山の中腹に、距離を等間隔に少し離して3台の設置を完了させる。
「なんとか間に合ったか。」
キーンが疲れて倒れて眠り込むチャクミの工作場の人々を眺めながら、その3台の爆撃砲の可動域や火薬の状況をチェックする。
「そうだな、やればできるってことだ。」
ミクシアも地面に座り込んで、眠たそうにウトウトしている。
夜明け。
今日がイルエスタが原石をこの大陸に運び込み、爆破実行する予定の4日目。
何とか間に合ったという達成感と、いつ運び込まれるかという緊張感。
とりあえずこの場の見張りはコラン国とカラン国の兵士に任せて、からだを休めた。
「ディアルトとレンはまだか?」
ミクシアが空を見上げた。
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