39 / 62
36 爆撃砲とコラン王
しおりを挟む「これが、爆撃砲という物なのですね。」
か細い声。
強いざわめき。
周囲の兵士たちが直立すると、緊張の中、示し合わせたように一斉に礼をする。
ミクシアが見上げると、そこには自分よりも若い青年が立っていた。
キーンとジーンが駆け寄ると、二人ともが同時に片膝をついて、頭を下げた。
「こちらは?」
ミクシアが片膝でその場に立つと、同じように頭を下げた。
「コラン王だ。」
キーンが小さく告げる。
「これは失礼。」
ミクシアが慌ててキーンたちと同じように片膝をついて頭を下げる。
「ゴホッ、楽にしていてください。見学に来ただけですから。ゴホッ」
コラン王がからだを震わして咳をすると、ゼイゼイと荒い呼吸をする。
ジーンが椅子を準備するが、コラン王はミクシアの隣に座った。
咳による感染を警戒して、ミクシアがわずかにコラン王との距離を空ける。
「ジーンから聞きました。チャクミのミクシアさん。コランやこの大陸のために尽力していただき、ありがとうござ
いま・・ゴホッツ。」
「いや、まあ、はい。」
困ったミクシアは再び頭を下げた。
「でも、コホッ・・その原石というのは防げるので・・」
「ああー、そうですね!」
ミクシアが言葉を遮る。
「原石のことは伏せておいてくださいとお伝えしたはずです。知れば混乱を起こします。」
ジーンがコラン王にからだを接して、周りには聞こえない声で少し強めに諭す。
「そうでした。すみません。」
反省した態度でコラン王が頭を下げる。
「いえ。本当にここだけの話としておいてください。」
ジーンがコラン王の耳元でささやくと、コラン王が口を小さく開けて息を吐く。
「実はカラン、キラン、ケランの国王には使いを送ってしまいました。」
「そうですか。何か反応はありましたか?」
「いや、特に何も。でも、もうこの大陸に三国の王はいないかもしれません。」
「と、いいますと?」
「先日のラン大陸の王の集まりで、他の国の王たちはイルエスタに交渉に行くと言っていた。重臣も連れて行くと。」
「確かに、賢い選択ともいえます。コラン王も見習うべきかと。できるだけ早急に。」
ミクシアが少し距離を離す。
「警戒して、明るいうちはイルエスタの船は入らないと思われます。おそらく、暗闇に紛れて運び込むはず。それまでにコラン王はこの大陸を離れて身を隠した方がいいと思います。」
「うっ・・・」
その場にゆっくりとコラン王がジーンの方に倒れ込む。
「コラン王、とりあえず城に戻ってください。」
「すまない。ゴホッゴホ・・・」
それをミクシアが複雑な表情でジッと見つめている。
「ジーンよ、コラン王をお連れしてくれ。悪いが俺らはミクシアとこっちに集中したい。」
キーンがミクシアの表情から察すると、ジーンにだけ聞こえる距離で告げる。
「ああ、わかった。」
ジーンがコラン王に肩を貸して歩き出す。
「ちょっと待ってください。頼みがあります。」
ミクシアがジーンとコラン王に近づくと、短く告げた。
「軍を?それは構いませんが、理由を教えて、いや、緊急時だ。任せます。キーンの主人よ。とりあえず、ここの200人は私の指揮下にある者たち。自由に使ってください。」
「ありがとうございます。」
ミクシアが早速その200人を束ねる隊長に色々告げると、兵を複数に分けて指示を与える。
少し首を傾げながら、その兵士たちはどこかへと消えていった。
「くそ!ディアルトとレンはまだか!」
ミクシアが空を強く眺めた。
それからしばらく、色々バタバタが続いた。
やがて夕方。
まだ、ディアルトとレンは戻らない。
21
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記
ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。
そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。
【魔物】を倒すと魔石を落とす。
魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。
世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。
50代無職、エルフに転生で異世界ざわつく
かわさきはっく
ファンタジー
就職氷河期を生き抜き、数々の職を転々とした末に無職となった50代の俺。
ある日、病で倒れ、気づけば異世界のエルフの賢者に転生していた!?
俺が転生したのは、高位エルフの秘術の失敗によって魂が取り込まれた賢者の肉体。
第二の人生をやり直そうと思ったのも束の間、俺の周囲は大騒ぎだ。
「導き手の復活か!?」「賢者を語る偽物か!?」
信仰派と保守派が入り乱れ、エルフの社会はざわつき始める。
賢者の力を示すため、次々と課される困難な試練。
様々な事件に巻き込まれながらも、俺は異世界で無双する!
異世界ざわつき転生譚、ここに開幕!
※話数は多いですが、一話ごとのボリュームは少なめです。
※「小説家になろう」「カクヨム」「Caita」にも掲載しています。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる