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36 爆撃砲とコラン王
しおりを挟む「これが、爆撃砲という物なのですね。」
か細い声。
強いざわめき。
周囲の兵士たちが直立すると、緊張の中、示し合わせたように一斉に礼をする。
ミクシアが見上げると、そこには自分よりも若い青年が立っていた。
キーンとジーンが駆け寄ると、二人ともが同時に片膝をついて、頭を下げた。
「こちらは?」
ミクシアが片膝でその場に立つと、同じように頭を下げた。
「コラン王だ。」
キーンが小さく告げる。
「これは失礼。」
ミクシアが慌ててキーンたちと同じように片膝をついて頭を下げる。
「ゴホッ、楽にしていてください。見学に来ただけですから。ゴホッ」
コラン王がからだを震わして咳をすると、ゼイゼイと荒い呼吸をする。
ジーンが椅子を準備するが、コラン王はミクシアの隣に座った。
咳による感染を警戒して、ミクシアがわずかにコラン王との距離を空ける。
「ジーンから聞きました。チャクミのミクシアさん。コランやこの大陸のために尽力していただき、ありがとうござ
いま・・ゴホッツ。」
「いや、まあ、はい。」
困ったミクシアは再び頭を下げた。
「でも、コホッ・・その原石というのは防げるので・・」
「ああー、そうですね!」
ミクシアが言葉を遮る。
「原石のことは伏せておいてくださいとお伝えしたはずです。知れば混乱を起こします。」
ジーンがコラン王にからだを接して、周りには聞こえない声で少し強めに諭す。
「そうでした。すみません。」
反省した態度でコラン王が頭を下げる。
「いえ。本当にここだけの話としておいてください。」
ジーンがコラン王の耳元でささやくと、コラン王が口を小さく開けて息を吐く。
「実はカラン、キラン、ケランの国王には使いを送ってしまいました。」
「そうですか。何か反応はありましたか?」
「いや、特に何も。でも、もうこの大陸に三国の王はいないかもしれません。」
「と、いいますと?」
「先日のラン大陸の王の集まりで、他の国の王たちはイルエスタに交渉に行くと言っていた。重臣も連れて行くと。」
「確かに、賢い選択ともいえます。コラン王も見習うべきかと。できるだけ早急に。」
ミクシアが少し距離を離す。
「警戒して、明るいうちはイルエスタの船は入らないと思われます。おそらく、暗闇に紛れて運び込むはず。それまでにコラン王はこの大陸を離れて身を隠した方がいいと思います。」
「うっ・・・」
その場にゆっくりとコラン王がジーンの方に倒れ込む。
「コラン王、とりあえず城に戻ってください。」
「すまない。ゴホッゴホ・・・」
それをミクシアが複雑な表情でジッと見つめている。
「ジーンよ、コラン王をお連れしてくれ。悪いが俺らはミクシアとこっちに集中したい。」
キーンがミクシアの表情から察すると、ジーンにだけ聞こえる距離で告げる。
「ああ、わかった。」
ジーンがコラン王に肩を貸して歩き出す。
「ちょっと待ってください。頼みがあります。」
ミクシアがジーンとコラン王に近づくと、短く告げた。
「軍を?それは構いませんが、理由を教えて、いや、緊急時だ。任せます。キーンの主人よ。とりあえず、ここの200人は私の指揮下にある者たち。自由に使ってください。」
「ありがとうございます。」
ミクシアが早速その200人を束ねる隊長に色々告げると、兵を複数に分けて指示を与える。
少し首を傾げながら、その兵士たちはどこかへと消えていった。
「くそ!ディアルトとレンはまだか!」
ミクシアが空を強く眺めた。
それからしばらく、色々バタバタが続いた。
やがて夕方。
まだ、ディアルトとレンは戻らない。
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