炎光に誘われし少年と竜の蒼天の約束 ヴェアリアスストーリー番外編

きみゆぅ

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39 静寂の後の炎

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 一瞬の静寂。

「あなたが、指揮官ね。」
「まあな。今は忙しいんだが。」

 ミクシアが空を見上げる。
「何が目的だ?」

「ん? そりゃ、こんな位置に砲台を作ってたら邪魔したくなるじゃん。」

「なんだそりゃ。邪魔しないでくれないか?」

「困るのよね。余計なことをされると。」

「余計? ということは、何が起こるかは把握してる感じだな。」

 ミクシアが手で合図をして周囲の兵士を下がらせる。
「あなた方よりはね。よく知ってるよ。」

 その女性が銃を下ろすと、少し距離を取る。ミクシアが振り向き、対面する。やはり顔は見えない。
「だったら、ラン大陸を守るために邪魔する気持ち、わかってくれるだろう?」

「あのさ、どうやってあれを妨害するつもり? こんな砲台を作って。」

「想像通りよ。これで、あれを積んだ船を撃ち沈めるの。」

「そしたらどうなる?」

「そしたら? 海中で爆発するだろうな。」

「爆発したら?」

「海中なら衝撃は抑えられるだろう。」

「アホ。無知って怖いのよね。」

「あ?」

「海中の衝撃で大きな津波が起きるなんて考えなかった?イルエスタに影響が出たら困るのよね。この港も津波で壊滅する。ここも多分ダメになるよ。」

「あ?」

「もういいや。面倒になってきた。」

 その女性が再び銃を右手に取ると、左手を挙げて上方に合図を出す。
 同じタイミングで、女性の背後からミクシアと彼女を囲むように金属製の棒が四本、地面に突き刺さった。
 そのうち一本からコードが伸び、どこかへつながっている。

「ん? なに?」
「おい!」

 慌てるミクシア。それを本能的に避けて後ろに跳ぶ女性。
「はい、スイッチオン」

 ララの声。
 青い電光が金属の棒を伝うように走ると、バチバチと音を立てて煙が立ち上った。

「ぐぁっ!」

 ミクシアがその場に倒れ込む。
 女性も地面を蹴って飛び跳ねたが、電光に覆われた右足を抱え込み、転げ落ちた。

「はい、捕まえた。」

 ララがニヤリと笑う。
「それは残念ね。」

 女性は倒れたまま、上方へ左手を挙げて合図を返すと、より高所から複数の銃口がこちらへ向いた。
 その女性も巻き込むように至近距離まで銃弾が降り注いでくる。

「はい、動けば仲間を無事に返せないよ? 分かるよね? あそこにいた兵士たちはすべて私たちの手の中にいるの。」

「あそこで待機していたコラン兵の鎧を着ているのか。」
「そう。」

「で、お前ならこの状況をどうにかできるのか?」

 全身がしびれて動けないまま仰向けのミクシアが細い声を絞り出す。
「なんで?」

「俺たちを殺すだけなら、いきなり攻撃しているだろう。」
「まあね。」
「で、どうしたいんだ?」

「あのね、色々あるのよ。とりあえず私の任務はこれ。」

 その女性が右足を引きずるように立ち上がると、手で離れるように合図してから、自分の鎧の中、胸から赤色の石を取り出す。 それは、暗闇の中で猛火のように赤く輝く手のひらに包まれる程度の小さな石。 
 誰もがその異常なほどの眩しい輝きに恐ろしさから、慌てて離れていく。
「火の原石にそっくりだけど、何か違う。」
 ディアルトが少し離れたところから困惑して声をあげる。

「ほい!」

 その女性が足を高く挙げ、上手投げで勢いよく中央の爆撃砲の台座めがけて赤く輝く石を放り投げた。
 ガラスが砕けるような綺麗な音が響き、灼熱の炎の渦が上空まで巻き上がった。熱風と眩い光が暴れ、周囲に恐怖をまき散らす。

「ひゃあぁ!!」

 いきなりの出来事に、人々は蜘蛛の子を散らすように一斉にその場を離れて走り去った。
 大地がその熱と爆撃砲の重さに耐え切れず崩れると、一台が斜面から転げ落ち、残る二台も激しく傾いた。

 燃える物が尽きると火はすぐに消え、代わりに白い煙が周囲を包んで視界を奪った。

「海中もダメ、陸上でも爆発させたくない。じゃあ、答えは自ずと出ているだろう?」

「うるさいな。」

「それ、気づいているんだ。じゃあもう大丈夫ね。私はここで。後はよろしく、チャクミの王子様。」

「仲間を何だと思っているんだ。」
「アホ。あ、船が到着するとすぐに大爆発するかもしれないから、よろしくね。粗悪な、たぶんタイマーを使っているから。」

「それは想定している。」

 煙が濃く立ちこめ、視界はほとんどゼロだ。わずかでも目を開ければ、煙がしみて目をぎゅっと閉じざるを得ない。
 何か特殊な植物か薬剤でも混ぜて燃やしたのだろう。煙は強い刺激を持ち、目だけでなく喉まで焼けるようで、その場に倒れて苦しむ者も出た。

 しばらくその状態が続いた。
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