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41 おまじない
しおりを挟むカランの港から離れたこの場所まで騒ぎ声が風に乗って響いてくる。
いつの間にか、原石によってラン大陸が破壊されつつあるという情報が広まり、、地下に逃げる者、港に船を求める者、いかだで逃げようとする者、あきらめて寝る者、最後に美味しい酒を飲む者、ひとそれぞれだが、ひどいパニックの状況になっていた。
「さすがにこの状況を放っておくわけにもいかないか。よし、先にそっちを片付けておこう。」
ミクシアがあちこち歩き回り、先程の炎で破壊された兵器や部品を眺める。
その中からいくつかを選ぶと、近くにあった工具でテキパキとそれらを組み合わせて、さらに火薬を大量に加えて、導火線を長くして即席に兵器を完成させる。
「ディアルト、これを担いでここのあたりで待機をしてくれ。そして、合図をしたら、放り投げてこのボタンを押すんだ。押してから、5秒後に音と光が放射される。できるだけ海面付近で放射できるようしてくれ。でかい音と眩しい光だから、気を付けろよ。」
「わかった。でもナニコレ?」
「まあ、おまじないってやつだ。」
リヴィエラがその兵器を背負うと、その兵器に設置されたボタンの位置を手で確認する。
「頼んだぞ。」
ミクシアが真剣な顔でリヴィエラとレンの腕に触れる。
大きく羽ばたいて少しからだを浮かせたレンの両足に掴まり、指定された位置へと飛び立っていく。
「キーン、お前にも大役がある。」
「なんでもやれることならやるが。」
ミクシアがキーンに色々耳打ちする。
「さて、移動するぞ。」
ミクシアが必要な兵器や部品、工具を選択して分担すると、ここに残っていたチャクミの工作場員とわずかに残ったコラン兵を率いて、山の中腹からカランの港へと下っていった。
カランの港。
近づくにつれて人の数が増えていく。
大勢の人がさらに集まっていく。
どこから手配したのか多くの船が停船しており、乗り込んでいくのは明らかに身分の高い、高貴な格好をしている者達。
その周りでは、暴動が所々発生し、一部の船にはその暴徒が乗り込み占拠して、それを取り戻そうとどこかの兵士が押し寄せている。
人が波のように押し寄せて、そこで小競り合いが発生したり、迷子の姿も確認できる。
叫び声や鳴き声、争う声が聞こえてもう、どうにもならないような状況。
「我はコラン国王の使いキーンである!道を空けてくれ!今から偉大なる発明家ミクシアがイルエスタの爆弾を破壊する!!」
カランの港に到着するとすぐに、キーンが大きな身振りと叫び声で周囲の注意を引く。
なんだなんだと一斉に人々がミクシア達の方向を見つめて、最後の希望と感じて、立ち止まった。
その後ろでチャクミの作業場の面々が大砲などを持ち上げて、それを見せつける。
「はい、スイッチオン。」
ララがいきなりボタンを押すと、手に持っていた筒から、一筋に光の筋が上空にゆっくりと昇り、上空で大音量の光の花を咲かせた。
静まり返る。
ミクシアは発明品の拡声器を持つと、混乱している民衆に向かって大きな声で話しかけた。
「さあ、これから私の発明品で爆弾を海上で爆破する。さあ、道を空けてくれ!!」
ミクシアが両手を広げると、ララがタイミングを合わせて小さな花火を再び上げる。
危ない集団が現れたと人々が避けると、そこを颯爽と進んでいく。
「お前達は港の先端まで進み爆撃砲を設置させろ!船は爆弾を積んだ一隻だけ、それを破壊すれば完了だ。見張りを怠るな。」
そしてミクシアはあえて周りに聞こえるような大声で、拡声器を使用して細かく指示をしていく。
突然現れた集団に、期待をするまなざしと、冷たく眺める視線。
それでも、そのきっかけが暴動を鎮め、落ち着きを取り戻す。
キーンが先頭で両手を広げて進み、人々をかき分けて、港の先端に到着すると、テキパキと全員ですぐさまに砲弾を組み立てる。
その周りに人々が集まる。
「もし、直撃すれば大きな爆発が起こるはずである!」
ミクシアがララに合図をすると、ララが大きく手を挙げてから、丁寧に弾を込める。
「よし、撃てぇ!!」
「はいはい!!」
ミクシアの声に応えたララが発射スイッチをポチっと押す。
一度眩しい赤色の花火が打ち上げられてから、筒の先から白い煙を吹き出して玉がゆっくりと海の方向へ、遠くへと飛んでいく。
少しの沈黙
急に眩い光と海が裂けたような破壊音。
「よし、命中だぁぁ!無事に阻止できたぞ!!」
驚き。沈黙。静寂。
「私の発明により、無事、爆破は阻止できた!いままでどおり平和に暮らすが良い!ラン大陸の民よ!!」
歓喜。
一斉にぐわぁーっと高い歓声が沸き、周囲が歓喜に包まれる。
人々が無事を喜んで抱き合う。
先ほどまでの暴動が嘘のように治まっていく。
ミクシアは暴動が治まるのを確認すると、レンを港に急がせた。
そこに、降り注ぐ謎の赤色の雨。
「これは、原石の毒だぁ!!ここから早く逃げるんだぁ!!」
ミクシアが叫ぶと、我先にと港から離れて走り去っていく。再び大きな混乱。さっきよりももっと大きな混乱。
それでも、原石の破壊を信じた人々は、どこか満足したように意気揚々と逃げ去っていく。
「わぁ、大変だぁ。」
逃げようとするララを掴むミクシア。
「お前なぁ。」
「演技だって。」
すぐに港がガランとなる。逃げ残った者達もミクシアに同行していたコラン兵が説得して離れるように諭される。
「船からの退去も終了した。港の近くの船も急ぎ離れるか、陸へ退避してもらった。当然津波に備えて港から離れさせる準備ぐらいしているさ、あの女め。」
キーンが息をゼイゼイさせながら、疲れた表情で戻ってくる。
「よし、やるか。急ぐぞ。」
「はいはい、計画通りね。」
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