炎光に誘われし少年と竜の蒼天の約束 ヴェアリアスストーリー番外編

きみゆぅ

文字の大きさ
47 / 62

44 ごめん

しおりを挟む
 レンの両足に掴まるディアルトとレンの首にかけたロープにつかまるミクシア。
「潮流から推測すると、このまま放っておけばラン大陸に到着する。ここでなんとかしないと被害が甚大だ。」
「どうするの?」
 焦りからか、早口になるミクシアに、反対におちついたディアルトがうなずいた。

「俺が解体する。降ろしてくれ。」

「できるの?」

「やるしかないだろう。お前たちは戻ってあいつらに避難するように言ってくれ。」

「本当に?」

「頼む。俺ならどうにかできる。」

「どうやって戻るのさ?」

「明日になったら探してくれ。」

「・・・本当に?」

「俺はチャクミの王子だ。あいつらは俺の国の民だ。王子が民を困らすことを絶対にやってはいけない。ただ、それだけだ。」

「それ、エクシアが言ってた。」

「そうか。じゃあ、わかってくれるよな?」

「絶対わからない。わかりたくも無い。」

「別にわかってもらわなくても構わない。時間がない。じゃあ、頼んだぞ。レン、高度を下げてあの箱に近づいてくれ。」
 ミクシアに言われた通り、レンが海面近くまで高度を下げる。

 赤と青の異常な程輝く石が眩しい。身が震える。怖い。

「さて、後は頼む。あいつらによろしく言っておいてくれ。」
 ミクシアがその金属の箱に飛び移る。
 その衝撃で軽く金属の箱が揺れるが、それをバランスを保って動かさないようにする。
「よし、ここから離れてくれ。あいつらに急いで港から離れるように伝えるんだ。」

「ちょっと待って!」
 レンに片手でぶら下がり、片手を伸ばすディアルト。

「レン!行け!!」
 その勢いに押されるようにレンが強く羽ばたくと再び高度を上げた。

「どうしよう。」
 ディアルトが震えながら、その上空で波に揺られる金属の箱を眺める。

「・・・」
 レンが黙ったまま、同じように金属の箱を眺めていた。

「さてと、やるか。」
 ミクシアが金属の箱に座り、体勢を安定させる。
 目の前には、自分の拳よりも少し大きいぐらいの2つの原石、赤色に輝く石と青色に輝く原石が、僅かに触れる距離で設置されていた。

「なかなか綺麗なものだな。」

 青色の原石に手を近づけると、わずかに霜が手に付着する。

 赤色の原石に手を近づけると、焼けるように手が厚くなった。

 まず、その原石同士が触れないように、原石と原石の間に木製の板をはめ込む。
 手がプルプルと震えるのと波の揺れが本当に怖かった。
「ふぅ、なんとかなるか。」

 焦げ臭い。

 火の原石に触れる側がすぐに黒く変色して煙が立ち昇る。
 ミクシアが慌てて木の板を外すと、その焦げた個所を見つめて、海に放り投げた。

「そう簡単にはいかないか。」

 次にミクシアは原石が設置された台を、手に持ったドライバーを使って丁寧に外していく。

「はぁ。こんなことをしているのか。」
 原石から配線が複雑に伸びていて、その一本が金属の箱の底にあるプロペラの動力源になっていた。
 その配線を一本一本丁寧に解析していくと、その複雑な体系がなんとなく理解できてくる。

「そうか。このプロペラが止まると原石を挟む左右の金属板が火の原石と水の原石を一気に重なり合わせて潰すという仕組みか。粗悪なタイマーじゃない、よくできている。各々の原石のちからで左右の金属板を固定しているのか。」

 配線の回路を思い浮かべ、対策を考え込む。

「わずかに原石を触れただけでも、バランスが崩れて左右の金属板に挟まれて、火と水の原石が重なって破壊されるか。大爆発だな。」

 額の汗が垂れて火の原石に触れると、ジュっと音を立ててすぐに気化する。

 ビクッとミクシアが反応すると、三度深く息を吐いた。
「そして、この金属の箱も頑丈に溶接されて分解はできないと。うかつに箱を傾けるとプロペラが止まりそうだ。海に沈めることもできないか。」

 ミクシアが腕を組んで考え込む。
 そして笑う。

「あまり時間をかけるとラン大陸に近づきすぎてしまう。」
 小型の弾丸をじっと見つめる。

「エクシアごめん。イルエスタを討つことはできなかった。」
 原石をじっと見つめる。

「仇は打てなかった。残念だ。」
 ミクシアがその小型の弾丸を水の原石と火の原石に触れる距離まで近づけた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

商人でいこう!

八神
ファンタジー
「ようこそ。異世界『バルガルド』へ」

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。  そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。  【魔物】を倒すと魔石を落とす。  魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。  世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。

【完結】発明家アレンの異世界工房 ~元・商品開発部員の知識で村おこし始めました~

シマセイ
ファンタジー
過労死した元商品開発部員の田中浩介は、女神の計らいで異世界の少年アレンに転生。 前世の知識と物作りの才能を活かし、村の道具を次々と改良。 その発明は村の生活を豊かにし、アレンは周囲の信頼と期待を集め始める。

50代無職、エルフに転生で異世界ざわつく

かわさきはっく
ファンタジー
就職氷河期を生き抜き、数々の職を転々とした末に無職となった50代の俺。 ある日、病で倒れ、気づけば異世界のエルフの賢者に転生していた!? 俺が転生したのは、高位エルフの秘術の失敗によって魂が取り込まれた賢者の肉体。 第二の人生をやり直そうと思ったのも束の間、俺の周囲は大騒ぎだ。 「導き手の復活か!?」「賢者を語る偽物か!?」 信仰派と保守派が入り乱れ、エルフの社会はざわつき始める。 賢者の力を示すため、次々と課される困難な試練。 様々な事件に巻き込まれながらも、俺は異世界で無双する! 異世界ざわつき転生譚、ここに開幕! ※話数は多いですが、一話ごとのボリュームは少なめです。 ※「小説家になろう」「カクヨム」「Caita」にも掲載しています。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

処理中です...