炎光に誘われし少年と竜の蒼天の約束 ヴェアリアスストーリー番外編

きみゆぅ

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54 海に消えた

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「それで、この後は、どうするのがよいのだろうか。」
 円卓の14人の中でも、最も年長であるカランの軍事顧問が静かに尋ねた。

「それは……」
「私が答えます。」
 詰まるジーンに代わり、ミクシアが一歩前に歩み出て一礼する。

「チャクミの王子、ミクシアです。この度は、チャクミの作業員が協力させていただきました。今後ですが、まずはイルエスタと戦える戦力を蓄えるべきと考えます。そのためには、国を閉じて他国との関連を断ち、独自の進化を進めるべきかと。」

「他国との関係を断つと?それは無理だ。貿易を止めるわけにもいかないし、たとえこちらが望んだとしても、相手から攻められたら応戦せざるを得ないだろう。」

「そうです。だから完全に国を閉じます。この大陸はカランの港以外、地形上大型船が近づくことはできません。そのため、カランの港を破壊するのです。」

「それは、現実的なのか・・・?まあ、港の破壊は、先の戦闘で結果としてそうなっているが。」
「あくまで、一つの案として認識していただければと思います。」

「そうか。・・・ん?」
「んん?」

 外が騒がしい。
 キーンが窓から外を覗き込むと、その後ろからミクシアも同じように顔をぐっと突き出して外の様子を探る。

「あいつらか?」
 チャクミの作業員が数人、カランの宮殿の入り口で護衛の兵士たちと何か揉めているようだ。

「中に入れてやってくれ。俺らのツレだ。」
 キーンが部屋の入り口で待機していた兵士に告げると、その兵士は一礼してからすぐに走っていく。

「申し訳ありません。どうも、火急の用らしく。」
 ミクシアが深く円卓の14人へと頭を下げ、ゆっくりと歩き出して部屋の外で待機する。
 それをジーンとキーンが呼び戻しに来るが、ミクシアは手を振る。

「進めていてくれ。俺はこの国よりも、あいつらの方が大切だからな。」

「ちょっと待ってくれ。ミクシアと今、決めたいこともあるのだが。」
「任せる。」
 キーンとジーンが視線を合わせると、うなずいて戻って行った。

「大変だ!ララが!!」
 走り近寄ってきたのは、チャクミ作業員の数学者マスモとディアルト。
全速力での走りで、共に深くゼイゼイと呼吸している。

「アンラの乗った潜水艇が戻ってこなくて。それを探しにララが、あの羽で海に飛んでいった!」
「何!?あの羽は動力切れって言ってただろ!?」
「でも、他に方法がないからって!」

「船は出せるか!?」
「駄目だ。港が船や建物の残骸で近海が埋まってしまっている。まだ処理が追い付いていない!今必死に片付けているけど。」

「ララスペシャル、アンラの乗る潜水艇の位置は?」
「わからない。情報が少なすぎて、計算もできない。」

「だから空か。よし、俺もすぐ港へ行く。先に戻って皆を集めてくれ!」
「はい!」

 ミクシアが再び来賓の間に入ると、キーンとジーンに一方的に二言三言告げ、港へと大急ぎで走り進んでいった。

 港では、軍艦の通り道の海面に浮遊する建物などの残骸を大急ぎで撤去させていた。

「ミクシア!」
 キーンの友であるコランのクロタクが疲れた表情で近寄り、港を見回した。

「今これは何をやっていますか?」
「お前たちの仲間を探すために、軍艦の通り道を確保しているところだ。よく理解できていないが、海上で遭難しているなら、できるだけ高い位置からの捜索が必要だろう。それには軍艦がうってつけだ。コランの最大級の軍艦で捜索を進める許可も得ている。カランの港にちょうど停留しているからな。」

「ありがとうございます。それよりも、小さくてもいいので高速艇を手配できませんか?」
「ん?高速艇?コラン所有は無いが、カランに交渉すれば調達できるはずだ。ただし、目標座標が定まっていないと空振りするぞ?」

「座標は何とかします。高速艇の交渉お願いします。できるだけ小さくて小回りが利いて速いのがいいのですが。」
「まあ、構わんが、大丈夫か?」
「はい、後はこちらで何とかしますので、できるだけ今すぐにお願いします。」

 ミクシアがクロタクに急かすように深く頭を下げる。
「わかった。任せよう。」
「はい。」

 クロタクが複数のコランの船が停船している場所に急ぐと、そこで複数の偉そうな人たちと交渉しているのが見える。
 それをじっとミクシアが眺めながら、ディアルトのいる港の先端部へと移動し、手招きをしてディアルトを少し離れた場所に呼び出す。

「どうしたの?」
「この前、火の原石の独特な気配を感じると言っていたよな?他の原石の気配はどうだ?」
「あ、それでララを探すのか。正直難しいね。だって、原石が組み込まれているって気付かなかったぐらいだから。」

「組み込まれているのを意識したらどうだ?」
「どうかな?近づけばわかるかもしれない。」

「その可能性に賭けたい。協力してくれるか?」
「わかるかな。自信はないけど、やってみるよ。」

「よし、急ごう。」
 二人が全力で走り出した。
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