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第2部:交差する思惑
第14話:陽菜の秘密と、舞い踊る紙人形。
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組合の酒場を支配していたのは、一触即発の、張り詰めた空気だった。
猛(たける)の怒声は、もはや宗一郎一人に向けられたものではなく、その場にいる全ての人間の耳に突き刺さり、彼らの自由な会話と笑い声を奪い去っていた。
窓から差し込む夕日の最後の光が、猛の真紅の鎧を不気味なほど赤く照らし出し、まるで血に濡れているかのような錯覚を覚えさせた。
「……卑劣で、臆病なやり方で勝利して、何が嬉しい! 何の誇りがある!」
その言葉は、宗一郎の心の最も柔らかい部分を、容赦なく抉った。
いじめられていた頃の記憶が、鮮やかにフラッシュバックする。
お前は、何なんだ。
なんで、ここにいるんだ。
お前には、価値がない。
彼は、何も言い返せず、ただテーブルの木目を見つめて、小さく、小さく、なっていく。
(ほら、やっぱり)
(俺のやり方は、間違ってたんだ)
(この世界では、こういう考え方が「普通」で、「正しい」んだ)
(俺は、やっぱり、卑劣で、臆病な、ダメな人間なんだ)
自己否定の言葉が、脳内で無限に反響する。
しかし、そんな彼の前に、すっと、一人の人影が立った。
朱鷺だった。
彼女は、猛の前に立ちはだかると、いつもの穏やかな笑みを浮かべたまま、しかしその声には氷のような冷静さを宿して、静かに言った。
「猛殿。あなたは、少し勘違いをなさっている」
「なんだと?」
「あなたは、それを『戦い』だとおっしゃる。ですが、私たちが今日、森で経験したことは、およそ戦いと呼べるような代物ではありませんでした」
朱鷺の瞳が、すっと細められる。
その瞳の奥には、猛の燃え盛る正義感を、まるでせせら笑うかのような、絶対的な強者の余裕があった。
「あなたは、誉れや誇りについて語る。それは、人と人とが、互いの技量と覚悟をぶつけ合う、尊い行いです」
「ですがね、猛殿」
「あなたは、例えば、山津波の進路に立ちはだだり、『卑劣だぞ! 正々堂々、私と勝負しろ!』と叫びますか?」
「天から落ちる雷に、『臆病者! 剣で受け止めてやる!』と、そうおっしゃいますか?」
「なっ……何を、言っている……」
猛は、朱鷺の言葉の意味が理解できず、たじろいだ。
朱鷺は、ちらりと背後の宗一郎に視線を送ると、再び猛に向き直り、諭すように、しかし有無を言わせぬ響きで告げた。
「私たちが今日、目撃したのは、そういうことです」
「あれは、人の理屈が通用する戦術などではない。天災です」
「あなたは、天災に対して、人の倫理を説いているに過ぎない」
「……お分かりになりましたか?」
朱鷺の、あまりにも格が違う、あまりにも次元が違う反論に、猛は言葉を失った。
そこに、追い打ちをかけるように、だらしなく椅子に座っていた玄が、けらけらと下品な笑い声を上げた。
「へっ、そういうこった、坊主。姐さんの言う通りだ。お前さんは、何も分かっちゃいねえ」
玄は、瓢箪の酒をぐいと煽ると、猛を憐れむような目で見つめた。
「『卑劣』だ? 『臆病』だ? 馬鹿言っちゃいけねえ」
「もし、あそこの坊主が、あんたの言う通り『臆病』じゃなかったら、どうなってたと思う?」
玄は、にやり、と笑う。
その笑顔は、いつもの軽薄なものではなく、肌が粟立つような、獰猛な光を宿していた。
「もし、あいつが本気で、俺たちにてめえがやったみたいに、その力を振るってたらよ」
「今頃、お前さんのそのご自慢の真っ赤な鎧も、そのデカい剣も、この組合も、この町の一部も、跡形もなくなってたかもしれねえんだぜ?」
「それでも、てめえは同じことが言えるのかい?」
「……っ!」
猛は、言葉に詰まり、ギリ、と歯噛みした。
朱鷺と玄の、完璧な連携。
それは、宗一郎を庇っているようでいて、その実、彼の力の異常性と、目の前の猛との間にある、絶対的な格の違いを、その場にいる全ての人間に、改めて見せつけるものだった。
追い詰められたのは、猛だった。
理屈では朱鷺に完膚なきまでに叩きのめされ、力の差では玄に暗に脅迫される。
彼の燃え盛る正義感は、行き場を失い、屈辱的な怒りへと変わっていく。
そんな時、彼のパーティの仲間の一人が、空気を読めず、あるいは主人を助けようとしたのか、俯く宗一郎を指さして、最大の失言を犯した。
「な、なんだよ! 理屈ばっかりこねやがって! 結局、こいつが陰気臭い卑怯者だってことに変わりはねえだろうが!」
その、あまりにも陳腐で、あまりにも無神経な嘲笑が、引き金だった。
ことり、と。
張り詰めた空気の中に、場違いなほど小さな、しかし誰の耳にもはっきりと届く澄んだ音が響いた。
音の主は、陽菜だった。
彼女は、それまで黙って食事をしていた箸を、静かに、丁寧に、箸置きの上に揃えて置いた。
そして、すっと、立ち上がった。
彼女は、宗一郎の前に立つ。
猛の巨体と比べれば、あまりにも小さく、か弱い背中。
しかし、その背中は、どんな城壁よりも強固な、決して揺らぐことのない壁のように見えた。
「宗一郎さんに、あまり無礼な口をきかないでください」
その声を聞いて、その場にいた誰もが、我が耳を疑った。
声の主は、確かに陽菜だった。
だが、その声色は、彼らが知る彼女のものとは、全くの別物だった。
いつもの、太陽のように明るく、人懐っこく弾むような響きは、そこにはない。
それは、冬の朝の、凍てついた空気のように、どこまでも静かで、どこまでも冷たく、そして凛と張り詰めた声だった。
猛は、一瞬言葉に詰まったが、すぐに気を取り直し、嘲るように鼻を鳴らした。
「なんだ、嬢ちゃん。お前の男がだらしねえから、代わりに出てきたのか?」
「いい度胸だが、子供の遊びじゃねえんだ。そこにいる卑劣漢と一緒に、泣きべそかいてママのところに帰りな」
その言葉を、陽菜は、ただ静かに聞いていた。
そして、まるで舞を舞うかのような、ゆっくりとした、優雅な仕草で、懐に手を入れた。
取り出したのは、数枚の、何も書かれていない、真っ白な和紙。
彼女は、そのうちの一枚を、細く美しい二本の指で挟むと、唇にそっと当てた。
そして、静かに、本当に静かに、その紙片に息を吹きかけた。
その瞬間、世界の色が変わった。
陽菜の唇から離れた和紙は、淡い、蛍のような光を放ち始めた。
それは、夕暮れの薄暗い酒場の中で、まるで小さな星が生まれたかのように、幻想的な光を投げかけた。
紙としての硬さを失い、まるで生きているかのように、光の中でその形をくねらせ、変えていく。
光が収まった時、そこに、ただの和紙の姿はなかった。
代わりに、陽菜の周りを、光の粒子をきらきらと撒き散らしながら、数体の、この世のものとは思えないほど神々しい「使い」たちが、音もなく舞い踊っていた。
一羽は、鋭い嘴と鉤爪を持つ、純白の隼。
その翼は、夕日の最後の光を浴びて、真珠のように輝いている。
一匹は、九つの尾を持つ、しなやかな銀色の狐。
その金色の瞳は、狡猾さと、底知れない叡智の光を宿していた。
もう一体は、亀の甲羅に、とぐろを巻いた蛇の尾を持つ、伝説上の生き物「玄武」を思わせる、荘厳な姿をしていた。
組合の酒場から、完全に音が消えた。
誰もが、目の前で起きている奇跡のような、あるいは悪夢のような光景に、言葉を失っていた。
式神たちは、猛たち『紅蓮の獅子』の頭上を、威嚇するように、しかし羽音一つ立てずに、静かに旋回する。
猛は、その圧倒的な霊力と、絶対的な格の違いを、肌で感じていた。
彼の自慢の真紅の鎧も、燃え盛る闘志も、この神聖にして不可侵な存在の前では、まるで子供が作った泥の人形のように、脆く、無力に思えた。
彼の額から、脂汗が、一筋、こめかみを伝って流れ落ちるのが、スローモーションのように見えた。
この光景に、最も衝撃を受けていたのは、あるいは朱鷺と玄だったかもしれない。
朱鷺の内心:
(これは……陰陽術? いや、違う)
(もっと古い。古文書でしか見たことがない、伝説級の術)
(この娘、一体、何者なの?)
玄の内心:
(やべえ。冗談じゃねえぞ、こりゃ)
(あの式神から感じる圧は、俺が今まで戦ってきたどんな魔物よりも上だ)
(なんだよ、この嬢ちゃん……)
宗一郎は、ただ、呆然と目の前の光景を見上げていた。
自分を庇うように立つ、小さな背中。
その周りを舞う、神々しい式神たち。
彼女という存在は、自分が思っていたよりも、ずっと、ずっと、深く、そして計り知れない何かを、その内に秘めている。
陽菜は、呆然とする猛を、静かな、感情の読めない瞳で見つめ返した。
その姿は、もはや心優しいだけの村娘ではなかった。
それは、計り知れないほどの古の知識と力をその身に宿す、紛れもない高位の「術者」の姿だった。
「もう一度、言います」
凛とした声が、静まり返った組合に、どこまでもクリアに響き渡った。
「彼に、謝ってください」
猛(たける)の怒声は、もはや宗一郎一人に向けられたものではなく、その場にいる全ての人間の耳に突き刺さり、彼らの自由な会話と笑い声を奪い去っていた。
窓から差し込む夕日の最後の光が、猛の真紅の鎧を不気味なほど赤く照らし出し、まるで血に濡れているかのような錯覚を覚えさせた。
「……卑劣で、臆病なやり方で勝利して、何が嬉しい! 何の誇りがある!」
その言葉は、宗一郎の心の最も柔らかい部分を、容赦なく抉った。
いじめられていた頃の記憶が、鮮やかにフラッシュバックする。
お前は、何なんだ。
なんで、ここにいるんだ。
お前には、価値がない。
彼は、何も言い返せず、ただテーブルの木目を見つめて、小さく、小さく、なっていく。
(ほら、やっぱり)
(俺のやり方は、間違ってたんだ)
(この世界では、こういう考え方が「普通」で、「正しい」んだ)
(俺は、やっぱり、卑劣で、臆病な、ダメな人間なんだ)
自己否定の言葉が、脳内で無限に反響する。
しかし、そんな彼の前に、すっと、一人の人影が立った。
朱鷺だった。
彼女は、猛の前に立ちはだかると、いつもの穏やかな笑みを浮かべたまま、しかしその声には氷のような冷静さを宿して、静かに言った。
「猛殿。あなたは、少し勘違いをなさっている」
「なんだと?」
「あなたは、それを『戦い』だとおっしゃる。ですが、私たちが今日、森で経験したことは、およそ戦いと呼べるような代物ではありませんでした」
朱鷺の瞳が、すっと細められる。
その瞳の奥には、猛の燃え盛る正義感を、まるでせせら笑うかのような、絶対的な強者の余裕があった。
「あなたは、誉れや誇りについて語る。それは、人と人とが、互いの技量と覚悟をぶつけ合う、尊い行いです」
「ですがね、猛殿」
「あなたは、例えば、山津波の進路に立ちはだだり、『卑劣だぞ! 正々堂々、私と勝負しろ!』と叫びますか?」
「天から落ちる雷に、『臆病者! 剣で受け止めてやる!』と、そうおっしゃいますか?」
「なっ……何を、言っている……」
猛は、朱鷺の言葉の意味が理解できず、たじろいだ。
朱鷺は、ちらりと背後の宗一郎に視線を送ると、再び猛に向き直り、諭すように、しかし有無を言わせぬ響きで告げた。
「私たちが今日、目撃したのは、そういうことです」
「あれは、人の理屈が通用する戦術などではない。天災です」
「あなたは、天災に対して、人の倫理を説いているに過ぎない」
「……お分かりになりましたか?」
朱鷺の、あまりにも格が違う、あまりにも次元が違う反論に、猛は言葉を失った。
そこに、追い打ちをかけるように、だらしなく椅子に座っていた玄が、けらけらと下品な笑い声を上げた。
「へっ、そういうこった、坊主。姐さんの言う通りだ。お前さんは、何も分かっちゃいねえ」
玄は、瓢箪の酒をぐいと煽ると、猛を憐れむような目で見つめた。
「『卑劣』だ? 『臆病』だ? 馬鹿言っちゃいけねえ」
「もし、あそこの坊主が、あんたの言う通り『臆病』じゃなかったら、どうなってたと思う?」
玄は、にやり、と笑う。
その笑顔は、いつもの軽薄なものではなく、肌が粟立つような、獰猛な光を宿していた。
「もし、あいつが本気で、俺たちにてめえがやったみたいに、その力を振るってたらよ」
「今頃、お前さんのそのご自慢の真っ赤な鎧も、そのデカい剣も、この組合も、この町の一部も、跡形もなくなってたかもしれねえんだぜ?」
「それでも、てめえは同じことが言えるのかい?」
「……っ!」
猛は、言葉に詰まり、ギリ、と歯噛みした。
朱鷺と玄の、完璧な連携。
それは、宗一郎を庇っているようでいて、その実、彼の力の異常性と、目の前の猛との間にある、絶対的な格の違いを、その場にいる全ての人間に、改めて見せつけるものだった。
追い詰められたのは、猛だった。
理屈では朱鷺に完膚なきまでに叩きのめされ、力の差では玄に暗に脅迫される。
彼の燃え盛る正義感は、行き場を失い、屈辱的な怒りへと変わっていく。
そんな時、彼のパーティの仲間の一人が、空気を読めず、あるいは主人を助けようとしたのか、俯く宗一郎を指さして、最大の失言を犯した。
「な、なんだよ! 理屈ばっかりこねやがって! 結局、こいつが陰気臭い卑怯者だってことに変わりはねえだろうが!」
その、あまりにも陳腐で、あまりにも無神経な嘲笑が、引き金だった。
ことり、と。
張り詰めた空気の中に、場違いなほど小さな、しかし誰の耳にもはっきりと届く澄んだ音が響いた。
音の主は、陽菜だった。
彼女は、それまで黙って食事をしていた箸を、静かに、丁寧に、箸置きの上に揃えて置いた。
そして、すっと、立ち上がった。
彼女は、宗一郎の前に立つ。
猛の巨体と比べれば、あまりにも小さく、か弱い背中。
しかし、その背中は、どんな城壁よりも強固な、決して揺らぐことのない壁のように見えた。
「宗一郎さんに、あまり無礼な口をきかないでください」
その声を聞いて、その場にいた誰もが、我が耳を疑った。
声の主は、確かに陽菜だった。
だが、その声色は、彼らが知る彼女のものとは、全くの別物だった。
いつもの、太陽のように明るく、人懐っこく弾むような響きは、そこにはない。
それは、冬の朝の、凍てついた空気のように、どこまでも静かで、どこまでも冷たく、そして凛と張り詰めた声だった。
猛は、一瞬言葉に詰まったが、すぐに気を取り直し、嘲るように鼻を鳴らした。
「なんだ、嬢ちゃん。お前の男がだらしねえから、代わりに出てきたのか?」
「いい度胸だが、子供の遊びじゃねえんだ。そこにいる卑劣漢と一緒に、泣きべそかいてママのところに帰りな」
その言葉を、陽菜は、ただ静かに聞いていた。
そして、まるで舞を舞うかのような、ゆっくりとした、優雅な仕草で、懐に手を入れた。
取り出したのは、数枚の、何も書かれていない、真っ白な和紙。
彼女は、そのうちの一枚を、細く美しい二本の指で挟むと、唇にそっと当てた。
そして、静かに、本当に静かに、その紙片に息を吹きかけた。
その瞬間、世界の色が変わった。
陽菜の唇から離れた和紙は、淡い、蛍のような光を放ち始めた。
それは、夕暮れの薄暗い酒場の中で、まるで小さな星が生まれたかのように、幻想的な光を投げかけた。
紙としての硬さを失い、まるで生きているかのように、光の中でその形をくねらせ、変えていく。
光が収まった時、そこに、ただの和紙の姿はなかった。
代わりに、陽菜の周りを、光の粒子をきらきらと撒き散らしながら、数体の、この世のものとは思えないほど神々しい「使い」たちが、音もなく舞い踊っていた。
一羽は、鋭い嘴と鉤爪を持つ、純白の隼。
その翼は、夕日の最後の光を浴びて、真珠のように輝いている。
一匹は、九つの尾を持つ、しなやかな銀色の狐。
その金色の瞳は、狡猾さと、底知れない叡智の光を宿していた。
もう一体は、亀の甲羅に、とぐろを巻いた蛇の尾を持つ、伝説上の生き物「玄武」を思わせる、荘厳な姿をしていた。
組合の酒場から、完全に音が消えた。
誰もが、目の前で起きている奇跡のような、あるいは悪夢のような光景に、言葉を失っていた。
式神たちは、猛たち『紅蓮の獅子』の頭上を、威嚇するように、しかし羽音一つ立てずに、静かに旋回する。
猛は、その圧倒的な霊力と、絶対的な格の違いを、肌で感じていた。
彼の自慢の真紅の鎧も、燃え盛る闘志も、この神聖にして不可侵な存在の前では、まるで子供が作った泥の人形のように、脆く、無力に思えた。
彼の額から、脂汗が、一筋、こめかみを伝って流れ落ちるのが、スローモーションのように見えた。
この光景に、最も衝撃を受けていたのは、あるいは朱鷺と玄だったかもしれない。
朱鷺の内心:
(これは……陰陽術? いや、違う)
(もっと古い。古文書でしか見たことがない、伝説級の術)
(この娘、一体、何者なの?)
玄の内心:
(やべえ。冗談じゃねえぞ、こりゃ)
(あの式神から感じる圧は、俺が今まで戦ってきたどんな魔物よりも上だ)
(なんだよ、この嬢ちゃん……)
宗一郎は、ただ、呆然と目の前の光景を見上げていた。
自分を庇うように立つ、小さな背中。
その周りを舞う、神々しい式神たち。
彼女という存在は、自分が思っていたよりも、ずっと、ずっと、深く、そして計り知れない何かを、その内に秘めている。
陽菜は、呆然とする猛を、静かな、感情の読めない瞳で見つめ返した。
その姿は、もはや心優しいだけの村娘ではなかった。
それは、計り知れないほどの古の知識と力をその身に宿す、紛れもない高位の「術者」の姿だった。
「もう一度、言います」
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