これから、彼と

栄吉

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13話①

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「やはり、尾けてきたんですね」

カフェの隅の席に座っていた笹本ささもと先生に向かって、オヤジが言う

何故、笹本ささもと先生がここに?

「一度、笹本ささもと様とは、ゆっくりとお話ししたいと思っていたんですよ、ここ、宜しいですか?」

オヤジはそう言うと、席に着いた。つられて、俺も座った

「意外と、図々しいんだな、俺は良いと言ってないが?」

そーだな、オヤジにしては珍しい

「これは失礼致しました。でも、今、笹本ささもと様に瑠華るか様と陽向ひなた様の邪魔をされると困るので」

やはり、オヤジはアイツが一番なんだな

「邪魔をするって…俺はそんなつもりはない。ただ、ヒナが心配なだけだ」

ヒナ?天野あまの先生のことか?余程親しい仲なのか?

笹本ささもと様が陽向ひなた様の事を大事に想っている事は、存じております。しかし、瑠華るか様も陽向ひなた様の事を大事に想っておられます」

笹本ささもと先生も、アイツも、天野あまの先生の事を大事に想っている?虎之丞とらのじょう天野あまの先生の事を好きだと言っていたな

伊集院いじゅういんが、ヒナの事を大事に想っている?そんなわけあるか、アイツは、十年前、アッサリとヒナを捨てたじゃないか」

天野あまの先生を捨てた?二人は恋人同士だったのか?

瑠華るか様は陽向ひなた様を捨てたわけではございません。それについては、何やら、行き違いや誤解が生じているようなので、今日、お二人でお話し合い出来るように、お膳立てをしたのです」

「アイツは、小さい頃から、周りに全てお膳立てして貰っていきてきたからな」

思わず、言葉を、発してしまった

「また、アイツなんて言う。璃音りお、アイツなんて言うんじやないよ。瑠華るかさまは、君の叔父なんだから」

「俺は、叔父だなんて思ったことなどない。アイツはお俺とオフクロの敵だ。俺とオフクロからオヤジを引き離して、一人占めしているんだからな」

「別に一人占めをしているわけではない。これには、事情がある、旦那様とのお約束だ。それについては、今度、二人きりの時に話すよ。璃音りおももう、二十歳だからな、そろそろ本当の事をはなさなければならないと思っていた」

「本当の事?俺は今更話なんて聞きたくないけどな」

今更話なんて聞いてどうなるというんだ

「お見苦しい所をお見せして申し訳ございません。璃音りおは私の息子なのです。事情があり、如月きさらぎではなく、神宮寺じんぐうじを名乗らせてますが、そして、璃音りおの母親は瑠華るか様の姉、璃華りか様です」

「俺にそんな事言って良いの?もし、俺が、誰かに言ったらどうふるの?例えば、マスコミとか…そしたら、大変なスキャンダルになるんじゃないの?」

笹本ささもと先生が言う

「それは心配しておりません。笹本ささもと様はそんなお方ではないと信じております」

「あんた、俺の事、それ程知らないでしょ?」

「いいえ、良く存じております。笹本ささもと様は、陽向ひなた様の事を十年間見守ってこられたお方です。そんなお方が悪い人である筈ありません」

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