61 / 85
突破口
2.朗報
しおりを挟む
「借りてきたよ。一時間だけならいいって」
リョウは電源コードをジャニスに手渡した。ジャニスはすぐにそれをパソコンにつないだ。
「1時間あればフル充電できるね」
「ああ、それにしても、シモヤマの部屋ひどかったよ。まるでヨッシーの部屋みたいだった」
「もしかして、『シティ』をやってるんじゃない?」
「何だか、最近はひどい顔つきしてる奴とか、汚れて変な匂いがしてる部屋みると、みんな『シティ』中毒なんじゃないかって思えてくるよ」
リョウの冗談を、ジャニスは乾いた笑いで受け流した。「まさか、そんなことが」と思う反面、「もしかしたら」という気持ちも少しだけあるのだ。「シティ」の魔力は侮れない。
「シモヤマ君ってどんな人、大学一緒なの」
「ああ、文学部の1回生だよ。確か史学科だったかな」
「サークルかクラブには入ってないの?」
「分からない。実は奴のこと余りしらないんだ。大学に入ってまだ2カ月ちょっとだしね。俺の部屋で一度飲んだことがある程度だよ」
「ふーん。人の部屋に行って飲んだりするの?」
「たまにだけどね。酔っ払って、いろんな部屋を襲撃する人がいるんだよ」
「オカジさんでしょう?」
オカジさんは、一階上に住んでいる同じ大学の先輩で、6年も大学にいる。このアパートの主みたいな存在で、ジャニスも何度か顔を合わせたことがある。
「当たり! そのオカジさんが、何度か連れてきたことがある。おとなしい感じの奴だったけどな。今見て、印象が変わってたんで驚いた」
「どんな風に」
「ひどく疲れているというか、消耗してるというか。でも、目だけはギラギラしてた」
「それって、やっぱり『シティ』中毒じゃないの? 一時期のリョウやヨッシーもそんな感じだったよ」
ここ1時間ほど、単調な作業が続いていたので、シモヤマの話は格好のダシになった。リョウとジャニスは、オカジさんのことやシモヤマのことを話しながら、それぞれの仕事をこなしていった。1時間で10年が経過する「シティ・ジャニス」は、その間もどんどん成長していった。
人口が90万人に達しようとしていた頃、ジャニスの携帯電話が鳴った。カナからだった。
「え? ホント、それはすごいわ。ありがとう」
受け答えするジャニスの声は弾んでいた。ジャニスは、テーブルの上に置いてあったペンで、何かをメモし始めた。メールアドレスのようだった。
「協力者が見つかったみたいよ。カナは掲示板から、人口50万人以上の街に絞って、有力なところを探したみたい」
リョウは電源コードをジャニスに手渡した。ジャニスはすぐにそれをパソコンにつないだ。
「1時間あればフル充電できるね」
「ああ、それにしても、シモヤマの部屋ひどかったよ。まるでヨッシーの部屋みたいだった」
「もしかして、『シティ』をやってるんじゃない?」
「何だか、最近はひどい顔つきしてる奴とか、汚れて変な匂いがしてる部屋みると、みんな『シティ』中毒なんじゃないかって思えてくるよ」
リョウの冗談を、ジャニスは乾いた笑いで受け流した。「まさか、そんなことが」と思う反面、「もしかしたら」という気持ちも少しだけあるのだ。「シティ」の魔力は侮れない。
「シモヤマ君ってどんな人、大学一緒なの」
「ああ、文学部の1回生だよ。確か史学科だったかな」
「サークルかクラブには入ってないの?」
「分からない。実は奴のこと余りしらないんだ。大学に入ってまだ2カ月ちょっとだしね。俺の部屋で一度飲んだことがある程度だよ」
「ふーん。人の部屋に行って飲んだりするの?」
「たまにだけどね。酔っ払って、いろんな部屋を襲撃する人がいるんだよ」
「オカジさんでしょう?」
オカジさんは、一階上に住んでいる同じ大学の先輩で、6年も大学にいる。このアパートの主みたいな存在で、ジャニスも何度か顔を合わせたことがある。
「当たり! そのオカジさんが、何度か連れてきたことがある。おとなしい感じの奴だったけどな。今見て、印象が変わってたんで驚いた」
「どんな風に」
「ひどく疲れているというか、消耗してるというか。でも、目だけはギラギラしてた」
「それって、やっぱり『シティ』中毒じゃないの? 一時期のリョウやヨッシーもそんな感じだったよ」
ここ1時間ほど、単調な作業が続いていたので、シモヤマの話は格好のダシになった。リョウとジャニスは、オカジさんのことやシモヤマのことを話しながら、それぞれの仕事をこなしていった。1時間で10年が経過する「シティ・ジャニス」は、その間もどんどん成長していった。
人口が90万人に達しようとしていた頃、ジャニスの携帯電話が鳴った。カナからだった。
「え? ホント、それはすごいわ。ありがとう」
受け答えするジャニスの声は弾んでいた。ジャニスは、テーブルの上に置いてあったペンで、何かをメモし始めた。メールアドレスのようだった。
「協力者が見つかったみたいよ。カナは掲示板から、人口50万人以上の街に絞って、有力なところを探したみたい」
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる