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プレミアム・シティの総攻撃
4.遠すぎた橋
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「最小限の戦力行使で済ますために、彼が囮になってくれた。その引き換えに、彼の国はボロボロになってしまったけど」
「プレミアム」の港を攻撃した爆撃機は、半分が「シティ・ジャニス」に、半分が「レールウエイズ」に帰頭した。同じ場所に戻ったのでは、「プレミアム」に「攻撃場所はここです」と教えているようなものだ。毎回離着陸場所を変えていくことにしたのだ。ただでさえ少ない戦闘機はなるべく失いたくない。
爆撃機の着陸と同時に、「シティ・ジャニス」が保有していた30機の戦闘機が、空母に向かって発進した。「プレミアム」はこの作戦でもミスを犯していた。「イチロー」を叩き潰すことばかりを考えて、爆撃機に護衛をつけていなかったのだ。艦載機は120いたが、全てが爆撃用の戦闘機で、身の軽い空戦用は皆無だった。爆弾を落として空母に引き揚げようとした矢先に、「シティ・ジャニス」の戦闘機が急襲した。数は相手が4倍いたが、鈍重な爆撃機と、空戦能力に優れた軽快な戦闘機とでは、勝負になるはずがなかった。結局「プレミアム」艦隊の爆撃機のうち、空母に戻ることができたのは、わずかに十数機だった。これでは2次攻撃はかけられない。艦隊はすごすごと「プレミアム」に引き返した。
空母が転進したのを見て、リョウとジャニスは、ハイタッチをして喜び合った。その直後、「イチロー」からメールが届いた。
<肉を切らせて骨を絶つ作戦、大成功! オレは、しばらくの間、工場や街全体の再建に全力を挙げますので、一旦、前線から退きます。野球場も修復しなきゃならないんで…。あとはヨロシク>
「了解、了解」
リョウはすぐに返信を書いた。
〈勇気ある作戦行動に感謝、感謝です。復興費用は、うちの銀行が国連を経由して無償融資します。じゃんじゃん使って下さい。これから先も戦闘機が必要になることがあると思うので、一刻も早い工場の操業再開を!>
空母艦隊を何とか退け、次の攻撃までの時間も稼いだが、問題は全て解決した訳ではなかった。海軍にも増して強力な陸軍が、「シティ・ジャニス」の国境に迫っていた。最初の戦いを乗り切るために、どうしても「飛び道具」の戦闘機が必要だったため、連合国側は戦車や大砲よりも、戦闘機の整備を優先させた。これから始まるであろう陸戦は、戦力的に一段と見劣りし、空、海よりも苦しい戦いになるのは目に見えていた。何しろ、相手は戦車が数百両あり、射程が何十キロもある大砲を何百門も揃えていた。対する「シティ・ジャニス」側は、警察から引き継いだ装甲車が守備の主力で、防衛力は余りにも貧弱だった。
「このままじゃ、勝負にならないわね、今度の作戦は?」
ジャニスが不安そうにつぶやいた。リョウは表情を曇らせた。
「『遠すぎた橋』って映画知っている?」
「いいえ、知らないわ」
「もう40年くらい前に公開された戦争映画なんだ。ロバート・レッドフォードや当時のスターが総出演して、制作費が途方もない金額になったことが話題になった映画だよ。そのシナリオを逆に展開してみることにした。これも『ケミカル』さんの発案だ。あの人は結構おじさんなんじゃないかな」
「どんな作戦なの」
「プレミアム」の港を攻撃した爆撃機は、半分が「シティ・ジャニス」に、半分が「レールウエイズ」に帰頭した。同じ場所に戻ったのでは、「プレミアム」に「攻撃場所はここです」と教えているようなものだ。毎回離着陸場所を変えていくことにしたのだ。ただでさえ少ない戦闘機はなるべく失いたくない。
爆撃機の着陸と同時に、「シティ・ジャニス」が保有していた30機の戦闘機が、空母に向かって発進した。「プレミアム」はこの作戦でもミスを犯していた。「イチロー」を叩き潰すことばかりを考えて、爆撃機に護衛をつけていなかったのだ。艦載機は120いたが、全てが爆撃用の戦闘機で、身の軽い空戦用は皆無だった。爆弾を落として空母に引き揚げようとした矢先に、「シティ・ジャニス」の戦闘機が急襲した。数は相手が4倍いたが、鈍重な爆撃機と、空戦能力に優れた軽快な戦闘機とでは、勝負になるはずがなかった。結局「プレミアム」艦隊の爆撃機のうち、空母に戻ることができたのは、わずかに十数機だった。これでは2次攻撃はかけられない。艦隊はすごすごと「プレミアム」に引き返した。
空母が転進したのを見て、リョウとジャニスは、ハイタッチをして喜び合った。その直後、「イチロー」からメールが届いた。
<肉を切らせて骨を絶つ作戦、大成功! オレは、しばらくの間、工場や街全体の再建に全力を挙げますので、一旦、前線から退きます。野球場も修復しなきゃならないんで…。あとはヨロシク>
「了解、了解」
リョウはすぐに返信を書いた。
〈勇気ある作戦行動に感謝、感謝です。復興費用は、うちの銀行が国連を経由して無償融資します。じゃんじゃん使って下さい。これから先も戦闘機が必要になることがあると思うので、一刻も早い工場の操業再開を!>
空母艦隊を何とか退け、次の攻撃までの時間も稼いだが、問題は全て解決した訳ではなかった。海軍にも増して強力な陸軍が、「シティ・ジャニス」の国境に迫っていた。最初の戦いを乗り切るために、どうしても「飛び道具」の戦闘機が必要だったため、連合国側は戦車や大砲よりも、戦闘機の整備を優先させた。これから始まるであろう陸戦は、戦力的に一段と見劣りし、空、海よりも苦しい戦いになるのは目に見えていた。何しろ、相手は戦車が数百両あり、射程が何十キロもある大砲を何百門も揃えていた。対する「シティ・ジャニス」側は、警察から引き継いだ装甲車が守備の主力で、防衛力は余りにも貧弱だった。
「このままじゃ、勝負にならないわね、今度の作戦は?」
ジャニスが不安そうにつぶやいた。リョウは表情を曇らせた。
「『遠すぎた橋』って映画知っている?」
「いいえ、知らないわ」
「もう40年くらい前に公開された戦争映画なんだ。ロバート・レッドフォードや当時のスターが総出演して、制作費が途方もない金額になったことが話題になった映画だよ。そのシナリオを逆に展開してみることにした。これも『ケミカル』さんの発案だ。あの人は結構おじさんなんじゃないかな」
「どんな作戦なの」
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