目が覚めたら異世界でした!~病弱だけど、心優しい人達に出会えました。なので現代の知識で恩返ししながら元気に頑張って生きていきます!〜

楠ノ木雫

文字の大きさ
81 / 115
第九章 異世界人集結!

◇81 大学芋

しおりを挟む
 ナジアンス侯爵様との話し合いの元、新たに郵便局を2つ設ける事ができた。

 果たしてどうなるか、とも思ったけれどナジアンス侯爵様のお陰で意外とスムーズに進めることができ、営業開始まで持ってこれたのだ。

 でも、最近いくつかの問題も多々あった。郵便局から伝書ラロクが何回か報告を持ってきてくれるのだが、そのうちの一つは、お客様が手紙を受け取ってもらえない、という問題。


「その、配達した後わざわざ郵便局にいらしてはこれを差出人に返してほしいと手紙を戻されてしまい……」

「そう……」


 何度も説得したみたいなんだけど、それでもダメだったらしい。

 仕方なく、それを差し出し人に伝えると、私はお金を払ってお願いしたんだから相手に送るのは当たり前でしょうと突っ返されてしまったとか。

 その時は、郵便局長が対応して手紙をそのまま受取人に持ち帰ってもらったらしい。まぁ、ちゃんと中身を読んだのかどうかは分からないけれど。

 そちら側の問題に巻き込まないでいただきたいけれど……難しい。

 他にも、手紙と一緒に荷物をお願いしてくる人がいたそうだ。今は荷物は取り扱っていないから断っているのだけれど、手紙を届けるのなら一緒に運べばいいじゃないとだいぶ言われてしまっているそうだ。

 その時は何とか納得してもらうよう話してお客様に諦めてもらう事が出来たみたい。

 でも、またそういうお客様はくると思う。その時の対策を何とかしなきゃ。

 本当なら小さな荷物も郵便物として運べるようにしたいところなんだけど、まだまだそこまではいけない。未熟な私が情けなく思ってしまう。


「嬢ちゃん、休憩したらどうだ?」

「……裕孝さんは、私を太らせたいのでしょうか」

「そりゃそうだ、嬢ちゃんは痩せすぎなんだよ」

「食べられる範囲というものがあるのですが……」


 作業部屋には、とっても良い匂いが漂っている。これ、大学芋? うわぁ、美味しそう……でも今の洋服が入らなくなるのは嫌、なん、だけ、ど……


「美味いか?」

「美味しいです……!!」

「わっはっはっ、そりゃよかった!」


 くぅ~~~美味しい料理には私は勝てない事は分かっていたけれど!! でも~~~!!

 ……いや、美味しい料理に罪はない、うん。だから食べてあげなきゃ、うん。


「そういや、嬢ちゃんの友達、来るんだろ?」

「あ、はい。【なかむら】のデザートが大好きで、特にあんこがお気に入りみたいです」

「ほぉ~あんこか。んじゃとっておきのを作ってやるよ」

「ありがとうございます」


 カリナにこの前手紙で裕孝さんの事を話したら裕孝さんの作るデザートが食べたいと言われてしまった。それを本人に伝えると快く了承してくださった。彼女も最近全然【なかむら】に行けてなかったみたいで、本当に喜んでいたのを手紙の文章からひしひしと伝わってきた。本当にありがとうございます。


「お前さんは、アイツでいいんか?」

「え?」

「あの泣き虫小僧で」


 泣き虫小僧、とはタクミの事か。あ、もしかして付き合ってる事バレた? ナナミちゃんあたりが言ったのかな?

 でも、あのパーティーでの事を見てれば分かるかな?


「アイツに嬢ちゃんは勿体ねぇと思うんだがな。他にもいるだろ、もっといい男」

「ん~、でも私こっちに来て1年も経っていませんし……こっちでこうして元気に過ごせてるのは、タクミ君のお陰でもあるんです。私の方こそタクミ君は勿体ないですよ。裕孝さんの為にここに来てお店出す程の行動力なんて、私にはありませんし」

「俺の為だなんて微塵も思ってねぇよ。ただの反抗期だろ、あんなの」

「そうですか?」

「そーだよ」


 でも、酢豚作ってくださっていた時に厨房を覗いたけれど、二人ともお爺様の背中を見て一生懸命頑張って追いかけてきたんだろうなって思った。


「タクミ君が裕孝さんをお店に入れなかったのは、たぶん裕孝さんに追いつきたかったからじゃないんですか?」

「はぁ?」

「言ってましたよ。じいさんの作る飯、ムカつくくらい美味いんだよな。って。不満顔でしたけれど、きっと裕孝さんはタクミ君の憧れなんじゃないですか?」


 まぁ、ムカつくを連呼していたけれど。


「ないない、あんなのただの意地っ張りだ」

「ふふ、どうでしょうね」


 最初の頃、タクミ達に裕孝さんはどんな人かと聞いた事がある。頑固で、意地悪で、意地っ張りで、文句を言いつつお願いを聞いてくれて、照れ屋。だけど最後には、優しいって言ってた。それを話していた二人の顔は微笑ましかったのを今でも覚えてる。

 だからきっと二人は裕孝さんが大好きなんだと思う。

 この前の酢豚だって、三人が厨房に立つと喧嘩していても息ピッタリ。それだけ一緒に厨房に立っていたって事。真剣に料理を習ったって事。

 まぁ、よく知らない私が言える事ではないけれど。


 次の日、ウチに来てお父様にコテンパンにされるタクミを目撃した裕孝さんがゲラゲラ腹を抱えて笑う未来が待っているのである。

 毎朝こちらに来てお父様と鍛錬をしている事を言わなかったらしい。絶対に知られたくなかったのに、と本人は超不機嫌だった。

しおりを挟む
感想 19

あなたにおすすめの小説

異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜

恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。 右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。 そんな乙女ゲームのようなお話。

キズモノ転生令嬢は趣味を活かして幸せともふもふを手に入れる

藤 ゆみ子
恋愛
セレーナ・カーソンは前世、心臓が弱く手術と入退院を繰り返していた。 将来は好きな人と結婚して幸せな家庭を築きたい。そんな夢を持っていたが、胸元に大きな手術痕のある自分には無理だと諦めていた。 入院中、暇潰しのために始めた刺繍が唯一の楽しみだったが、その後十八歳で亡くなってしまう。 セレーナが八歳で前世の記憶を思い出したのは、前世と同じように胸元に大きな傷ができたときだった。 家族から虐げられ、キズモノになり、全てを諦めかけていたが、十八歳を過ぎた時家を出ることを決意する。 得意な裁縫を活かし、仕事をみつけるが、そこは秘密を抱えたもふもふたちの住みかだった。

想定外の異世界トリップ。希望先とは違いますが…

宵森みなと
恋愛
異世界へと導かれた美咲は、運命に翻弄されながらも、力強く自分の道を歩き始める。 いつか、異世界にと想像していた世界とはジャンル違いで、美咲にとっては苦手なファンタジー系。 しかも、女性が少なく、結婚相手は5人以上と恋愛初心者にはハードな世界。 だが、偶然のようでいて、どこか必然のような出会いから、ともに過ごす日々のなかで芽生える絆と、ゆっくりと積み重ねられていく感情。 不器用に愛し、愛する人に理解されず、傷ついた時、女神の神殿で見つけた、もう一つの居場所。 差し出された優しさと、新たな想いに触れながら、 彼女は“自分のための人生”を選び初める。 これは、一人の女性が異世界で出逢い、傷つき、そして強くなって“本当の愛”を重ねていく物語です。

【完結】聖女召喚の聖女じゃない方~無魔力な私が溺愛されるってどういう事?!

未知香
恋愛
※エールや応援ありがとうございます! 会社帰りに聖女召喚に巻き込まれてしまった、アラサーの会社員ツムギ。 一緒に召喚された女子高生のミズキは聖女として歓迎されるが、 ツムギは魔力がゼロだった為、偽物だと認定された。 このまま何も説明されずに捨てられてしまうのでは…? 人が去った召喚場でひとり絶望していたツムギだったが、 魔法師団長は無魔力に興味があるといい、彼に雇われることとなった。 聖女として王太子にも愛されるようになったミズキからは蔑視されるが、 魔法師団長は無魔力のツムギをモルモットだと離そうとしない。 魔法師団長は少し猟奇的な言動もあるものの、 冷たく整った顔とわかりにくい態度の中にある優しさに、徐々にツムギは惹かれていく… 聖女召喚から始まるハッピーエンドの話です! 完結まで書き終わってます。 ※他のサイトにも連載してます

眺めるだけならよいでしょうか?〜美醜逆転世界に飛ばされた私〜

蝋梅
恋愛
美醜逆転の世界に飛ばされた。普通ならウハウハである。だけど。 ✻読んで下さり、ありがとうございました。✻

異世界転移して冒険者のイケメンとご飯食べるだけの話

ゴルゴンゾーラ三国
恋愛
 社畜系OLの主人公は、ある日終電を逃し、仕方なく徒歩で家に帰ることに。しかし、その際帰路を歩いていたはずが、謎の小道へと出てしまい、そのまま異世界へと迷い込んでしまう。  持ち前の適応力の高さからか、それとも社畜生活で思考能力が低下していたのか、いずれにせよあっという間に異世界生活へと慣れていた。そのうち家に帰れるかも、まあ帰れなかったら帰れなかったで、と楽観視しながらその日暮らしの冒険者生活を楽しむ彼女。  一番の楽しみは、おいしい異世界のご飯とお酒、それからイケメン冒険者仲間の話を聞くことだった。  年下のあざとい系先輩冒険者、頼れる兄貴分なエルフの剣士、口の悪いツンデレ薬師、女好きな元最強冒険者のギルド長、四人と恋愛フラグを立てたり折ったりしながら主人公は今日も異世界でご飯を食べる。 【この作品は『小説家になろう』『カクヨム』『Pixiv』にも掲載しています】 【途中から各ルート・エンドに入ります。特に正解ルートはないので、自分の好みのキャラのルート・エンドを正規だと思ってもらって大丈夫です】

面倒くさがりやの異世界人〜微妙な美醜逆転世界で〜

蝋梅
恋愛
 仕事帰り電車で寝ていた雅は、目が覚めたら満天の夜空が広がる場所にいた。目の前には、やたら美形な青年が騒いでいる。どうしたもんか。面倒くさいが口癖の主人公の異世界生活。 短編ではありませんが短めです。 別視点あり

【完結】 異世界に転生したと思ったら公爵令息の4番目の婚約者にされてしまいました。……はあ?

はくら(仮名)
恋愛
 ある日、リーゼロッテは前世の記憶と女神によって転生させられたことを思い出す。当初は困惑していた彼女だったが、とにかく普段通りの生活と学園への登校のために外に出ると、その通学路の途中で貴族のヴォクス家の令息に見初められてしまい婚約させられてしまう。そしてヴォクス家に連れられていってしまった彼女が聞かされたのは、自分が4番目の婚約者であるという事実だった。 ※本作は別ペンネームで『小説家になろう』にも掲載しています。

処理中です...