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第九章 異世界人集結!
◇81 大学芋
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ナジアンス侯爵様との話し合いの元、新たに郵便局を2つ設ける事ができた。
果たしてどうなるか、とも思ったけれどナジアンス侯爵様のお陰で意外とスムーズに進めることができ、営業開始まで持ってこれたのだ。
でも、最近いくつかの問題も多々あった。郵便局から伝書ラロクが何回か報告を持ってきてくれるのだが、そのうちの一つは、お客様が手紙を受け取ってもらえない、という問題。
「その、配達した後わざわざ郵便局にいらしてはこれを差出人に返してほしいと手紙を戻されてしまい……」
「そう……」
何度も説得したみたいなんだけど、それでもダメだったらしい。
仕方なく、それを差し出し人に伝えると、私はお金を払ってお願いしたんだから相手に送るのは当たり前でしょうと突っ返されてしまったとか。
その時は、郵便局長が対応して手紙をそのまま受取人に持ち帰ってもらったらしい。まぁ、ちゃんと中身を読んだのかどうかは分からないけれど。
そちら側の問題に巻き込まないでいただきたいけれど……難しい。
他にも、手紙と一緒に荷物をお願いしてくる人がいたそうだ。今は荷物は取り扱っていないから断っているのだけれど、手紙を届けるのなら一緒に運べばいいじゃないとだいぶ言われてしまっているそうだ。
その時は何とか納得してもらうよう話してお客様に諦めてもらう事が出来たみたい。
でも、またそういうお客様はくると思う。その時の対策を何とかしなきゃ。
本当なら小さな荷物も郵便物として運べるようにしたいところなんだけど、まだまだそこまではいけない。未熟な私が情けなく思ってしまう。
「嬢ちゃん、休憩したらどうだ?」
「……裕孝さんは、私を太らせたいのでしょうか」
「そりゃそうだ、嬢ちゃんは痩せすぎなんだよ」
「食べられる範囲というものがあるのですが……」
作業部屋には、とっても良い匂いが漂っている。これ、大学芋? うわぁ、美味しそう……でも今の洋服が入らなくなるのは嫌、なん、だけ、ど……
「美味いか?」
「美味しいです……!!」
「わっはっはっ、そりゃよかった!」
くぅ~~~美味しい料理には私は勝てない事は分かっていたけれど!! でも~~~!!
……いや、美味しい料理に罪はない、うん。だから食べてあげなきゃ、うん。
「そういや、嬢ちゃんの友達、来るんだろ?」
「あ、はい。【なかむら】のデザートが大好きで、特にあんこがお気に入りみたいです」
「ほぉ~あんこか。んじゃとっておきのを作ってやるよ」
「ありがとうございます」
カリナにこの前手紙で裕孝さんの事を話したら裕孝さんの作るデザートが食べたいと言われてしまった。それを本人に伝えると快く了承してくださった。彼女も最近全然【なかむら】に行けてなかったみたいで、本当に喜んでいたのを手紙の文章からひしひしと伝わってきた。本当にありがとうございます。
「お前さんは、アイツでいいんか?」
「え?」
「あの泣き虫小僧で」
泣き虫小僧、とはタクミの事か。あ、もしかして付き合ってる事バレた? ナナミちゃんあたりが言ったのかな?
でも、あのパーティーでの事を見てれば分かるかな?
「アイツに嬢ちゃんは勿体ねぇと思うんだがな。他にもいるだろ、もっといい男」
「ん~、でも私こっちに来て1年も経っていませんし……こっちでこうして元気に過ごせてるのは、タクミ君のお陰でもあるんです。私の方こそタクミ君は勿体ないですよ。裕孝さんの為にここに来てお店出す程の行動力なんて、私にはありませんし」
「俺の為だなんて微塵も思ってねぇよ。ただの反抗期だろ、あんなの」
「そうですか?」
「そーだよ」
でも、酢豚作ってくださっていた時に厨房を覗いたけれど、二人ともお爺様の背中を見て一生懸命頑張って追いかけてきたんだろうなって思った。
「タクミ君が裕孝さんをお店に入れなかったのは、たぶん裕孝さんに追いつきたかったからじゃないんですか?」
「はぁ?」
「言ってましたよ。じいさんの作る飯、ムカつくくらい美味いんだよな。って。不満顔でしたけれど、きっと裕孝さんはタクミ君の憧れなんじゃないですか?」
まぁ、ムカつくを連呼していたけれど。
「ないない、あんなのただの意地っ張りだ」
「ふふ、どうでしょうね」
最初の頃、タクミ達に裕孝さんはどんな人かと聞いた事がある。頑固で、意地悪で、意地っ張りで、文句を言いつつお願いを聞いてくれて、照れ屋。だけど最後には、優しいって言ってた。それを話していた二人の顔は微笑ましかったのを今でも覚えてる。
だからきっと二人は裕孝さんが大好きなんだと思う。
この前の酢豚だって、三人が厨房に立つと喧嘩していても息ピッタリ。それだけ一緒に厨房に立っていたって事。真剣に料理を習ったって事。
まぁ、よく知らない私が言える事ではないけれど。
次の日、ウチに来てお父様にコテンパンにされるタクミを目撃した裕孝さんがゲラゲラ腹を抱えて笑う未来が待っているのである。
毎朝こちらに来てお父様と鍛錬をしている事を言わなかったらしい。絶対に知られたくなかったのに、と本人は超不機嫌だった。
果たしてどうなるか、とも思ったけれどナジアンス侯爵様のお陰で意外とスムーズに進めることができ、営業開始まで持ってこれたのだ。
でも、最近いくつかの問題も多々あった。郵便局から伝書ラロクが何回か報告を持ってきてくれるのだが、そのうちの一つは、お客様が手紙を受け取ってもらえない、という問題。
「その、配達した後わざわざ郵便局にいらしてはこれを差出人に返してほしいと手紙を戻されてしまい……」
「そう……」
何度も説得したみたいなんだけど、それでもダメだったらしい。
仕方なく、それを差し出し人に伝えると、私はお金を払ってお願いしたんだから相手に送るのは当たり前でしょうと突っ返されてしまったとか。
その時は、郵便局長が対応して手紙をそのまま受取人に持ち帰ってもらったらしい。まぁ、ちゃんと中身を読んだのかどうかは分からないけれど。
そちら側の問題に巻き込まないでいただきたいけれど……難しい。
他にも、手紙と一緒に荷物をお願いしてくる人がいたそうだ。今は荷物は取り扱っていないから断っているのだけれど、手紙を届けるのなら一緒に運べばいいじゃないとだいぶ言われてしまっているそうだ。
その時は何とか納得してもらうよう話してお客様に諦めてもらう事が出来たみたい。
でも、またそういうお客様はくると思う。その時の対策を何とかしなきゃ。
本当なら小さな荷物も郵便物として運べるようにしたいところなんだけど、まだまだそこまではいけない。未熟な私が情けなく思ってしまう。
「嬢ちゃん、休憩したらどうだ?」
「……裕孝さんは、私を太らせたいのでしょうか」
「そりゃそうだ、嬢ちゃんは痩せすぎなんだよ」
「食べられる範囲というものがあるのですが……」
作業部屋には、とっても良い匂いが漂っている。これ、大学芋? うわぁ、美味しそう……でも今の洋服が入らなくなるのは嫌、なん、だけ、ど……
「美味いか?」
「美味しいです……!!」
「わっはっはっ、そりゃよかった!」
くぅ~~~美味しい料理には私は勝てない事は分かっていたけれど!! でも~~~!!
……いや、美味しい料理に罪はない、うん。だから食べてあげなきゃ、うん。
「そういや、嬢ちゃんの友達、来るんだろ?」
「あ、はい。【なかむら】のデザートが大好きで、特にあんこがお気に入りみたいです」
「ほぉ~あんこか。んじゃとっておきのを作ってやるよ」
「ありがとうございます」
カリナにこの前手紙で裕孝さんの事を話したら裕孝さんの作るデザートが食べたいと言われてしまった。それを本人に伝えると快く了承してくださった。彼女も最近全然【なかむら】に行けてなかったみたいで、本当に喜んでいたのを手紙の文章からひしひしと伝わってきた。本当にありがとうございます。
「お前さんは、アイツでいいんか?」
「え?」
「あの泣き虫小僧で」
泣き虫小僧、とはタクミの事か。あ、もしかして付き合ってる事バレた? ナナミちゃんあたりが言ったのかな?
でも、あのパーティーでの事を見てれば分かるかな?
「アイツに嬢ちゃんは勿体ねぇと思うんだがな。他にもいるだろ、もっといい男」
「ん~、でも私こっちに来て1年も経っていませんし……こっちでこうして元気に過ごせてるのは、タクミ君のお陰でもあるんです。私の方こそタクミ君は勿体ないですよ。裕孝さんの為にここに来てお店出す程の行動力なんて、私にはありませんし」
「俺の為だなんて微塵も思ってねぇよ。ただの反抗期だろ、あんなの」
「そうですか?」
「そーだよ」
でも、酢豚作ってくださっていた時に厨房を覗いたけれど、二人ともお爺様の背中を見て一生懸命頑張って追いかけてきたんだろうなって思った。
「タクミ君が裕孝さんをお店に入れなかったのは、たぶん裕孝さんに追いつきたかったからじゃないんですか?」
「はぁ?」
「言ってましたよ。じいさんの作る飯、ムカつくくらい美味いんだよな。って。不満顔でしたけれど、きっと裕孝さんはタクミ君の憧れなんじゃないですか?」
まぁ、ムカつくを連呼していたけれど。
「ないない、あんなのただの意地っ張りだ」
「ふふ、どうでしょうね」
最初の頃、タクミ達に裕孝さんはどんな人かと聞いた事がある。頑固で、意地悪で、意地っ張りで、文句を言いつつお願いを聞いてくれて、照れ屋。だけど最後には、優しいって言ってた。それを話していた二人の顔は微笑ましかったのを今でも覚えてる。
だからきっと二人は裕孝さんが大好きなんだと思う。
この前の酢豚だって、三人が厨房に立つと喧嘩していても息ピッタリ。それだけ一緒に厨房に立っていたって事。真剣に料理を習ったって事。
まぁ、よく知らない私が言える事ではないけれど。
次の日、ウチに来てお父様にコテンパンにされるタクミを目撃した裕孝さんがゲラゲラ腹を抱えて笑う未来が待っているのである。
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