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第二章 恋と陰謀の輪舞曲
25.学院内の勢力図
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国王の御前で晴れて婚約者と認められた翌日。
アマーリアは久しぶりに王立学院に登校した。
この国の貴族の子女は皆、十三歳になったら王立学院に入学し、最初の四年間初等科と呼ばれるクラスで歴史、地理、文学などについての一般教養について広く学び、その後、高等科と呼ばれる専門クラスに進学してそれぞれ、政治や経済、数学や語学などの分野に分かれてより専門的な知識を学ぶことになっている。
兄のヴィクトールは高等科で政治や経済学などを学び、卒業後は騎士団に入団した。
ラルフは初等科を卒業したあと、騎士団に入団しその寄宿舎へと入っている。
騎士の家系の子息には一般的な進路であったが、代々文官であるクルーガー伯爵家の子息が、高等科に進まず騎士団に入団したことは異例のことだった。
一方、女子学生の方は初等科在学中に婚約が決まり、卒業と同時に結婚して家庭に入るか、花嫁修業を始めるのが一般的なコースであった。
アマーリア自身も次の春に初等科を卒業したら、アドリアンと式を挙げて正式に王太子妃になるものだと思われていた。
教室に入ると、アマーリアの姿を見た女生徒たちがわっと集まってきた。
アマーリアを周囲の好奇の視線から守ろうと、その日は朝から屋敷まで迎えにきて一緒に登校してくれたアンジェリカとミレディは思わず親友を庇うように前に出たが、集まってきた生徒からかけられた声は、ほとんどが新しい婚約を祝福するものだった。
「おめでとうございます。アマーリアさま」
「かねてから想いを寄せていらした方とご婚約されただなんて羨ましいわ」
「ねえ、お相手のクルーガーさまってどんな方?」
「あら、私知っていてよ。春の御前武術大会で馬上槍でヴィクトールさまを破って優勝なさった方でしょう?」
「まあ。その試合なら私も見ていたわ。勇ましくて素敵な方でしたわ」
「そうそう。背が高くて逞しくて……。剣技部門でも確か二位だったのでしょう。決勝戦をやはりヴィクトールさまと争って」
「まあ、やはりアマーリアさまは武芸に秀でた方がお好みでしたのね。無理もありませんわ。ヴィクトールさまのように強くて凛々しいお兄さまがいらしたら、そのような方に憧れるのが当然ですもの」
「あら。ヴィクトールさまに憧れているのは貴女でしょう?」
「いいえ。私はどちらかと言うとクレイグさまのような物静かな方が……まあ、アンジェリカさまの前で失礼いたしました」
賑やかな歓迎に目を白黒させながら、アマーリアは二人の親友と顔を見合わせて苦笑した。
どうやら、早急に新しい婚約を成立させて国王に報告し、その承認を頂いた上で大々的に公表する、というクレヴィング公爵の目論見は正しかったようだ。
屈託なく育てられた貴族の令嬢たちは、アドリアンとマリエッタのべたついた印象の、どこか後ろ暗い恋の話よりも、国王の御前で正式に認められて、あとは挙式を待つばかりという晴れやかで明るい話題の方を好んだ。
男子生徒の方はもっと露骨だった。
廃位を言い渡されて以来一度も登校していないアドリアンから、彼らの関心は高等科の一年に在籍している第二王子のエルリックに完全に移っていた。
カフェテリアや渡り廊下で見かけるエルリックの傍らには常に婚約者であるカタリーナと彼女の兄のルーカスがぴったりとくっついていて、その周りにはアドリアンの時をしのぐ人だかりが出来ていた。
だが、アドリアンがいつも大勢の取り巻きたちを引き連れて得意げに風をきって歩いていたのに比べて、もともと控えめな性格だと言われているエルリックもカタリーナも困惑した様子で、ただルーカスだけが調子づいた様子で声高に喋っていた。
周囲からはそのルーカスの言葉にいちいち追従じみた笑い声があがる。
仕方のないことだと分かっていながらも、アマーリアはなんだかやるせなかった。
昼休み。アマーリアはいつも自宅からランチボックスを持ってきている。
アンジェリカとミレディも同様で、天気のいい日は三人で中庭のベンチに座って食べるのが習慣だった。
その日は、今年から初等科に入ったアマーリアの従妹のエルマもやって来て一緒にお昼を食べることにした。
「でも良かったわ。リア姉さまがお元気そうで」
エルマは甘えるようにアマーリアに手を絡ませて言った。
アマーリアによく似た淡い金色の髪に青い瞳をした十三歳のエルマは、アマーリアのことを昔から実の姉のように慕ってくれていた。
「ありがとう。心配してくれて」
「それで結婚式はいつ頃になりそうですの? 私、早くお式に着ていくドレスが欲しいのにお母さまが式の日取りが決まってからでないとダメだって仰るんですもの」
「あら。エルマのドレスのために私は結婚するの?」
「だって私、この間のお誕生日でやっと十三歳になったんですもの。十三歳になったらドレスのスカートを長くして、髪も結い上げて、舞踏会にも出ていいってお母さまがお約束して下さったのに、まだなかなかそんな機会がないんですもの」
エルマは可愛らしく頬をふくらませた。
「だったら先にアンジェにお願いしておくことね。この中では一番先に結婚式を挙げると思うから」
アマーリアが言うと、エルマは目を輝かせてアンジェリカを見た。
「本当? アンジェお姉さま」
「まあね。この中ではね。式も少し早まりそうだし」
アンジェリカが苦笑して頷いた。
「その前に披露パーティーのやり直しをする予定なの。今度は内々で。もちろんエルマもご招待するわよ」
「わあ、嬉しい。ありがとう。アンジェお姉さま」
エルマがアンジェリカに抱きついた。
その時、カフェテリアの方でわっと笑い声が上がった。
アマーリアたちがふと視線を向けると、そこには最近の常でエルリックを中心とした一団が、広間の中央に陣取ってにぎやかに騒いでいた。
なかでも一番、大きな声を出しているのはザイフリート公爵子息のルーカスだ。
「まったく呆れたものだよなあ。アドリアン殿下ときたら。今頃になってもまだご自分が王太子位に戻れると思ってらっしゃったみたいなのだから」
「ええ!? それは本当なんですか」
取り巻きの一人がたずねる。
「ああ。本当だとも。この期に及んで廃位は国王陛下がクレヴィング公爵の手前、一時的に言っただけですぐに元通りになるって王妃さまに言われたらしいぞ」
「うわあ。あれだけのことをしでかしておいてある意味すごいなあ」
「もうとっくにエルリック殿下の立太子が決まっているっていうのにね」
「なんだか可哀想になってきますね」
行き過ぎようとしていたアマーリアの足が止まった。
ルーカスの話は続く。
「しかも王妃宮に例の男爵令嬢を連れ込んでいちゃついていて、王妃さまに叱りつけられて腰を抜かしたらしいぞ」
「うわあ。そんな人をこれまで王太子だと崇めてきたと思うと情けなくなってきますね」
「まあまあ。それももう終わったことだ。今はこうしてエルリック殿下という非の打ちどころのない王太子殿下がいらっしゃるんだからな!」
「ルーカス。やめてくれ。僕はまだ王太子じゃない」
エルリックが止めようとするがルーカスは意に介さない。
それどころかますます調子にのっていくようだ。
「だいたい、いくら第一王妃の息子で長男だからって、あんな方を王太子に立てたこと自体が間違いだったんだよなあ。お人柄、品性からいっても、ご実家の権勢からいってもエルリック殿下の方がずっとふさわしいのに」
「お待ちください」
その場にアマーリアの凛とした声が響き渡った。
「ちょっと、リア」
ミレディが慌てて止めようとするのを振りきって、カフェテリアの中央に向かって歩いていく。
「これは……クレヴィング公爵令嬢」
ルーカスが、ふっと笑って馬鹿丁寧なお辞儀をした。
「ご機嫌うるわしゅう。この度は前王太子殿下とのご婚約解消、心よりお祝い申し上げます」
気取った口上に笑い声をあげかけた周囲の生徒たちは、アマーリアの顔を見ると口をつぐんだ。
「あーあ、もう。スイッチ入っちゃったわ」
アンジェリカが溜息まじりに呟く。エルマがきょとんと首を傾げる。
周囲の視線をいっせいに浴びながら、アマーリアはすっと背筋を伸ばし、まっすぐにルーカスを見つめて口を開いた。
「そのような言い方はあまりに失礼かと思いますけれど?」
アマーリアは久しぶりに王立学院に登校した。
この国の貴族の子女は皆、十三歳になったら王立学院に入学し、最初の四年間初等科と呼ばれるクラスで歴史、地理、文学などについての一般教養について広く学び、その後、高等科と呼ばれる専門クラスに進学してそれぞれ、政治や経済、数学や語学などの分野に分かれてより専門的な知識を学ぶことになっている。
兄のヴィクトールは高等科で政治や経済学などを学び、卒業後は騎士団に入団した。
ラルフは初等科を卒業したあと、騎士団に入団しその寄宿舎へと入っている。
騎士の家系の子息には一般的な進路であったが、代々文官であるクルーガー伯爵家の子息が、高等科に進まず騎士団に入団したことは異例のことだった。
一方、女子学生の方は初等科在学中に婚約が決まり、卒業と同時に結婚して家庭に入るか、花嫁修業を始めるのが一般的なコースであった。
アマーリア自身も次の春に初等科を卒業したら、アドリアンと式を挙げて正式に王太子妃になるものだと思われていた。
教室に入ると、アマーリアの姿を見た女生徒たちがわっと集まってきた。
アマーリアを周囲の好奇の視線から守ろうと、その日は朝から屋敷まで迎えにきて一緒に登校してくれたアンジェリカとミレディは思わず親友を庇うように前に出たが、集まってきた生徒からかけられた声は、ほとんどが新しい婚約を祝福するものだった。
「おめでとうございます。アマーリアさま」
「かねてから想いを寄せていらした方とご婚約されただなんて羨ましいわ」
「ねえ、お相手のクルーガーさまってどんな方?」
「あら、私知っていてよ。春の御前武術大会で馬上槍でヴィクトールさまを破って優勝なさった方でしょう?」
「まあ。その試合なら私も見ていたわ。勇ましくて素敵な方でしたわ」
「そうそう。背が高くて逞しくて……。剣技部門でも確か二位だったのでしょう。決勝戦をやはりヴィクトールさまと争って」
「まあ、やはりアマーリアさまは武芸に秀でた方がお好みでしたのね。無理もありませんわ。ヴィクトールさまのように強くて凛々しいお兄さまがいらしたら、そのような方に憧れるのが当然ですもの」
「あら。ヴィクトールさまに憧れているのは貴女でしょう?」
「いいえ。私はどちらかと言うとクレイグさまのような物静かな方が……まあ、アンジェリカさまの前で失礼いたしました」
賑やかな歓迎に目を白黒させながら、アマーリアは二人の親友と顔を見合わせて苦笑した。
どうやら、早急に新しい婚約を成立させて国王に報告し、その承認を頂いた上で大々的に公表する、というクレヴィング公爵の目論見は正しかったようだ。
屈託なく育てられた貴族の令嬢たちは、アドリアンとマリエッタのべたついた印象の、どこか後ろ暗い恋の話よりも、国王の御前で正式に認められて、あとは挙式を待つばかりという晴れやかで明るい話題の方を好んだ。
男子生徒の方はもっと露骨だった。
廃位を言い渡されて以来一度も登校していないアドリアンから、彼らの関心は高等科の一年に在籍している第二王子のエルリックに完全に移っていた。
カフェテリアや渡り廊下で見かけるエルリックの傍らには常に婚約者であるカタリーナと彼女の兄のルーカスがぴったりとくっついていて、その周りにはアドリアンの時をしのぐ人だかりが出来ていた。
だが、アドリアンがいつも大勢の取り巻きたちを引き連れて得意げに風をきって歩いていたのに比べて、もともと控えめな性格だと言われているエルリックもカタリーナも困惑した様子で、ただルーカスだけが調子づいた様子で声高に喋っていた。
周囲からはそのルーカスの言葉にいちいち追従じみた笑い声があがる。
仕方のないことだと分かっていながらも、アマーリアはなんだかやるせなかった。
昼休み。アマーリアはいつも自宅からランチボックスを持ってきている。
アンジェリカとミレディも同様で、天気のいい日は三人で中庭のベンチに座って食べるのが習慣だった。
その日は、今年から初等科に入ったアマーリアの従妹のエルマもやって来て一緒にお昼を食べることにした。
「でも良かったわ。リア姉さまがお元気そうで」
エルマは甘えるようにアマーリアに手を絡ませて言った。
アマーリアによく似た淡い金色の髪に青い瞳をした十三歳のエルマは、アマーリアのことを昔から実の姉のように慕ってくれていた。
「ありがとう。心配してくれて」
「それで結婚式はいつ頃になりそうですの? 私、早くお式に着ていくドレスが欲しいのにお母さまが式の日取りが決まってからでないとダメだって仰るんですもの」
「あら。エルマのドレスのために私は結婚するの?」
「だって私、この間のお誕生日でやっと十三歳になったんですもの。十三歳になったらドレスのスカートを長くして、髪も結い上げて、舞踏会にも出ていいってお母さまがお約束して下さったのに、まだなかなかそんな機会がないんですもの」
エルマは可愛らしく頬をふくらませた。
「だったら先にアンジェにお願いしておくことね。この中では一番先に結婚式を挙げると思うから」
アマーリアが言うと、エルマは目を輝かせてアンジェリカを見た。
「本当? アンジェお姉さま」
「まあね。この中ではね。式も少し早まりそうだし」
アンジェリカが苦笑して頷いた。
「その前に披露パーティーのやり直しをする予定なの。今度は内々で。もちろんエルマもご招待するわよ」
「わあ、嬉しい。ありがとう。アンジェお姉さま」
エルマがアンジェリカに抱きついた。
その時、カフェテリアの方でわっと笑い声が上がった。
アマーリアたちがふと視線を向けると、そこには最近の常でエルリックを中心とした一団が、広間の中央に陣取ってにぎやかに騒いでいた。
なかでも一番、大きな声を出しているのはザイフリート公爵子息のルーカスだ。
「まったく呆れたものだよなあ。アドリアン殿下ときたら。今頃になってもまだご自分が王太子位に戻れると思ってらっしゃったみたいなのだから」
「ええ!? それは本当なんですか」
取り巻きの一人がたずねる。
「ああ。本当だとも。この期に及んで廃位は国王陛下がクレヴィング公爵の手前、一時的に言っただけですぐに元通りになるって王妃さまに言われたらしいぞ」
「うわあ。あれだけのことをしでかしておいてある意味すごいなあ」
「もうとっくにエルリック殿下の立太子が決まっているっていうのにね」
「なんだか可哀想になってきますね」
行き過ぎようとしていたアマーリアの足が止まった。
ルーカスの話は続く。
「しかも王妃宮に例の男爵令嬢を連れ込んでいちゃついていて、王妃さまに叱りつけられて腰を抜かしたらしいぞ」
「うわあ。そんな人をこれまで王太子だと崇めてきたと思うと情けなくなってきますね」
「まあまあ。それももう終わったことだ。今はこうしてエルリック殿下という非の打ちどころのない王太子殿下がいらっしゃるんだからな!」
「ルーカス。やめてくれ。僕はまだ王太子じゃない」
エルリックが止めようとするがルーカスは意に介さない。
それどころかますます調子にのっていくようだ。
「だいたい、いくら第一王妃の息子で長男だからって、あんな方を王太子に立てたこと自体が間違いだったんだよなあ。お人柄、品性からいっても、ご実家の権勢からいってもエルリック殿下の方がずっとふさわしいのに」
「お待ちください」
その場にアマーリアの凛とした声が響き渡った。
「ちょっと、リア」
ミレディが慌てて止めようとするのを振りきって、カフェテリアの中央に向かって歩いていく。
「これは……クレヴィング公爵令嬢」
ルーカスが、ふっと笑って馬鹿丁寧なお辞儀をした。
「ご機嫌うるわしゅう。この度は前王太子殿下とのご婚約解消、心よりお祝い申し上げます」
気取った口上に笑い声をあげかけた周囲の生徒たちは、アマーリアの顔を見ると口をつぐんだ。
「あーあ、もう。スイッチ入っちゃったわ」
アンジェリカが溜息まじりに呟く。エルマがきょとんと首を傾げる。
周囲の視線をいっせいに浴びながら、アマーリアはすっと背筋を伸ばし、まっすぐにルーカスを見つめて口を開いた。
「そのような言い方はあまりに失礼かと思いますけれど?」
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