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第四章 初恋は叶うもの
61.初恋の叶った翌朝
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夢のような結婚式に続く、公爵邸までのパレード、賑やかな披露宴、華やかな舞踏会。
そして、その翌朝。
ベッドのなかで目を覚ましたアマーリアは危うく声をあげそうになった。
すぐ隣りにラルフの寝顔があったからだ。
慌てて口をおさえて、声を飲み込む。
だが、その途端に一気にこみ上げてきた昨晩の記憶まではおさえこむことが出来ず、アマーリアは掛布団のなかで恥ずかしさに身悶えした。
ラルフは健やかな寝息をたてて眠っている。
その規則正しい寝息が恨めしかった。
昨晩、はじめての夫婦としての夜──つまりは初夜を迎えたあと、ラルフはアマーリアを抱きしめたまま、何度も何度も、愛の言葉を口にした。
数えきれないほどの「好きだ」「愛してる」という言葉とキスを全身に浴びせかけられながら、アマーリアはあれほど恋い焦がれた人からの熱烈な愛情表現に酔い痴れる余裕もなく、ただ、ただ茫然としていた。
結婚式に続く初夜のあれこれについては、当然、事前に母や乳母からそれとない説明を受けて一通りの知識はあった……つもりだった。
だが、実際に迎えたそれはアマーリアの知識と、想像をはるかに超えていた。
(だって、あれが、あんなに痛くて、大変で、それに……それにとんでもなく恥ずかしいものだなんて誰も言ってくれなかったじゃないの!?)
仮にそれを訴えても、母も乳母も平然とした顔で
「だって事前に分かっていたら、若い娘は誰も結婚なんてしたがらないでしょう」
と言うだろう。
ともかくアマーリアには昨夜のすべてが驚きの連続だった。
なかでも衝撃だったのは、ベッドに入ったあとキスを重ねながらラルフが、迷うことなくアマーリアの夜着の紐を緩めてきたことだ。
(え……え? ええ……っ?)
あまりの衝撃に固まっているうちに、気がついたら白い薄手の夜着が肩から滑り落ちていた。
そのあとは頭が真っ白になって、何がどうなったのかよく覚えていない。
……はずだったのに、一晩明けて今になったらラルフが「リア、可愛い」「好きだ」「心から愛してる」と繰り返しながら自分にしてきたことのすべてが克明に甦ってくるのはどうしたことなのか。
ラルフがアマーリアを腕のなかに抱きしめたまま眠ってしまったあとも、アマーリアは一晩中まんじりともしなかった。
だが、昼間の式からの疲れもあってさすがに明け方までに、いつの間にか眠っていたらしい。
普通、貴族の夫婦は寝室を別々に持っている。
もちろんベッドをともにする時には夫が妻の部屋を訪れるのだが、翌朝までには夫は自分の寝室に戻り、身支度を済ませたあとで、朝食の席で顔を合わせるというのが普通である。
家によっては、既婚の夫人は自分の寝室で朝食を済ませ、食堂で朝食をとるのは男性たちと未婚の娘という風習のところもあるが、クレヴィング公爵家では母メリンダの意向で、夫婦そろって子どもたちと一緒に食堂で朝食をとっていた。
それはさておき、アマーリアは困った。
この樫の木屋敷にも、もちろんラルフ用とアマーリア用(今のこの部屋である)の寝室がそれぞれもうけられている。
だが、明け方には自分の部屋へと戻っているはずのラルフは、いまだにぐっすりと自分の隣りで眠っている。
(ど、どうしましょう。お起こしした方がいいのかしら……)
カーテンの隙間からは明るい陽射しが差し込んでいる。
庭からは小鳥の囀りが聞こえ、使用人たちが朝の支度をしているらしい物音も聴こえる。
今が何時か分からないけれど、ひょっとしたらもうかなり日が高い時刻なのではないだろうか。
(新婚初日から、そんな時間まで二人で寝過ごしてしまったなんて……)
シェリルやクララ、バートラムなど使用人たちはどう思うだろう。
そう思うと恥ずかしさのあまり眩暈がしてきそうなアマーリアだった。
(と、とにかくこの格好をどうにかしなくちゃ)
アマーリアは、そっとラルフの腕の中から抜け出すとベッドの上に起き上がった。
純白の絹の夜着は、首元から膝のあたりまで、順々についている淡いピンクのリボンで前を何か所も結び合わせるデザインで見た目はとても可愛らしいが、そのリボンをすべて解かれてしまうと、前が大きく開いて大変にあられもない状態になってしまうデザインだ。
昨晩、お風呂あがりにシェリルに結んで貰ったそのリボンをアマーリアは懸命に自分で結ぼうとした。
しかし、夜着の生地がするするとよく滑る絹なので、ともすると肩から滑り落ちてしまう。
その度にアマーリアは真っ赤になって襟を掻き合わせて、必死にリボンを結ぶ作業を続けた。
「もうっ、今夜からは絶対、もっと普通の夜着に戻して貰うから」
腹立ちまぎれに小声で呟いた瞬間。
「どうして? よく似合うのに」
背後から声がしてアマーリアは「きゃっ」と悲鳴をあげた。
見ればラルフが、ベッドの上に頬杖をつくようにしてこちらを見ている。
「ラ、ラルフさま……いつからお目覚めに?」
「少し前。リアよりも先に起きて、君の寝顔を見てた」
アマーリアは真っ赤になった。
「お、起こして下されば良かったのにっ」
「いや、リアの寝顔があんまり可愛いからもったいなくて」
「も、もったいないって……、えっ、じゃあ、さっきから眠ったふりをなさってたんですか?」
「うん。リアがさっきから一生懸命、何かごそごそしてるのが可愛くて、寝たふりしながらそっとそれを見てた」
さっきから……ということはリボンに悪戦苦闘しながら、何度も夜着が肩から滑り落ちていた時もずっと起きていたということだろうか。
アマーリアは恥ずかしさに涙目になって、ラルフに背中を向けた。
「ひ、ひどいです。意地悪な方」
「ごめん、ごめん。もうしないから」
ラルフは笑って、アマーリアの方へ手を差し伸べた。
「機嫌を直してこっちへおいで、俺のリア」
そう言われても、アマーリアはまだようやく首元のリボンを結び終えたところで、とてもラルフの方に向き合える状態ではない。
背中を向けたまま懸命にリボンと格闘していると、
「怒ってるの? ならお詫びに俺が結んであげるから」
と言われた。
だが、そんなことをして貰えるはずがない。
「け、結構です。自分で出来ますから少しお待ち下さいっ」
そう言って前をしっかり掻き合わせたまま、いったん寝室の横に続いている化粧室に逃げ込むことにした。
が、ベッドから降りようとした途端。
ふいに背中から抱き寄せられて、アマーリアは今度こそ悲鳴をあげた。
「びっくりした……どうした?」
「びっくりしたのは、私の方ですっ」
「どうして?」
「どうしても何も、こんな、急に……」
真っ赤になって身を縮めているアマーリアを見てラルフは、初めて出逢った日からこれまでの日々のなかで初めて、自分が彼女よりも余裕のある立場に立っていることを感じて、小さく笑った。
これまではいつでも、アマーリアの突拍子がなくて、思いがけない愛情表現に巻き込まれ、振り回されてばかりいたのだ。
でも今は、そのアマーリアが自分の腕のなかで真っ赤になって恥ずかしがって、うろたえきっている。
(そんなに恥ずかしがられると、可愛すぎてもっと苛めたくなる……というのは騎士道精神からは外れてるかな、やっぱり)
そう思いながらも、手は自然にアマーリアの華奢な体を抱きすくめて逃すまいとしている。
「ラルフさま……離してください、私、ちょっと身なりを整えて参ります……」
素肌を少しでも隠そうと膝を曲げて、身を縮めながらアマーリアが小さな声でいった途端、ラルフのなかで懸命に抑えようとしていた何かが弾けとんだ。
「ダメだよ」
「え、ダメって……」
「俺から離れたらダメ。ここにいて。もうどこにも行ったらダメだ」
「え、え……っ?」
おろおろとこちらを見上げる、涙ぐんだ藍色の瞳が可愛い。
「リアは少し目を離したらどこへ行くか分からないんだから。だからもう離さないことにする」
そう言って抱きしめる手に力をこめる。
「ラルフさま……?」
確かに、あの誘拐事件以来、ラルフはとても心配性になりアマーリアを一人で行動させるのを嫌がるようになっていた。
(で、でも今はちょっと待って……これ、この服が……っ)
するすると手のなかで滑る夜着の生地を必死に握りしめながら、アマーリアは訴えるようにラルフを振り仰いだ。
だが抗議の声は、上から降ってきたキスに塞がれてしまった。
「……まだ、もう少し、そっとしておきましょうか?」
「そうですね」
先ほどのアマーリアの悲鳴をききつけてやってきたクララとシェリルは、寝室の前で赤くなった顔を見合わせると、そのままそっと部屋の前を離れた。
そして、その翌朝。
ベッドのなかで目を覚ましたアマーリアは危うく声をあげそうになった。
すぐ隣りにラルフの寝顔があったからだ。
慌てて口をおさえて、声を飲み込む。
だが、その途端に一気にこみ上げてきた昨晩の記憶まではおさえこむことが出来ず、アマーリアは掛布団のなかで恥ずかしさに身悶えした。
ラルフは健やかな寝息をたてて眠っている。
その規則正しい寝息が恨めしかった。
昨晩、はじめての夫婦としての夜──つまりは初夜を迎えたあと、ラルフはアマーリアを抱きしめたまま、何度も何度も、愛の言葉を口にした。
数えきれないほどの「好きだ」「愛してる」という言葉とキスを全身に浴びせかけられながら、アマーリアはあれほど恋い焦がれた人からの熱烈な愛情表現に酔い痴れる余裕もなく、ただ、ただ茫然としていた。
結婚式に続く初夜のあれこれについては、当然、事前に母や乳母からそれとない説明を受けて一通りの知識はあった……つもりだった。
だが、実際に迎えたそれはアマーリアの知識と、想像をはるかに超えていた。
(だって、あれが、あんなに痛くて、大変で、それに……それにとんでもなく恥ずかしいものだなんて誰も言ってくれなかったじゃないの!?)
仮にそれを訴えても、母も乳母も平然とした顔で
「だって事前に分かっていたら、若い娘は誰も結婚なんてしたがらないでしょう」
と言うだろう。
ともかくアマーリアには昨夜のすべてが驚きの連続だった。
なかでも衝撃だったのは、ベッドに入ったあとキスを重ねながらラルフが、迷うことなくアマーリアの夜着の紐を緩めてきたことだ。
(え……え? ええ……っ?)
あまりの衝撃に固まっているうちに、気がついたら白い薄手の夜着が肩から滑り落ちていた。
そのあとは頭が真っ白になって、何がどうなったのかよく覚えていない。
……はずだったのに、一晩明けて今になったらラルフが「リア、可愛い」「好きだ」「心から愛してる」と繰り返しながら自分にしてきたことのすべてが克明に甦ってくるのはどうしたことなのか。
ラルフがアマーリアを腕のなかに抱きしめたまま眠ってしまったあとも、アマーリアは一晩中まんじりともしなかった。
だが、昼間の式からの疲れもあってさすがに明け方までに、いつの間にか眠っていたらしい。
普通、貴族の夫婦は寝室を別々に持っている。
もちろんベッドをともにする時には夫が妻の部屋を訪れるのだが、翌朝までには夫は自分の寝室に戻り、身支度を済ませたあとで、朝食の席で顔を合わせるというのが普通である。
家によっては、既婚の夫人は自分の寝室で朝食を済ませ、食堂で朝食をとるのは男性たちと未婚の娘という風習のところもあるが、クレヴィング公爵家では母メリンダの意向で、夫婦そろって子どもたちと一緒に食堂で朝食をとっていた。
それはさておき、アマーリアは困った。
この樫の木屋敷にも、もちろんラルフ用とアマーリア用(今のこの部屋である)の寝室がそれぞれもうけられている。
だが、明け方には自分の部屋へと戻っているはずのラルフは、いまだにぐっすりと自分の隣りで眠っている。
(ど、どうしましょう。お起こしした方がいいのかしら……)
カーテンの隙間からは明るい陽射しが差し込んでいる。
庭からは小鳥の囀りが聞こえ、使用人たちが朝の支度をしているらしい物音も聴こえる。
今が何時か分からないけれど、ひょっとしたらもうかなり日が高い時刻なのではないだろうか。
(新婚初日から、そんな時間まで二人で寝過ごしてしまったなんて……)
シェリルやクララ、バートラムなど使用人たちはどう思うだろう。
そう思うと恥ずかしさのあまり眩暈がしてきそうなアマーリアだった。
(と、とにかくこの格好をどうにかしなくちゃ)
アマーリアは、そっとラルフの腕の中から抜け出すとベッドの上に起き上がった。
純白の絹の夜着は、首元から膝のあたりまで、順々についている淡いピンクのリボンで前を何か所も結び合わせるデザインで見た目はとても可愛らしいが、そのリボンをすべて解かれてしまうと、前が大きく開いて大変にあられもない状態になってしまうデザインだ。
昨晩、お風呂あがりにシェリルに結んで貰ったそのリボンをアマーリアは懸命に自分で結ぼうとした。
しかし、夜着の生地がするするとよく滑る絹なので、ともすると肩から滑り落ちてしまう。
その度にアマーリアは真っ赤になって襟を掻き合わせて、必死にリボンを結ぶ作業を続けた。
「もうっ、今夜からは絶対、もっと普通の夜着に戻して貰うから」
腹立ちまぎれに小声で呟いた瞬間。
「どうして? よく似合うのに」
背後から声がしてアマーリアは「きゃっ」と悲鳴をあげた。
見ればラルフが、ベッドの上に頬杖をつくようにしてこちらを見ている。
「ラ、ラルフさま……いつからお目覚めに?」
「少し前。リアよりも先に起きて、君の寝顔を見てた」
アマーリアは真っ赤になった。
「お、起こして下されば良かったのにっ」
「いや、リアの寝顔があんまり可愛いからもったいなくて」
「も、もったいないって……、えっ、じゃあ、さっきから眠ったふりをなさってたんですか?」
「うん。リアがさっきから一生懸命、何かごそごそしてるのが可愛くて、寝たふりしながらそっとそれを見てた」
さっきから……ということはリボンに悪戦苦闘しながら、何度も夜着が肩から滑り落ちていた時もずっと起きていたということだろうか。
アマーリアは恥ずかしさに涙目になって、ラルフに背中を向けた。
「ひ、ひどいです。意地悪な方」
「ごめん、ごめん。もうしないから」
ラルフは笑って、アマーリアの方へ手を差し伸べた。
「機嫌を直してこっちへおいで、俺のリア」
そう言われても、アマーリアはまだようやく首元のリボンを結び終えたところで、とてもラルフの方に向き合える状態ではない。
背中を向けたまま懸命にリボンと格闘していると、
「怒ってるの? ならお詫びに俺が結んであげるから」
と言われた。
だが、そんなことをして貰えるはずがない。
「け、結構です。自分で出来ますから少しお待ち下さいっ」
そう言って前をしっかり掻き合わせたまま、いったん寝室の横に続いている化粧室に逃げ込むことにした。
が、ベッドから降りようとした途端。
ふいに背中から抱き寄せられて、アマーリアは今度こそ悲鳴をあげた。
「びっくりした……どうした?」
「びっくりしたのは、私の方ですっ」
「どうして?」
「どうしても何も、こんな、急に……」
真っ赤になって身を縮めているアマーリアを見てラルフは、初めて出逢った日からこれまでの日々のなかで初めて、自分が彼女よりも余裕のある立場に立っていることを感じて、小さく笑った。
これまではいつでも、アマーリアの突拍子がなくて、思いがけない愛情表現に巻き込まれ、振り回されてばかりいたのだ。
でも今は、そのアマーリアが自分の腕のなかで真っ赤になって恥ずかしがって、うろたえきっている。
(そんなに恥ずかしがられると、可愛すぎてもっと苛めたくなる……というのは騎士道精神からは外れてるかな、やっぱり)
そう思いながらも、手は自然にアマーリアの華奢な体を抱きすくめて逃すまいとしている。
「ラルフさま……離してください、私、ちょっと身なりを整えて参ります……」
素肌を少しでも隠そうと膝を曲げて、身を縮めながらアマーリアが小さな声でいった途端、ラルフのなかで懸命に抑えようとしていた何かが弾けとんだ。
「ダメだよ」
「え、ダメって……」
「俺から離れたらダメ。ここにいて。もうどこにも行ったらダメだ」
「え、え……っ?」
おろおろとこちらを見上げる、涙ぐんだ藍色の瞳が可愛い。
「リアは少し目を離したらどこへ行くか分からないんだから。だからもう離さないことにする」
そう言って抱きしめる手に力をこめる。
「ラルフさま……?」
確かに、あの誘拐事件以来、ラルフはとても心配性になりアマーリアを一人で行動させるのを嫌がるようになっていた。
(で、でも今はちょっと待って……これ、この服が……っ)
するすると手のなかで滑る夜着の生地を必死に握りしめながら、アマーリアは訴えるようにラルフを振り仰いだ。
だが抗議の声は、上から降ってきたキスに塞がれてしまった。
「……まだ、もう少し、そっとしておきましょうか?」
「そうですね」
先ほどのアマーリアの悲鳴をききつけてやってきたクララとシェリルは、寝室の前で赤くなった顔を見合わせると、そのままそっと部屋の前を離れた。
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