11 / 11
11.はじめての友人
しおりを挟む
秀女選出から戻ってきた翠蓮は、出かける前とはうってかわって上機嫌だった。
なんでも皇帝陛下直々にお声をかけていただいたらしい。
「そんなことは、数十人という秀女のなかでお嬢さまお一人だそうですわ!」
「ほらね、だから言ったでしょう。翠蓮。あなたは特別だって。母には分かっていましたよ。あなたが一目で陛下のお心をとらえることが。ああ、翠蓮。なんて素晴らしいんでしょう。さすがは女神の娘だわ」
莉宇と玲氏が上ずった声で喜び合っているのを聞きながら、藍珠は目立たないように部屋の隅に下がって掃除を続けていた。
(誰からも好かれ、愛される翠蓮の魅力は皇帝陛下の御目ですら惹きつけずにはおかないのね)
もし翠蓮が選出の場で冷遇されたり、他の秀女に引けをとったりしたらまた玲氏に、
「不吉な凶星のおまえを連れてきたせいだ」
と責められるにちがいないと思っていた藍珠は、ほっと胸を撫でおろした。
「陛下はとても素敵な方だったわ。もちろん、お顔は御簾で隠れて見えなかったけど、お声やお話しされる時の物の言い方や……私のことを好いて下さっていることが分かったわ」
翠蓮は御簾越しに言葉をかわした皇帝にすっかり熱をあげているらしく、うっとりとした様子で繰り返し対面したときの様子を話していた。
このまま、陛下のお心をとらえて寵姫として後宮でときめくようになれば、じきに翠蓮は藍珠のことなど忘れてしまうだろう。
そうなれば、黄族の集落に帰ることが出来る。
涼雲の妻として暮らせるようになる。
その日が来るまでは、ひたすら目立たないように、控えめに過ごしていようと藍珠は改めて心に誓った。
しかし、皇宮に来たのも悪いことばかりではなかった。
ここで初めて藍珠は友人というものを得たのだ。
都に上がってすぐに出会った侍女仲間の咲梅は、明るく親しみやすい性格で、内向的な藍珠にも何かと話しかけてくれた。
藍珠が翠蓮の実の姉だと知った咲梅は、驚いたようだった。
「実の姉妹なのに一人は秀女で、もう一人はその侍女として皇宮にあがってるの? ひどい話ね」
「しいっ。莉宇さんにでも聞かれたら大変よ。いいの。私の母は側室でさえない奴婢の扱いだったし……」
「何も同じように扱うべきだとは言ってないわよ。わざわざ、見せつけるみたいにあなたを連れてこなくても、釣り合った身分の部族の男とでも結婚させるのが普通だと思うけど?」
咲梅のいうことは最もだった。
藍珠自身も、少し前まではそうなると信じ込んでいたのだから。
藍珠が咲梅と親しくなったのを見た莉宇は、侍女たちの集まっている場所で藍珠が不吉な「凶星」が輝く夜に生まれたことを聞えよがしに話した。
藍珠は居たたまれない思いだったが、咲梅の態度はそれからも変わらなかった。
「あの莉宇さんって人、意地悪ね。藍珠を目の敵にしてるじゃないの。仮にも藍珠は首長の娘なのにどういうつもりなのかしら」
「莉宇さんは、翠蓮を何より大切に思ってるのよ。だから不吉な私が翠蓮の側にいるのが嫌なんだと思うわ」
そう言ってから、藍珠は思い切って気になっていたことを咲梅に聞いてみた。
「咲梅は気にしないの?」
「え、何が?」
「私が、『凶星』だっていうこと……」
咲梅はきょとんとした顔をして、それからけらけらと笑い出した。
「やだ、何を言うかと思えば。気にするはずないでしょ、そんな迷信」
「迷信……?」
「草原の民は迷信深いってお祖母ちゃんに聞いたことあるけど本当なのね。この皇都では誰もそんなこと気にしてないわよ」
「で、でも、皇都にだって古くからの言い伝えだとか、そういったものはあるでしょう?」
「それはあるけど……こっちでは七星が不吉だなんて話は聞いたことがないわね。ましてやそれを理由に差別したり、避けたりなんてね。馬鹿馬鹿しいわよ」
「ありがとう……咲梅……」
「ちょっと、泣いてるの? 藍珠ったら、どうしたのよ」
「だって、嬉しくて……私、生まれたときからずっと、不吉だって言われてて……」
藍珠は慌てて袖で涙を抑えた。
故郷の集落にいる間、ずっと藍珠には生まれながらの「凶星」という呼び名がつきまとっていた。
気にしないようにしようと思いながらも、何をしてもうまくいき、幸運の女神に愛されて生まれてきたような翠蓮を間近で見ていると、姉妹に生まれながらどうしてこうまで違うのかと、自分が自分で疎ましくなる時もあった。
自分だけが不幸の星の下に生まれているのならともかく、そんな自分と一緒になったら涼雲までも不幸にしてしまうのではないかと思うと、彼を愛し、愛されていること自体がどこか後ろめたく、ずっと怖かった。
そんな藍珠に咲梅ははじめて、
「そんなものはただの迷信だ」
と言ってくれた。泣かずにはいられなかった。
「いやね、藍珠ったら。私だけじゃないわよ。都で生まれ育った者だったら皆が同じことを言うわよ。ねえ、雲児?」
近くで掃除をしていた侍女の雲児も、笑いながら頷いた。
「そうよ。藍珠。私が知っている話だと七星は天帝のお后さまの髪飾りなんだそうよ。不吉どころか素敵じゃない?」
「ありがとう。二人とも」
藍珠は、今までにない幸福な気持ちでお礼を言った。
咲梅と雲児は、藍珠の境遇に同情してくれた。
「じゃあ故郷の集落に、婚約者を残してきているのね」
雲児は、うっとりとそう言った。
「いいなあ。『いつか必ず迎えに行く』なんて素敵。憧れちゃう。私にもそんな人がいたらいいのに」
咲梅がからかうように雲児の頬をつついた。
「あなたと藍珠じゃ月と亀よ」
「何よ、咲梅ったら。意地悪なんだから!」
雲児は頬をふくらませたが、おろおろしている藍珠を見るとはあっと溜息をついた。
「でも本当にそうね。藍珠は本当に綺麗だもの。本当のことをいえば翠蓮さまよりもよっぽど藍珠の方が……」
「雲児ったら!」
藍珠は慌てて制した。
「あら。でも本当よ。こちらの小主(秀女に対する敬称)よりも藍珠の方がずっと美しいわよ。あなたが秀女選出に出ていればきっとすぐに、嬪か妃に選ばれたのに」
「馬鹿なこと言わないで。お世辞はいいわ。自分で分かってるもの」
藍珠の真っ黒な髪や瞳、日差しを浴びても日に灼けない青白いような肌は、黄族の集落では、烏の羽根や闇夜にたとえられて、不吉の象徴のように言われていた。
藍珠自身、春の日差しそのもののように、優しく柔らかな印象の翠蓮の容姿をどれだけ羨ましく思ったかしれない。
「ちょっと、あなたたち! いつまでお喋りしているの!」
莉宇の怒鳴り声が飛んできて、それでその話はおしまいになった。
明るい咲梅は同僚たちにも人気があり、その彼女が親しくしてくれることで藍珠も他の侍女たちに快く受け入れて貰えるようになった。
涼雲に会えない寂しさはあるものの、藍珠は生まれてから今が一番幸福だと思うようになった。
ここに友人たちといる限り、自分は「凶星」ではないのだ。
後日、皇宮入りの決まった妃たちの位と住まいが発表された。
翠蓮は嬪の下に位置する、貴人、美人、才人、宝林、御花、采女の六侍妾のうちの最上位の貴人に叙せられ、「黄貴人」と呼ばれることになった。
すぐにでも妃の一人に叙せられるとばかり思っていた翠蓮は不満をあらわにし、それを母親の玲氏と莉宇が懸命になだめていた。
「まだ夜伽に呼ばれる前から貴人に叙せられるなど、承相(大臣)か亜相(大臣に次ぐ高官)の姫君でもなければ、なかなかないことよ」
「そうですよ。お嬢様。それに最初に定められる位はあくまで仮のもので、あくまで夜伽のあとに叙せられる位が本当の位だと言われておりますわ。お嬢様ならば、きっとすぐに嬪、いえ、妃にも任じられますよ」
「そうね。幸い、いま妃には空位があることだし」
妃は規定では四人までとなっているが、現在後宮にいる妃は、宣淑妃、江貴妃、娟徳妃の三人であり、「恵妃」の座は空位となっている。
二人にかわるがわるなだめられて、機嫌をなおした翠蓮だったがそれもすぐに覆された。
新しく選ばれた秀女たちの中には、玲氏の実家の兄の娘の香瑛も選ばれていた。
玲家は、承相、亜相よりも下の宰相の家柄だったが、香瑛が叙せられたのは九嬪のうちの第四位、「佳儀」の位だった。
玲氏は屈辱に青ざめた。
なんでも皇帝陛下直々にお声をかけていただいたらしい。
「そんなことは、数十人という秀女のなかでお嬢さまお一人だそうですわ!」
「ほらね、だから言ったでしょう。翠蓮。あなたは特別だって。母には分かっていましたよ。あなたが一目で陛下のお心をとらえることが。ああ、翠蓮。なんて素晴らしいんでしょう。さすがは女神の娘だわ」
莉宇と玲氏が上ずった声で喜び合っているのを聞きながら、藍珠は目立たないように部屋の隅に下がって掃除を続けていた。
(誰からも好かれ、愛される翠蓮の魅力は皇帝陛下の御目ですら惹きつけずにはおかないのね)
もし翠蓮が選出の場で冷遇されたり、他の秀女に引けをとったりしたらまた玲氏に、
「不吉な凶星のおまえを連れてきたせいだ」
と責められるにちがいないと思っていた藍珠は、ほっと胸を撫でおろした。
「陛下はとても素敵な方だったわ。もちろん、お顔は御簾で隠れて見えなかったけど、お声やお話しされる時の物の言い方や……私のことを好いて下さっていることが分かったわ」
翠蓮は御簾越しに言葉をかわした皇帝にすっかり熱をあげているらしく、うっとりとした様子で繰り返し対面したときの様子を話していた。
このまま、陛下のお心をとらえて寵姫として後宮でときめくようになれば、じきに翠蓮は藍珠のことなど忘れてしまうだろう。
そうなれば、黄族の集落に帰ることが出来る。
涼雲の妻として暮らせるようになる。
その日が来るまでは、ひたすら目立たないように、控えめに過ごしていようと藍珠は改めて心に誓った。
しかし、皇宮に来たのも悪いことばかりではなかった。
ここで初めて藍珠は友人というものを得たのだ。
都に上がってすぐに出会った侍女仲間の咲梅は、明るく親しみやすい性格で、内向的な藍珠にも何かと話しかけてくれた。
藍珠が翠蓮の実の姉だと知った咲梅は、驚いたようだった。
「実の姉妹なのに一人は秀女で、もう一人はその侍女として皇宮にあがってるの? ひどい話ね」
「しいっ。莉宇さんにでも聞かれたら大変よ。いいの。私の母は側室でさえない奴婢の扱いだったし……」
「何も同じように扱うべきだとは言ってないわよ。わざわざ、見せつけるみたいにあなたを連れてこなくても、釣り合った身分の部族の男とでも結婚させるのが普通だと思うけど?」
咲梅のいうことは最もだった。
藍珠自身も、少し前まではそうなると信じ込んでいたのだから。
藍珠が咲梅と親しくなったのを見た莉宇は、侍女たちの集まっている場所で藍珠が不吉な「凶星」が輝く夜に生まれたことを聞えよがしに話した。
藍珠は居たたまれない思いだったが、咲梅の態度はそれからも変わらなかった。
「あの莉宇さんって人、意地悪ね。藍珠を目の敵にしてるじゃないの。仮にも藍珠は首長の娘なのにどういうつもりなのかしら」
「莉宇さんは、翠蓮を何より大切に思ってるのよ。だから不吉な私が翠蓮の側にいるのが嫌なんだと思うわ」
そう言ってから、藍珠は思い切って気になっていたことを咲梅に聞いてみた。
「咲梅は気にしないの?」
「え、何が?」
「私が、『凶星』だっていうこと……」
咲梅はきょとんとした顔をして、それからけらけらと笑い出した。
「やだ、何を言うかと思えば。気にするはずないでしょ、そんな迷信」
「迷信……?」
「草原の民は迷信深いってお祖母ちゃんに聞いたことあるけど本当なのね。この皇都では誰もそんなこと気にしてないわよ」
「で、でも、皇都にだって古くからの言い伝えだとか、そういったものはあるでしょう?」
「それはあるけど……こっちでは七星が不吉だなんて話は聞いたことがないわね。ましてやそれを理由に差別したり、避けたりなんてね。馬鹿馬鹿しいわよ」
「ありがとう……咲梅……」
「ちょっと、泣いてるの? 藍珠ったら、どうしたのよ」
「だって、嬉しくて……私、生まれたときからずっと、不吉だって言われてて……」
藍珠は慌てて袖で涙を抑えた。
故郷の集落にいる間、ずっと藍珠には生まれながらの「凶星」という呼び名がつきまとっていた。
気にしないようにしようと思いながらも、何をしてもうまくいき、幸運の女神に愛されて生まれてきたような翠蓮を間近で見ていると、姉妹に生まれながらどうしてこうまで違うのかと、自分が自分で疎ましくなる時もあった。
自分だけが不幸の星の下に生まれているのならともかく、そんな自分と一緒になったら涼雲までも不幸にしてしまうのではないかと思うと、彼を愛し、愛されていること自体がどこか後ろめたく、ずっと怖かった。
そんな藍珠に咲梅ははじめて、
「そんなものはただの迷信だ」
と言ってくれた。泣かずにはいられなかった。
「いやね、藍珠ったら。私だけじゃないわよ。都で生まれ育った者だったら皆が同じことを言うわよ。ねえ、雲児?」
近くで掃除をしていた侍女の雲児も、笑いながら頷いた。
「そうよ。藍珠。私が知っている話だと七星は天帝のお后さまの髪飾りなんだそうよ。不吉どころか素敵じゃない?」
「ありがとう。二人とも」
藍珠は、今までにない幸福な気持ちでお礼を言った。
咲梅と雲児は、藍珠の境遇に同情してくれた。
「じゃあ故郷の集落に、婚約者を残してきているのね」
雲児は、うっとりとそう言った。
「いいなあ。『いつか必ず迎えに行く』なんて素敵。憧れちゃう。私にもそんな人がいたらいいのに」
咲梅がからかうように雲児の頬をつついた。
「あなたと藍珠じゃ月と亀よ」
「何よ、咲梅ったら。意地悪なんだから!」
雲児は頬をふくらませたが、おろおろしている藍珠を見るとはあっと溜息をついた。
「でも本当にそうね。藍珠は本当に綺麗だもの。本当のことをいえば翠蓮さまよりもよっぽど藍珠の方が……」
「雲児ったら!」
藍珠は慌てて制した。
「あら。でも本当よ。こちらの小主(秀女に対する敬称)よりも藍珠の方がずっと美しいわよ。あなたが秀女選出に出ていればきっとすぐに、嬪か妃に選ばれたのに」
「馬鹿なこと言わないで。お世辞はいいわ。自分で分かってるもの」
藍珠の真っ黒な髪や瞳、日差しを浴びても日に灼けない青白いような肌は、黄族の集落では、烏の羽根や闇夜にたとえられて、不吉の象徴のように言われていた。
藍珠自身、春の日差しそのもののように、優しく柔らかな印象の翠蓮の容姿をどれだけ羨ましく思ったかしれない。
「ちょっと、あなたたち! いつまでお喋りしているの!」
莉宇の怒鳴り声が飛んできて、それでその話はおしまいになった。
明るい咲梅は同僚たちにも人気があり、その彼女が親しくしてくれることで藍珠も他の侍女たちに快く受け入れて貰えるようになった。
涼雲に会えない寂しさはあるものの、藍珠は生まれてから今が一番幸福だと思うようになった。
ここに友人たちといる限り、自分は「凶星」ではないのだ。
後日、皇宮入りの決まった妃たちの位と住まいが発表された。
翠蓮は嬪の下に位置する、貴人、美人、才人、宝林、御花、采女の六侍妾のうちの最上位の貴人に叙せられ、「黄貴人」と呼ばれることになった。
すぐにでも妃の一人に叙せられるとばかり思っていた翠蓮は不満をあらわにし、それを母親の玲氏と莉宇が懸命になだめていた。
「まだ夜伽に呼ばれる前から貴人に叙せられるなど、承相(大臣)か亜相(大臣に次ぐ高官)の姫君でもなければ、なかなかないことよ」
「そうですよ。お嬢様。それに最初に定められる位はあくまで仮のもので、あくまで夜伽のあとに叙せられる位が本当の位だと言われておりますわ。お嬢様ならば、きっとすぐに嬪、いえ、妃にも任じられますよ」
「そうね。幸い、いま妃には空位があることだし」
妃は規定では四人までとなっているが、現在後宮にいる妃は、宣淑妃、江貴妃、娟徳妃の三人であり、「恵妃」の座は空位となっている。
二人にかわるがわるなだめられて、機嫌をなおした翠蓮だったがそれもすぐに覆された。
新しく選ばれた秀女たちの中には、玲氏の実家の兄の娘の香瑛も選ばれていた。
玲家は、承相、亜相よりも下の宰相の家柄だったが、香瑛が叙せられたのは九嬪のうちの第四位、「佳儀」の位だった。
玲氏は屈辱に青ざめた。
0
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
婚約解消されたら隣にいた男に攫われて、強請るまで抱かれたんですけど?〜暴君の暴君が暴君過ぎた話〜
紬あおい
恋愛
婚約解消された瞬間「俺が貰う」と連れ去られ、もっとしてと強請るまで抱き潰されたお話。
連れ去った強引な男は、実は一途で高貴な人だった。
あなたがいなくなった後 〜シングルマザーになった途端、義弟から愛され始めました〜
瀬崎由美
恋愛
石橋優香は夫大輝との子供を出産したばかりの二十七歳の専業主婦。三歳歳上の大輝とは大学時代のサークルの先輩後輩で、卒業後に再会したのがキッカケで付き合い始めて結婚した。
まだ生後一か月の息子を手探りで育てて、寝不足の日々。朝、いつもと同じように仕事へと送り出した夫は職場での事故で帰らぬ人となる。乳児を抱えシングルマザーとなってしまった優香のことを支えてくれたのは、夫の弟である宏樹だった。二歳年上で公認会計士である宏樹は優香に変わって葬儀やその他を取り仕切ってくれ、事あるごとに家の様子を見にきて、二人のことを気に掛けてくれていた。
息子の為にと自立を考えた優香は、働きに出ることを考える。それを知った宏樹は自分の経営する会計事務所に勤めることを勧めてくれる。陽太が保育園に入れることができる月齢になって義弟のオフィスで働き始めてしばらく、宏樹の不在時に彼の元カノだと名乗る女性が訪れて来、宏樹へと復縁を迫ってくる。宏樹から断られて逆切れした元カノによって、彼が優香のことをずっと想い続けていたことを暴露されてしまう。
あっさりと認めた宏樹は、「今は兄貴の代役でもいい」そういって、優香の傍にいたいと願った。
夫とは真逆のタイプの宏樹だったが、優しく支えてくれるところは同じで……
夫のことを想い続けるも、義弟のことも完全には拒絶することができない優香。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
【完結】転生したらラスボスの毒継母でした!
白雨 音
恋愛
妹シャルリーヌに裕福な辺境伯から結婚の打診があったと知り、アマンディーヌはシャルリーヌと入れ替わろうと画策する。
辺境伯からは「息子の為の白い結婚、いずれ解消する」と宣言されるが、アマンディーヌにとっても都合が良かった。「辺境伯の財で派手に遊び暮らせるなんて最高!」義理の息子など放置して遊び歩く気満々だったが、義理の息子に会った瞬間、卒倒した。
夢の中、前世で読んだ小説を思い出し、義理の息子は将来世界を破滅させようとするラスボスで、自分はその一因を作った毒継母だと知った。破滅もだが、何より自分の死の回避の為に、義理の息子を真っ当な人間に育てようと誓ったアマンディーヌの奮闘☆
異世界転生、家族愛、恋愛☆ 短めの長編(全二十一話です)
《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、いいね、ありがとうございます☆
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
連載再開されたのですね!続き楽しみに待っていました。これからの展開期待しています。
感想ありがとうございます!
初めての感想、とても嬉しいです。
一度、中華風の後宮ものを書いてみたくて初めてみたものの、設定など悩むことばかりで四苦八苦しています(;'∀')
更新ペースがゆっくりになってしまうと思いますが、良かったら今後とも覗いてやって下さい。