7 / 27
本編
07.感情と衝動で物を語るな!! 私はそう言いたい
しおりを挟む
ザワリと人の気配が揺らめいた。
人の視線が集まった。
ワイズ様とその連れの方の行動……そして、なぜか暴走するユリウス様の言動、それらはフェルト侯爵家の祝いの場と考えれば失礼で済まされるような問題ではありません。
とめるべき状況……ですよね?
幼い頃から、アイズお爺様は感情と衝動に支配されがちな、ワイズ様の制御をし、礼儀を守らせ、間違いを正させるよう……私に求めた。
また、殴られるのでしょうか……。
出来れば関係ないものにしたいのですが……そんなことを考え、私はいったん遠くへと視線を向け、私は溜息と共にワイズ様を見据えた。
ワイズ様の表情が明らかにひきつっている事から、自分のまき起こしたこの状況が、よろしくないことぐらいは理解しているようです。 いえ、事前にフェルト侯爵家の許可を得ようとしたぐらいですから、何かをやらかすだろうことは理解して、予防線を張った? その程度の知恵は回るようになりましたか……。
アイズお爺様がお亡くなりになって半年。
クルール公爵夫婦が『屋敷から出ていけ』と私を追いだした事は、余程、貴族社会に疎い者でない限りは知っているはずです。 貴族社会とはそういうものでございます。
ですので少女の発言が『嘘』であることは、ここにいる大半の者が理解しているのですよ。 少女の発言を、嘘を嘘と見抜けない貴族は、所詮はその程度なのだと笑われるだけ……それが貴族社会と言うものですわ。 だから、私は相手にする気等ございませんでしたの。
なのに……。
「シアさんが、そんな事をするわけなどない!! オマエは嘘をついている!」
ユリウスが言いきった。
真実を知らないユリウスが、惚れたと言う理由だけで、シアの味方になる。 ソレを心強いと思える訳などない。 ユリウスがシアを信用すると言うことは、言い換えればソレはワイズが少女を信頼すると言うことに変わりないのだ。
人の感情、思い込み、なんて恐ろしい!!
「とにかく、フェルト侯爵家にとって喜ばしいこの日を祝う場。 余りにも勝手に騒ぎ立てては、申し訳ないと言うものですわ。 私、お先に失礼させて頂きます」
私は、両殿下に頭を下げ、口だけを動かした『お任せします』と、別に全てを任せ解決しろと言っているのではなく、ただ、フェルト侯爵の迷惑にならないよう収めて欲しいと言う意味合いであり、幼馴染と言う程度には付き合いも長いため、分かったとばかりに両殿下は頷いて見せた。
「あら、自分の都合の悪い話をされるのは、聞いていられないって訳? 当然よね……アナタのしたことは人としての配慮にかけ、思いやりにかけ、嫌われるには十分ですもの。 自分が軽蔑の視線を向けられると言うのが耐えられないのでしょう? 私、分かりますわ。 だって、私、アナタと違って人に配慮できる人間ですもの」
ずっとワイズ様に縋りつき隠れていた姿が、私の背を追うように私をおいかけ、去ろうとする私の肩を掴もうとすれば、ワイズ様がその手をピシャリと叩いた。
「っ! 痛い!! 痛い痛い痛い痛いですわぁあああ!! 何をなさるんですか!!」
ワイズに突然叫びだす女性。
オロオロと狼狽えながら、ワイズはオズオズと言う。
「ぇ、あ、すまない……ただ、その……無暗やたらと人に触れると言うのは、社交界的なルールに反し、人を不快にする行為だから辞めた方がいい……」
ワイズ様は感情のコントロールが下手なら、上手く話すことが出来ず直ぐに手が出る方、今でこそ力の加減も出来るようになったこともあり、ワイズ様の連れである女性の手は叩かれはしましたが、赤くなることもなく済んだようです。
厄介ごとが増えずに済んで良かったですわ。
私はそう思いましたが、少女は泣き、髪を振り乱し、床に座りこみ泣き出した。
「そんな事、言葉で言ってくださればよいじゃないですの!! カヨワイ女性に暴力を振る男なんて最低の最低で最低な行為ですわ!!」
暴力に対しては私もそう思うが……それ以上に彼女の行動が、本気でフェルト侯爵に申し訳ないと思ってしまう訳で……。 私は溜息を一つついて、ワイズ様を見た。
「ワイズ様、アナタがフェルト侯爵と取引をして、彼女の社交界デビューの場につかわせて頂こうと取引したと言うのは理解しておりますが。 本日の主役は小さな小さな生まれたばかりの子が主役。 これは少々やりすぎではございませんこと? お爺様は他人に迷惑をかけることを何より嫌っておりましたわよね?」
そう告げれば、大きな身体をシュンとさせる。
「連れの方と共に屋敷にお戻りなさいませ」
「分かった……。 皆様、この場を荒らした事大変申し訳ございませんでした。 謹んで謝罪の言葉と返させて頂きます」
そうワイズ様が頭を下げれば、一応世間体的には妻であるのだからと、私も謝罪を行い、その場を後にする事にしたのでした。
まぁ……、ワイズ様の連れは延々と暴れ続けていましたけど、肩に担がれ去っていく様子はなんといっていいのか……。
何も見なかった、聞かなかった、知らなかった。 私はそんな風に自分に暗示をかけ、被害者ぶることを徹底した。
数日後には、面白い噂話がゴシップとして取り上げられ、そして色々な真実が表ざたとなることでしょう。
人の視線が集まった。
ワイズ様とその連れの方の行動……そして、なぜか暴走するユリウス様の言動、それらはフェルト侯爵家の祝いの場と考えれば失礼で済まされるような問題ではありません。
とめるべき状況……ですよね?
幼い頃から、アイズお爺様は感情と衝動に支配されがちな、ワイズ様の制御をし、礼儀を守らせ、間違いを正させるよう……私に求めた。
また、殴られるのでしょうか……。
出来れば関係ないものにしたいのですが……そんなことを考え、私はいったん遠くへと視線を向け、私は溜息と共にワイズ様を見据えた。
ワイズ様の表情が明らかにひきつっている事から、自分のまき起こしたこの状況が、よろしくないことぐらいは理解しているようです。 いえ、事前にフェルト侯爵家の許可を得ようとしたぐらいですから、何かをやらかすだろうことは理解して、予防線を張った? その程度の知恵は回るようになりましたか……。
アイズお爺様がお亡くなりになって半年。
クルール公爵夫婦が『屋敷から出ていけ』と私を追いだした事は、余程、貴族社会に疎い者でない限りは知っているはずです。 貴族社会とはそういうものでございます。
ですので少女の発言が『嘘』であることは、ここにいる大半の者が理解しているのですよ。 少女の発言を、嘘を嘘と見抜けない貴族は、所詮はその程度なのだと笑われるだけ……それが貴族社会と言うものですわ。 だから、私は相手にする気等ございませんでしたの。
なのに……。
「シアさんが、そんな事をするわけなどない!! オマエは嘘をついている!」
ユリウスが言いきった。
真実を知らないユリウスが、惚れたと言う理由だけで、シアの味方になる。 ソレを心強いと思える訳などない。 ユリウスがシアを信用すると言うことは、言い換えればソレはワイズが少女を信頼すると言うことに変わりないのだ。
人の感情、思い込み、なんて恐ろしい!!
「とにかく、フェルト侯爵家にとって喜ばしいこの日を祝う場。 余りにも勝手に騒ぎ立てては、申し訳ないと言うものですわ。 私、お先に失礼させて頂きます」
私は、両殿下に頭を下げ、口だけを動かした『お任せします』と、別に全てを任せ解決しろと言っているのではなく、ただ、フェルト侯爵の迷惑にならないよう収めて欲しいと言う意味合いであり、幼馴染と言う程度には付き合いも長いため、分かったとばかりに両殿下は頷いて見せた。
「あら、自分の都合の悪い話をされるのは、聞いていられないって訳? 当然よね……アナタのしたことは人としての配慮にかけ、思いやりにかけ、嫌われるには十分ですもの。 自分が軽蔑の視線を向けられると言うのが耐えられないのでしょう? 私、分かりますわ。 だって、私、アナタと違って人に配慮できる人間ですもの」
ずっとワイズ様に縋りつき隠れていた姿が、私の背を追うように私をおいかけ、去ろうとする私の肩を掴もうとすれば、ワイズ様がその手をピシャリと叩いた。
「っ! 痛い!! 痛い痛い痛い痛いですわぁあああ!! 何をなさるんですか!!」
ワイズに突然叫びだす女性。
オロオロと狼狽えながら、ワイズはオズオズと言う。
「ぇ、あ、すまない……ただ、その……無暗やたらと人に触れると言うのは、社交界的なルールに反し、人を不快にする行為だから辞めた方がいい……」
ワイズ様は感情のコントロールが下手なら、上手く話すことが出来ず直ぐに手が出る方、今でこそ力の加減も出来るようになったこともあり、ワイズ様の連れである女性の手は叩かれはしましたが、赤くなることもなく済んだようです。
厄介ごとが増えずに済んで良かったですわ。
私はそう思いましたが、少女は泣き、髪を振り乱し、床に座りこみ泣き出した。
「そんな事、言葉で言ってくださればよいじゃないですの!! カヨワイ女性に暴力を振る男なんて最低の最低で最低な行為ですわ!!」
暴力に対しては私もそう思うが……それ以上に彼女の行動が、本気でフェルト侯爵に申し訳ないと思ってしまう訳で……。 私は溜息を一つついて、ワイズ様を見た。
「ワイズ様、アナタがフェルト侯爵と取引をして、彼女の社交界デビューの場につかわせて頂こうと取引したと言うのは理解しておりますが。 本日の主役は小さな小さな生まれたばかりの子が主役。 これは少々やりすぎではございませんこと? お爺様は他人に迷惑をかけることを何より嫌っておりましたわよね?」
そう告げれば、大きな身体をシュンとさせる。
「連れの方と共に屋敷にお戻りなさいませ」
「分かった……。 皆様、この場を荒らした事大変申し訳ございませんでした。 謹んで謝罪の言葉と返させて頂きます」
そうワイズ様が頭を下げれば、一応世間体的には妻であるのだからと、私も謝罪を行い、その場を後にする事にしたのでした。
まぁ……、ワイズ様の連れは延々と暴れ続けていましたけど、肩に担がれ去っていく様子はなんといっていいのか……。
何も見なかった、聞かなかった、知らなかった。 私はそんな風に自分に暗示をかけ、被害者ぶることを徹底した。
数日後には、面白い噂話がゴシップとして取り上げられ、そして色々な真実が表ざたとなることでしょう。
0
あなたにおすすめの小説
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
愛されないと吹っ切れたら騎士の旦那様が豹変しました
蜂蜜あやね
恋愛
隣国オデッセアから嫁いできたマリーは次期公爵レオンの妻となる。初夜は真っ暗闇の中で。
そしてその初夜以降レオンはマリーを1年半もの長い間抱くこともしなかった。
どんなに求めても無視され続ける日々についにマリーの糸はプツリと切れる。
離縁するならレオンの方から、私の方からは離縁は絶対にしない。負けたくない!
夫を諦めて吹っ切れた妻と妻のもう一つの姿に惹かれていく夫の遠回り恋愛(結婚)ストーリー
※本作には、性的行為やそれに準ずる描写、ならびに一部に性加害的・非合意的と受け取れる表現が含まれます。苦手な方はご注意ください。
※ムーンライトノベルズでも投稿している同一作品です。
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
大人になったオフェーリア。
ぽんぽこ狸
恋愛
婚約者のジラルドのそばには王女であるベアトリーチェがおり、彼女は慈愛に満ちた表情で下腹部を撫でている。
生まれてくる子供の為にも婚約解消をとオフェーリアは言われるが、納得がいかない。
けれどもそれどころではないだろう、こうなってしまった以上は、婚約解消はやむなしだ。
それ以上に重要なことは、ジラルドの実家であるレピード公爵家とオフェーリアの実家はたくさんの共同事業を行っていて、今それがおじゃんになれば、オフェーリアには補えないほどの損失を生むことになる。
その点についてすぐに確認すると、そういう所がジラルドに見離される原因になったのだとベアトリーチェは怒鳴りだしてオフェーリアに掴みかかってきた。
その尋常では無い様子に泣き寝入りすることになったオフェーリアだったが、父と母が設定したお見合いで彼女の騎士をしていたヴァレントと出会い、とある復讐の方法を思いついたのだった。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる