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番外 元さや【R-18】
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「それに、こんな冗談は、面白くありませんわ」
ボソリと呟く私の声は、何処か拗ねたように聞こえたかもしれない、俯いた私は視線を伏せたままグラスに手を伸ばし、自分でも理解できない感情を誤魔化すようにワインに口をつける。
「真剣ですよ。 こんなことを冗談として語って、私に何の得があると言うんですか」
「……それは、そうでしょうけど……」
「なぜ、私が他愛ない礼儀も守らなかったと? 勉強を抜け出すようなことをしたと?」
「それは、馬鹿だからでしょう」
ツンと視線を背けて言えば、ムニッと頬がつままれた。
「酔っていますね?」
「酔ってませんよ」
ふぅと溜息をつかれ、苦笑が向けられた。
「ジジイが、私を調教する時には、高確率でシアさんと会わせてくれたんですよ」
「ぇっと……」
そうだったのかも……?
それ以外に会う時も必ずお爺様が同席していた。 むしろ、鞭打つときだけが唯一、私達が視線を合わせた瞬間だった。 自分が子供だから、クルール家が公爵家だから、そういうものなのだと思っていました。
私はワイズ様の胸元に手を置き、溜息交じりに言う。
「だからと言って、自ら傷を負うようなことをするのは……私は嫌だったのですよ?」
「それは、まぁ……申し訳ありません。 当時の私は、それが私達の愛情の形なのだと誤解しておりましたので」
ニッコリと微笑んだワイズ様の胸に触れた私の手の上から、ワイズ様は手を重ね、穏やかに優しい司祭様の声色で語り掛けてくる。
「誤解だったと理解した今も、コレは私にとってアナタから得た宝なんですよ」
私が緊張した様子を見せれば、ワイズ様は困った表情を浮かべ視線を伏せる
「すみません」
ワイズ様が静かに距離を置こうとすれば、胸の奥が切ない気がした。
「あの!!」
距離を置いてしまえば、分かり合おうとし始めた関係が終わるのでは? 私は、何度も感情のままにワイズ様を拒絶していたから。 もし、今が最後だったなら? 離れていくワイズ様に手を伸ばそうとしたら、シーと人差し指が唇に当てられていた。
2人分の足音と話し声が聞こえる。
家は、魔法錠を使っているため、私の許可なく入ってこれる人間はミアのみで、私はムッとする。 この家は加護縫いを行った魔道具が大量にある。 家事用の魔道具だから金銭に変えても大金になる訳ではないですが、それでも大々的に人に知られてしまえば、私は自由を失ってしまう。
なぜ、ミアをそこまで信頼しているのか?
どちらかと言えばミアの無知を信用していると言った方がいい。 彼女はここよりもずっと田舎、ちょっとした都では当たり前になっている水道、コンロ、お湯、明かり、等を見る事無く育っていて、家にある魔道具の特別なものだと理解せず、当たり前のように受け入れた。
だから、安心していた。
お金をためて服飾の学校へ行きたいと言うから、家事を引き受けて貰うわりに衣食住を保証した。 食事の面を除けば魔道具が5割ほど家事をしてくれるのですから、彼女の負担は決して多くはなかったと思う。
衣食住は提供していたけれど、小遣いまでは出す気はなかった。 目指す服飾系の内職でもして、技術を磨いていけば小遣いになったはずでしたが、ストレス発散と金稼ぎで一石二鳥だと酒場でバイトを始めた。
止めるだけの理由も、関係性も見いだせなかった。
「シア!! ようやくまともな食事をする気になったんですね! これからは、健康に気遣いちゃんとした食事をしてくださいよ!」
外から明かりが見えたのでしょう。 リビングに迷うことなく訪れたミアは勢いよく扉をあけながら言った。
ミアの背後では、少しばかりヤンチャそうと言うか、柄の悪そうな男がコチラを値踏みするように見ている。 正直そう言う視線は得意ではない……。
「ミア、ソチラの方は?」
本当は、誰の許可を得て人を家に入れたのかと、お説教の一つでもしたかったのだけど。 頭ごなしにソレを言っては、本人の面目が立たないし、見た目こそ柄が悪いけれど、真っ当な人が突然にそう言われたら傷つくだろう。
「ぁ、俺、ミアの彼氏っす。 外からは気付かなかったですけど、すっごい家なんですねぇ~。 もしかして、めっちゃ金持ちなんっすか?」
ぁ、これアウト。
ダメ、無理。
性質的に、合わない。
だけど、合わないと言っても、この街は庶民的な街で……敬語を要求する方が間違っているのかも?
私は、深呼吸を繰り返す。
「あ~~~、なるほどぉ~。 ミアの言っていた通り、確かにコミュ障そうっすね。 だけどまぁ、ほら、俺って、コミュニケーション能力高いっすから、安心してください。 ところでうまそうなものたべてますね。 ご馳走になってもいいっすよね? 何しろ、ミアの恋人、夫になる男なんですし、シアも、シアでいいっすよね? 俺の方が年上ですし? これからのこともあるから、仲良くしておく必要がありだろうしぃ」
「ミア……」
「何、シア、食事をして身ぎれいにしてくれたのは、良かったけど。 せっかくフラッグが挨拶しているんですから、もう少し愛想良くしてもらわないと、私も困るんですけど」
からかいのふくんだ声でミアが言う。 上から目線な様子が苛立って、私は我慢していた言葉をミアに告げた。
「そう、それは申し訳ないことをしましたね。 ですが、私はアナタをココに招くとき、アナタ以外の人間を勝手招く事はしないようにと、伝えましたわよね?」
「あぁ~~~、だめだめ、2人は仲良しでしょう。 そんな堅苦しい喋り方は良くないよ。 もっとフレンドリーに行こうか。 なぁに、仲良くしようって一歩踏み出せば、誰にだってできるさ。 俺達はシアが心を開いてくれるのをユックリと待つよ」
そういってウィンクをしてくる。
「ミア、私はアナタの夢を応援しようと同居を許可しました。 ですが、その夢を捨てると言うなら、私にはアナタを応援する理由はありません……よ、ね?」
「それは! でも、私がシアの面倒を見てあげていたから、お互い様と言うものでしょう。 私がいなくなると困るのはシアでしょう。 ただ、私も色々と忙しいから、アナタの世話は彼の家族に協力してもらおうと思っているの。 部屋も広いしいいわよね?」
「もう、アナタの応援をするのを辞めました。 そう言っているのが理解できませんの?」
「唯一の友人が、夫となる男を連れてきたからって、拗ねるのは恰好悪いよ」
そういって、私の肩に触れようとすれば、汚いものをつまむようにワイズ様が男に袖口をつまんで放した。 その扱いに、ミアはワイズを睨みつけた。
「そういうシアこそ、男を連れ込んでいるじゃない。 その時点で、家に誰も連れ込まないっていうのは、お互いルール違反で、ちゃぁらぁ~。 人見知りで、人と会いたがらないシアには分からないかもだけど、世間ってのはね。 状況が変わればルールも変わると言うもの。 そういうのちゃんと覚えて行かないとさぁ、世間からはみ出しちゃうよ?」
こんな、馬鹿な喋り方をする子だったでしょうか?
「ここは私の家であり、私がルール。 それに、夫を家に招いて何の問題があると言うのですか?」
「はぁ?」
「妻がお世話になっております」
ワイズが頭を下げた。
「そして、私は妻にそのような口を効く人間を許せるような、心の広い人間ではありません。 さようなら」
そう言って、2人の首根っこをツマミ放り出してしまう。
「荷物は……どうしましょう?」
「明日まで、酒場の方に届ければいいでしょう」
私は大きな溜息をつきながら、唖然とする2人を前にバタンと勢いよく扉をしめた。
「人って変わるものですね」
「変わりますよ。 その中で、変わらないものももちろんあるでしょうけど。 っと、大丈夫ですか?」
フラリと座り込みそうになる私をワイズ様は支え抱き上げた。
「平気です、酔いが回っただけですわ……」
「少し感情が揺れているのかもしれませんね。 ソファまで運びましょう」
私は人間関係の儚さに溜息をついた。
ボソリと呟く私の声は、何処か拗ねたように聞こえたかもしれない、俯いた私は視線を伏せたままグラスに手を伸ばし、自分でも理解できない感情を誤魔化すようにワインに口をつける。
「真剣ですよ。 こんなことを冗談として語って、私に何の得があると言うんですか」
「……それは、そうでしょうけど……」
「なぜ、私が他愛ない礼儀も守らなかったと? 勉強を抜け出すようなことをしたと?」
「それは、馬鹿だからでしょう」
ツンと視線を背けて言えば、ムニッと頬がつままれた。
「酔っていますね?」
「酔ってませんよ」
ふぅと溜息をつかれ、苦笑が向けられた。
「ジジイが、私を調教する時には、高確率でシアさんと会わせてくれたんですよ」
「ぇっと……」
そうだったのかも……?
それ以外に会う時も必ずお爺様が同席していた。 むしろ、鞭打つときだけが唯一、私達が視線を合わせた瞬間だった。 自分が子供だから、クルール家が公爵家だから、そういうものなのだと思っていました。
私はワイズ様の胸元に手を置き、溜息交じりに言う。
「だからと言って、自ら傷を負うようなことをするのは……私は嫌だったのですよ?」
「それは、まぁ……申し訳ありません。 当時の私は、それが私達の愛情の形なのだと誤解しておりましたので」
ニッコリと微笑んだワイズ様の胸に触れた私の手の上から、ワイズ様は手を重ね、穏やかに優しい司祭様の声色で語り掛けてくる。
「誤解だったと理解した今も、コレは私にとってアナタから得た宝なんですよ」
私が緊張した様子を見せれば、ワイズ様は困った表情を浮かべ視線を伏せる
「すみません」
ワイズ様が静かに距離を置こうとすれば、胸の奥が切ない気がした。
「あの!!」
距離を置いてしまえば、分かり合おうとし始めた関係が終わるのでは? 私は、何度も感情のままにワイズ様を拒絶していたから。 もし、今が最後だったなら? 離れていくワイズ様に手を伸ばそうとしたら、シーと人差し指が唇に当てられていた。
2人分の足音と話し声が聞こえる。
家は、魔法錠を使っているため、私の許可なく入ってこれる人間はミアのみで、私はムッとする。 この家は加護縫いを行った魔道具が大量にある。 家事用の魔道具だから金銭に変えても大金になる訳ではないですが、それでも大々的に人に知られてしまえば、私は自由を失ってしまう。
なぜ、ミアをそこまで信頼しているのか?
どちらかと言えばミアの無知を信用していると言った方がいい。 彼女はここよりもずっと田舎、ちょっとした都では当たり前になっている水道、コンロ、お湯、明かり、等を見る事無く育っていて、家にある魔道具の特別なものだと理解せず、当たり前のように受け入れた。
だから、安心していた。
お金をためて服飾の学校へ行きたいと言うから、家事を引き受けて貰うわりに衣食住を保証した。 食事の面を除けば魔道具が5割ほど家事をしてくれるのですから、彼女の負担は決して多くはなかったと思う。
衣食住は提供していたけれど、小遣いまでは出す気はなかった。 目指す服飾系の内職でもして、技術を磨いていけば小遣いになったはずでしたが、ストレス発散と金稼ぎで一石二鳥だと酒場でバイトを始めた。
止めるだけの理由も、関係性も見いだせなかった。
「シア!! ようやくまともな食事をする気になったんですね! これからは、健康に気遣いちゃんとした食事をしてくださいよ!」
外から明かりが見えたのでしょう。 リビングに迷うことなく訪れたミアは勢いよく扉をあけながら言った。
ミアの背後では、少しばかりヤンチャそうと言うか、柄の悪そうな男がコチラを値踏みするように見ている。 正直そう言う視線は得意ではない……。
「ミア、ソチラの方は?」
本当は、誰の許可を得て人を家に入れたのかと、お説教の一つでもしたかったのだけど。 頭ごなしにソレを言っては、本人の面目が立たないし、見た目こそ柄が悪いけれど、真っ当な人が突然にそう言われたら傷つくだろう。
「ぁ、俺、ミアの彼氏っす。 外からは気付かなかったですけど、すっごい家なんですねぇ~。 もしかして、めっちゃ金持ちなんっすか?」
ぁ、これアウト。
ダメ、無理。
性質的に、合わない。
だけど、合わないと言っても、この街は庶民的な街で……敬語を要求する方が間違っているのかも?
私は、深呼吸を繰り返す。
「あ~~~、なるほどぉ~。 ミアの言っていた通り、確かにコミュ障そうっすね。 だけどまぁ、ほら、俺って、コミュニケーション能力高いっすから、安心してください。 ところでうまそうなものたべてますね。 ご馳走になってもいいっすよね? 何しろ、ミアの恋人、夫になる男なんですし、シアも、シアでいいっすよね? 俺の方が年上ですし? これからのこともあるから、仲良くしておく必要がありだろうしぃ」
「ミア……」
「何、シア、食事をして身ぎれいにしてくれたのは、良かったけど。 せっかくフラッグが挨拶しているんですから、もう少し愛想良くしてもらわないと、私も困るんですけど」
からかいのふくんだ声でミアが言う。 上から目線な様子が苛立って、私は我慢していた言葉をミアに告げた。
「そう、それは申し訳ないことをしましたね。 ですが、私はアナタをココに招くとき、アナタ以外の人間を勝手招く事はしないようにと、伝えましたわよね?」
「あぁ~~~、だめだめ、2人は仲良しでしょう。 そんな堅苦しい喋り方は良くないよ。 もっとフレンドリーに行こうか。 なぁに、仲良くしようって一歩踏み出せば、誰にだってできるさ。 俺達はシアが心を開いてくれるのをユックリと待つよ」
そういってウィンクをしてくる。
「ミア、私はアナタの夢を応援しようと同居を許可しました。 ですが、その夢を捨てると言うなら、私にはアナタを応援する理由はありません……よ、ね?」
「それは! でも、私がシアの面倒を見てあげていたから、お互い様と言うものでしょう。 私がいなくなると困るのはシアでしょう。 ただ、私も色々と忙しいから、アナタの世話は彼の家族に協力してもらおうと思っているの。 部屋も広いしいいわよね?」
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「唯一の友人が、夫となる男を連れてきたからって、拗ねるのは恰好悪いよ」
そういって、私の肩に触れようとすれば、汚いものをつまむようにワイズ様が男に袖口をつまんで放した。 その扱いに、ミアはワイズを睨みつけた。
「そういうシアこそ、男を連れ込んでいるじゃない。 その時点で、家に誰も連れ込まないっていうのは、お互いルール違反で、ちゃぁらぁ~。 人見知りで、人と会いたがらないシアには分からないかもだけど、世間ってのはね。 状況が変わればルールも変わると言うもの。 そういうのちゃんと覚えて行かないとさぁ、世間からはみ出しちゃうよ?」
こんな、馬鹿な喋り方をする子だったでしょうか?
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「人って変わるものですね」
「変わりますよ。 その中で、変わらないものももちろんあるでしょうけど。 っと、大丈夫ですか?」
フラリと座り込みそうになる私をワイズ様は支え抱き上げた。
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