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3章 ルシッカ伯爵領 中央都市
24.不法投棄者 04
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私の言葉に、住民達が騒めいた。
「伯爵様に会わせて頂きたい」
「なぜ、生ごみを捨てるなと言う要求に対して、伯爵に会わせろと言う返しになるのかしら?」
「伯爵様と我々の間には友好的な関係が結ばれているからだ。 伯爵様は我々を、このルシッカ領の民を愛していらっしゃる。 そして、我々もまた伯爵を敬愛している。 だからこそ、我々は生活に困窮しつつも、伯爵様に料理を届けるのだ!!」
「望んでもいないのに?」
「伯爵様は、我らにとって神にも等しい尊い方。 伯爵様に仕えていると言いながら、この地を救った神獣様の話も知らぬとは……何とも情けない。 我々は、伯爵様を神獣様の生まれ変わりとして敬っている。 だからこそ我々は僅かな食糧をお供えし、伯爵様への敬意をお伝えするのだ! ソレを……我々と伯爵様との絆をゴミと言うとは何事だ!!」
私は思わず拍手をしてしまった。
「腐った食べ物を放置していく理論的な理由が思い当たらなくて、ずっと悩んでいたのですが、なかなか面白い話を聞かせて頂きありがとうございます」
私はニッコリと微笑んで見せた。
「ですが、私の知る神は、ゴミを備えられれば荒神となって祟るものなんですよね。 うんうん……」
私は勝手に納得し頷いて見せた。
「伯爵様に会わせろ」
「神とも言える方に、穢れを押し付けておいて良く会わせろなどと言えるものですね」
「我々が神のように敬愛する伯爵であれば、なせる精一杯の思いに応えて下さる。 あの方はそう言う人です。 アナタ等と話をしていても埒が明かない。 伯爵様を出して頂こうか!!」
「それは、まぁ、伯爵がいいと言うのなら? 私もあの方に仕える身として反対することはありませんよ。 ですが、まずは、神がどうこうとか、仲がどうこうとか、そういうのは横に置き、敷地内にゴミを捨てた罰を、王国法で裁かれてください」
私はニッコリと微笑んで見せた。
「はぁ?」
「法ではこのように定められています」
私はどうせ、ルシッカ領の住民が王国法を知っている訳等無いのだからと、前世における法的ルールを語りだす。
何人も、廃棄物をみだりに捨ててはならない。 この場合の廃棄物とは、家具等の大きなゴミ、汚泥、糞尿、油、酸、肉、野菜、食器等これらの原形問わず、第三者の生活環境の阻害、衛生面の悪化による健康被害が懸念とされた場合、その罪は5年以下の労働、1000万ゼニー以下の罰金とする。
まぁ、前世のこと記憶が曖昧だったり、都合の悪いところは改変したりしているが、どうせここに法律等を知るたいそうな人間はいやしないんだから問題ない。
「う、嘘だ……そんな話聞いたことはない」
「それは、アナタ達が無知だったからではありませんか? そもそも法律なんて御存じなんですか? 存じませんよね? でも、知らなくても法律は法律なんですよ。 隣近所で慣れ合うならいざ知らず、よく伯爵相手にそのような事をしたものですね。 さて、警備隊士の方々、この人達を捉えてくださいませ」
国境沿いの村人が法律を知らないのは当然のこと。 ですが、王都から派遣された警備隊士が法を知らないと言う事はないでしょう。
休戦協定から未だ5年しかたっておらず、どれほど懸命に働いても、人の生活というものは安定には程遠い。 だから、何をゴミとするかってのは、難しいところなんですよねぇ……。
でも、今は、まぁ、伯爵を最優先って事で、警備隊士の方々は買収済みなので、私的には問題なし。
そして動きだす警備隊士。
「ま、待ってくれ!! 食品の廃棄は、子供達によって行われたモノだ!! 子供は、ほら、好き嫌いが多いだろう。 彼等は食糧を無駄にしたと怒られるのが嫌で、捨てたんだ!!」
神の供物等とたいそうなことを口走りながら、アッサリと手のひらを返したか。 指摘する矛盾は多いけれど、でも、これでいい、これを狙っていたんだ。
「なるほど、それは良くありませんね。 では、警備隊士の方々、子供達を連行してください!」
悲鳴や絶叫、親に助けを求める声が響き渡ったが、コレもまぁ計画通りで、コレで彼等は子供達の命で伯爵を脅せなくなる。
「伯爵様に会わせて頂きたい」
「なぜ、生ごみを捨てるなと言う要求に対して、伯爵に会わせろと言う返しになるのかしら?」
「伯爵様と我々の間には友好的な関係が結ばれているからだ。 伯爵様は我々を、このルシッカ領の民を愛していらっしゃる。 そして、我々もまた伯爵を敬愛している。 だからこそ、我々は生活に困窮しつつも、伯爵様に料理を届けるのだ!!」
「望んでもいないのに?」
「伯爵様は、我らにとって神にも等しい尊い方。 伯爵様に仕えていると言いながら、この地を救った神獣様の話も知らぬとは……何とも情けない。 我々は、伯爵様を神獣様の生まれ変わりとして敬っている。 だからこそ我々は僅かな食糧をお供えし、伯爵様への敬意をお伝えするのだ! ソレを……我々と伯爵様との絆をゴミと言うとは何事だ!!」
私は思わず拍手をしてしまった。
「腐った食べ物を放置していく理論的な理由が思い当たらなくて、ずっと悩んでいたのですが、なかなか面白い話を聞かせて頂きありがとうございます」
私はニッコリと微笑んで見せた。
「ですが、私の知る神は、ゴミを備えられれば荒神となって祟るものなんですよね。 うんうん……」
私は勝手に納得し頷いて見せた。
「伯爵様に会わせろ」
「神とも言える方に、穢れを押し付けておいて良く会わせろなどと言えるものですね」
「我々が神のように敬愛する伯爵であれば、なせる精一杯の思いに応えて下さる。 あの方はそう言う人です。 アナタ等と話をしていても埒が明かない。 伯爵様を出して頂こうか!!」
「それは、まぁ、伯爵がいいと言うのなら? 私もあの方に仕える身として反対することはありませんよ。 ですが、まずは、神がどうこうとか、仲がどうこうとか、そういうのは横に置き、敷地内にゴミを捨てた罰を、王国法で裁かれてください」
私はニッコリと微笑んで見せた。
「はぁ?」
「法ではこのように定められています」
私はどうせ、ルシッカ領の住民が王国法を知っている訳等無いのだからと、前世における法的ルールを語りだす。
何人も、廃棄物をみだりに捨ててはならない。 この場合の廃棄物とは、家具等の大きなゴミ、汚泥、糞尿、油、酸、肉、野菜、食器等これらの原形問わず、第三者の生活環境の阻害、衛生面の悪化による健康被害が懸念とされた場合、その罪は5年以下の労働、1000万ゼニー以下の罰金とする。
まぁ、前世のこと記憶が曖昧だったり、都合の悪いところは改変したりしているが、どうせここに法律等を知るたいそうな人間はいやしないんだから問題ない。
「う、嘘だ……そんな話聞いたことはない」
「それは、アナタ達が無知だったからではありませんか? そもそも法律なんて御存じなんですか? 存じませんよね? でも、知らなくても法律は法律なんですよ。 隣近所で慣れ合うならいざ知らず、よく伯爵相手にそのような事をしたものですね。 さて、警備隊士の方々、この人達を捉えてくださいませ」
国境沿いの村人が法律を知らないのは当然のこと。 ですが、王都から派遣された警備隊士が法を知らないと言う事はないでしょう。
休戦協定から未だ5年しかたっておらず、どれほど懸命に働いても、人の生活というものは安定には程遠い。 だから、何をゴミとするかってのは、難しいところなんですよねぇ……。
でも、今は、まぁ、伯爵を最優先って事で、警備隊士の方々は買収済みなので、私的には問題なし。
そして動きだす警備隊士。
「ま、待ってくれ!! 食品の廃棄は、子供達によって行われたモノだ!! 子供は、ほら、好き嫌いが多いだろう。 彼等は食糧を無駄にしたと怒られるのが嫌で、捨てたんだ!!」
神の供物等とたいそうなことを口走りながら、アッサリと手のひらを返したか。 指摘する矛盾は多いけれど、でも、これでいい、これを狙っていたんだ。
「なるほど、それは良くありませんね。 では、警備隊士の方々、子供達を連行してください!」
悲鳴や絶叫、親に助けを求める声が響き渡ったが、コレもまぁ計画通りで、コレで彼等は子供達の命で伯爵を脅せなくなる。
応援ありがとうございます!
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