【R18】双子の妹を愛するナルシストな婚約者は、大切な妹の代わりに婚約者である私を悪魔公の元に嫁入りさせる

迷い人

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04.想定外の申し出

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 レイバ家で最強と言われるフレイが明らかに怯えていた。

 まぁ、だからどうだと言う話ですが。

「殺される。 殺される。 殺される……」

 うわ言のようにブツブツと繰り返されていれば、流石の当主様もご立腹となったのでしょうと想像した。 双子に対して、それだけは避けさせようと、常に目付け役を側に置くほど当主は必死だったのだから。

 貴族、それもレイバ家のように血筋により特殊な能力が受け継がれる場合、血を薄めないために一族内での婚姻は良しとされていた。 だけれど、近年では問題点が呈せられ、能力受け継ぎの血の調整は遠縁で行うようにと王国法で定められた。

 血が近すぎれば、力が近くなる分、精神的・思考的に安定しない場合が多いとされたから。 その最大の例が、幾代にも渡り王族で重ねられてきた血筋の結晶、悪魔公と呼ばれる先王陛下の弟君と言われている。



「温かな飲み物でも準備いたしましょう」

 私はフレイを室内に招き入れる。

 だって、彼等の罪の証は、私にとっては自由のチャンスなのですもの。 

 フレイを応接室へと通し、ストールをかけ、私はキッチンへと向かった。

 悪意? いいえ違うわね……自由を渇望する気持ちを悪意とは言わないはず。 私はフレイに優しくしなければと自分に言い聞かせた。 落ち着くように深呼吸をした。 この気持ちをどう表現するか分からないけれど、とにかくワクワクと落ち着かなかったのです。

 キッチンで冷えた水を一杯のみ落ち着きを取り戻した私は、獲ってきたばかりの林檎を、砂糖を少量の水で溶かしバターを加えたもので焼く。 その横でパンケーキを焼き続けていく。 レモンをブレンドしたさっぱりとした紅茶の準備し、焼けた林檎には風味付け程度のシナモンを少量だけふって応接室へと持っていった。

「ありがとう……」

 誰よりも強いフレイが小さな声で言う。

「いいえ……」

 私は彼女が食事を終えるのを待ち、そしてたずねた。

「それで、どうなさいましたの?」

 決して親切心からではないが、自分が優位に働けるための情報を得ようと、私は慈悲深く問いかけた。 そして、そんなことをしている自分に嫌悪感を覚えていた……。

「殺される……殺されるてしまうの。 ……お願い。 助けて!」

 縋るような視線ではなく、本当に縋ってきたから大変だ。

「いたっ」

「ぁ、ごめんなさい」

 フレイは慌てて手を離した。

「大丈夫ですよ。 この地でアナタを殺せるものなど存在しないのですから」

「違うのよ!! 赤ちゃんが……赤ちゃんが殺されてしまう!!」

 私は沈黙を保った。

 管理しきれない子であれば、産まれる前にと考えられてしまうかもしれない。 だけど……。

「この子の父親は、もうフランに殺されてしまったわ!!」

「ぇ?」

 聞けば、大抵であれば性欲は食欲に転化できた。 それでも無理な時はフランに触れる事で抑えていた。 だけど、フランに近寄る事が許されず、直ぐに食べられる食糧が無い時、どうしても抑えきれなかった時、その時は自分の目付け役に相手をさせていたのだと言う。

「フランのことは好き!! この生活も捨てたくない!! だけど、だけど……子供は産みたいのよ!!」

 そんなことを私に言われましても……。 それこそ、嫌だ嫌だと昔のように暴れられてはどうですの? 等と思う訳です。

「全力で、ご自身の気持ちを訴えられてはどうかしら?」

「そんなことをして、赤ちゃんが死んだらどうしてくれるのよ!!」

 私に噛みつかれましても……。

「お願い、この子を助けて……」

「それは、私に言うべきことではありませんわ」

「いいえ、知ってますのよ! お父様やフランがアナタを飼い殺しにしている理由を!! お願い……特殊な血を持って生まれる子は、育ちにくいのでしょう」

 ボソボソとフレイは語った。 まさか、お馬鹿な子のフレイがそこまで勉強しているとは!! 食欲と暴力の権化だと思っていたフレイが、色々と知っているとは……。

「でも、アナタがいれば……正式に申請していないとは言え、アナタには聖女の資質があると聞いたわ! 魔物の多いこの領地で、領民を助けていると聞いたわ。 アナタがいれば、この子だって元気に生まれる事が出来るはず。 お願い、一緒に、一緒に逃げて!!」

「は、い?」

「赤ん坊を守ってくれると言うなら、私が全力でアナタを守るから!! 赤ん坊が無事生まれた暁には、アナタは自由になっていい。 私に与えられたアナタの宝飾品を売れば、アナタの領地の借金だって返すことが出来るはずよ! だから、お願い!! 一緒に逃げて!」

「……アナタが言った領民の救済は? 今、領地の最大の収益となっている薬草は、魔物の森で取れますのよ? 必ずケガをする訳ではありませんが、どれほどのリスクを抱え、領民が収穫に出ていると思っているのですか」

「私は!! 私の赤ちゃんが大切なのよ!! 領民は魔物に襲われないように一族のものがもっと働けばいい。 いつもいつも私に押し付けてきた魔物狩りを、自分達ですればいいのよ。 ねぇ、私達は共にこの領地に飼われた。 飼い殺しにされるしかない犠牲者なのよ! お願いよ!! 一緒に逃げて!!」

 私は唖然と立ち尽くすだけだった。
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