【R18】双子の妹を愛するナルシストな婚約者は、大切な妹の代わりに婚約者である私を悪魔公の元に嫁入りさせる

迷い人

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30.聖人・聖女とは? その1

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「公爵は辺境伯とは古くからの御友人と伺っております」

 気付けば手が震えており、バタンと大きな音が背後から聞こえ反射的に振り返った。 視線の先には侍女頭さんが壁に身を預けズリズリと肩で滑り床にへたりこみ、祖父程の年代の公爵家執事さんもまた、膝をつき肩で辛そうに呼吸をしている。

「悪い……」

 クルト公爵がポソリと告げれば、大きく息を吐く2人。

 なぜ、私は平気なのでしょう? フレイの威嚇を受けた時、私は他の人よりも多少は耐える事はできましたが、決して今ほどの差はありませんでした。

 そんな私の疑問が聞こえたかのようにクルト公爵は言います。

「自分に攻撃を仕掛ける事は出来ない。 昨日交わした契約は、それほどまで大きな意味をもつだ。 自分でも実感できるはずだ、使える魔力量が増えているだろう」

 言われれば……。

 聖魔法と呼ばれる術式を教えてくれた講師曰く、私の魔力量は多くはなくというか、むしろ少ない。 ですが、講師が知っているどんな人よりも、少ない魔力を器用に使い聖魔法を使いこなしている言う話でした。

 そんな性質を持つ私ですから、自らの魔力を調べることは難しいことではありません。

 今の状況を例えるなら……。

 山の中にある巨大な湖から流れ込む水を流し込んでしまえば、私と言う池は溢れかえり壊れてしまう。 だから、堰を作り調整している状態でしょうか?

 クルト公爵が制限をかけない限り、私は彼の魔力が使いたい放題となると……。 そう考えると、この誓いの契約と言うのは、いろんな意味で危険な契約だったのだと実感する。

 もし……フレイだったら……。 あぁ、そうでした、契約の中には主導権はクルト公爵の方にあると言う主従の契約術も含まれていたのでしたね。

 主従?

 チラリと私はクルト公爵へと視線を向ければ、公爵は乱雑に山積みにされ埃すら被った本の山の中を漁っていた。

 何をなさっていらっしゃるのでしょうか?

 気安く目上の者の行動を妨げるように、質問をするなどと言う躾けはされておりません。 とはいえ、ここは手伝うべき? いえ、侍女頭さんと老執事さんが手伝っていないのですから、待つのが正解なのでしょう。 でも……。

 その、余りにも雑な探し具合に大気中に埃がたつわけで、コホコホと咳き込んでしまう。

「よろしければ、お掃除をさせていただけませんか?」

「いや、本の場所が分からなくなるから触るな」

「……はい」

 まぁ20分ほどすれば、目的とされた本は見つかったらしく、ソレを私に手渡してきた。

「文字は?」

「読めます」

「248ページを、サラリとでいい目を通せ」

 そこには、聖人、聖女の隠されたと言うか、隠すべき歴史が記されていたのです。

 その肉は、長寿をもたらし。
 その血は、不老をもたらす。
 そして、その乳は、血を精製した万病薬である。

 ゆえに、聖人はその血のために飼い慣らされ、聖女はその乳のために聖人との間に、常に子を身ごもらされた。 生まれる子もまた聖なる力を身に宿すことが多く、やがて聖人と聖女はお互いを呪いあうことにした。

 我らでこの血は終わりにしよう。



 と……。
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