32 / 42
32.聖人・聖女とは? その3
しおりを挟む
「俺は、ファローグ・レイバ辺境伯との付き合いは長いが、友人だと思ったことはないよ。 ただ、拒絶し敵にするには厄介な男で、味方にしておけば便利な男だとは思っている。 アレも俺の限界を理解していて、今までは強くは踏み込んで来ようとはしなかった。 だから、その関係が維持されてきただけだ」
私は話を聞きながら、なぜ鱗が失った今も仮面をかぶっているのだろう? 等とよそ事を考えて居れば、話しは勝手に続けられていた。
「アレの娘の件も、俺に引き受けさせるのは難しいだろうと。 国王陛下を説得の材料につれてきた。 いわゆる……陛下の命令もあったのだ」
だからどうした? と言うか何を言いたいか分からなかった。
えっと、敵対関係を作りたくないと言う事……?
「お茶をお持ちしました」
チラリと向けられる侍女頭が強い視線で私を睨みつけ、そして微笑んで見せる。
うん!!
過去の人間関係が希薄過ぎて、人の思惑が上手く理解できませんわ!!
「すみません、お伺いしてもよろしいでしょうか?」
「なんだ?」
「それはレイバ辺境伯と敵対関係を築きたくないからと、配慮を求めると言う意味合いで、正しいのでしょうか?」
もし侍女頭さんの笑みが無ければ、ソレで間違いがないと思っただろうと思う。 でも、それだけではないようで、だからと言って自分の都合の良い解釈をして『馬鹿じゃね?』とか言われたら辛すぎます。
はぁ……と、大きな溜息と共にクルト公爵は言う。
「命をくれてやっても構わないと言っているだろう? なぜ、そうなる。 もう一つ話をしよう。 ファローグ・レイバは、なぜ神殿にノエル、アナタの聖女の申告をしなかったと思う?」
「もしかして……私を守るためですか?」
「800年前、集められた各国の聖人・聖女は自らを呪い血筋を耐えさせた。 それから、聖人・聖女の素質を持つ者は稀少性が高く、神殿で教育と管理が行われ、その力の恩恵を受ける事が出来るのは、王族だけだ。 それも一般的な治療師としてだがな」
「……」
「王族だけにもたらされる力だ」
「他の領地より優位な状況を築くため? ですか?」
「あぁ、その通りだ。 聖女がいれば、当主が弱くともソレを補って余りある力となる。 まず魔物の発生が押さえられ、狂暴化が押さえられる。 退治に向かう狩人がケガをしても回復の見込みが高くなる。 挙句、薬草の群生地が自然発生するなら、領地はかなり豊かな状態となったことだろう」
「ですが、フランはそこまで不能では……」
「辺境伯は、そうは考えて居なかったらしいぞ……。 だからこそ、神殿に密告する可能性のある講師を殺させた。 領主としての使命感が強く、そして地位も名誉も力も欲する欲深い男だからな。 フレイと言う女は直接あったことはないが、本質的には似ているのではないか?」
クルト公爵の赤い瞳は私に問いかけているように見えた。
俺とアイツどっちを選ぶ?
そんな風に……。
そして、彼は私に囁く。
「アレが、聖女の本来の力を知ったらどうするだろうな?」
私は話を聞きながら、なぜ鱗が失った今も仮面をかぶっているのだろう? 等とよそ事を考えて居れば、話しは勝手に続けられていた。
「アレの娘の件も、俺に引き受けさせるのは難しいだろうと。 国王陛下を説得の材料につれてきた。 いわゆる……陛下の命令もあったのだ」
だからどうした? と言うか何を言いたいか分からなかった。
えっと、敵対関係を作りたくないと言う事……?
「お茶をお持ちしました」
チラリと向けられる侍女頭が強い視線で私を睨みつけ、そして微笑んで見せる。
うん!!
過去の人間関係が希薄過ぎて、人の思惑が上手く理解できませんわ!!
「すみません、お伺いしてもよろしいでしょうか?」
「なんだ?」
「それはレイバ辺境伯と敵対関係を築きたくないからと、配慮を求めると言う意味合いで、正しいのでしょうか?」
もし侍女頭さんの笑みが無ければ、ソレで間違いがないと思っただろうと思う。 でも、それだけではないようで、だからと言って自分の都合の良い解釈をして『馬鹿じゃね?』とか言われたら辛すぎます。
はぁ……と、大きな溜息と共にクルト公爵は言う。
「命をくれてやっても構わないと言っているだろう? なぜ、そうなる。 もう一つ話をしよう。 ファローグ・レイバは、なぜ神殿にノエル、アナタの聖女の申告をしなかったと思う?」
「もしかして……私を守るためですか?」
「800年前、集められた各国の聖人・聖女は自らを呪い血筋を耐えさせた。 それから、聖人・聖女の素質を持つ者は稀少性が高く、神殿で教育と管理が行われ、その力の恩恵を受ける事が出来るのは、王族だけだ。 それも一般的な治療師としてだがな」
「……」
「王族だけにもたらされる力だ」
「他の領地より優位な状況を築くため? ですか?」
「あぁ、その通りだ。 聖女がいれば、当主が弱くともソレを補って余りある力となる。 まず魔物の発生が押さえられ、狂暴化が押さえられる。 退治に向かう狩人がケガをしても回復の見込みが高くなる。 挙句、薬草の群生地が自然発生するなら、領地はかなり豊かな状態となったことだろう」
「ですが、フランはそこまで不能では……」
「辺境伯は、そうは考えて居なかったらしいぞ……。 だからこそ、神殿に密告する可能性のある講師を殺させた。 領主としての使命感が強く、そして地位も名誉も力も欲する欲深い男だからな。 フレイと言う女は直接あったことはないが、本質的には似ているのではないか?」
クルト公爵の赤い瞳は私に問いかけているように見えた。
俺とアイツどっちを選ぶ?
そんな風に……。
そして、彼は私に囁く。
「アレが、聖女の本来の力を知ったらどうするだろうな?」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1,298
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる